同性婚について



  【このページの目次】


用語の注意

注意① 「性愛」は「内心の自由」の問題

注意② 「同性婚」は法律用語ではない

注意③ 「同性婚」の多義性

注意④ 「重婚」と「複婚」

注意⑤ 婚姻に関する用語の整理

注意⑥ 「国の立法目的」と「個々人の利用目的」の違い

 

法制度の整合的な理解


婚姻の概要

立法目的とそれを達成するための手段

子の福祉

近親交配の回避

生殖機会の公平

母体の保護

 

憲法24条

「婚姻」の法的効果の論点

24条は制限規範なのか


憲法24条の分析

「両性の合意のみに基いて成立」

「両性の合意のみ」の読み方

「両性」とは何か

「両性」「夫婦」「相互」の意味


24条の意味の範囲

・「婚姻」の由来説

・存在しない説

・成立条件説

・想定していない説

・立法裁量の限界を画するもの

・禁止説

・義務文・否定文による禁止説

解釈の参考

憲法24条の「婚姻」に含まれた内在的な限界

婚姻の概念に含まれた内在的な限界

制度的保障

婚姻制度の立法目的と枠組みの変更可能性


憲法24条2項の「婚姻及び家族」の枠組み

憲法14条

14条と24条の整合性


憲法13条

「公共の福祉」による審査

権利の性質による違い

政策的な合理性 

目的と手段を特定する方法

・比較衡量論

・二重の基準論

婚姻制度の立法目的と達成手段

・嫡出推定決定

・夫婦別姓判決

憲法上の具体的な権利と関わるか


枠組みの変更は可能か

他の組み合わせとの整合性

・近親婚との整合性

・複婚との整合性

・婚姻適齢との整合性

・皇族の婚姻

国が政策的に支援しようとしている対象は何か

「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることは可能か

・「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者の出産


婚姻制度と矛盾する制度は立法できないこと

憲法改正の論点

「両性」を「両者」に変えるとどうなるか







用語の注意

注意➀ 「性愛」は「内心の自由」の問題


 「異性愛」や「同性愛」という思想や感情に基づいて個々人を「異性愛者」と「同性愛者」に二分して議論を進めようとする主張がある。

 しかし、「異性愛」や「同性愛」は「内心の自由」の問題であり、法律論上はそれらに基づいて個々人が分類されているという事実はない。

 




 そのため、「異性愛」と「同性愛」という思想や感情に基づいて「異性愛者」と「同性愛者」に二分し、その分類に従って「異性愛者」と「同性愛者」の間の不平等を論じようとしても、そもそも法律は自然人が「異性愛」であるか「同性愛」であるかを審査しておらず、それらの思想や感情を抱く者に対して異なる取扱いをしているという事実はない。


 下記も法律論上は
すべて「内心の自由」として扱われるものである。


【参考】「性別がグラデーションのようにあるというのは生物学的なものに加え、精神的なものも含めたものですが、生物学的には雄と雌なのです。」 Twitter

【参考】「ポリアモリーの容認も願うばかり」 Twitter

【参考】知っていますか? 「ポリアモリー」(複数恋愛)という生き方 2019.04.01

【参考】複数愛という生き方(わたし、恋人が2人います。/きのコ) 2021/04/09

【参考】ポリアモリーを知らない人は多いけど、ポリアモリーに関係がない人はいないと思う。 2021/02/20


 下記の記事も、「内心の自由」として扱われる問題である。

 「一連の裁判では初めて、生まれた時の性とは違う性で生きる『トランスジェンダー』の人や、好きになる相手の性の在り方を問わない『パンセクシュアル』の人が含まれている」

同性婚認めずは違法、8人が追加提訴 東京地裁 2021年3月26日

(【動画】第二次訴訟提訴報告会(「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟) 2021/3/27) 


 「I ♡ Tokyo」や「I ♡ Osaka」なども、個々人の内心の問題である。


【動画】【純愛】フィクトセクシュアルとは?初音ミクと結婚の当事者男性 2022/09/23

【動画】初音ミクと“結婚”した男性「母と妹に理解してもらえなかった」なぜ結婚したのか?結婚生活は? 2023/05/13



 「性自認」についても個々人の内心の問題である。


【参考】「身体的性と心の性分けて書く必要があるかな?って議論が必要」 Twitter

【参考】「なんで性別だけ生物学的なものではなく、自認を公的に認めないといけないんだろうか」 Twitter

【参考】「『性自認』に対して年齢自認とか」 Twitter

【参考】「心に性別があるなら人種もあるのかな?」 Twitter

【参考】「男女や性別の話が出たら今話している性別概念がsexなのかgenderなのかを先ず把握すべき」 Twitter



 法制度は個々人の内心を審査してこれらに当てはまる者に対して異なった取扱いをしている事実はない。

 「性愛」などの特定の思想、信条、信仰、感情を制度によって保護することは、20条1項後段・3項、89条の「政教分離原則」に抵触して違憲となる。

 また、「一人に対する性愛」のみを保護することは、「複数人に対する性愛」や「友情・友愛」を持つ者との間で説明がつかない。

 法制度は内心に対して中立的でなければならない。

 (『性愛』という思想、信条、感情そのものは19条、20条1項等の『内心の自由』で保障されている。)

 





注意 「同性婚」は法律用語ではない

 

 「同性婚」という言葉が使われることがある。

 しかし、これは法律用語ではないし、法律論としてこの言葉を使うことには問題がある。


 もし「~~婚」と名付けるだけで、それを「婚姻」とすることができるのであれば、「親子婚」「兄弟婚」「姉妹婚」「親戚婚」「師弟婚」「集団婚」「家族婚」「子供婚」「クラス婚」「サークル婚」「宗教団体婚」「組合婚」「会社婚」「政党婚」「不動産婚」「独り者婚」などと、どのような形でも「婚姻」とすることができることになってしまう。

 このような考えは妥当でないため、「婚」を付けるだけで何でも「婚姻」とすることができることにはならない。

 

 仮に「~~婚」という言葉を用いたとしても、その「~~婚」という言葉は、「~~」の部分を法的な意味における「婚姻」として扱うことができるとする理由を示すものではない。

 そのため、そもそも「~~」の部分について、法的な意味における「婚姻」とすることができるか否かという論点を回避することはできない。
 よって、「~~婚」という表現を用いたとしても、常にその「婚」の意味である「婚姻」とは何か、「婚姻」のそのものがどのような枠組みであるかという部分が問われることになる。


 そのため、法律論として論じる際には、この点を考えないままに「~~婚」のように、あたかも「~~」の部分を「婚姻」とすることができるかのような前提を含む形で論じることは適切ではない。
 「~~婚」という言葉は法律用語として通用するものではないことを押さえ、このような言葉のトリックに惑わされることがないように注意する必要がある。


 「同性婚」という言葉が使われることがあるが、「同性婚」という概念が法律用語として存在するかのように主張し、「婚姻」として扱うことができることを前提とする議論は混乱を招く原因となりやすいため注意が必要である。


 この点を押さえると、「同性婚」と表現される場合があるとしても、それ以前に「同性間の人的結合関係」を「婚姻」とすることができるかの論点を検討することが必要である。

 また、「複婚」と表現される場合があるとしても、それ以前に「三人以上の人的結合関係」を「婚姻」とすることができるかの論点を検討することが必要である。 





注意③ 「同性婚」の多義性


 「同性婚」という文言は、論者によって異なる意味で用いられているため、混乱するものとなっている。

 ここでいくつかの意味の可能性を挙げることにする。


〇 「同性婚」の意味が「同性間の共同生活関係」を指す場合

 宇都宮地裁真岡支部判決のいう「同性婚」の意味は、「同性間の共同生活関係」のことを指しているように思われる。


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かかる社会情勢を踏まえると,同性のカップルであっても,その実態に応じて,一定の法的保護を与える必要性は高いということができる(婚姻届を提出することができるのに自らの意思により提出していない事実婚の場合と比べて,法律上婚姻届を提出したくても法律上それができない同性婚の場合に,およそ一切の法的保護を否定することについて合理的な理由は見いだし難い。)。

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 そうすると,法律上同性婚を認めるか否かは別論,同性のカップルであっても,その実態を見て内縁関係と同視できる生活関係にあると認められるものについては,それぞれに内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められ,不法行為法上の保5 護を受け得ると解するのが相当である(なお,現行法上,婚姻が男女間に限られていることからすると,婚姻関係に準じる内縁関係(事実婚)自体は,少なくとも現時点においては,飽くまで男女間の関係に限られると解するのが相当であり,同性婚を内縁関係(事実婚)そのものと見ることはできないというべきである。)。

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宇都宮地裁真岡支部判決(令和元年9月18日)PDF


 ただ、「同性間の共同生活関係」であれば、
「同性間の人的結合関係」と呼べばよいのであり、わざわざ「婚」の文字を付けて論じることは混乱するため、法律論として妥当な表現であるとはいえない。



〇 「同性婚」の意味が「法的保護」を指す場合

 不法行為上で法律上保護される利益に該当する場合のことを「同性婚」と表現している場合。


〇 「同性婚」の意味が「婚姻類似の制度」を指す場合

 大阪地裁判決のいう「同性婚」の意味は、「婚姻類似の制度」のことを指していると思われる。

 

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 しかしながら、同性カップルについて公認に係る利益を実現する方法は、現行の婚姻制度の対象に同性カップルを含める方法(前記(2)ア(ウ)のとおり憲法24条1項も同性間の婚姻を禁止までするものではない。)に限るものではなく、これとは別の新たな婚姻類似の法的承認の制度(これは、「登録パートナーシップ制度」と名付けることもできれば、同性婚」と名付けることもできるものである。)を創設するなどの方法によっても可能である。

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現在、「同性同士の結婚」ないし「同性婚」に賛成であるとの国民の意見が比較的多数となっている旨の調査結果が様々な統計から出されているが(認定事実(6))、これらの調査において、必ずしも「同性同士の結婚」や「同性婚」の意味内容が一義的に定義されていたとはいえない以上、賛成意見の中には、現行法上の「婚姻」制度と、婚姻類似の新たな制度とが厳密に区別されずに回答されたものが含まれている可能性も否定できない。

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さらに、「同性婚」や「同性同士の結婚」に賛成とする意見が多い旨のアンケートの結果も存在するものの(認定事実(6))、既に述べたように、これらの調査において同性婚」等の意味が各回答者において統一的に捉えられていたとは必ずしもいい難い。)。

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損害賠償請求事件 大阪地方裁判所  令和4年6月20日 (PDF



〇 「同性婚」の意味が「婚姻制度の法的効果を同性間の人的結合関係に及ぼす法制度」を指す場合

 国(行政府)は訴訟の中で「同性婚」の文言の意味を「同性間の人的結合関係に本件規定を適用することにより,本件規定が定める権利義務等の法的効果を同性間の人的結合関係に及ぼす法制度」を指すものとして使っている。

 

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 なお,「同性婚」という用語は,多義的な概念であるところ,被告は,従前,「同性婚」を「当事者双方の性別が同一である婚姻」と定義していたが(被告第1準備書面第2・11ページ),原告らの主張の趣旨に鑑み,以下においては,同性間の人的結合関係に本件規定を適用することにより,本件規定が定める権利義務等の法的効果を同性間の人的結合関係に及ぼす法制度という意味で使用する。また,これに対する形で,「異性婚」という用語を,異性間の人的結合関係に本件規定を適用することにより本件規定が定める権利義務等の法的効果を異性間の人的結合関係に及ぼす法制度という意味で使用する。 

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【九州・第6回】被告第4準備書面 PDF

 



〇 「同性婚」の意味が「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを指す場合

 

 「『同性間の共同生活関係』と犯罪被害者給付金の訴訟」の控訴審の判決で使われている「同性婚」の意味は、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを指しているように思われる。

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(ウ) もっとも、憲法24条は、憲法制定当時に同性婚が想定されていなかったため、このような定めとなっており、同性婚を禁止した趣旨とは解されない。……(略)……

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犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求控訴事件 名古屋高等裁判所  令和4年8月26日 (PDF

控訴審判決 令和4年(P26) (「同性パートナーにも犯罪被害の遺族給付金を」訴訟


 ここで「同性婚を禁止した趣旨とは解されない。」と述べているものの、別の個所で下記のようにも述べている点には注意が必要である。

 

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 ところで、重婚や近親婚は、これを認める弊害を考慮して、政策的に禁止されているが、このような内縁関係について、個別具体的な事情の下で、禁止する理由となっている弊害が顕在化することがないという特段の事情が認められる場合には、法律婚に準ずるものとして保護される余地があるといえる。これに対し、同性間の共同生活関係は、政策的に婚姻が禁止されているのではなく、婚姻制度の対象外になっているから、局面を異にしている。…(略)……

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PDF) (P14)

控訴審判決 令和4年 (P15)



 しかし、「同性婚」は法律用語ではないため、混乱を招かないためにも、いずれの意味でもこの文言を用いるべきではないと考える。





注意④ 「重婚」と「複婚」


 「重婚」と「複婚」を使い分ける必要があるかもしれない。使い分ける方法として考えられるのは、「重婚」は「単婚」を重ねて行うこと、「複婚」はもともと複数名の形で「婚姻」すること、である。

 







注意⑤ 婚姻に関する用語の整理

 

 婚姻に関して用いられる用語を整理する。

 




 まず、法律論として「婚姻」を論じる際には、宗教上の婚姻、特定の地域のみで通用していた婚姻などとは区別され、国家の法制度としての「婚姻」を指すものである。


宗教上の婚姻、特定の地域のみで通用していた婚姻  ←→  国家の法制度としての「婚姻」



 次に、「婚姻」という言葉は、「結婚」とは区別される。「結婚」は、「婚姻」を結ぶ時点を指す言葉であり、「離婚」と対比して用いられるものである。そのため、法的に考えると、「婚姻」=「結婚」というわけではない。


結婚 ←→ 離婚


結婚 → (婚姻中の期間) → 離婚



 三つ目に、法的な議論の中において、憲法上の条文に記されている「婚姻」と、法律上の条文に記されている「婚姻」のどちらを指しているかを明確にするために、これらを区別して論じられることがある。ただ、いずれにせよ、これらは国家の法制度としての「婚姻」であり、憲法24条に定められている「婚姻」の要請に従って法律上の「婚姻」の制度が定められているという意味では、これらは同一の制度である。そのため、憲法上の「婚姻」と法律上の「婚姻」とが異なる制度として分離しているかのように理解することは誤りである。


憲法上の「婚姻」

      ↓ (要請)

法律上の「婚姻」



 四つ目に、「法律婚」という言葉が、「事実婚」と対比する形で用いられていることがある。この「事実婚」とは、法的な議論においては通常「内縁」と表現されるものである。「事実婚」という言葉は法律用語ではなく、一般人が婚姻制度を利用している関係になぞらえる形で、それ「法律婚」と対比する形で用いているだけである。ただ、法的に考えるとその者たちは婚姻制度を利用しておらず「婚姻」しているわけではないのであるから、「~~婚」という「婚姻」を指す言葉を用いて表現することは適切であるとはいえない。そのため、法的な議論の中で「事実婚」という言葉を用いることはできない。また、「事実婚」に対比させて「法律婚」という言葉が使われることもあるが、もともと「事実婚」が法的な議論の中で使うことのできる言葉ではないため、それと対比する形で「法律婚」という言葉を使うことも相応しいとはいえない。


婚姻制度を利用している関係 (法律婚) ←→ (事実婚) 内縁


 もう一つ、ここでいう「法律婚」という言葉は、「事実婚」と対比する形で、国家の法制度としての「婚姻」を指しているだけであるから、この意味の中には、法律上で具体化されている婚姻制度だけでなく、その大本となる憲法24条に記されている法制度としての「婚姻」の意味も含まれている。そのため、これはより厳密にいえば「法律婚」よりも「法制度婚」と呼ぶ方が適切といえるものである。よって、この「法律婚」という言葉を、憲法上の条文に記された「婚姻」と、法律上の条文に記された「婚姻」との間でどちらを指しているかを区別して論じようとする文脈において用いることはできない。分かりやすくいえば、「法律婚」と「事実婚」とを対比することはあっても、「法律婚」に対して「憲法婚」というものが別に存在するというわけではないということである。これは、憲法上に記された「婚姻」と、法律上で具体化されている「婚姻」は、日本法の下では同一の「婚姻」であり、同じものだからである。この点に注意が必要である。



 五つ目に、日本法の「婚姻」と、外国語を翻訳する者が「婚姻」という言葉を充てて説明している外国の法制度は区別される。日本法にいう「婚姻」は、あくまで日本国の法制度として独自の意味を形成している概念である。そのため、外国の法制度について外国語を翻訳する者が何らかの類似性を見て日本語で「婚姻」という言葉をあてはめて説明している場合があるとしても、それはその外国の社会事情の中で生じている課題を解消するために設けられている別個の制度であり、日本法の「婚姻」とは異なるものである。よって、日本法における「婚姻」の概念が、その外国の法制度の内容によって何らかの影響を受けるということはない。

 

日本法の「婚姻」  ←→  翻訳者が「婚姻」という言葉を充てて説明している外国の法制度





注意⑥ 「国の立法目的」と「個々人の利用目的」の違い

 婚姻制度の趣旨・目的(意義)を考える上で注意するべきなのは、「国の立法目的」と「個々人の利用目的」の違いを区別することである。これを区別できていないと、議論が混乱する。



◇ 国の立法目的


 国が婚姻制度を構築することで達成しようとした趣旨・目的(意義)のこと

 

・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

・母体を保護すること

などが考えられる。



◇ 個々人の利用目的


 個々人が婚姻制度を利用することによって達成しようとする個々人の目的のこと

 (個々人が婚姻制度を利用する際の個々人の目的のこと)

 

・恋愛感情や性愛を満たす

・子供をつくる

・家を継ぐ

・経済的な負担軽減

・扶養関係の構築

・玉の輿

などが考えらる。

【参考】「家を継ぐとか、子供を作るとか、目的が違うものが多い」 Twitter

【参考】「そういう人も利用できるようにしているということ」 Twitter

【参考】「結婚したいと思うのはどんな事からだろう?」 Twitter

【参考】「政略結婚の目的は家同士の結びつきのほかに跡継ぎをもうけること」 Twitter

【参考】「恋愛結婚じゃなくても良いもんな」 Twitter

 




 「婚姻の趣旨・目的」などと表現される場合、この「国の立法目的」と「個々人の利用目的的」が混同され、議論がかみ合わなくなったり、話し手と受け手の理解に齟齬が生まれることがあるため注意する必要がある。


 「婚姻は必ずしも子供を産むためのものじゃない」という意見があるとしても、それは「個々人の利用目的」に過ぎないのであり、「国の立法目的」とは異なることを押さえる必要がある。



◇ 「国の立法目的」と「個々人の利用目的」を区別できていない事例

 

「子どもを産み育てることが婚姻制度の目的ならば、」 Twitter

【動画】結婚の自由を求めて同性婚訴訟名古屋と全国の奮闘 2021/03/25

 


 当サイトでは、「国の立法目的」について論じているわけであり、「個々人の利用目的」を論じているわけではない。

 

【参考】婚姻制度を国が設けた目的についての私論 2021/03/21

【参考】「制度は目的が先にあって存在しており、その対象となる者に与えられているだけだ」 Twitter

【参考】「その制度が想定しないケースでも法文上の基準や要件に該当すると、その対象とせざるをえない」 Twitter







法制度の整合的な理解

 憲法や法律などの法規は、条文という形で制度の枠組みを定めている。

 ただ、それらの条文の中では、その制度の枠組みが意図している趣旨や目的については明確に記載されていないことも多い。


 そのため、条文の意味を解釈したり、その制度を変更することが可能か否かを考える際には、その制度の枠組みの全体を整合的に読み解くことのできる趣旨・目的を特定することが求められる。

 これは、制度全体をその趣旨・目的に照らし合わせて整合的な形で統一的に理解することによって、一つ一つの条文の意味を正確に読み解くことが可能となり、制度を変更することの可否やその限界を見出すことが可能となるからである。


 この過程を省略してむやみに制度の枠組みを変更すると、制度の趣旨・目的そのものが意図せずに変更されたことになって、その制度が本来予定していたものからかけ離れたものに変わってしまったり、その制度の全体を整合的に理解することが不可能となって制度が成り立たなくなるなど、制度そのものが破壊されてしまうことが起こり得る。

 このような事態に陥ることがないように注意する必要がある。


 このことから、「婚姻」についても、法が「婚姻」という制度を設けることによって、何を実現しようとしているのかを考え、その趣旨を特定することが必要となる。

 これによって、「婚姻」という制度における一つ一つの条文の意味を正確に読み解くことが可能となり、制度を変更することの可否やその限界を見出すことができるようになるからである。


 もしそれが明らかでないのであれば、特定の者のみを優遇する制度を維持することは不合理であるから、婚姻制度そのものを廃止することを視野に入れる必要がある。 


【参考】
「何故今の法制度は一夫一妻に特権的な地位を与えて」 Twitter







婚姻の概要


 「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として設けられた枠組みである。

 これは、下記のような経緯によるものである。


 その社会の中で何らの制度も設けられていない場合には、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合が発生する。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。

 これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること


 そして、これらの目的を達成するためには、下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


 ・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

 ・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

 ・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

 ・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。

 そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることで、婚姻制度を利用する者を増やし、これらの目的を達成することを目指すものとなっている。


 このように、「婚姻」は国民が「生殖」によって子供を産むことに関係して起き得る問題を抑制することを目的として、「生殖と子の養育」の観点に着目して他の様々な人的結合関係とは区別する意味で設けられた枠組みである。

 

 





 

 このような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解決しようとする目的を離れて「婚姻」を観念することはできない。

 よって、「婚姻」の文言には、これらの目的を達成することを阻害する組み合わせを「婚姻」の中に含めることはできないという内在的な限界が含まれており、その限界を超えるものについては「婚姻」とすることはできない。


 また、憲法24条は「婚姻」を規定しており、「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。

 これについても、上記の要素を満たす枠組みとして定められているものである。

 

 この24条の定める形が「婚姻」であり、これらの要素を満たさないものについては「婚姻」とすることはできない。 

 






立法目的とそれを達成するための手段


子の福祉

〇 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

◇ 子供の存在

 国家として、法律上の婚姻制度を設けない方法もある。その場合、下記のような選択肢が考えられる。


・ 国家は婚姻に関わることはせず、慣習や宗教行事などに任せる。

・ 私人と私人の間で締結する民法上の債権契約に任せ、国が法的効果や優遇措置を設けたりはしない。

・ 子供が生まれても、法制度によって特別に保護を与えることはせず、放置する。

・ 子供が生まれた場合、母親のみに親権を与える制度をつくる。

・ 子供が生まれた場合、すべて国の保育施設で育てる。


 このような選択肢がある中で、なぜ婚姻制度を設けているのかを考えると、婚姻制度を構築する趣旨・目的を特定することができる。

 




 憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される。」と記載され、憲法24条2項でも「個人の尊厳」が記載されている。

 そのため、憲法の下では、自然人はすべて個人として扱われることとなっいる。

 これは、自然人は「個人主義」の下で各々「自律的な個人」として生存していくことを予定しているものである。


 しかし、「子供」については、未だ十分な判断能力を有しておらず、自律的に生存していくことが困難であることから、特別に保護を与えることが必要となる。(憲法との関係では、主権者としての能力も不十分である。)


 この観点から、子供が産まれる原因となる「生殖」の関係に着目し、子供を持つ可能性が推定される「男女」という組み合わせに対して特別に法的効果や一定の優遇措置を講ずることにより、その制度の下で父親を特定することができる状態で子を産み(嫡出子)、その父親にも責任を担わせる形で子供を育てることを推奨することが必要となる。

 これにより、間接的に「子の福祉」を実現し、子供が十分な判断能力を形成し、自律的に生きていくことができる力を得るに至ること(憲法との関係では、主権者としての能力を養うこと)を支援することが可能となるからである。

 ここでいう「子の福祉」という目的の中には、子供が産まれた場合に、何らの制度も設けずに放置するような社会よりも、子供が産まれた場合にその原因となった者にその子供の養育について責任を担わせる社会を選択するという意味や、子の遺伝上の父親を特定することができる関係とすること、遺伝上の父親を特定できることによって近親者を把握して「近親交配」に至ることを防ぐ仕組みを持つ制度であること、生活する上で次世代の者が子を持ちたいとの望んだ場合に「子を持つ機会」を公平に得られる社会となっていること、低年齢での妊娠・出産のリスクを減らせる社会となっていることなども含まれている。

 これは、単に子の養育者を増やせばよいという意味ではなく、社会的な制度が「生殖」という人間の世代を渡る生命活動の連鎖を適切にサポートし、安定的で持続可能な形にとどまるような仕組みとなっていることを求める意味も含まれている。



〇 「『子の福祉』が実現される社会基盤を構築すること」という目的を達成するための手段

 この目的を達成するためには、「生殖」によって子供が生まれた場合に、その子供の母親が一人で育てなければならないことの負担を軽減するため、遺伝上の父親を極力特定し、その者にも子供に対する責任を負わせることが必要となる。

 そのため、一般的・抽象的にその間で自然生殖を想定することができる「男性」と「女性」の組み合わせに対して「貞操義務」を設けることが必要となる。


 他にも、子供が父親を特定することができる嫡出子として生まれることを重視し、非嫡出子として生まれることを抑制することが必要となる。

 そのため、婚姻関係にある者(や嫡出子)に対する優遇措置を設けることが必要となる。

 

【参考】「そもそも結婚は、その女の腹から生まれてくる子供の父親を決定し、その子の養育に責任を負わせる制度。」 Twitter

【参考】「問題はね。結婚してない男女から生まれた子供の父をどうやって決定すべきかということなんですよ。」 Twitter

【参考】父親はどこにいるんだ問題を解決する長年のソリューションが婚姻制度」 Twitter

【参考】「子供が生まれたときに法的に父親を確定するため。」 Twitter

【参考】「父親は誰か」を規定するためには、子供が産まれる「前」に身分が確定されてなければならない」 Twitter 

【参考】同居義務と貞操義務によって嫡出推定が成り立つ」 Twitter 

【参考】「嫡出推定のための運用でしょ貞操義務は。」 Twitter

 

【参考】「貞操義務と嫡出推定の意義の説明」 Twitter





近親交配の回避

〇 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

◇ 近親交配の論点

 生物学的に、近親交配にはリスクがある。

近交弱勢 Wikipedia

高校生 5分でわかる!近交弱勢

 

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 遺伝子の多様性は、個体群が極めて小さくなり、近親交配が生じるようになると減少する近親交配が動植物の繁殖能力や成長に悪い影響を与えることは古くから知られている。1949年頃、カナダのスペリオル湖のある島にひとつがいのオオカミが住み着き、その個体数は1980年頃には50頭に増加したものの、1990年にはわずか14頭に減少し、また、多くの雌が子を生まなくなってしまったが、このオオカミは、たび重なる近親交配によって本土の個体群に比べて50%の遺伝子の多様性しか持っていなかったという事例がある。

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環境白書 (1) 遺伝子の多様性 (【平成8年版環境白書】 目次) 環境省


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2) 近交弱勢の発生リスク

近交弱勢とは、遺伝的に近い個体の交配(近親交配)が繰り返されたことによって子孫の生存能力や繁殖能力が低下する現象である。継代を繰り返した隔離集団に多く観察され、最初の世代の遺伝的多様性が低いほど発生しやすい。1)水産生物においても、ニジマス 14)、クルマエビ 15)及びカキ 16) 等で近交弱勢による成熟及び成長の鈍化や生残率の低下が報告されている。これらのことから、栽培漁業においても継代飼育によって人工種苗に近交弱勢が発生するリスクが懸念されており 12)、対策が求められている。

また、野生生物においても、個体数が著しく減少した集団では近交弱勢が観察されることがあり、生存能力の低下が個体数の減少を加速し、更なる遺伝的多様性の低下と近交弱勢の発生を促す“絶滅の渦”に陥るリスクが指摘されている。17) このことは、栽培漁業においても、野生個体を含めた対象種の資源全体の遺伝的多様性に留意する必要があることを示しており、中長期的な視点に立った遺伝的リスクの回避に向けた取り組みが必要であることを示している。特に、それらの再生産によって資源造成を行おうとする場合は、再生産個体の近親交配が進まないように配慮しなければならない。

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人工種苗放流に係る遺伝的多様性への影響リスクを低減するための技術的な指針 水産庁 平成27年3月 PDF

 

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伊谷さんは調査を通じて新しい学説をどんどん出しており、1984年には「人類学のノーベル賞」と呼ばれるハックスリー賞を受賞します。それは霊長類が近親交配を回避する方法に着目した、社会構造の進化に関する学説でした。集団生活をするほとんどの霊長類は、メスが群れから出ていく父系社会か、オスが群れから出ていく母系社会を作ります。伊谷さんは近親交配の回避という力が、オスやメスが出て行く社会を進化させる鍵になったと指摘しました。それまで環境や食物に応じて単純に動くと考えられていたサルたちが、集団を維持するための巧妙な仕組みを持っていることを指摘したのです。

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「人間とは何か」を密林にたずねる 京都大学総長 山極寿一

 

近親交配(人間の近親交配) Wikipedia 

ホミニゼーション研究会「近親交配再考:人類学から自然保護まで」 2011年3月4日

ホミニゼーション研究会「近親交配再考:人類学から自然保護まで」

豪で「近親相姦農場」見つかる、先天異常の子ら12人保護 2013年12月13日

【衝撃】近親相姦タブーがホモサピエンスを救っていたことが判明! 近親相姦にまつわる3万4000年の歴史が深すぎる!(最新研究) 2017年10月16日

人類が火星に移住するには何人必要か? 「創始者効果」について解説 2017-12-24

【動画】【ゆっくり解説】なぜ近親相姦はダメなのか?恐ろしい理由とは… 2021/08/08

【動画】【ゆっくり解説】「近親相姦」はなぜいけないのか?不思議な遺伝子を解説 2021/11/27

【動画】カルロス2世 病の全貌 スペイン・ハプスブルク家の呪われた王【ゆっくり解説】 2022/01/17

ハプスブルク家 カルロス2世の解剖所見が物語る近親婚の因果 2022-03-28

【動画】【禁忌】近親相姦という聖域に踏み入った者たちの末路… 2022/03/11


 近親交配に関しては、「環境省」や「農林水産省」が詳しいと思われる。動物の生態系や、動植物の健康状態を維持する方法について詳しいと思われる。人間(ヒト科)についても、恐らくその研究をしている人がいるはずである。



〇 「潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること」という目的を達成するための手段


 この目的を達成するためには、遺伝上の父親を極力特定し、それを中心として近親者の範囲を把握し、「近親交配」に至ることを防ぐことのできる仕組みを導入することが必要となる。

 そのため、遺伝上の父親を特定できる関係に限定し、その間に「貞操義務」を設けることが必要となる。


 また、女性の再婚禁止期間を定め、遺伝上の父親を特定できるように配慮することが必要となる。

 他にも、子供が父親を特定することができる嫡出子として生まれることを重視し、非嫡出子として生まれることを抑制することが必要となる。

 そのため、婚姻関係にある者(や嫡出子)に対する優遇措置を設けることが必要となる。


 さらに、近親者との間で「生殖」を行うことを政策として推進しない制度とするため、「近親婚」を認めないものとすることが必要となる。





生殖機会の公平

〇 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと  (子を持つ機会の確保)

◇ 親子関係と婚姻の形

 必ずしも婚姻によってのみ子供ができるわけではない。また、婚姻したからといって子供ができるわけでもない。

 しかし、婚姻という形を制度として設けている立法上の意図を探るために、親と子供の関係を考えておく。

 

 



 

一夫一婦制 Wikipedia

複婚 Wikipedia
重婚 Wikipedia

同性結婚 Wikipedia

日本における同性結婚 Wikipedia



◇ 複婚の可能性


 その国家の中で男女が同数生まれている場合、下記のような論点がある。

 




【動画】「1人以外を愛するってタブーなの?」 facebook

   (「1人以外を愛するってタブーなの?」 Twitter)

【動画】イスラム圏の「一夫多妻」について解説! 2020/01/04

米の都市、ポリアモリー(複数恋愛)を公的に認める
リアル「ハレ婚。」? 日本で「一夫多妻」状態で暮らす人たちの法的問題 2018年11月22日
【弁護士に聞いた!】日本で一夫多妻制が禁止されている理由 2019年6月12日

未婚男性の「男余り430万人」の実態~もはや若者ではなくおじさん余りへ 2022/9/14

 【動画】【報ステ解説】「政権維持も難しくなる」中国総人口61年ぶり減少“経済大国”の行方は 2023年1月17日


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人間社会の先進国が採用している「一夫一婦制」は,富や力で女性に勝る男性が「養育」という大変な仕事を女性だけに押しつけることの不合理さと,安全に子孫を残していくという課題を考慮して,理性的に社会制度として発展させたものではないかと思われます。
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男はヌードに,女は赤ちゃんに目がいくのはなぜ? 日本心理学会 



〇 「『子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者』を減らすこと」という目的を達成するための手段

 

 この目的達成するためには、社会の中で「子を持つことを希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じないような仕組みとすることが必要となる。

 子を持つためには必ずしも婚姻しなければならないわけではない。しかし、国家が政策の手段として法律上の婚姻制度を設けている以上は、婚姻制度を利用することによって「子の福祉」の実現される社会基盤を構築することが予定されている。

 そのことから、未婚の男女という観点から数の均衡をカウントし、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすことができるような仕組みとする必要がある。


 この目的を達成するためには、下記の方法が考えられる。


 ・ 婚姻を一夫一婦型とすること

 ・ 重婚や重婚状態を防ぐこと

 ・ 複婚や複婚状態を防ぐこと

 ・ 非嫡出子として生まれることを抑制すること(婚姻関係にある者〔や嫡出子〕に対する優遇措置)





母体の保護

〇 母体を保護すること

◇ 低年齢での妊娠・出産のリスク

 低年齢での妊娠・出産には、一定のリスクがある。


インドネシア、なくならない「児童婚」の実態 2020/10/26

「10歳で結婚」幼すぎる花嫁を減らしたい。“寄付は偽善”と言われても、私が支援する理由 2021年06月02日

 

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 このように,日本国憲法の制定に伴い,明治民法は,昭和22年に全面改正され,現行民法が制定されたが,そこでも婚姻の当事者が男女であることが前提とされているのであり,このことは,現行民法750条以下において「夫婦」という用語が用いられていることにも表れている。昭和22年の改正後に著されたコンメンタールにおいても,婚姻の要件として,「當事者である男女が,結婚してもさしつかえない最低限度の年齢(結婚年齢)に達していること(後略)」と記載されている(我妻榮=立石芳枝「法律學体系コンメンタール篇 親族法・相績法」46ページ・乙第3号証)など,婚姻が男女間のものであることを前提とした記載がある。

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【東京二次・第3回】被告第2準備書面 令和3年11月30日 PDF (P10)

 

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 また、婚姻は、社会の基礎的単位である家族を新たに形成する行為であるから、ある程度の成熟に達していない者には認めるべきでなく、それゆえ、法律は、婚姻に必要な成熟に達していないおそれのある若年者の婚姻を一律に禁止している。しかし、男女の間には、肉体的・精神的側面において、婚姻に必要な成熟に達する年齢に差異がある。婚姻適齢に男女の差異を設けることは、このような男女の肉体的・精神的側面の差異に対応したものであって、合理性がある。

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市民的及び政治的権利に関する委員会からの質問事項に対する日本政府回答(仮訳)(第5回政府報告審査) (P5)



〇 「母体を保護すること」という目的を達成するための手段


 この目的を達成するためには、低年齢での妊娠・出産を抑制することが必要となる。

 

 そこで、「婚姻適齢」を設けることが必要となる。







憲法24条

 憲法24条は「婚姻」を定めており、上記の立法目的や「生殖と子の養育」の趣旨を引き継いでいる。
 下記で憲法24条の条文を確認する。

憲法
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第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権相続住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
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 英訳も見ておく。

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第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
Article 24. Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
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日本国憲法 The Constitution of Japan


 ただ、法的効力を有するのは日本語の法令であり、翻訳された英文を根拠に意味を確定することはできないことを押さえる必要がある。

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     ご利用上の注意
・翻訳について
この「日本法令外国語訳データベースシステム」に掲載している法令翻訳は、正文ではなく、最終改正版でない法令も含まれています。法的効力を有するのは日本語の法令自体であり、翻訳はあくまでその理解を助けるための参考資料です。
このページの利用に伴って発生した問題について、一切の責任を負いかねますので、法律上の問題に関しては、官報に掲載された日本語の法令を参照してください。
・「暫定版」について
法令名に「(暫定版)」と表示されている翻訳は、ネイティブや法令翻訳専門家によるチェック及び修正前の翻訳であり、今後、修正される場合があります。
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日本法令外国語訳データベースシステム 法務省 (下線・色は筆者)

 

 

【参考】【東京二次・第7回】被告第5準備書面 令和5年1月26日 PDF

【参考】日本国憲法第24条 Wikipedia


 上記のように、「婚姻」は憲法上の規定として定められている事柄である。

 そのため、法制度としての「婚姻」を廃止することを選択する場合には、憲法改正が必要となる。





「婚姻」の法的効果の論点

 「婚姻」がどのような法的効果を有する概念なのかを検討する。


◇ 憲法規定とは別に自然法として「婚姻」という仕組みが存在し、それを憲法24条が補強しようとしているのか。

◇ 憲法24条の定めている「両性の合意のみ」や「夫婦」を満たすものが「婚姻」なのか。


◇ 「婚姻」は「憲法上で保障される自由・権利」なのか。

◇ 「婚姻」は「憲法上の制度的保障(制度保障)」なのか。

◇ 「婚姻」は民法上の規定が存在しなくとも、自然法を基に法的効果を導き出すことができるのか。

◇ 「婚姻」は民法上の規定によって具体化されることによって初めて法的効果が生まれるのか。


◇ 「婚姻」は、当事者間が形成する債権関係としての「契約自由の原則」を修正する強行規定として位置付けられた制度なのか。

◇ 「婚姻」は、債権関係とは別の法的地位を与える制度なのか。

 

【参考】「結婚は身分か?契約か?という議論がある」 Twitter

【参考】「結婚という制度によって、結婚の権利を作り出しているよね つまり制度がなければ権利もない」 Twitter

【参考】「家族制度は法により創設されるもので、法に先行する自由などない」 Twitter

【参考】「実際には性別や互いの年齢によって、"その相手と"結婚できるかどうかに差があるため、やはり結婚は権利ではなく制度です」 Twitter

【参考】「持続化給付金や国家試験受験なども、制度ではなく権利だと考えるのですか?」 Twitter

【参考】「同性婚を権利だと主張するのであれば、50歳男性と14歳少女の結婚も権利だとして認めるべきと唱えなければ矛盾」 Twitter

【参考】「結婚の自由の性質論が必要。自由権なのか。婚姻制度という国家制度の創設を待って初めて具体化する権利なので自由権ではないのではないか。」 Twitter

【参考】結婚制度は自動車免許と同じ 権利ではなく免許 2021/03/31

【参考】憲法上の婚姻の自由とは「国家からの自由」でなく「アクセス権」 2023/02/18

 




 自然人が様々な形の人的結合関係を結ぶことは、憲法13条等や民法1条1項の「公共の福祉」、民法90条の「公序良俗」に反しない限りは自由である。(結社の自由 Wikipedia)

 しかし、法律上の「婚姻」を形成したり、法律上の「会社」、「政党」、「学校」、「宗教団体」を設立する際には、法律上の要件を満たすことが求められる。

 




【詳しい】【九州・第6回】被告第4準備書面 令和3年10月29日 PDF (P8~)

【詳しい】【九州・第6回】被告第4準備書面 令和3年10月29日 PDF (P27~)

【詳しい】【札幌・第1回】被控訴人答弁書 令和3年9月30日 PDF (P10~)





24条は制限規範なのか


 24条は、憲法の第三章「国民の権利及び義務」の中に記載されている。

 しかし、24条の内容は必ずしも個々の国民が有する具体的な権利・自由を定めたものとは言えないようにも思われる。

憲法
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第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない
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◇ 「両性の合意のみに基いて成立」する法律でなければならない

◇ 「夫婦が同等の権利を有することを基本」とする法律でなければならない

◇ 「相互の協力により、」  ←  これは国民に対する義務なのだろうか。

◇ 「維持されなければならない。」  ←  この文言が掛かる部分は、「相互の協力により、」の部分だけと考えていいのだろうか。

◇ 「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」


 このように、24条は、個々の国民が有する具体的な権利・自由を示した規定と言うよりも、国(統治権)に対して課した義務としての色彩が強いと考えられる。



 下記の資料でも、24条2項を取り上げ、「憲法の特質」の制限規範として紹介している。


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  第3節 憲法規範の特質


1 授権規範としての憲法
(略)


2 制限規範としての憲法
 憲法には、国家権力の行使を規律し、限界を画するという機能がある。法律や命令などのすべての国家規範は、憲法によって規律され、制限される。例えば、憲法24条2項は、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と規定し、親族、相続に関する法規範の内容を規律し、制限している。この意味で、憲法は制限規範でもある。


3 最高法規としての憲法
(略)
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憲法概説(再訂版) 最高裁判所職員総合研修所監修 平成20年4月 (P3~P4)
憲法概説 (再訂版) (日本語) 単行本 – 2018/11/15 amazon)


 「憲法の特質」について、詳しくは当サイトの「憲法の体系」で解説している。



 この趣旨は、憲法中の下記の規定に類似しているとも捉えることができる。

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第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする


第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する
4 すべて選挙における投票の秘密は、これをしてはならない選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない


第29条 財産権は、これを侵してはならない
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。


第35条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ

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 これらの規定のように、24条は個々の国民が有する具体的な権利・自由を具体的に示したというよりも、「国に対する義務規定」としての側面が強いと考えられる。


 この観点から見ると、憲法24条は国民の有する「具体的な権利」について直接的に定めているものとは異なっている。

 そのため、「婚姻の自由」あるいは「婚姻権」などと表現されることのあるものは、24条を根拠とした「具体的な権利」としての性質を有するものではなく、「24条の要請に従う形で法律により具体化された婚姻制度を利用するか否かに関する自由・権利」を意味していると考えられる。



 この前提から、法律上で「婚姻」という制度を構築する際には、まず、24条で示された「国に対する義務」の内容を満たすことが求められる。

 そして、24条によって限界が画されていないその他の部分については、「公共の福祉」に反しない限りは国会の立法裁量の範囲であり、政策的な問題となる。







憲法24条の分析

「両性の合意のみに基いて成立」


 憲法24条1項の「両性の合意のみに基いて成立」というのは、「婚姻」は民法上の「契約自由の原則」のように、「当事者間の相対立する意思表示の合致」によって成立するものと同様に考えてよいのだろうか。

 もしそうであるならば、「届出」を行わなくても、「両性」が「合意」していれば、「婚姻」は成立していることになるのだろうか。


 それとも、「婚姻」に関する法律は「両性の合意のみに基いて成立」する形式でなければならないことを定めた規定であり、「婚姻」は具体化された婚姻制度を利用する手続きを行うことによって成立すると考えるべきなのだろうか。


 民法上は、下記の通りである。

民法
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(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
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現行の民法(明治29年法律第89号)は、婚姻の形式的要件として、届出を必要としている(法律婚主義)(民法739条)。婚姻が両性の合意のみによって成立するということは、何らかの方式を求めることと必ずしも両立しないわけではない。届け出は合意の公示の意味合いがあり、合意自体を実質的に制約するわけではない。

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衆憲資第94号 「新しい人権等」に関する資料 衆議院憲法審査会事務局 平成29年5月



第1回国会 参議院 司法委員会 第19号 昭和22年8月28日 

 「婚姻は両性の合意のみによつて成立するんだということから行きますと、」のあたりが詳しい。

 

第1回国会 衆議院 司法委員会 第46号 昭和22年10月8日

 

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 他方、同条2項は、婚姻等に関する事項について具体的な制度を構築するに当たっての立法上の要請及び指針を示したものであるが、上記のとおり、婚姻の成立については、同条1項により、両性の合意のみに基づいて成立する旨が明らかにされていることから、婚姻の成立要件等を定める法律は、かかる同条1項の規定に則した内容でなければならない。そのため、婚姻等に関する事項について立法上の要請及び指針を示した同条2項においては、同条1項の内容も踏まえ、配偶者の選択ないし婚姻等に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしたものである(憲法24条2項における配偶者の選択とは婚姻の相手の選択であるから、それについて、法律が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないということは、婚姻が当事者の自由な合意のみによって成立すべきことを意味し、同条1項の規定と同趣旨であると解されている(佐藤功「憲法(上)[新版]」414ページ。乙第33号証))。

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF


【参考】結婚(日本法における結婚) Wikipedia

【参考】小室圭さん「眞子さまとの結婚の意思は変わらない」~「結婚」はどうしたら成立するのか 2020/9/12





「両性の合意のみ」の読み方

 24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、」の文における掛かり方のバリエーションを検討する。


◇ 「両性」の合意のみに基づいて成立  ⇒ 〔強調〕 合意は「男性と女性」に限るよ!

◇ 両性の「合意のみ」に基づいて成立  ⇒ 〔強調〕 親の同意や筆記試験、収入調査などは無いよ!

◇ 「両性の合意」のみに基づいて成立  ⇒ 〔強調〕 「男性と女性による合意」のすべてが必要だよ!

◇ 「両性の合意のみ」に基づいて成立  ⇒ 〔強調〕 これが「婚姻」というものだよ!

 

【参考】「両性=男女、と一般人は考えるだろう。 しかも「のみ」と限定している…」 Twitter

【参考】「『のみ』は親の許可は不要だよという意味」 Twitter

【参考】「婚姻の成立条件には『男女が合意したときのみ』だから」 Twitter

【参考】「婚姻の条件が両性の合意“のみ”という限定している」 Twitter

【参考】「『婚姻の成立条件』が記載されているのでこの条件を満たせないものを民法で認めてしまうのは」 Twitter

【参考】「純粋に『?』ってなる」 Twitter



 「両性の合意のみに基づいて成立」の文は、日本語の「構造的曖昧文」の一種なのか。


【参考】「頭が赤い魚を食べる猫」 Twitter

【参考】4番目と5番目がむずかしい…日本語って奥深いわぁ〜… 2018年8月20日 

【参考】【第77回】「頭が赤い魚を食べた猫」が面白い



 「両性の合意のみに基づいて成立し、」の文を読む際、それぞれの人が、自分の強調したい部分を勝手にピックアップし、その読み方が唯一のものであるかのように言い張ろうとすることがある。

 日本語の「構造的曖昧性」を利用し、文面から現れる解釈のバリエーションを意図的に無視し、あたかも一通りの読み方しか存在しないかのように見せかけることで、聞き手を自らの政治的都合に引き寄せるトリックである。

 少なくとも法学上の議論においては、考えられるあらゆるパターンを解析した上で、妥当な解釈を確定させていく過程を踏むことが求められる。

 もちろん、日本語の文言のみに捉われず、立法趣旨などを勘案して解釈を確定させていく場合もあり得るが、政治的な意図を持って日本語の構造そのものを覆い隠してはいけない。





「両性」とは何か

 24条には「両性」と記載されている。

 この「両性」の意味を明らかにするために、憲法の中で【両】の文字が使われている他の事例を参考にする。


 42条には「両議院」との文言があり、【両】の文字が使われている。

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〔二院制〕
第42条 国会は、衆議院及び参議院両議院でこれを構成する。


〔両議院の組織〕
第43条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

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 ここでは「衆議院及び参議院の両議院」と記載されていることから、この【両】の示す対象が「衆議院」と「参議院」の二つを指すことは明らかである。この事例は、【両】の文字が何を指しているかが憲法の中で具体的に示されているため、意味は特定されている。

 これに対して、24条の「両性」の【両】の文字が意味するところは、憲法中では直接的に記載されているわけではない。

 最も近いものとして、14条と44条に「性別」の文言が存在するぐらいである。

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〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

〔議員及び選挙人の資格〕
第44条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

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 憲法の中では「男」の文字は存在しないが、「女」の文字は26条で「子女」という形で登場する。

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〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕
第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
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 しかし、この「子女」とは「子供」を意味する言葉であり、「女性」を示したものではないと考えられる。


 これにより、「両性」の【両】の意味するところについて、憲法の中では「男性」と「女性」のように直接的な記載があるわけではない。
 こうなると、「両性」という文言だけを取り上げた場合、「酸性」と「アルカリ性」、「偶然性」と「必然性」などを指している可能性も考えられる。


 しかし、24条の「両性」の示している対象としてこれらの分類が当てはまる可能性は、24条の中にある他の文言と合わせて考えると否定されることは明らかである。

 これは、下記を同時に満たすことが必要となるからである。

 

・「合意」する主体となるもの

・「夫婦」を構成するもの

・「権利」を有する主体となるもの

・「協力」する主体となるもの

・「配偶者」の主体となるもの

・「財産権」を有する主体となるもの

・「相続」「居住」「家族」に関わる主体となるもの

・「個人の尊厳」を有する主体となるもの

 

 また、憲法は国民と国家(統治権)の関係を定めた法形式であり、その法形式の中に突然それらの分類を指し示す用語が記載されているとは考えられないからである。

 そのため、生物学的な「性別」の話に戻って考えると、人類(ホモサピエンス)の生殖器官は「男性型」と「女性型」の二つのタイプを想定することになる。

 この二つのタイプを想定するものとして【両】という文字が使われていることを読み取れば、「両性」とは生殖器官を基にした「男性」と「女性」について示すものであると考えられる。

 

【参考】「両性 を辞書で引けば『 雄性と雌性。男性と女性。』」 Twitter

【参考】私たちは「男女以外の第三の性別」を求めていません。(声明文)

【動画】【雑学】もし性別が3つだとどうなる?【ゆっくり解説】 2021/11/25



 日本国憲法の草案段階では、「男女両性」との記載がある。

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第二十三条 家族ハ人類社会ノ基底ニシテ其ノ伝統ハ善カレ悪シカレ国民ニ滲透ス婚姻ハ男女両性法律上及社会上ノ争フ可カラサル平等ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ此等ノ原則ニ反スル諸法律ハ廃止セラレ配偶ノ選択、財産権、相続、住所ノ選定、離婚並ニ婚姻及家族ニ関スル其ノ他ノ事項ヲ個人ノ威厳両性ノ本質ニ立脚スル他ノ法律ヲ以テ之ニ代フヘシ

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3-15 GHQ草案 1946年2月13日 (解説画像

 

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第三十七条 婚姻ハ男女相互ノ合意ニ基キテノミ成立シ、且夫婦ガ同等ノ権利ヲ有スルコトヲ基本トシ相互ノ協力ニ依リ維持セラルベキモノトス。

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3-20 日本国憲法「3月2日案」の起草と提出 (解説画像


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第二十二条 婚姻ハ男女相互ノ合意ニ基キテノミ成立シ、且夫婦ガ同等ノ権利ヲ有スルコトヲ基本トシ相互ノ協力ニ依リ維持セラルベキモノトス。

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3-21 GHQとの交渉と「3月5日案」の作成 (解説画像



【九州・第6回】被告第4準備書面 令和3年10月29日 PDF (P6~)

【東京二次・第3回】被告第2準備書面 令和3年11月30日 PDF (P14~)

【札幌・第1回】被控訴人答弁書 令和3年9月30日 PDF (P8~)


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イ しかしながら、法の解釈に際し、文言の日本語としての意味や文法が重視・尊重されなければならず、文言からかけ離れた解釈が許されないのは当然であるところ、前記2(2) において述べたとおり、「両性」とは、両方の性、男性と女性又は二つの異なった性を意味し、「夫婦」とは、夫と妻又は適法の婚姻をした男女の身分を意味する文言であり、「両性」及び「夫婦」が男性又は女性のいずれかを欠き当事者双方の性別が同一である場合を含む概念であると理解する余地はなく、このような理解は、憲法24条1項の制定過程及び審議状況からも裏付けられている。

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF (P22~23)





「両性」「夫婦」「相互」の意味

 24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言を検討する。

憲法
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第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
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「両性」
・「男女の両方」を意味する説

・「男女の両方」を意味しない説

・「二人一組」を意味する説

・「二人一組」を意味しない説


「夫婦」

・「男女の両方」を意味する説

・「男女の両方」を意味しない説

・「二人一組」を意味する説

・「二人一組」を意味しない説


「相互」
・「二人一組」を意味する説
・「二人一組」を意味しない説

 




 



 

24条の意味の範囲


 24条の意味についてのいくつかの立場を検討し、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることができるかどうかを考える。


「婚姻」の由来説


 この立場は、「婚姻」という枠組みが形成された由来を遡り、「婚姻」という概念そのものが有している「目的」とその目的を達成するための「手段」とを整合的な形で考えるものである。

 条文の文言から意味を解釈する際にも、この「婚姻」という概念が形成された由来に整合的な形で読み解くことになる。

 「婚姻」という枠組みが形成された由来を考えるため、「婚姻」という概念そのものが有している内在的な限界も考慮することになる。


 「同性同士の組み合わせ」は「生殖と子の養育」の趣旨を含まないため「婚姻」とすることはできない。


 この説は、下記のいずれの説とも親和的である。



存在しない説

 この立場は、「婚姻」とは自然生殖可能性のある組み合わせを優遇する制度であることから、それを満たさない形の「婚姻」というものは存在しないと考えるものである。

 (「婚姻」の定義に合わないものは「婚姻」として存在していないと考えるものである。)


 「同性間」についても、その間で自然生殖を想定することができないことから、「婚姻」とは言えず、「同性間」の「婚姻」という概念は存在しないことになる。


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1.禁止とは言っていない→許すとも言ってない→要するに何も言っていない

 

2.認知していない→認知してないものは肯定も否定もできない→なので否定もされてないし肯定もされていない

 

ということであり、憲法では、認知というか関知していないのであり、「同性婚」は視野に入ってないし、問題になっていないのである。

理由は、「同性婚は存在しない」からであり「存在しているものを意図的に除外した」わけではない。

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そもそも「同性婚」などというものは存在しないが? 札幌地裁「同性婚が認められないのは憲法違反」 2021年3月22日

 

 「婚姻」は男女を必要とするため「同性同士の組み合わせ」による「婚姻」というものは存在しない。


【参考】「そもそも婚姻は男女が一緒になることを意味していて、同性が一緒に暮らすことを婚姻とは言わないから。排除も禁止も必要もない。」 Twitter 

【参考】「そもそも同性は婚姻の対象にならない。」 Twitter

【参考】「根本的に『結婚』とは極々稀なケースを除き歴史的に男女で行われるもの」 Twitter

【参考】「結婚は異性同士でするもので差別とは全く関係ない」 Twitter

【参考】「同性婚の概念が無く、従って同性婚を否定するネガティブ規定は、それを明文化する必要が無かった。」 Twitter

【参考】「憲法24条は『婚姻』の本質規定をした条文」……「そもそも許可や禁止をしているのではなく、異性婚する権利を認めたものでもない。そうではなく、「婚姻」とはこういう意味だ、と述べている。」 Twitter


 国(行政府)の主張の中で、この立場に重なる部分は下記がある。

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イ しかしながら、法の解釈に際し、文言の日本語としての意味や文法が重視・尊重されなければならず、文言からかけ離れた解釈が許されないのは当然であるところ、前記2(2) において述べたとおり、「両性」とは、両方の性、男性と女性又は二つの異なった性を意味し、「夫婦」とは、夫と妻又は適法の婚姻をした男女の身分を意味する文言であり、「両性」及び「夫婦」が男性又は女性のいずれかを欠き当事者双方の性別が同一である場合を含む概念であると理解する余地はなく、このような理解は、憲法24条1項の制定過程及び審議状況からも裏付けられている。

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF (P22~23)



成立条件説

 この立場は、24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」の文は「婚姻」の成立条件を示すものと考えるものである。

 そのため、これを満たさないものについては「婚姻」として成立しないことになる。


 これによれば、「両性」の部分が「婚姻」を成立させるために「男性」と「女性」の合意を必要とすると定めていることから、「同性間」で合意しても「婚姻」としては成立しないことになる。

 そのため、「同性同士の組み合わせ」については「婚姻」とすることはできないことになる。

 

 「同性同士の組み合わせ」は「婚姻」の成立条件を満たさないため「婚姻」として成立しない。


【参考】「前提条件無しに『婚姻は』と書かれている以上、『両性の合意』に基づかない婚姻は成立しない」 Twitter

【参考】「婚姻の成立条件は両性の合意【のみ】だということです。」 Twitter

【参考】「婚姻とその成立については至極明確に言及されてる」 Twitter

【参考】「「のみ」で「成立」なので反対解釈すると「両性の合意以外は不成立」になります。」 Twitter

【参考】「24条は婚姻を規定しているんで、規定に沿わなければそもそも婚姻ではない。」 Twitter

【参考】「憲法24条の文言を普通に読めば,同性間で合意してもそれは婚姻ではありません」 Twitter 

【参考】「同性の合意に基づいて成立するのは『婚姻』ではない。」 Twitter

【参考】「【男性禁止】だと不必要に攻撃的で印象が悪いので普通は【女性専用】を使うわな。」 Twitter

【参考】「24条は婚姻の成立条件を異性婚に限定しようという意図が含まれていると解するほうが、よほど論理的つながりがスムーズ」 Twitter

【参考】「『両者の合意のみに基づいて成立』するのは異成婚のみだから、同性婚は何に基づいて成立するのか?という疑問」 Twitter

【参考】「同性婚を婚姻の成立と認めていない」 Twitter

【参考】「①条文の対象外であること ②条文の記述内容に反すること の違いが理解できないのですか?」 Twitter


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①同性婚を禁止していない

②婚姻として成立しない

①と②は背反ではありません。

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Twitter

 

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①24条が同性婚を禁じていないこと。

②24条が同性婚を【婚姻の成立】と認めていないこと。

の違いが理解できないだけだと思うよ。

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Twitter


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①24条は同性婚を禁止しない

②24条の【婚姻】は同性婚を含まない

は矛盾無く両立する事実です。

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Twitter

 




 国(行政府)では下記のように説明されている。


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 他方、同条2項は、婚姻等に関する事項について具体的な制度を構築するに当たっての立法上の要請及び指針を示したものであるが、上記のとおり、婚姻の成立については、同条1項により、両性の合意のみに基づいて成立する旨が明らかにされていることから、婚姻の成立要件等を定める法律は、かかる同条1項の規定に則した内容でなければならない。そのため、婚姻等に関する事項について立法上の要請及び指針を示した同条2項においては、同条1項の内容も踏まえ、配偶者の選択ないし婚姻等に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしたものである(憲法24条2項における配偶者の選択とは婚姻の相手の選択であるから、それについて、法律が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないということは、婚姻が当事者の自由な合意のみによって成立すべきことを意味し、同条1項の規定と同趣旨であると解されている(佐藤功「憲法(上)[新版]」414ページ。乙第33号証))。

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF


 「法律婚における配偶者ないし婚姻関係は異性間でのみ成立することとされているから(憲法24条1項、民法750条等参照)、」(被控訴人第6準備書面 PDF 〔「同性パートナーにも犯罪被害の遺族給付金を」訴訟〕)



想定していない説

 この立場は、24条は「同性間の人的結合関係」を「婚姻」とすることを想定していないと考えるものである。

 上記の三説と下記の三説のいずれの可能性もある。


 これによれば、24条に合わないものについては立法することはできない可能性がある。


【参考】「想定していないということは、同性婚は24条の【婚姻】と認められないということ」 Twitter 

【参考】「想定してないモノはそもそも【婚姻】じゃない」 Twitter

【参考】「想定していないことは禁じてることにはならないが、想定していなければ認められない。」 Twitter

【参考】「禁止してないが、想定もしておらず、認めてもいない。」 Twitter


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①24条は同性婚を想定していない。従って、同性婚を明示的に禁じたものではない。

②24条は同性婚を想定していない。従って、同性婚は24条の婚姻ではない。

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Twitter


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「24条は同性婚を想定していない」

①だから同性婚を禁止していない

②だから同性婚を許可していない

どちらも正解。

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Twitter

 

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①24条の【婚姻】は同性婚を禁止しない。

②24条の【婚姻】は同性婚を含む。

①と②は全く別の話、かつ相矛盾する主張です。

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Twitter

 

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①24条は【同性婚】の禁止規定ではない

②24条は【婚姻】を規定し、その規定に【同性婚】は含まれない。

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Twitter

 

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「想定してない」「触れてない」「定めてない」

そんなモノがどうして【婚姻】と言えるのだ?

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Twitter

 

 国(行政府)では下記のように説明されている。

 

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 憲法第二十四条第一項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すると規定しており、当事者双方の性別が同一である婚姻(以下「同性婚」という。)成立を認めること想定されていない

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日本国憲法下での同性婚に関する質問に対する答弁書 平成30年5月11日 


  「同項にいう『両性』は、その文言上、男女を表すことは明らかであって、憲法は、当事者双方の性別が同一である場合に婚姻を成立させること想定していないというべきである。」(【九州・第2回】被告第1準備書面 PDF)


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ア もっとも、前記(1) のとおり、憲法24条1項は、「両性」及び「夫婦」という文言を用いているところ、一般的に、「両性」とは、両方の性、男性と女性又は二つの異なった性を意味し、「夫婦」とは、夫と妻又は適法の婚姻をした男女の身分を意味するものとされている(新村出編・広辞苑第7版2526及び3095ページ)ことからすると、同項にいう「夫婦」や「両性」もこれと同義とみるべきであるから、憲法は、「両性」の一方を欠き当事者双方の性別が同一である場合に婚姻を成立させることをそもそも想定していないというべきである。

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF (P14)

 

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 しかしながら、法の解釈に際し、文言の日本語としての意味や文法が重視・尊重されなければならず、文言からかけ離れた解釈が許されないのは当然であるところ、これまで繰り返し述べているとおり、憲法24条1項は、「両性」及び「夫婦」という文言を用いており、一般に、「両性」とは、両方の性、男性と女性又は二つの異なった性を意味し、「夫婦」とは、夫と妻又は適法の婚姻をした男女の身分を意味するものとされている(新村出編・広辞苑第7版2526及び3095ページ)ことからすると、同項にいう「夫婦」や「両性」もこれと同義とみるべきであるから、憲法は、「両性」の一方を欠き当事者双方の性別が同一である場合に婚姻を成立させることをそもそも想定していないというべきである。

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【東京二次・第9回】被告第7準備書面 令和5年9月28日 PDF (P5)


【参考】「憲法第24条の婚姻は異性婚のことであると定義すると、『婚姻』という法律用語を下位法で同性同士を含んだものとして使う事はできない」 Twitter

【参考】「24条以外に婚姻を定めた条項は存在せず、その憲法解釈は『婚姻は異性婚をいう』なのです。」……「下位法だけで勝手に『婚姻は同性婚を含む』とする行為は憲法に反する。」 Twitter

【参考】「同性婚は24条(=婚姻)で言及されていないなら、同性婚は婚姻じゃない。」 Twitter

【参考】「憲法の【婚姻】も婚姻規定の【婚姻】も同じモノなんですから」 Twitter

【参考】「『憲法上の婚姻と法律上の婚姻は別物であるかの如く装っていますが、ソレは何の根拠もない感情論」 Twitter

【参考】「もし別物だったら、24条2項の要請はどこ行ったんだ?って話になってしまいます」 Twitter

【参考】「【両性】について」……「都合良く切り替えている」 Twitter

【参考】Twitter Twitter

【参考】「【言い換えた言葉に婚姻という文字が入っている】なんて感覚的な理由で同性婚が法的な婚姻になったりしない」 Twitter

【参考】「仮に同性婚が『憲法24条の婚姻』だったとしたら、『同性婚の成立を求めることは想定されていない』は自己矛盾」 Twitter

【参考】「立法裁量は違憲立法を正当化するモノではありません。」 Twitter


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①憲法上の婚姻は異性婚であること。

②憲法上の婚姻も下位法の婚姻も同じであること。

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Twitter


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①24条は男女を対象にしている。

②24条は婚姻を規定している。

 

この2つの事実から導かれる論理的帰結は「同性同士の関係は婚姻の対象外である」ですね。

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Twitter


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①24条は言及していない対象に権利保障をすることを禁じていません。

②24条は言及していない対象を婚姻の権利の対象としていません。

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Twitter


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制度は憲法に従うべきモノであって、

両性=男女と憲法が定めるところを

勝手に権利の及ぶ範囲を同性婚にまで拡大するなど、

できよう筈もないことです。

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Twitter


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①24条は同性婚に言及していない。

②24条は婚姻に言及している。


ここで【婚姻と同性婚は同じ】という時点で矛盾だろ。

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Twitter

 

「法的な意味で【婚姻】と言うなら、ソレは即ち憲法の【婚姻】に他ならない」 Twitter

「婚姻規定は憲法24条2項の直接的な要請の結果であり、婚姻規定に於ける婚姻と憲法に於ける婚姻を異なる概念であると考えるべき根拠はありません。」 Twitter

「法的な婚姻は憲法24条に規定され、その条文には「両性の合意のみに基づいて成立」と記され、両性は男女を指すと解されることから現行憲法解釈に於いて婚姻は異性婚であり同性婚ではない。」 Twitter

「24条が規定するモノが法的な婚姻であり、その婚姻の自由の及ぶ範囲に同性婚は存在しない。」 Twitter

「憲法上の権利として保障されないのであれば、ソレは憲法上の婚姻ではない。」 Twitter

「『権利の及ぶ範囲』の規定は即ち権利付与対象の制限であり、対象外の対象には権利は付与されない。」 Twitter

「『適用範囲を規定すること』は即ち【制限】に他ならない」 Twitter

「【婚姻の権利の及ぶ範囲に無い⇒婚姻じゃない】ということ」 Twitter

「『憲法解釈上、婚姻の権利は異性婚であって、同性婚は対象外』であることは明白」 Twitter

「『両性は男女を指す』との解釈から、婚姻は異性婚に限定され同性婚は除外されている」 Twitter

「同性婚は婚姻規定の内側には存在しないのです。」 Twitter

 

「24条で保障されていないってことは、即ち24条で規定される【婚姻ではない】ってこと」 Twitter

「婚姻の自由が効果を及ぼすのも異性婚」 Twitter

「24条で規定されたモノが法的な婚姻なのであって、」 Twitter

【参考】「条文を素直に読めば 「異性同士の結婚のみが可能」 ということになる。 つまり、同性婚を禁止しているわけではないが可能ではない というのが素直な解釈。」 Twitter



立法裁量の限界を画するもの


 この立場は、24条は立法裁量の限界を画する規定であることから、24条の文言に沿わない関係については、「婚姻」とすることができないと考えるものである。

 そして、24条は一夫一婦制(男女二人一組)を定めており、この形に限定して立法裁量の限界を画していることから、それ以外の人的結合関係を「婚姻」とすることはできない。


 これによれば、「同性間の人的結合関係」についても、これを満たさないため、「婚姻」とすることはできないことになる。

 

【参考】「24条は『婚姻の自由の及ぶ範囲を規定している』」 Twitter

【参考】「範囲を規定している以上、その効果は範囲内に制限され、それ以外が除外される」 Twitter 

【参考】「24条は『両性の合意』に基づかない婚姻の成立を制限している。」 Twitter

【参考】「『禁止じゃなきゃ制限できない』なら、24条は『戸主による強制的な婚姻』すら制限できないことになるよね。」 Twitter 



禁止説

 この立場は、24条の規定は、何かを認知した上でそれを防ぐ意図をもって定められていることから、その規定に合わないものについては禁止されていると考えるものである。(防ぐ意図の禁止)


 「同性間の人的結合関係」についても、24条の規定が「両性」「夫婦」の文言を定めていることに合わないことから、24条は「同性間の人的結合関係」を「婚姻」とすることの論点を認知した上で、それを防ぐ意図をもって禁止していることになる。

 

【参考】「国会資料では文理なら同性婚禁止説とある」……「ありえない解釈とか傲慢すぎ」 Twitter

【参考】「絶対憲法に違反しないとか法律家とはいえ傲慢すぎませんか」 Twitter

【参考】「禁じてるから『両性』なんじゃ無いのかね?」 Twitter

【参考】「同性婚は禁止されていると解釈できるか?と聞かれればそういう解釈も可能だと答えざるを得ない。」 Twitter

【参考】「『両性』『夫婦』の文言がある限り」 Twitter

【参考】「『両性』はどこからどう見ても『男』と『女』を指す。」 Twitter

【参考】「男性・男性、あるいは女性・女性を両性とは言わない。」 Twitter

【参考】「憲法が同性婚を認めてるなら、『両性の合意』という表現には絶対にならない」 Twitter

【参考】「『夫婦』と書いてある以上、当然、男女の結婚を前提にしている」 Twitter

【参考】「同性婚は憲法の夫婦のところをどう解釈しても無理がある」 Twitter 

【参考】「夫婦とある以上、同性婚は認められません。」 Twitter

【参考】「ともに違憲論ですね。」 Twitter



義務文・否定文による禁止説


 24条1項の条文を確認すると、最後に「なければならない。」と記載されている。

 また、英語では「shall」の文言が2回使われており、「両性の合意のみに基いて成立し、」の部分についても「shall」で表現されている。

 

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第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない

Article 24. Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.

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英文契約書における権利義務の定め方

 
 そのことから、24条1項は「義務文・否定文による禁止」の意味を有していると考えることができる。

 これによれば、24条1項は「両性~に基づいて成立し、~なければならない。」(shall)という意味であり、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを義務文・否定文によって禁止していることなる。

 







解釈の参考

 どの解釈が妥当であるかを決するために、いくつかの観点から分析する。



〇 「想定されていなかった」のはなぜか


 24条の立法段階では、「同性間の人的結合関係」を「婚姻」とすること(いわゆる同性婚)について「想定されていなかった」と説明されることがある。

 この「想定されていなかった」には、それが「想定されていなかった」なりの事情が存在するはずである。

 その理由を遡って検討しなければ、「婚姻」という概念そのものや、24条の「婚姻」の文言や「両性」「夫婦」の文言が、「同性間の人的結合関係」をどのように扱っているのかを理解することはできないし、24条の下で「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とする法律を立法することが可能であるか否かも判断することはできない。

 そこで、その理由を下記で検討する。

 

 「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として、「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する意味で形成された枠組みである。

 このような経緯から、「婚姻」は「生殖と子の養育」の趣旨を含む制度となっている。

 「同性間の人的結合関係」については、その間で「生殖」を観念できないことから「生殖と子の養育」の趣旨を満たすものとはいえず、「婚姻」として「想定されていなかった」と考えられる。

 つまり、制度の趣旨に沿わない関係であれば、もともと「婚姻」ではないことから、「婚姻」として「想定されていなかった」と考えられる。

 

 また、「婚姻」の目的を達成するためには、下記の要素を満たす人的結合関係を対象とする必要がある。

 

・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 「同性間の人的結合関係」については、これらの要素を満たすものではない。

 そのため、そもそも「同性間の人的結合関係」については、「婚姻」として「想定されていなかった」と考えられる。

 このように、「想定されていなかった」ことには、「想定されていなかった」だけの理由があると考えられる。

 この「想定されていなかった」との文言だけを見て、それを単に立法者がうっかり忘れていたかのような安易な発想によるものであると意味を限定して認識し、それを反対解釈すれば「同性間の人的結合関係」を「婚姻」とすることができるということにはならないことに注意が必要である。



〇 「禁じる」という言葉の多義性

 論者によって「禁じる(禁止)」の意味するところが異なっている場合があるため注意が必要である。下記で、①②③の観点から意味を検討する。


① 「禁じる」の意味するところが、条文中に「~~してはならない」と記載されているか否かを問うものと考えた場合

   ↓  ↓
 24条に「~~してはならない」と記載されているかどうかを考えることになる。(否定文・義務文による禁止説)


② 「禁じる」の意味するところが、何らかの対象を認識した上で、それを意図的に防ぐ意思を持って規定が設けられたのか否かを問うものと考えた場合

   ↓  ↓

 24条を立法する際に何らかの対象を認識した上で、それを意図的に防ぐ意思を持って規定が設けられたのか否かを検討する必要がある。(狭義の禁止説)


③ 「禁じる」の意味するところが、下位の法令で制度を構築した場合に憲法に違反するか否かを問うものと考えた場合

   ↓  ↓

 下位の法令で制度を構築した場合には、憲法に違反するか否かを検討する必要がある。(広義の禁止説)



 ➀②③が同時に成り立つ場合、②と③が同時に成り立つ場合、③だけに該当する場合の3つのパターンがある。

 ②や③の場合は、①と区別する意味で「立法裁量の限界を画するもの」と表現されることもある。

  

 ①の「義務文・否定文による禁止」ではない場合でも、下記の点も考える必要がある。

 憲法9条1項には「放棄する」と記載されている。

 これは、「~~してはならない」という義務文・否定文が用いられているわけではない。

 しかし、これは「禁止」する趣旨の規定であると読み解くことが通常である。

 そのため、「禁止」する趣旨の規定であるとしても、「~~してはならない」という文言が用いられているか否かは厳密には問われていないことが多い。

 このことから、条文中に「~~してはならない」との文言が用いられているか否かが、直接的に「禁止」する趣旨であるか否かを識別するための基準となるわけではない。


【参考】「憲法で『禁ずる』と述べているのは36条のみ」 Twitter (憲法36条

【参考】「『~せねばならない』なんて物言いは全く不要です。」 Twitter

【参考】「【禁止】と銘打たなくても、対象を限定したり、それ以外を排除することは可能」 Twitter

【参考】「違憲の条件は『禁止していること』ではなく『反していること』だからね。」 Twitter

【参考】「24条は禁じていないが、98条が『憲法に反した立法行為』を否定」 Twitter



〇 24条による制限の存否


 24条1項の「両性の合意のみ」の文言には、「合意」のない形や、「両性の合意」以外の要件を求める形で婚姻制度を立法することを制限する趣旨が含まれていると考えられる。
(これを結果として『禁止』しているという場合もある。)

 そうなると、少なくとも24条は制限する趣旨を有する規定ということになる。

 

【参考】「24条は【戸主による婚姻の強制】を【制限】しているわけだし、」 Twitter

【参考】「ま、取り敢えず、『24条は一定の制限を画している』事実を認めたわけで、」 Twitter

【参考】「『24条は戸主による強制的な婚姻を制限している』を目的の一つと認めた時点で『禁止してないのに制限してる』事実を認めたことに他ならない。」 Twitter


 これと、同様に、「両性」や「夫婦」を満たさない形の婚姻制度を立法することについて制限する趣旨が含まれていることが考えられる。
(これを結果として『禁止』しているという場合もある。) 


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「戸主による婚姻の強制は制限するが、同性婚は制限しない」

などと、憲法のどこに書いてあるのか?

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Twitter



〇 「立法裁量の限界を画するもの」であるか

 24条1項と2項の整合的な解釈について検討する。


憲法
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第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
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 まず、24条2項については、明確に「その裁量の限界を画したもの」と述べている判決がある。


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 ところで,婚姻及び家族に関する事項は,国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ,それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきものである。したがって,その内容の詳細については,憲法が一義的に定めるのではなく,法律によってこれを具体化することがふさわしいものと考えられる。憲法24条2項は,このような観点から,婚姻及び家族に関する事項について,具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに,その立法に当たっては,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請,指針を示すことによって,その裁量の限界を画したものといえる。また,同条1項は,「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。」と規定しており,婚姻をするかどうか,いつ誰と婚姻をするかについては,当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。婚姻は,これにより,配偶者の相続権(民法890条)や夫婦間の子が嫡出子となること(同法772条1項等)などの重要な法律上の効果が与えられるものとされているほか,近年家族等に関する国民の意識の多様化が指摘されつつも,国民の中にはなお法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していると考えられることをも併せ考慮すると,上記のような婚姻をするについての自由は,憲法24条1項の規定の趣旨に照らし,十分尊重に値するものと解することができる。
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損害賠償請求事件  最高裁判所大法廷 平成27年12月16日 (PDF) (再婚禁止期間違憲訴訟)


 このことから、2項の意味によれば、「婚姻」についての法律を立法する際に「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚」していなかった場合には、国会の「裁量の限界」を超えて違憲となる。

 次に、1項の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」の部分は、国会の立法の「裁量の限界を画したもの」であるか否かを検討する。

 もし、1項が国会の立法の「裁量の限界を画したもの」である場合には、「婚姻」という概念それ自体において、また、「両性」「夫婦」の文言に当てはまらない場合には、それを「婚姻」とすることはできないことになる。

 これによれば、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることはできないことになる。 



〇 1項と2項の関係性

 24条1項の文尾には「維持されなければならない。」と記載されている。

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第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない
Article 24. Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
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日本国憲法 The Constitution of Japan

 

 この1項の「なければならない。」の文言について、日本語の文面においてはこれが同じく1項の冒頭にある「両性の合意のみに基いて成立し」の部分に対して掛かるかどうかは明確でない。

 しかし、24条の英文を読むと、この「なければならない。」の語句に対応する英語の「shall」の文言が1項で2回、2項で1回の合計3回使われており、1項の「両性の合意のみに基いて成立し」の部分についても「shall」で記載されている。

 これを考えると、1項の「なければならない。」の文言は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」の部分に対して掛かっており、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」「なければならない。」という形で意味を形成していると読み取ることができる。

 これを考えると、2項については「立法裁量の限界を画したもの」であるが、1項はそうでないかのように考えることは整合性を欠くと考えられる。

 そのため、「両性」は「立法裁量の限界を画したもの」と読み取ることができ、これを満たさない「同性同士の組み合わせ」については「婚姻」とすることができないこととなる。



〇 文言に沿わないものを許容する場合の論点


 「同性同士の組み合わせ」については、24条1項の「両性」の文言を満たすものではない。

 それでもなお、24条は「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと考えようとした場合を検討する。

 もしこのような文言に沿わない解釈を許した場合、他の部分との整合性に関して問題が生じる。



◇ 「合意」の部分について、「『合意』に基づかない『婚姻』を否定する趣旨ではない」のか


 「『合意』に基づかない『婚姻』を否定する趣旨ではない」と考えることが可能となり、「合意」のない形での「婚姻」を立法することが可能となる。

 例えば、親、親戚、会社の上司、地方公共団体、国家など他者によって当事者が婚姻させられるような法律が考えられる。

 このような法律を立法しても、違憲ではないことになる。



◇ 「合意のみ」の部分について、「『合意』以外の条件を満たすよう求める『婚姻』を否定する趣旨ではない」のか


 「『合意』以外の条件を満たすよう求める『婚姻』を否定する趣旨ではない」とした場合、「両性の合意」以外の条件を課す形での「婚姻」を立法することが可能となる。

 例えば、「親の同意」や「年収」、「筆記試験」、「職業」などの条件を満たさなければ婚姻できない法律が考えられる。

 このような法律を立法しても、違憲ではないこととなる。



 このように、「両性」の文言を満たさないにもかかわらず「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと考えるとすれば、「『合意』に基づかない『婚姻』」や「『合意』以外の条件を満たすよう求める『婚姻』」についても否定する趣旨ではないと論じることが可能となる。

 すると、法律によって「『合意』に基づかない『婚姻』」や「『合意』以外の条件を満たすよう求める『婚姻』」を制定しても違憲ではないことになってしまう。
 このような解釈が可能となってしまうと、そもそも1項は何を制限するために設けられた規定なのか意味が分からなくなり、この規定が存在する意義が失われてしまう。


 そのため、2項については「立法裁量の限界を画したもの」であるが、1項については「立法裁量の限界を画したもの」ではないと考えることは妥当性を欠くと考えられる。



 この論点について、1項の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、」の文言の「のみ」の掛かり方を限定することによって、「両性」と「合意」の文言が「立法裁量の限界を画したもの」であるか否かを分けることができるとの主張が考えられる。
 1項について、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと考える者は、恐らく「のみ」の文言は「合意」の部分だけに掛かっていると考えていると思われる。


   ① 両性の「合意」のみ  ⇒ 合意の部分だけ必須要件と考える


 これにより、「合意のみ」を満たさない場合は違憲となるが、「合意のみ」を満たせば「両性」であるか否かは限定されていないと考えていると思われる。


 しかし、日本語の文法としては、「のみ」の文言は「合意」の部分だけに掛かっているとは限らず、「両性」を含める形で強調するものとなっており、「両性の合意」をまとめる形で掛かっていることも考えられる。


   ② 「両性の合意」のみ  ⇒ 男性と女性の両方と、その合意のすべてが必須要件と考える


 そのため、①のように「のみ」の掛かり方を限定的に読むことによって、1項について「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと結論付けることができるとは限らない。


 このように文言の掛かり方にはいくつかの考え方があり、この点だけを結論を導き出すための決め手とすること適切ではない。

 そのため、24条を解釈する際には「婚姻」の由来、「婚姻」の立法目的と整合的に考えることが必要となる。


◇ 「両性の合意のみ」の「のみ」の掛かり方がどうであろうと、1項には「両性」や「夫婦」と記載されている。

 この文言に当てはまらないものを1項の下で許容できるか否かは、「のみ」の掛かり方とは異なる観点からの検討が必要である。


◇ 「婚姻」という概念そのものに含まれる内在的な限界により、「婚姻」に含めることのできるものはもともと限られている。

 そのため、「のみ」の掛かり方について①の立場を採ったからといって、直ちに「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと結論付けることができるということになるわけではない。

 



 


〇 他の条文との整合性

 24条の下で「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることができるかのように考える場合、他の条文の解釈との整合性が問われることになる。


 例えば、憲法42条には「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」との記載がある。

 これは一院制とすることや、あるいは、逆に「衆議院及び参議院」に加えて「枢密院」など別の「院」を設けることは「想定されていなかった」と考えられる。

 しかし、「両性」の文字を無視する考え方を採る場合、同時にこれについても否定する趣旨ではないと考えることに繋がる。

 


24条が「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定する趣旨ではないと考える場合


   ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓


◇ 29条3項には、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と記載されている。

 これは、「私有財産」に対して「正当な補償」のない形で「公共のために用ひること」を否定する趣旨ではないと考えることに繋がる。


◇ 30条には、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と記載されている。

 これは、法律に定めない形で「納税」の義務を課すことを否定する趣旨ではないと考えることに繋がる。


◇ 42条には、「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」と記載されている。

 これは、一院制とすることを否定する趣旨ではない、また、国会の中に枢密院を入れることを否定する趣旨ではないと考えることに繋がる。


【参考】「『禁止していない』だけ大声で叫んでも『許容している』ことにはならない」 Twitter

【参考】「『禁止を明示していなければ一切の制限は不可能』という公的な解釈を出して御覧なさい。」 Twitter

【参考】「例えば学校教育法2条で学校設置者が国、地方、学校法人のみとされてますが、禁止の文ではないのだから個人もOKと読んでいいのですか?」 Twitter (学校教育法2条) 



 このように、「~してはならない。」のように義務文・否定文(命令文)で書かれていないことを根拠として、そのまま否定する趣旨ではないと考えて立法することが可能であると決めてしまうことは、他の条文の解釈との間で整合性を保つことができなくなる。

 そのため、条文の規範的な効力を損なわせることに繋がる考え方を採ることは適切ではない。 

 

【参考】「何も言っていない事をOKにしてしまうと、他でも同じことができてしまう」 Twitter

【参考】「同性婚を想定したものじゃないから関係ない。 これ言い始めたら憲法条文に意味がなくなる。」 Twitter 

【参考】「〝24条の迂回〟ができちゃうからこそ、よりきちんと議論されるべき」 Twitter

【参考】「両当事者って解釈できるほど憲法解釈ゆるくなると」 Twitter

【参考】「相当数の憲法の条文において形骸化できるんじゃね?」 Twitter

【参考】「解釈で無理矢理正当化するのは、むしろ憲法のルールとしての力を蔑ろにすることに繋がり危険」 Twitter 

【参考】「憲法を時の政権の解釈で運用する姿勢の方が強権的で怖くね???」 Twitter

【参考】「権力を縛るための憲法を、権力が解釈や捉え方で抜け道を作るのを許すことになる。」 Twitter

【参考】「憲法の規範性という視点から文言解釈に厳格性を求め」 Twitter

【参考】「曖昧な言葉を解釈で意味をどんどん変更することを許すのは、他の問題に禍根を残す」 Twitter


 このことから、1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」の文言についても、国会の「立法裁量の限界を画したもの」と考えることが妥当であると考えられる。

 これにより、「両性」を満たさない「同性同士の組み合わせ」については「婚姻」とすることができないこととなる。



 (上記は「両性」の文言の解釈について取り上げたものであり、「婚姻」という概念そのものや、24条の「婚姻」の文言、「夫婦」の文言によって制限される論点は別にある。)





憲法24条の「婚姻」に含まれた内在的な限界

 

〇 「婚姻」の概念に含まれる内在的な限界


 「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられた枠組みである。

 これは、下記のような経緯によるものである。


 その国の中で「生殖と子の養育」に関する事柄について何らの制度も存在しない場合には、社会的な不都合が発生することがある。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。

 これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること

 

 そして、これらの目的を達成するためには、目的との関係で整合的な下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。
 そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることによって、制度を利用する者を増やし、これらの立法目的の実現を目指す仕組みとなっている。 


 このことから、上記の要素は、「婚姻」という概念が他の様々な人的結合関係とは区別する形で成り立つための境界線となるものである。


 このように、 「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合(国民が「生殖」によって子供を産むことに関係して起き得る問題)を解消しようとする目的によって、他の様々な人的結合関係とは区別する形で設けられた枠組みである。

 そのため、このような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解決しようとする目的を離れて「婚姻」を観念することはできない。

 そのことから、「婚姻」という概念である以上は、国民が「生殖」によって子を産むことに関わる制度であることを前提としている。

 よって、「婚姻」の文言の中には「生殖と子の養育」の趣旨が含まれている。



 また、その社会の中で「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することが求められ、その目的を達成するための手段となる枠組みを「婚姻」という概念が担っている以上は、「婚姻」はそれを解消するものとして機能することが求められている。

 そのため、「婚姻」である以上は、その概念そのものの中に、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消しようとする目的を達成することを損なうことはできないという内在的な限界が含まれている。
 これは、「婚姻」が他の様々な人的結合関係との間で区別する形で枠づけられていることからくるものであり、「婚姻」という概念そのものを成り立たせるために必要となる境界線である。

 もしこの境界線となる一線を損なった場合には、「婚姻」という枠組みそのものを他の人的結合関係との間で区別することができなくなり、「婚姻」という概念自体が成り立たなくなり、「婚姻」という概念そのものが雲散霧消してしまうこととなる。

 よって、「婚姻」の文言の中には、これらの目的を達成することを阻害する組み合わせを「婚姻」とすることはできないという内在的な限界が含まれている。


 そして、その内在的な限界は、「婚姻」の立法目的を達成するための手段として整合的な、他の様々な人的結合関係との間で区別することを可能とするための要素であり、先ほど挙げた下記の内容が不可欠である。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること

 

 もしこれらの要素を満たさない人的結合関係を「婚姻」の中に含めようとした場合には、その時点で、これらの要素を満たさないことから、 「婚姻」の立法目的を達成することができなくなることを意味する。

 そのため、これらの要素を満たさない人的結合関係については、「婚姻」として扱うことはできない。

 よって、「生殖と子の養育」の趣旨やこれらの要素を満たさない人的結合関係については、「婚姻」とすることはできない。


 このような差異が生じることは、「婚姻」という概念そのものが、目的を達成するための手段として形成されている枠組みである以上は当然のことである。


 「同性間の人的結合関係」(同性三人以上の人的結合関係も同様)については、「生殖と子の養育」の趣旨や上記の要素を満たさないことから、「婚姻」の中に含めることはできない。



〇 憲法24条の「婚姻」による限界


 憲法24条は「婚姻」を定めており、この意味の「婚姻」を引き継ぐものとなっている。

 憲法24条が定めているものが「婚姻」である以上は、その「婚姻」の文言の中には「生殖と子の養育」の趣旨が含まれている。

 また、そこには「婚姻」の立法目的を達成することを阻害する組み合わせを「婚姻」とすることはできないという内在的な限界が含まれている。

 そのため、憲法24条の下で「生殖と子の養育」の趣旨や上記の要素を満たさない人的結合関係を「婚姻」とすることはできない。

 もし、そのような人的結合関係を「婚姻」として扱う法律の立法を試みた場合には、憲法24条が許容する立法裁量の限界を超え、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。


 また、憲法24条は「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて、一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。

 これは、「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な下記の要素を満たすからである。

 

・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 このことは、24条に定められた「婚姻」が、他の様々な人的結合関係とは「生殖と子の養育」の観点から区別する意味で設けられた制度であることを裏付けるものでもある。


 そのため、これらの要素を満たさない人的結合関係については、憲法24条の「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言の趣旨に当てはまらず、「婚姻」とすることはできない。

 もし、これらの要素を満たさない人的結合関係を「婚姻」として扱う法律を立法しようとした場合には、憲法24条の許容する立法裁量の限界を超え、憲法24条に抵触して違憲となる。


 「同性間の人的結合関係」については、一般的・抽象的にその間で「生殖」を想定することができず、「生殖と子の養育」の趣旨を満たすとはいえないし、これらの要素を満たすものではないため、「婚姻」とすることはできない。
 そのため、「同性間の人的結合関係」を「婚姻」として扱う法律を立法しようとした場合には、憲法24条の「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言に抵触して違憲となる。

 







婚姻の概念に含まれた内在的な限界


 その国の中で「生殖と子の養育」に関する事柄について何らの制度も存在しない場合には、社会的な不都合が発生することがある。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。

 「婚姻」は、これらの「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために、他の人的結合関係とは区別する意味で設けられた制度である。

 そのため、「婚姻」には、下記の立法目的が存在すると考えられる。

 

 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること

 

 このように、「婚姻」という枠組みが形成されている立法目的がある以上は、その「婚姻」という概念の中には、他の人的結合関係との間で区別するための要素が存在する。

 それは、「婚姻」の立法目的を達成するための手段として整合的な要素であり、下記が不可欠である。

 

 ・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

 ・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

 ・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

 ・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること

 

 もしこれらの要素を満たさない人的結合関係を「婚姻」の中に含めようとした場合には、その時点で、これらの要素を満たさないことから、「婚姻」の立法目的を達成することができなくなることを意味する。

 すると、「婚姻」という枠組みによっては、立法目的を達成することができないことから、その目的を達成するために「婚姻」以外の新たな制度を立法することが求められることになる。

 しかし、それは結局、まったく同様の目的を達成することを意図して立法されるものであるから、上記の要素を満たす人的結合関係を新たな枠組みとして他の様々な人的結合関係とは区別する形で設けることになるものである。

 こうなると、それは「婚姻」が有していた機能を、新たな枠組みの制度が担おうとするものであるから、そもそも「婚姻」から新たな枠組みの制度へと言葉の入れ替えを行っているだけということになるのである。


 このような無意味なループを繰り返すことを防ぐためには、「婚姻」という枠組みが存在する時点で、そこには「婚姻」という枠組みを形成している立法目的が存在し、そのことによって、「婚姻」という枠組みそのものに、その立法目的と整合性を保つことができる内在的な限界が含まれていることを捉える必要がある。

 その内在的な限界となる要素を満たさない人的結合関係を「婚姻」の中に含めようとすることは、「婚姻」という概念そのものが有している本来の意味、内在的な機能を改変し、消失させようとする試みとして排斥することが必要となる。


 そのことから、「婚姻」という枠組みが形成されている背景にある立法目的が正当である以上は、その立法目的を達成するための手段として合理的な範囲内の人的結合関係を「婚姻」として扱うことができ、それに当てはまらない人的結合関係を「婚姻」として扱うことができないという差異が生じることは当然のことである。


 この差異を否定するのであれば、それはそもそも「婚姻」の立法目的を否定することになることを意味する。

 「婚姻」の立法目的が正当と認められる以上は、その立法目的を達成するための手段として設けられている枠組みによって生じる差異は、法制度が政策的なものであることからくる誰もが甘受しなければならないものというべきである。

 



 

 上図では「女性同士の組み合わせ」について解説しているが、「女性三人以上の組み合わせ」においても同じである。





制度的保障


 法律によって婚姻制度を定める際に、どのような形の「婚姻」を定めることも可能であり、無制約・無限定であるとする。

 すると、「複婚」の制度を立法することが可能となる。


 しかし、「複婚」を可能とした場合、社会構成員の中で未婚の男女の数の不均衡が発生し、「子供を持ちたくても相手が見つからないことにより子供を持つ機会に恵まれない者」が増えてしまうことに繋がる。


 例えば、何人でも「複婚」することが可能な法律に変わってしまった場合に、大金持ちの1人の男性が50人の女性と婚姻を結ぶことが可能となる。

 すると、男女が同じ比率で生まれているとの前提から、残った49人の男性はその社会の中で「子を持つ機会」に恵まれなくなる。


 このような問題を防ぐためには、法律の改正によって安易にそのような社会に変わってしまうことがないように、憲法上で「婚姻」の形に対して一定の限界を設けることが必要となる。


 このことから、憲法24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言は、婚姻制度の内容を一夫一婦制(男女二人一組)に限定する意味を有しており、国会の「立法裁量の限界を画したもの」として定められていることになる。

 つまり、憲法24条に「両性」「夫婦」「相互」の文言を定めていることには、法律上で定める婚姻制度について一夫一婦制(男女二人一組)の形に限定することを求め、その社会の構成員の中で未婚の男女の数の不均衡が発生することを防止し、間接的に「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が増えてしまうことのないようにする意図が含まれているということである。 


 憲法24条が「両性」「夫婦」「相互」の文言を用いている理由は、婚姻制度の内容を一夫一婦制(男女二人一組)に限定することによって「複婚」が許容されないようにし、未婚の男女の数の不均衡によって「子供を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれてしまうことを防ぐことにあるということである。

 

 これは、憲法24条を「制度的保障」を定めた規定と考え、「婚姻」することができる組み合わせを限定し、立法裁量の限界を画するものと読み解くものである。


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……(略)……日本の憲法学説でも、政教分離、大学の自治、婚姻・家族制度、私有財産制度、地方自治などについて、制度的保障論を認める立場が中心であった(川添利幸『憲法保障の理論』尚学社、1986年、250頁以下参照。これに対して、シュミット理論の理解や制度的保障論を批判するものとして、石川健治『自由と特権の距離━━カール・シュミット「制度体保障論」・再考』日本評論社、1999年、同増補版、2007年参照)
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憲法 第6版 辻村みよ子 2018/4/26 (P101) (下線は筆者)


 憲法上で個々人の具体的権利として示すことには馴染まない性質のものについては、「制度的保障」の形で規定することにより、個々人の利益を確保している場合がある。

 「生殖によって子を持つこと」に関しては、生殖能力を有する男女の合意が必要となる。

 これは、当事者の自由意思の合致に関わる問題が含まれていることから、その性質上、個々人に対して憲法上の具体的権利として保障することは馴染まない。


 しかし、「生殖によって子を持つこと」を憲法上の具体的な権利として示すことができないとしても、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が増えてしまうことのないような形で制度を構築するように憲法上で要請することは可能である。

 この観点から、憲法が「婚姻」について定めていることや、憲法24条が「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めていることには、法律上で定める婚姻制度の形に対して一定の限界を設け、社会の中で広く「生殖や子を持つ機会」を確保することを制度的に保障しようとする意図が含まれていることになる。
 


 これにより、「子を持つ機会」を得やすい社会環境を維持しておくことが可能となり、個々人の具体的権利として示すことができない性質の利益についても、一定程度確保することが可能となるからである。



 憲法24条が一夫一婦制(男女二人一組)を予定していること自体が、婚姻制度が未婚の男女の数の不均衡が発生することを防止し、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らそうとする立法目的を有していることによるものである。


 このため、憲法24条には、社会全体の中で「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を極力抑制することができる形で婚姻制度を構築することを要請する意味が含まれていることになる。
 憲法24条は、社会環境を未婚の男女にとって「生殖や子を持つ機会」を得やすい形に整備しておくことを要請する規定ということである。


 このことから、憲法24条の「両性」「夫婦」「相互」の文言は、その実現を阻害する人的結合関係を「婚姻」とすることはできないという趣旨を有している。


 よって、もし「複婚」を立法しようとした場合には、憲法24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言に抵触して違憲となる。(結果的に、24条1項によって禁じられているという意味となる。)



 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる同性婚)についても、「複婚」を許容した場合と同様に、未婚の男女の数の不均衡が発生し、「子を持ちたくても持つ機会恵まれない者」が増えてしまうことに繋がる。

 そのため、憲法24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言に抵触して違憲となる。



 憲法24条の「制度的保障」の側面について、「その時々の政治的多数派、少数派の移り変わりによっては動かすべきではないからこそ、憲法に書き込まれている」ということを考慮する必要がある。


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○長谷部参考人

(略)

 こうした近代立憲主義に立脚する憲法、これは、通常の法律に比べますと変更することが難しくなっていること、つまり硬性憲法であることがこれまた通常でございます。今述べました基本的人権を保障する諸条項、民主政治の根幹にかかわる規定、これは、政治の世界におきまして、選挙のたびに起こり得る多数派、少数派の変転や、たまたま政府のトップである政治家の方がどのような考え方をするか、そういったものとは切り離されるべきだから、つまり、その社会の全てのメンバーが中長期的に守っていくべき基本原則だからというのがその理由であります。

 また、憲法の改正が難しくなっている背景には、人間の判断力に関するある種悲観的な見方があると言ってもよろしいでありましょう。人間というのは、とかく感情や短期的な利害にとらわれがちで、そのために、中長期的に見たときには合理的とは言いがたい、自分たちの利益に反する判断を下すことが間々あります。ですから、国の根本原理を変えようというときは、本当にそれが、将来生まれてくる世代も含めまして、我々の利益に本当につながるのか、国民全体を巻き込んで改めて議論し、考えるべきだということになります。それを可能とするために、憲法の改正は難しくなっております。さらに、改正を難しくするだけではなく、国政の実際においても憲法の内容が遵守され具体化されていくよう、多くの国々では違憲審査制度が定められております。

(略)
 ただ、近代立憲主義の理念に立脚する国々も、各国固有の理念や制度を憲法によって保障していることがあります。日本の場合でいえば、天皇制や徹底した平和主義がこれに当たるでありましょう。こうしたそれぞれの国の固有の理念や制度も、その時々の政治的多数派、少数派の移り変わりによっては動かすべきではないからこそ、憲法に書き込まれているということになります。
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第189回国会 衆議院 憲法審査会 第3号 平成27年6月4日 【動画

 

【動画】第4回憲法調査会「データに基づく 新時代の比較憲法学」 2020/10/29 (30:10より)

【動画】【司法試験】2022年伊藤塾長クラス[4月日程]の最新講義を体験しよう~プレ講義・体系マスター憲法1-3~(ライブOnly) 2022/4/29

 

 

【東京二次・第3回】被告第2準備書面 令和3年11月30日 PDF (P40~)


 上記の資料の「(3)本件規定の立法目的に合理的な根拠があること」の項目は、法律上の立法政策として、「婚姻」が「異性間の人的結合関係」のみを対象とし、「同性間の人的結合関係」を対象としていないことに合理的な理由があることを述べている。

 ただ、ここで述べられていることは、法律上の規定に限られる話ではない。

 これと同じ理由によって、憲法24条が「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」の文言を用い、憲法上の立法政策として、「婚姻」を「異性間の人的結合関係」のみを対象とし、「同性間の人的結合関係」を対象としていないことについて、合理的な理由があると説明することができる。

 つまり、この資料で述べられている「婚姻」を一夫一婦制(男女二人一組)とすることの合理性を、憲法上の立法政策として定めるために、憲法24条は「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」の文言を用いているということである。

 これにより、憲法24条は婚姻制度の内容を一夫一婦制(男女二人一組)の形とするように要請しており、立法裁量の限界を画する規定ということになる。





婚姻制度の立法目的と枠組みの変更可能性

〇 憲法24条が一夫一婦制を定めている理由


 憲法24条には「両性」「夫婦」「相互」の文言が定められている。

 これは、婚姻制度の内容を一夫一婦制(男女二人一組)の形に限定することを要請し、立法裁量の限界を画していることが考えられる。

 24条が婚姻制度に対してこのような制約を行う理由は、下記の要素を満たすことを求める意図が考えられる。

 

・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること

(『社会の中にいる未婚の男女が将来的に生殖によって子を持つ機会を得られやすい環境』を確保することを制度的に保障し、『子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者』を減らすこと)


 これらの要素を満たす人的結合関係を「婚姻」という枠組みで扱い、一定の優遇措置を行うことによって、「婚姻」の立法目的を達成することが意図されている。


 憲法24条の「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として形成された概念であることは明らかであり、24条に記された「両性」「夫婦」「相互」の文言は、その立法目的を達成するための手段となる枠組みについて具体的に一夫一婦制(男女二人一組)で形成されることについて明確な基準が示されているものである。
 立法目的を達成するための手段となる具体的な枠組みが条文の中に示されている以上は、そこに一定の規範を見出すことが求められる。

 もし、その規範を越える制度を設けようとするのであれば、その条文を改正することが正当な手続きということができる。


〇 婚姻制度の立法目的を明らかにする


 婚姻制度を設けている立法目的を徹底的に明らかにすることによって、その立法目的の実現を損なうことのない形が存在するのであれば、憲法24条が「婚姻」を一夫一婦制(男女二人一組)の形に限定している枠を特例的に変更する余地がないかを考える。

 

 憲法24条が「両性」「夫婦」「相互」の文言を用いて「婚姻」することができる範囲を一夫一婦制(男女二人一組)に限定し、立法裁量の限界を画していることは、下記の要素を満たす人的結合関係であることが理由である。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たす人的結合関係のみを「婚姻」として扱うことによって、婚姻制度の立法目的の達成しようとすることが意図されていると考えられるからである。

 この前提から、社会の前提となっている事情に大きな変化があった場合に、法制度として婚姻制度を設けている立法目的を達成するために、憲法24条が「婚姻」の形を一夫一婦制(男女二人一組)に限定している枠の下でも、一定期間だけ特例的に一夫一婦制(男女二人一組)とすることの要請を受けない場合がないかを考える。

 例えば、「戦争による男性の大量死」、「男性だけに発病する致死性ウイルスの大流行による男性の大量死」(感染症)、「男性迫害・男性狩りなどによる男性の大量死」などによって、村全体、町全体、国全体の男女の均衡が大きく乱れるなど、社会を構成する男女の数に著しい不均衡が発生した場合を想定する。

 この場合、社会の中に男女がほぼ同数いるという前提が失われていることから、憲法24条の下でも一定期間だけ、その割合に応じた形で一定程度「一人の男性と複数の女性」による「複婚」を認める余地が生まれる可能性が考えられる。 

 これにより、婚姻できない女性を減らし、より多くの人に子を持つ可能性を確保することができ、より高い福祉の中で子を育てる機会を保障することができるからである。

 これについては、上記のすべての要素を満たす場合が存在する可能性がある。
 「婚姻」の立法目的を達成することを阻害することのない方法が存在するのであれば、「公共の福祉」にも反しないとされる場合も考えられる。

 

 これに対して、女性が大量死した場合には、「一人の女性と複数の男性」による「複婚」が認められるのかといえば、認められないと考えられる。(歴史上もあまり例がないと思われる。)

 この関係は、遺伝的な父親を特定することができず、上記の要素を満たさないからである。


 「同性同士の組み合わせ」についても、下記の要素を満たさない。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 そのことから、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる同性婚)はできない。


 また、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることには、下記の「『同性同士の組み合わせ』に対して制度を設けることは可能か」の項目で挙げているような問題がある。
 24条には、法律の改正によって安易にそのような社会に変わってしまうことを防ぐ意図がもともと含まれていると考えられる。 

 このことは、「婚姻」という枠組みそのものが、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する意味で形成されたものであるという「婚姻」の由来とも整合的な理解である。


 よって、憲法24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言は、婚姻制度の立法目的を達成することのできない弊害が生じることを防止する意味を有しており、国会の立法裁量の限界を画するものとして機能すると考えられる。

 









憲法24条2項の「婚姻及び家族」の枠組み


 24条2項の「婚姻及び家族」について詳しく検討する。



■ 「婚姻」と「家族」はそれ以外の概念ではないこと

 

 「婚姻」や「家族」である以上は、「サークル」「部活」「組合」「雇用」「会社」「町内会」「宗教団体」「政党」など他の様々な人的結合関係とは異なる概念である。

 当然、これは「意思表示」「代理」「物権」「即時取得」「売買」など、それとは別の概念を示すものでもない。


 このように、「婚姻」や「家族」という概念が用いられている以上は、その概念そのものが有する意味を離れることはできないのであり、その概念が有する意味に拘束されることになる。

 よって、「婚姻」や「家族」として扱うことができる範囲には、「婚姻」や「家族」という概念であることそのものによる内在的な限界が存在する。

 言い換えれば、「婚姻」や「家族」という言葉それ自体を別の意味に変えてしまうことはできないのであり、これらの言葉に対して、その概念に含まれている内在的な限界を超える意味を与えることが解釈として可能となるわけではない。

 もしその概念が有する内在的な限界(意味の範囲)を超える形で新たな枠組みを設けることを望む場合には、解釈によって導き出すことのできる範囲を超えることになるから、その規定を改正して文言を変更するか、その規定そのものを廃止することが必要となる。



■ 「婚姻」と「家族」は異なる概念であること


 24条2項には「婚姻及び家族」と記載されている。

 ここから分かることは、「婚姻」と「家族」はそれぞれ異なる概念であるということである。

 このことから、下記の内容が導かれる。


〇 第一に、「婚姻」と「家族」を同一の概念として扱うことはできない。

〇 第二に、「婚姻」の概念を「家族」の概念に置き換えることや、「家族」の概念を「婚姻」の概念に置き換えることはできない。

〇 第三に、「婚姻」や「家族」という言葉の意味によって形成されている概念の境界線を取り払うことはできない。

〇 第四に、「婚姻」や「家族」という言葉の意味の範囲をどこまでも拡張することができるというものではない。


 このように、「婚姻」と「家族」という文言が使われていることそのものによって、これを解釈する際に導き出すことのできる意味の範囲には内在的な限界がある。

 それぞれの言葉には一定の意味があり、その意味そのものを同じものとして扱ったり、挿げ替えたり、混同したり、無制限に拡張したりすることはできないからである。


 そのため、もし下記のような法律を立法した場合には、24条2項の「婚姻及び家族」の文言に抵触して違憲となる。


① 「婚姻」と「家族」の意味を同一の概念として扱うような法律を立法した場合

② 「婚姻」の意味と「家族」の意味を置き換えるような法律を立法した場合

③ 「婚姻」や「家族」の概念の境界線を取り払うような法律を立法した場合

④ 「婚姻」や「家族」という言葉の意味の範囲をどこまでも拡張することができることを前提とした法律を立法した場合



■ 「婚姻」と「家族」は整合的に理解する必要があること


 24条2項の「家族」とは、法学的な意味の「家族」を指すものである。

 そのため、社会学的な意味で使われる「家族」のように、どのような意味としてでも自由に用いることができるというわけではない。


 24条2項には「婚姻及び家族」と記載されており、これら「婚姻」と「家族」の文言は、一つの条文の中に記されている。

 24条2項では「A、B、C、D、E 並びに F」の形で順を追って説明するものとなっており、その中で「婚姻及び家族に関するその他の事項」が一つのまとまりとなっている。

 この点で、「婚姻」と「家族」という二つの概念はまとめる形で定められている。

 そして、「家族」の文言は、「婚姻及び家族」のように「婚姻」の文言のすぐ後に続く形で、「婚姻」と共に記されている。

 そのことから、「家族」の概念は、「婚姻」の概念と結び付くものとして定められており、これらは切り離すことのできるものではない。

 よって、「婚姻」と「家族」の意味を解釈する際には、それぞれの概念をまったく別個の目的を有した相互に関わり合いのない枠組みであるかのように考えることはできず、それらを整合的に読み解くことが求められる。


 24条2項の「婚姻及び家族」の文言は、1項で「婚姻」について既に定められていることを前提として、それに続く形で「家族」についても触れるものとなっている。

 そのため、「家族」の概念は「婚姻」を中心として定められる枠組みであることは明らかである。


 これについて、国(行政府)は下記のように説明している。


◇ 「同項における立法上の要請及び指針は、形式的にも内容的にも、同条1項を前提とすることが明らかである。」

◇ 「このように、憲法24条2項が、同条1項の規定内容を踏まえ、これを前提として定められていることは、同条2項の内容面からしても明らかである。」

 【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF


 国(行政府)は最高裁判決の記述も示している。

【東京二次・第9回】被告第7準備書面 令和5年9月28日 PDF (P14)

 

【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 (P15)



■ 「婚姻及び家族」の内在的な限界


 「家族」の枠組みを検討するために、初めに、「婚姻」の目的と、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みから検討する。



▼ 「婚姻」の概念に含まれる内在的な限界

 「婚姻」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的とした形成された枠組みである。

 これは、下記のような経緯によるものである。


 その社会の中で何らの制度も設けられていない場合には、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合が発生する。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。


 これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

・母体を保護すること


 そして、これらの目的を達成するためには、下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。

 そして、この制度を利用した場合には一定の法的効果や優遇措置があるという差異を設けることによって、この制度を利用する者を増やし、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を達成することを目指すものとなっている。


 このような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解決しようとする目的を離れて「婚姻」を観念することはできない。

 そのため、「婚姻」である以上は、これらの目的を達成することを阻害する組み合わせを「婚姻」とすることはできないという内在的な限界がある。


 また、24条の「婚姻」は、「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。

 これについても、上記の要素を満たす枠組みとして定められているものである。


 よって、「婚姻」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を達成するための手段として整合的な上記の要素を満たす範囲に限られる。



▼ 「家族」の概念に含まれる内在的な限界


 次に、「家族」の枠組みを検討する。



▽ 「婚姻」と「家族」の整合的な理解

 

 上で述べたように、「家族」の枠組みは、「婚姻」という枠組みが存在することを前提としており、「婚姻」の枠組みから切り離して独立した形で存在することはできない。

 そのため、もし「婚姻」の枠組みが有している目的の実現を「家族」の枠組みが阻害するものとなっている場合、「婚姻」と「家族」は同一の条文の中に記された文言であるにもかかわらず、その間に矛盾・抵触が生じていることとなり、その意味を整合的に読み解くことができていないことになるから、解釈の方法として妥当でない。


 そのことから、「家族」の枠組みは、「婚姻」の枠組みが有している目的を達成することを阻害するような形で定めることはできず、「婚姻」の枠組みが有している目的との整合性を切り離して考えることはできない。
 これにより、「婚姻」と「家族」は、同一の目的を共有し、その同一の目的に従って相互に矛盾することなく整合性を保った形で統一的に形成される枠組みということになる。

 よって、「家族」の枠組みは、「婚姻」の立法政策に付随して同一の目的を共有し、「婚姻」の枠組みと結び付く形で位置付けられることになる。



▽ 「家族」の枠組み


 「家族」の枠組みは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として設けられた「婚姻」の枠組みと結び付いて定められている。

 そのため、「家族」の枠組みは、「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みが存在することを前提として、その「婚姻」と同一の目的を共有する形で、かつ、その「婚姻」の枠組みとの間で矛盾しない形で、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす形で定められることになる。

 

 「婚姻」とするためには、下記の要素を満たすことが必要である。


・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 そして、「家族」の枠組みは、「婚姻」と同一の目的を共有し、この「婚姻」の枠組みと矛盾しない形で、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす形で定められることになる。

 そのことから、「家族」とするためには、下記の要素を満たすことが必要である。


・「婚姻」と「家族」は異なる概念であること

・「婚姻」と同一の機能を「家族」の概念に担わせることはできないこと

・「生殖」を推進する関係は「婚姻」している夫婦の間に限られること

・「貞操義務」は夫婦の間に限られること

・夫婦以外の関係の間で「生殖」を推進する作用を生じさせないこと

・「生殖」によって子が生じるという生命活動の連鎖による血筋を明らかにすることが骨格となること

・「生殖」によって生じた子とその親による「親子」の関係を規律すること

・遺伝的な近親者とは「婚姻」することができないこと


 これらの要素により、「家族」の中に含めることのできる人的結合関係と、含めることのできない人的結合関係が区別されることになる。

 



 

 このように、「婚姻」が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的としている以上は、その「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みとの関係で、「家族」の枠組みも自ずと明らかとなる。

 このことより、「家族」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「家族」という概念であることそれ自体による内在的な限界がある。
 そのため、もし上記の要素を満たさない人的結合関係を「家族」の中に含めようとする法律を立法した場合には、24条2項の「家族」の文言に抵触して違憲となる。

 


∵ 「家族」の範囲


 上記のように、「家族」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として「婚姻」という枠組みが設けられていることを前提として、その立法政策に付随する形で同一の目的を共有し、その目的を達成するための手段として設けられる枠組みである。

 そのため、「家族」の枠組みは、「生殖」によって「子」が生まれるという生物学的な因果関係を離れて観念することはできない。

 よって、「家族」の中に含まれる人的結合関係の範囲は、下記の順に決まることになる。


① 婚姻している「男性」と「女性」の関係 (夫婦)

② 婚姻している「母親」から産まれた「子」とその「夫婦」との関係 (親子)


③ 婚姻していない「母親」から産まれた「子」とその「母親」との関係 (親子)

④ 婚姻している「母親」から産まれた「子」であるが、その「母親」の「夫」に嫡出否認された場合の「子」とその「母親」との関係 (親子)

⑤ 「子」の「父親」であると認知した者との関係〔あるいは『子』の親権を得た『父親』との関係〕 (親子)


 このように、婚姻している「夫婦」と、自然生殖の過程を経て生まれてくる「子」とその「親」との関係を規律する「親子」による枠組みを骨格として範囲が決まることになる。

 これは、「自然血族」である。

 これらの関係が「家族」となるのは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的によって「婚姻」という枠組みが設けられており、その「婚姻」と同一の目的を共有する形で、生物学上の血のつながりを持つ親子関係を明確にすることを意図した統一的な枠組みといえるからである。


⑥ 「自然血族」の「親子」の関係に擬制して位置付けられる「養子縁組」による「親子」の関係


 自然生殖によって生じる「親子」の関係を規律する「自然血族」の枠組みを基本として、その骨格を維持したまま、その骨格に当てはめる形で法的に「親子」の関係として扱う制度が定められることがある。

 これは、「法定血族」である。



∵ 結論


 このように、24条2項の「家族」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「家族」の枠組みが「婚姻」と同一の目的を共有してその目的を達成するための手段として「婚姻」の枠組みとの間で整合性を保つ形で統一的に定められることによる内在的な限界がある。 


 そして、その限界は、「婚姻」している「夫婦」と、「生殖」によって子が生まれるという生物学的な因果関係を想定した「親子」の関係による「自然血族」と、その「自然血族」の枠組みを基本として、その骨格を維持したまま、その骨格に当てはめる形で位置付けられる「法定血族」までをいう。 


 まとめると、「家族」とは、「婚姻」している「夫婦」と、「親子」の関係によって結び付けられる「血縁関係者」のことを指す。

 



 

 国(行政府)は下記のように述べている。


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(イ)しかし、現行民法典には「家族」という言葉は存在せず、少なくとも民法の観点からは「家族」を厳密に定義することは困難であるが(大村敦志「家族法(第3版)」23ページ・乙第35号証)一般的な用語としての「家族」は、「夫婦の配偶関係や親子・兄弟などの血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団」を意味するものとされている(新村出編「広辞苑(第7版)」560ページ)。……(略)……

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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF

 

【参考】家族関係の基本知識 2022.12.19

【参考】血族について学ぼう!範囲や親族・姻族との違いを詳しく解説 2021.8.9

 






憲法14条

 憲法14条1項の「平等原則」(法の下の平等)を判断する際に必要となる視点は、下記の通りである。



〇 「法適用の平等」と「法内容の平等」の違い


 憲法14条1項の「平等原則」における審査では、「法適用の平等」と「法内容の平等」を分けて考える必要がある。


【動画】シンポジウム 国葬を考える【The Burning Issues vol.27】 2022/09/25

【動画】2021年度後期・九大法学部「憲法2(人権論)」第15回〜審査基準論、二重の基準論、平等原則 2021/12/09

 

◇ 「法適用の平等」 ⇒ 行政府である行政機関や司法府である裁判所が法令を適用する場面での平等

           → 絶対的平等

 

◇ 「法内容の平等」 ⇒ 国会が法律を立法する場合や地方議会が条例を立法する場合での平等

           → 相対的平等



〇 「法内容の平等」の審査

 「法内容の平等」については、➀「区別(差別)」の存否と、②「区別(差別)」が存在した場合における「合理的な理由」の存否が問われることになる。

 そして、②の「合理的な理由」の内容については、「立法目的」とその「達成手段」が問われることになる。


➀ 「区別(差別)」が存在するか否か


② 「区別(差別)」が存在する場合にその区別に「合理的な理由」が存在するか

「合理的な理由」の判断方法

・「立法目的」の合理性

・「立法目的を達成するための手段」の合理性



 このように、「法内容の平等」については、「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」の観点からその合理性が審査されることになる。


 判例では下記のように述べられている。

◇ 「立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえない」か否かを検討した事例


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すなわち、加重の程度が極端であつて、前示のごとき立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なものといわなければならず、かかる規定は憲法一四条一項に違反して無効であるとしなければならない。

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尊属殺人 最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 (PDF

◇ 「立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうか」を検討した事例


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 そこで,本件においては,上記の考え方に基づき,本件規定が再婚をする際の要件に関し男女の区別をしていることにつき,そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり,かつ,その区別の具体的内容が上記の立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうかという観点から憲法適合性の審査を行うのが相当である。以下,このような観点から検討する。

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損害賠償請求事件  最高裁判所大法廷 平成27年12月16日 (PDF) (再婚禁止期間違憲訴訟)


 国(行政府)は下記のように述べている。


◇ 「立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に与えられた裁量の範囲を逸脱し又は濫用するものであることが明らかである場合」かどうかの検討


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 また、本件諸規定の憲法14条1項適合性を判断するとしても、その判断に当たっては、憲法24条の解釈と整合的に判断する必要があるほか、婚姻及び家族に関する具体的な制度の構築については立法府の合理的裁量に委ねられていることからすると、本件諸規定が憲法14条1項に違反する余地があるとしても、それは、本件諸規定の立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に与えられた裁量の範囲を逸脱し又は濫用するものであることが明らかである場合に限られるというべきであるところ、そのような事情が存しないことは、控訴答弁書第4の2ないし4(37ないし57ページ)で詳細に述べたとおりである

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【東京一次・第3回】被控訴人第2準備書面 令和6年2月29日 PDF



〇 憲法14条が「個人権」であること


 憲法上で何らかの比較を行う際には、「個人」が主体となり、別の「個人」との間で比較することになる。

 また、憲法14条1項の「平等原則」についても、その性質は「個人権」であり、「個人と個人の間の平等」をいう。

 

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ア しかしながら,憲法14条1項が規定する法の下の平等とは,個人と個人の間の平等をいい,同項が禁止する不合理な差別も,個人と他の個人との間の不合理な差別をいうものと考えられる(例えば,芦部信喜教授は,法の下の平等は「個人権」であり,「個人尊重の思想に由来」すると説明している(芦部信喜〔高橋和之補訂〕「憲法第七版」129 ページ)。

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【大阪・第6回】被告第4準備書面 令和3年2月19日 PDF (P4) (下線は筆者)

 

【札幌・第7回】被告第4準備書面 令和2年10月21日 PDF (P4)


 そのため、法制度について「個人」と「個人」の間に差異がある場合に、「区別取扱い」として認識し、その間を比較することが可能である。



◇ 権利能力

 民法上で「権利能力」を有し、法主体としての地位を有するのは「自然人」と「法人」である。

権利能力(ケンリノウリョク) 宅建用語集

民法3条:権利能力とは?わかりやすく解説【権利能力平等の原則】 2021年2月21日


権利能力 Wikipedia


【動画】
1分で「権利能力」がわかる! 【#1 民法を1分で勉強シリーズ・総則編】 2021/02/14

【動画】基本講義「民法」単元3後半 権利能力・意思能力・行為能力 2020/03/22

【動画】〔独学〕司法試験・予備試験合格講座 民法(基本知識・論証パターン編)第8講:権利能力と胎児 〔2021年版・民法改正対応済み〕 2021/05/28

【動画】【行政書士試験対策】権利能力//権利・義務の主体となれるのは? 2023/03/25

【動画】司法書士 はじめの一歩 ~Topic.07 胎児は「人」なのか?~【権利能力】 2020/12/18

【動画】民法本論1 01権利能力 2011/04/11 

【動画】2021応用インプット講座 民法5(総則5 権利能力) 2020/11/20

【動画】公務員試験対策 民法・権利能力・意思能力・責任能力・行為能力 2021/09/21


▽ 自然人


 自然人は出生によって「権利能力」を取得し、死亡することによって「権利能力」が消滅する。


民法

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  第二章 人

   第一節 権利能力

第三条 私権の享有は、出生に始まる

2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

○政府委員(工藤敦夫君) 

(略) 

 民法は、権利能力については出生に始まり死亡に至るまでということでございますが、満二十年をもって成年とすると。……(略)……

(略)

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第116回国会 参議院 予算委員会 第3号 平成元年10月24日


━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 民法は我々の生活関係を権利と義務に分解して規定し、規律するが、この権利及び義務の帰属主体となりうる資格を権利能力という。民法は、権利能力はあらゆる自然人が平等に有するとしているが、このことは近代法によって確立された原則であり、近代法が発達する以前の時代、すなわち奴隷制が存在した時代や、封建時代には、人によっては権利能力を認められない自然人も存在したのである。人は権利能力があって初めて法律的に自由な経済活動が可能となるのであり、その権利能力を自然人に平等に認めるのは、憲法の要請でもある。

…………………………………………………………………………………………………………………………………………

 権利能力の取得時期について、民法は「出生に始まる」としている。この出生がいつか、ということについては諸説あるが、民法の解釈としては、生まれてきた子供の体全体が母体から出たときを基準にする、いわゆる「全部露出説」が通説である。

…………………………………………………………………………………………………………………………………………

 権利能力の喪失時期、つまり死亡の時期については、心臓停止説、つまり、心臓が不可逆的に停止した時を基準とする説が通説である。最近では、脳死を基準とすべきであるという説も有力であるが、倫理や遺族感情などの問題とも絡み合い、脳死を基準とするのは困難であることが指摘されている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第15課 民法―権利義務の主体(自然人その1) (下線・太字は筆者) 


自然人 Wikipedia

人の始期 Wikipedia


第2章 私権の主体

第1節 自然人

第1款 権利能力

二 権利能力の始期 ①

二 権利能力の始期 ②

二 権利能力の始期 ③

二 権利能力の始期 ④

二 権利能力の始期 ⑤ 


▽ 法人


 「法人」の「権利能力」は法律の手続きによって形成される。


民法

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(法人の成立等)

第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 (略)

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法人 Wikipedia


 このことから、憲法14条1項の「平等原則」を用いて審査する場合においても、「権利能力」(法人格)を有し、法主体としての地位を認められている個々の自然人(あるいは法人)を対象として比較することになる。



〇 憲法24条の枠組みとの関係

 憲法24条は「婚姻」について「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。

 そのため、憲法24条で定められている枠組みそのものについては憲法14条1項を用いて審査する対象とはならない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 しかしながら、控訴答弁書第4の1(2)(35ないし37ページ)で述べたとおり、憲法24条1項の定める婚姻が異性間の人的結合関係のみを対象とするものとして本件諸規定により制度化され、他方、同性間の人的結合関係を対象とするものとして制度化されず、同性間で婚姻することができない事態が生じることは、憲法自体が予定し、かつ許容するものであるから、このような事態(差異)が生じることをもって、本件諸規定が憲法14条1項に違反すると解することはできない。

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【東京一次・第3回】被控訴人第2準備書面 令和6年2月29日 PDF


 よって、憲法14条1項によって審査することができる対象は、下記のような事例に限られる。


◇ 入口

 憲法24条の枠組みに従って定められている法律上の婚姻制度を個々人が利用することができるか否かについて区別取扱いが存在する場合

   ⇒ 婚姻適齢、再婚禁止期間など


◇ 内部

 憲法24条の枠組みに従って定められている法律上の婚姻制度であるとしても、その内容について個々人の間で区別取扱いが存在する場合

   ⇒ 男性と女性の間で主従関係や権利・義務の違い、相続できる割合に違いを設けた場合など


◇ 出口

 憲法24条の枠組みに従って定められている法律上の婚姻制度から個々人が離脱することができるか否かについて区別取扱いが存在する場合

   ⇒ 年齢や収入、婚姻期間によって異なる制度を設けた場合など


◇ 内外

 「婚姻している者(既婚者)」と「婚姻していない者(独身者)」との間で、「婚姻している者(既婚者)」の得ている優遇措置の内容が婚姻制度の立法目的を達成するための手段として不必要に過大なものとなっていないかどうか

 (優遇措置の内容が婚姻制度の立法目的を達成するための手段として不必要に過大なものとなっている場合には、その過大な優遇措置に関する規定が個別に失効することによって差異が是正されることになる。)



 例えば、「婚姻適齢」が定められていることにより、「婚姻適齢」を満たす者と満たさない者との間で婚姻制度を利用することができるか否かにおいて差異が生じるが、このような場合に、憲法14条1項の「平等原則」でその合理性を審査することが可能である。

 また、「婚姻している者(既婚者)」と「婚姻していない者(独身者)」との間で、「婚姻している者(既婚者)」が婚姻制度の立法目的を達成するための手段として不必要に過大な優遇措置を得ていると疑われる場合には、憲法14条1項の「平等原則」でその合理性を審査することが可能である。

 (優遇措置の内容が婚姻制度の立法目的を達成するための手段として不必要に過大なものとなっている場合には、その過大な優遇措置に関する規定が個別に失効することによって差異が是正されることになる。)


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 しかしながら、被控訴人としても、本件規定における特定の法的効果(優遇)の内容が婚姻制度の目的との関連で合理性を欠くものであれば、当該効果に係る規定が憲法14条1項に違反すると評価され得る場合があることを否定するものではない。……(略)……

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【札幌・第2回】被控訴人第1準備書面 令和4年3月4日 PDF


 婚姻制度による法的な効果や何らかの優遇措置を受けている状態が基準(スタンダード)であるかのような前提に基づいて「不平等」を訴える主張が見られる。

 しかし、憲法では、自然人は「個人主義」の下に各々「自律的な個人」として生存していくことを予定していることから、婚姻制度を利用していない状態が基準(スタンダード)である。

 そのため、婚姻制度の法的効果や優遇措置を受けている者と比べて、婚姻制度による法的効果や優遇措置を受けていない者が不利益を受けているということはない。それがもともとの基準(スタンダード)となるべき状態である。

 よって、婚姻制度の法的効果や何らかの優遇措置を受けている状態が基準(スタンダード)であるかのように考えることは誤りである。


 個々人は各々「個人主義」の下に平等である。

 そのような中、「子供」という存在については、自律的に生きていくことが難しいことから、特別に保護することが必要となる。

 そのため、子供が産まれる原因となる「生殖」の関係に着目し、子供を持つ可能性が推定される「男女」という組み合わせに対して法的効果や一定の範囲で優遇措置を講ずることによって、その制度の下で父親を特定することができる状態で子を産み(嫡出子)、その父親にも責任を担わせる形で子供を育てることを推奨しようとしているだけである。


 このような目的を達成するために形成された枠組みに該当しない場合については、そもそも優遇措置を講ずる必要はなく、「個人主義」の下に各々が「自律的な個人」として生存していくことが前提となっている。

 実際、「婚姻していない者(独身者)」は存在している。そのような者の「婚姻」していない状態こそが基準(スタンダード)となるべき状態である。


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厚生労働省の調査によりますと、一人暮らしの世帯数は去年6月時点で1849万5000世帯と全体の34%を占めていて、統計を始めた1986年以来、過去最多となりました。

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「子どもいる世帯」約983万世帯で過去最少 「一人暮らし」は過去最多 厚生労働省 2024年7月5日





14条と24条の整合性


 憲法14条1項の「平等原則」と憲法24条の関係について検討する。



 憲法上には、「平等原則」が定められている。

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第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

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 しかし、憲法上の例外として天皇制が認められている。

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    第1章 天皇

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

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 また、憲法上の例外としての天皇制には、もともと憲法上に予定された「平等原則」の及ばない差別であり、皇室典範の「男系の男子」については、憲法14条1項の「平等原則」が及ばないとする説がある。

皇室典範
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    第一章 皇位継承

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
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 憲法上の他の「原則」と「例外」の関係を確認する。

 

憲法上の【原則】とその【例外】の具体例

【原則】

【例外】

9条1項 戦争放棄

9条2項 戦力不保持・交戦権否認

(13条 立法その他国政の上で生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の最大の尊重)

14条1項 法の下の平等

14条2項 華族その他の貴族の否認

1条 天皇制

50条 国会議員の不逮捕特権

51条 国会議員の免責特権

19条 思想良心の自由

12 人権保持義務

(人権思想を採用し、保持しなければならない義務。ただ、「人権を保持しない・尊重しない」という主張があったにせよ、そのような思想の自由を確保するためにも、前提として「思想良心の自由」という人権が必要となるため、同時に人権を保持することにもなる。)

21条 表現の自由

12条、13条 公共の福祉

(刑法230条 名誉棄損罪、刑法231条 侮辱罪、刑法174条 公然わいせつ罪、刑法175条 わいせつ物頒布罪等)

その2 表現の自由と公共の福祉 2017/1/20

21条2項後段 通信の秘密の不可侵

12条、13条 公共の福祉

(通信傍受法〔犯罪捜査のための通信傍受に関する法律〕)

29条1項 財産権の不可侵

29条2項 公共の福祉、3項 私有財産の正当な補償と公共利用

36条 公務員による拷問および残虐な刑罰の絶対禁止

なし

76条2項 特別裁判所の禁止

64条 弾劾裁判所

裁判官弾劾法

82条 裁判の対審及び判決は、公開法廷で行う

82条2項前段 裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合に、対審は公開しないで行うことができる

例外の例外】

(82条2項後段 政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常に公開)



 これらの事例と同様に、24条1項の「両性」「夫婦」「相互」の文言が婚姻制度の内容を一夫一婦制とすることを要請し、「男女二人一組」に限定する趣旨で立法裁量の限界を画しているとしても、それは憲法上でもともと予定されているものとなることから、そのことが憲法上の他の規定との間で矛盾することはなく、憲法上の他の規定による審査は及ばない。

 そのため、「三人以上の人的結合関係」や「同性間の人的結合関係」(同性同士の組み合わせ)を「婚姻」として扱っていないことについて、憲法14条1項の「平等原則」による審査の対象とはならない。


 これにより、法律によって「三人以上の人的結合関係」や「同性間の人的結合関係」を「婚姻」としていないことについて、そのことが憲法14条1項の「平等原則」に違反するということはない。


【参考】「14条によって一般的な平等原則を定めていても、その中に例外的な領域を設定することは可能」 Twitter

【東京二次・第3回】被告第2準備書面 令和3年11月30日 PDF (P25~)



 これとは別に、個々人について、婚姻適齢に達しているのであれば婚姻制度(男女二人一組)を利用することは可能であることから、そこに区別取扱いは存在しない点も押さえる必要がある。

 この点の、婚姻制度がどのような組み合わせを対象としているかという問題と、個々人が婚姻制度を利用できるか否かという問題は切り分けて考える必要がある。

 

 婚姻が成立するための「条件」 と、「区別取扱い」の違いについては、当サイト「同性婚訴訟 名古屋地裁判決の分析」のポイントで解説している。

 






憲法13条


 例えば、刑法の「重婚罪」に該当した場合には刑罰が科せられる。

 その刑罰の内容によっては個々人の有している「自由権」に対する制約が行われることになるから、「国家からの自由」が制限されていることになる。

 この場合に、その刑罰の内容が不必要に過大なものとなっており、刑罰の目的を達成するための手段として著しく均衡を欠くものとなっている場合などには、13条を用いてその侵害を排除することが可能となる場合が考えられる。

 




 ただ、民法上の婚姻制度については、「国家からの自由」という「自由権」によって排除しなければならないとする国家から個人に対する具体的な侵害行為が存在していない。

 よって、13条を用いる場面ではない。


 刑法で規定された凶器準備集合を行った場合に刑罰が科せられることについては、個々人の有している「自由権」に対する制約であることから、「国家からの自由」が制限されているといえる。

 

凶器準備集合罪・凶器準備結集罪 Wikipedia


 また、刑法が近親相姦や婚姻適齢に満たない者との生殖行為を禁じている場合に、その行為を行った者に対して刑罰が科せられるのであれば、個々人の有している「国家からの自由」という「自由権」が制限されているといえる。

 刑法の重婚罪に該当した場合に刑罰が科せられることについても同様である。

 この場合、その制約が立法目的を達成するための手段として不必要に過大である場合には、13条などによってその制約を排除することが可能となる場合が考えられる。

 しかし、民法上の婚姻制度については、このような性質とは異なる。

 婚姻制度は、各人が思うままに人的結合関係を形成して「生殖」を行った場合に社会的に不都合が生じることから、これを解消することを目的として一定の人的結合関係に優遇措置を与えることによって、人々が人的結合関係を形成するあり方を社会全体として一定の範囲に誘引しようとする公共政策としての意味がある。

 これは、「婚姻していない者(独身者)」が基準(スタンダード)である中で、婚姻制度を利用した場合には一定の優遇措置が与えられるという仕組みであり、婚姻制度の対象でない場合であっても、単に優遇措置がないという状態にとどまる。

 つまり、個々人が有している「国家からの自由」という「自由権」が侵されるという性質のものではない。 

 そのことから、13条によって排除しなければならないという制約がそもそも存在していない。


 (特許認可届出制


 その他、この13条を用いて具体的な制度の創設を国家に対して求めることはできない。

 









「公共の福祉」による審査

 法制度を構築する際には、「公共の福祉」に適合するか否かが問われることになる。

 「公共の福祉」に適合する場合には政策として実現することができるが、「公共の福祉」に反する場合には政策として実現することができない。


 憲法学者「宮沢俊義」によれば、「公共の福祉」の意味は「人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理」であるとされている。

 これは、学問上で「一元的内在制約説」と呼ばれている。


 政府答弁でも、下記のように述べられている。


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○政府特別補佐人(山本庸幸君) お答え申し上げます。

 一般に、憲法が保障する基本的人権でありましても、それは無制限のものではなくて、他人の人権との関係で制約を受けることがあるということは当然だと思われております。

 そこで、御指摘の公共の福祉でございますが、憲法十三条や二十九条に規定されておりますけれども、これはまさにそういう人権相互の矛盾や衝突を調整するための原理だというふうに考えられております。

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第183回国会 参議院 予算委員会 第9号 平成25年4月22日


 民法1条1項には「私権は、公共の福祉に適合しなければならない。」と定められている。


民法

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    第一章 通則


(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。


(解釈の基準)

第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

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 このため、民法の規定からも「公共の福祉」に適合することが求められている。

 




 この考え方を基底として、憲法に違反するか否かを判断するための基準(違憲審査基準)をどのような方法で導き出すかを考える。


 「公共の福祉」の内容は、「立法の目的等に応じて具体的に判断」することが必要となる。

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○政府参考人(宮崎礼壹君) 

(略)

 憲法第十三条は、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする旨、定めております。この規定からも、公共の福祉のため必要な場合に、合理的な限度において国民の基本的人権に対する制約を加えることがあり得るものと解されておるわけでありまして、その場合における公共の福祉の内容や制約の可能な範囲につきましては立法の目的等に応じて具体的に判断されなければならないというふうに、このように考えられております。

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第156回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 平成15年7月16日


 よって、法令が「公共の福祉」に適合するものであるか否かを判断する際には、その法令の「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」を具体的に検討することになる。

 




権利の性質による違い

 権利の性質に応じて分けて考えるべき点について検討する。

 下記の二つの性質を分けて考える必要がある。

 

① 「生来的、自然権的な権利又は利益、人が当然に享受すべき権利又は利益」

  「法制度を離れた生来的、自然権的な権利又は利益として憲法で保障されているもの」

 

② 「法律によって定められる制度に基づき初めて具体的に捉えられる」「権利利益等」

  「法律(…)に基づく制度によって初めて個人に与えられる、あるいはそれを前提とした自由」


 これは、国(行政府)が下記のように説明しているものである。


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 もっとも、婚姻及び家族に関する事項については、前記2(1)のとおり、憲法24条2項に基づき、法律によって具体的な内容を規律するものとされているから、婚姻及び家族に関する権利利益等の内容は、憲法上一義的に捉えられるべきものではなく、憲法の趣旨を踏まえつつ、法律によって定められる制度に基づき初めて具体的に捉えられるものである。そうすると、婚姻の法的効果(例えば、民法の規定に基づく、夫婦財産制、同居・協力・扶助の義務、財産分与、相続、離婚の制限、嫡出推定に基づく親子関係の発生、姻族の発生、戸籍法の規定に基づく公証等)を享受する利益や、「婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするか」を当事者間で自由に意思決定し、故なくこれを妨げられないという婚姻をすることについての自由は、憲法の定める婚姻を具体化する法律(本件諸規定)に基づく制度によって初めて個人に与えられる、あるいはそれを前提とした自由であり、生来的、自然権的な権利又は利益、人が当然に享受すべき権利又は利益ということはできない。このように、婚姻の法的効果を享受する利益や婚姻をすることについての自由は、法制度を離れた生来的、自然権的な権利又は利益として憲法で保障されているものではないというべきである。

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【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日


 下記のようにも説明されている。


① 「生来的な権利」


② 「法制度を待って初めで具体的に捉えられる」「権利利益」

  「法制度をまって初めて具体的に捉えられるもの」

  「一定の法制度を前提とする人格権や人格的利益」

  「具体的な法制度の構築とともに形成されていくもの」

  「法制度において認められた権利や利益」

  「法制度において認められた利益」


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 前記第4 の2 (1)において述べたとおり、婚姻及び家族に関する事項は、憲法24条2項に基づき、法律が具体的な内容を規律するものとされているから、婚姻及び家族に関する権利利益の内容は、憲法上一義的に捉えられるべきものではなく、憲法の趣旨を踏まえつつ定められる法制度を待って初めで具体的に捉えられるものである。 

 この点、平成27年夫婦別姓訴訟最高裁判決は、 「氏に関する上記人格権の内容も、憲法上一義的に捉えられるべきものではなく、憲法の趣旨を踏まえつつ定められる法制度をまって初めて具体的に捉えられるものである」と判示しており、これについては、「一定の法制度を前提とする人格権や人格的利益については、いわゆる生来的な権利とは異なる考慮が必要であって、具体的な法制度の構築とともに形成されていくものであるから、当該法制度において認められた権利や利益を把握した上でそれが憲法上の権利であるかを検討することが重要となるほか、当該法制度において認められた利益に関しては憲法の趣旨を踏まえて制度が構築されたかとの観点において、まだ具体的な法制度により認められていない利益に関してはどのような制度を構築するべきかとの観点において憲法の趣旨が反映されることになることを説示したものと思われる」と解されている(畑・前掲解説民事篇平成27年度(下)737ないし739ページ参照)

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【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 


 ①は、「国家からの自由」という意味の「自由権」に対応するものである。

 これは、刑法が刑罰を科す場合のように、個々人の有する「国家からの自由」という「自由権」を制限するタイプの法制度における考え方である。


 ②は、何らかの制度を個々人が利用するタイプの法制度における考え方である。



 「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」の合理性を審査する際には、権利の性質に応じてこれらを分けて考える必要がある。



①の「国家からの自由」という「自由権」を制約するタイプの規範について妥当するもの

 

◇ 「立法目的」の合理性


「自由権」を規制する「目的」に合理的な根拠はあるか


◇ 「立法目的を達成するための手段」の合理性

 
「目的を達成するための手段」として

・必要最小限度であるか(身体的自由権・精神的自由権など)  【動画】(南野森) 【動画】(伊藤真) 

より制限的でない他に選び得る手段がないか

より緩やかな手段がないか 

・必要な限度にとどまるか(経済的自由権など)  【動画】(伊藤真)

・合理的関連性があるか  【動画】(南野森)


【動画】九大法学部・憲法2(人権論)第15回〜「審査基準論」「二重の基準論」「平等原則」・2021年度後期 2021/12/09

【参考】予備試験・司法試験で求められる「憲法のセンス」 2022/09/30


 刑法上の「重婚罪」や戦前に存在した「姦通罪」については、刑罰として個々人の「自由権」を制約する性質上、「必要最小限度」の規制として正当化されるかどうかの判断となると考えられる。



②の何らかの制度を個々人が利用するタイプの法制度について妥当するもの

 

◇ 「立法目的」の合理性

 

具体的な制度を設けている「目的」に合理的な根拠はあるか


◇ 「立法目的を達成するための手段」の合理性


「目的を達成するための手段」として

・合理的関連性があるか

・著しく不合理であることが明白でないか


 国(行政府)は、婚姻制度が②のタイプであることを理由として、憲法違反となる場合は、「本件諸規定の立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に与えられた裁量の範囲を逸脱し又は濫用するものであることが明らかである場合に限られるというべきである。」(【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 〔P37〕)と述べている。 



 注意したいのは、②の「法律によって定められる制度に基づき初めて具体的に捉えられる」「権利利益等」について問われている事柄であるにもかかわらず、それがあたかも①の個々人の有する「国家からの自由」という「自由権」を制約する法制度であるかのように誤解して、その法制度の中に存在する規範を撤廃する方向で考えれば、国民の福利に繋がるかのように考えてしまうことである。
 ①の「国家からの自由」という「自由権」を制約するタイプの法制度の場合には、その規制が目的を達成するための手段として合理的であるか否かを検討し、それが合理的であるとはいえない部分については、その規制を撤廃することがその「自由権」を制約されている立場にある国民の福利を最大化することに繋がる場合があるといえる。

 しかし、②のタイプの法制度については、何らかの立法目的を達成するための手段として整合的な形で規範が定められているかについて検討することはできるが、そこに定められている規範を撤廃すれば、直ちに国民の利益に繋がるというものではない。

 むしろ、むやみに規範を撤廃した場合には、制度そのものが立法目的を達成するための手段として機能しなくなったり、制度全体を整合的に理解することが不能となって制度そのものが成り立たなくなるなど、国民に弊害を生じさせることに繋がる。

 そのため、この点を誤解して、②のタイプの法制度について、①の「国家からの自由」という「自由権」を制約するタイプの法制度において存在する規範を撤廃していく論理と同様であるかのように考え、規範を撤廃すれば直ちに国民の福利の最大化に繋がるかのような前提で論じることは誤りである。

 





 性同一性障害特例法についても、下記のように整理することができる。

 




 特例法についての議論が混乱している原因は、特例法が②のタイプの法制度であるにもかかわらず、あたかも①の「国家からの自由」という「自由権」を制約する法制度であるかのような前提に基づいて、13条を持ち出して論じ始めたことにある。

 特例法は「国家からの自由」という「自由権」を制約する法制度ではないことから、本来、13条を用いて規定を無効化することはできないものである。

 この点の理解を修正することによって、法制度を整合的に形成することが可能となる。


 婚姻制度と特例法との関係についても、上図のように考えることで整合的に理解することが可能である。

 




政策的な合理性


 婚姻制度を利用するには、「男女」「近親者等でない」「二人一組」「婚姻適齢」という条件を満たすことが求められている。

 そのため、「近親者との人的結合関係」や「三人以上の人的結合関係」、「婚姻適齢に満たない者との人的結合関係」は制度の対象となっていない。


【参考】「『両性』でも 『近親婚』は禁止されてるのでは・・・」 Twitter

 

 このように婚姻制度には一定の枠が存在しており、その内容を個々人が自由に決定することができるというものではないが、このことを「公共の福祉」の観点からどのように考えればよいのかを検討する。 


 ただ、「婚姻」の概念それ自体による内在的な限界や、憲法24条の「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言によって限界付けられている部分については、「公共の福祉」による審査を行う前提にないことに注意が必要である。


 そこで、婚姻制度の「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」についてを検討する。 

 




目的と手段を特定する方法

 法令の「立法目的」と「立法目的を達成するための手段」の内容を明らかにする際に、「比較衡量論」や「二重の基準論」などの視点を用いることの有用性が提唱されている。

 

 「比較衡量論」や「二重の基準論」などの理論は、それを根拠としてそのまま何らかの結論が導き出されるというものではない。

 そのため、これらの理論は、法令に含まれている「立法目的」と「立法目的を達成するための手段」の内容を特定する際に求められる視点や心得と位置付けることが妥当であると考えられる。



比較衡量論

 

 「比較衡量論」とは、「憲法 芦部信喜 第三版〔P98〕」によれば下記の考え方である。


 「それを制限することによってもたらされる利益とそれを制限しない場合に維持される利益とを比較して、前者の価値が高いと判断される場合には、それによって人権を制限することができる」


 この意味を筆者が補足すると、下記のようになる。


 「その法令(や規定)がある場合と、その法令(や規定)がない場合を比較し、その法令(や規定)がある場合の方が有益であると考えられる場合には、そこにその法令(や規定)の立法目的が存在することは明らかであり、その立法目的を達成するための手段としてその法令(や規定)が存在することを意味していることになるから、『立法目的』と『その立法目的を達成するための手段』を特定することが可能となる。そして、『立法目的』と『その立法目的を達成するための手段』の内容が合理的である場合には、その法令(や規定)を正当化することができる」


 このように、その法令(や規定)がある場合とない場合を比較することによって、「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」の内容を明らかにすることが可能となる。


 上記の「比較衡量論」の説明には「人権を制限する」と記載されている。

 しかし、婚姻制度については国家から個人に対して具体的な侵害行為を行う性質のものではなく、個々人が有する「国家からの自由」という意味の「自由権」を制限するものではないことから、この文面と直接的に対応するものではない。

 そのため、「比較衡量論」の考え方を参考とするとしても、これを、婚姻制度を設ける場合にその対象となる場合とならない場合があり、そのような差異を生じさせる制度を設けていることを正当化することができるかという観点から検討する。

 

 そこで、婚姻制度を設けることによって得られる利益の内容を明らかにするため、「婚姻制度を設けている社会」と「婚姻制度を設けていない社会」とを比較し、「婚姻制度を設けている社会」の方がよいと判断できるかどうかを検討する。


◇ 婚姻制度を設けていない社会


 その社会の中で何らの制度も設けられていない場合には、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合をが発生する。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。



◇ 婚姻制度を設けている社会

 制度を設けることによって、上記の問題が解消されるのであれば、その社会の方がよいと考えられる。


 上記の「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するためには、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること


 これらの目的を実現することは、福祉の整った社会を構築する上で不可欠であるといえる。

 そして、これらの目的を達成するためには、下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


 ・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

 ・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

 ・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

 ・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること

 

 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その制度に法的効果や一定の優遇措置を設けることで、その制度を利用する者を増やし、これらの目的を達成することを目指すことになる。


 このような「男女二人一組」などの要件を満たした関係を法的に結び付ける制度を設けることによってもたらされる利益は、その制度を設けない場合に「生殖」に関わって不都合が生じる社会よりもよいと判断できると考えられる。

 



 

 よって、婚姻制度の立法目的は正当であり、その立法目的を達成するための手段として整合的な形で枠組みを設けていることについては、正当化することができるといえる。


二重の基準論


 「二重の基準論」とは、下記のような理論である。


 「精神的自由権」に対する規制と「経済的自由権」に対する規制の在り方を比較した場合を考える。

 政治部門が「経済的自由権」を規制した場合に、「経済的自由」については一度損なわれたとしても民主制の過程(選挙等)が機能している限りは、国民が民主制の過程を通してその規制を是正することが容易である。そのため、裁判所による法的審査は緩やかなものでよく、結果して裁判所は政治部門による「経済的自由権」に対する規制を正当化する判断を行いやすくなってもよい。

 それに対して、政治部門が「精神的自由権」を規制した場合に、「精神的自由」については一度損なわれると民主制の過程(選挙等)そのものが正常に機能しなくなることから、国民が事後的に民主制の過程を通してその規制を是正することが困難となる。そのため、裁判所による法的審査は厳格に行わなければならず、結果として裁判所は政治部門による「精神的自由権」に対する規制を積極的に違憲と判断することでその規制を取り除き、権利救済を行う必要がある。


【動画】司法試験入門講座 プレ講義 「体系マスター」憲法5 「知る権利、基本的人権の限界」 2020/03/12


 ただ、ここで判断の分かれ目となっているのは、「精神的自由権」や「経済的自由権」という権利の性質というよりも、「民主制の過程を経ることによって是正することができるか否か」の点にあると考えられる。

 

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3. 二重の基準論に対する批判的学説及びそれに対する私見

 

 まず,多くの学説によって二重の基準論の第一の根拠として挙げられる民主政治のプロセスの理論に対しては,次の様な疑問が一部の学説によって提起されている。すなわち,通説はこの民主政治のプロセスの理論により,精神的自由の優越的地位を導いているが,民主政治のプロセスの理論において重要なことは,権利が政治参加に不可欠なものかどうかであって,精神的自由であるかどうかではないのではないか[松井1994:274-275]。

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二重の基準論の批判的検討及び再構成 早稲田大学リポジトリ (P157) (下線は筆者)


 この意味を筆者が補足すると、「民主制の過程を経て立法される法令によって一度その自由や権利が損なわれた場合に、再び民主制の過程を経ることによってその自由や権利を回復することが困難となる性質の事柄については、裁判所の法的な審査の中で、その法令の『立法目的』と『その立法目的を達成するための手段』の内容を特定する際に、そのような性質の自由や権利が損なわれることがないように意識して判断を行うことが必要である」というものである。


 そこで、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられている婚姻制度の機能においては切り離すことのできない「子供」の存在について検討する。

 「子供」は選挙権を有していないことから、法令によって一度「子供の権利」が損なわれた場合には、それを事後的に民主制の過程を経ることによって是正することが困難となる。

 この点で、「二重の基準論」と類似した側面が見られる。

 そのため、「子供の権利」を損なわせる側面を有する法整備を求めることとなる主張に対しては、その法令の「立法目的」と「立法目的を達成するための手段」の内容を勘案する際に「子供の権利」を保障する側面を重視し、「子供の権利」が損なわれることのない形で判断を行うことが必要となる。

 つまり、親など子供以外の大人の都合を優先するような形で「立法目的」と「その立法目的を達成するための手段」の内容を勘案する事は適切ではないということである。


 下記は法律論でない部分が含まれているものもあるが、子供との関係をどのように考えるべきかについて詳しい。

 

同性婚をめぐる論点 ―憲法24条と子供の福祉― 2019年4月19日

子供の福祉を保障する「婚姻制度」と家族支援の課題 ―札幌「同性婚」判決と現代社会― 2021年10月21日

「子供の最善の利益」からみた生殖補助医療の現状と課題 ―「個人の人権」「自己決定」と子供の保護― 2022年6月28日

 







婚姻制度の立法目的と達成手段

 

 その社会の中で何らの制度も設けられていない場合には、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合が発生する。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。

 これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること


 これらの目的を実現することは、福祉の整った社会を構築する上で不可欠と考えられる。

 そして、これらの目的を達成するためには、下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


 ・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

 ・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

 ・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

 ・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。

 そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることで、婚姻制度を利用する者を増やし、これらの目的を達成することを目指すものとなっている。

 




 婚姻制度の内容を具体的に検討する。


〇 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること


 この目的を達成するためには、「生殖」によって子供が生まれた場合に、その子供の母親が一人で育てなければならないことの負担を軽減するため、遺伝上の父親を極力特定し、その者にも子供に対する責任を負わせることが必要となる。

 そのため、一般的・抽象的にその間で自然生殖を想定することができる「男性」と「女性」の組み合わせに対して「貞操義務」を設けることが必要となる。


 他にも、子供が父親を特定することができる嫡出子として生まれることを重視し、非嫡出子として生まれることを抑制することが必要となる。

 そのため、婚姻関係にある者(や嫡出子)に対する優遇措置を設けることが必要となる。 


[婚姻制度ではない代替策]

 その国で生まれた子供はすべて国の保育施設で24時間365日、税金を投入して育てる。この場合、婚姻制度を廃止することも可能となる。婚姻制度が廃止されたならば、貞操義務もなくなる。潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ぐため、近親者との間で近親交配に至ることを防ぐ手立ては別に検討する必要がある。



〇 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること


 この目的を達成するためには、遺伝上の父親を極力特定し、それを中心として近親者の範囲を把握し、「近親交配」に至ることを防ぐことのできる仕組みを導入することが必要となる。

 そのため、遺伝上の父親を特定できる関係に限定し、その間に「貞操義務」を設けることが必要となる。


 また、女性の再婚禁止期間を定め、遺伝上の父親を特定できるように配慮することが必要となる。

 他にも、子供が父親を特定することができる嫡出子として生まれることを重視し、非嫡出子として生まれることを抑制することが必要となる。

 そのため、婚姻関係にある者(や嫡出子)に対する優遇措置を設けることが必要となる。


 さらに、近親者との間で「生殖」を行うことを政策として推進しない制度とするため、「近親婚」を認めないものとすることが必要となる。


[代替策]

 国民全員に遺伝子検査を義務付けることで、遺伝上の近親者を特定する。そして、近親者に該当しない者とは、誰とでも「婚姻」を可能とする。



〇 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと


 この目的達成するためには、社会の中で「子を持つことを希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じないような仕組みとすることが必要となる。

 子を持つためには必ずしも婚姻しなければならないわけではない。しかし、国家が政策の手段として法律上の婚姻制度を設けている以上は、婚姻制度を利用することによって「子の福祉」の実現される社会基盤を構築することが予定されている。

 そのことから、未婚の男女という観点から数の均衡をカウントし、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすことができるような仕組みとする必要がある。


 この目的を達成するためには、下記の方法が考えられる。

 

 ・ 婚姻を一夫一婦型とすること 

 ・ 重婚や重婚状態を防ぐこと

 ・ 複婚や複婚状態を防ぐこと

 ・ 非嫡出子として生まれることを抑制すること(婚姻関係にある者〔や嫡出子〕に対する優遇措置)


[代替策] 

 未婚の男女の数の不均衡によって「子供を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれてしまうことを防止するために、婚姻制度を一生のうちで何度か結婚・離婚が繰り返されるような緩い関係を想定するものに設計変更する可能性も考えられるが、その場合には「子供の福祉」の質に影響すると考えられる。



〇 母体を保護すること

 この目的を達成するためには、低年齢での妊娠・出産を抑制することが必要となる。

 そこで、「婚姻適齢」を設けることが必要となる。


[代替策]

 「婚姻適齢」を廃止し、女性の生物学的な成熟度を個々に検査し、一定の成熟が認められたか、子を産むことができないことが明らかである場合など、検査を通過した場合には「婚姻」を可能とする制度とする。

 

【参考】「個別に生殖能力の有無を確認して婚姻を許可することがプライバシー侵害になる」 Twitter



 まとめると、下記のように整理することができる。

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① 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

(→ 嫡出子として父親を特定することができる状態で生まれることを重視)

② 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

(→ 貞操義務と嫡出推定、再婚禁止期間によって遺伝的な父親を極力特定し、それを基に遺伝的な近親者を把握し、近親婚を認めないことによって『近親交配』に至ることを防止)

③ 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

(→ 未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定。一夫一婦制。重婚や重婚状態、複婚や複婚状態の防止。)

④ 母体を保護すること

(→ 婚姻適齢を設定)

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 婚姻制度は、「男性」と「女性」の間に「貞操義務」を設けることによって、その「女性」から生まれてくる子供の遺伝的な父親を特定することを重視するものとなってる。

 これは、産まれてくる子供に対して、母親だけでなく、父親にも責任を担わせることによって、「子の福祉」の充実を期待するものとなっているからである。

 子は何らの因果関係もなく突然「女性」の腹から生まれてくるわけではないため、その子が生じるという因果関係の一旦を担う父親に対してその子に対する責任を担わせる仕組みとすることは、逃れることのできない責任を有する者として合理的ということができるからである。

 また、遺伝上の父親を特定できることは、遺伝上の近親者を把握することが可能となるため、その近親者との間で「婚姻」することができない仕組みを導入することで、「近親交配」に至ることを防止することが可能となる。

 これによって、産まれてくる子供に潜性遺伝子が発現することを抑えることが可能となり、産まれてくる子に遺伝上の障害が生じるリスクを減らすこともできるからである。

 他にも、婚姻制度の枠組みが「男女二人一組」となっていることは、その社会の中に男女がほぼ同数生まれているという前提の下では、未婚の男女の数に不均衡が生じることはないため、より多くの者に「子を持つ機会」を確保することを可能とするものとなっている。

 その他、婚姻制度のもつ子供の遺伝上の父親を特定することができる形での「生殖」を推進する仕組みからは、婚姻制度を利用する形で子供を妊娠し、出産することを期待する(インセンティブを与える)ものとなっているが、その妊娠、出産に関して母体の保護の観点からリスクのある状態を推奨することはできないし、親となる者が低年齢のままに子を持つという責任を担う立場に置かれることを推進することも望ましくないことから、婚姻制度の利用に対して「婚姻適齢」という形で一定の年齢制限を設けるものとなっている。


 これらの意図を満たす形で「男女二人一組」という枠組みを設定し、その婚姻制度の枠組みに従う者に対して、一定の優遇措置を講じることによって、婚姻制度の利用者を増やし、その立法目的を達成することを目指すものとなっている。

 



 

 国が政策の手段として婚姻制度を設けている理由は、これらの「生殖」に関わって発生し得る社会的な不都合を解決することにある。


 婚姻制度は一定の枠を設けることによって、これらの目的を達成しようとするものであることから、その枠をむやみに取り払うことは、婚姻制度の目的を達成することが困難となり、制度そのものの価値が損なわれたり、制度自体が成り立たなくなることに繋がる。

 そのため、これらの目的を切り離して「婚姻」を観念することはできない。 

 このことから、「婚姻」は、これらの目的を達成するために「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する意味で設けられた枠組みであるといえる。

 そして、その内容は一般的・抽象的に規格化する形(パッケージ)で定められることになる。



 社会的に発生し得る様々なリスクを軽減するための政策の一つとして婚姻制度が整備されており、その利用を促進させるために婚姻した者に対していくつかの優遇措置が与えられることとなる。

 これらのリスクが回避された関係性を形成する仕組みに対する信頼性が、婚姻制度の価値(ブランド)を形成しているのであり、もしこの意図を損なう形の制度に変わってしまった場合には、婚姻制度の有している価値(ブランド)そのものが失われることとなる。


 人によっては、婚姻制度を利用できない関係性にある者(親子や兄弟姉妹などの近親者等・複数名・婚姻適齢に満たない者・同性の者)との間で婚姻関係を形成し、婚姻制度の価値(ブランド)を手にしたいと願う者がいるかもしれない。

 しかし、これらのリスクを軽減する制度として機能していることが、婚姻制度の価値(ブランド)を形成しているのであり、それらを損なった場合には、制度そのものの価値(ブランド)も損なわれてしまうことを理解する必要がある。

 制度を変更できるかを考えるとしても、それらを損なわせることのない形で実現する方法があるかないかを検討することが必要である。



 法律論ではないが、社会の中では、婚姻することに対して何か素晴らしいものであるかのようなイメージを抱かせる表現が多い。

 しかし、それらの表現は、国家政策に対する知識のない者に対して、婚姻制度の利用を促進させ、利用者は婚姻制度の枠内で社会的に支障のない生活を送るように誘引しようとするためにつくられた演出に過ぎない。

 知識の少ない者を誘引するための「象徴」に過ぎないものに対して、絶対的な価値があるかのような錯覚を抱いてしまうことがないように注意する必要がある。

 その「象徴」として表れているものが社会の中で価値あるものと見なされていることの源泉にあるものを丁寧に読み解く必要がある。



 最高裁の「嫡出推定決定」と「夫婦別姓判決」の中で示された婚姻の趣旨を読み解く。



嫡出推定決定


<性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者の妻が婚姻中に懐胎した子と嫡出の推定>


【決定】戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成25年12月10日

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① 裁判官寺田逸郎の補足意見は,次のとおりである。


1 現行の民法では,「夫婦」を成り立たせる婚姻は,単なる男女カップルの公認に止まらず,夫婦間に生まれた子をその嫡出子とする仕組みと強く結び付いているのであって,その存在を通じて次の世代への承継を予定した家族関係を作ろうとする趣旨を中心に据えた制度であると解される嫡出子,なかでも嫡出否認を含めた意味での嫡出推定の仕組みこそが婚姻制度を支える柱となっており,婚姻夫婦の関係を基礎とする家族関係の形成・継承に実質的な配慮をしていると考えられるのである(注1)戸籍上女性とされていた性同一性障害者の性別を男性に変更することを認める特例法が,婚姻し,夫となることを認める限りでの適用に限定せず,民法の適用全般について男性となったものとみなすとして(4条),嫡出推定に関する規定を含めた嫡出子の規定の適用をあえて排除していないのも,このように婚姻と強く結び付く嫡出子の仕組みの存在をもふまえてのことであると解される。


(略)

 
(注1)婚姻し,夫婦となることの基本的な法的効果としては,その間の出生子が嫡出子となることを除くと,相互に協力・扶助をすべきこと,その財産関係が特別の扱いを受けること及び互いの相続における相続人たる地位,その割合があるが(民法752条,755条以下,768条,890条,900条),これらは,本質的には,とりわけ強く結び付いた共同生活者であるがゆえの財産関係の規整であり,扶養の必要性の反映であると解される(婚姻していないカップルなどにも事情に応じて夫婦に準じた扱いを当てはめるべきであるとする解釈論があることが,このことを裏付ける。)男女カップルに認められる制度としての婚姻を特徴づけるのは,嫡出子の仕組みをおいてほかになく,その中でも嫡出推定は,父子関係を定める機能まで与えられていることからも中心的な位置を占める。また,嫡出子とされることにより未成年の間は自動的に夫婦の共同親権に服することとなること(同法818条1項,3項)は,まさに婚姻と嫡出子との結び付きを明らかにするものであるし,嫡出子は夫婦の氏を称することとされていて(同法790条1項本文),夫婦に同氏を称するよう求められる仕組み(同法750条)の下でいずれかの氏を選択することが,実質的には嫡出子の氏を決める意味を持つことも見逃せないところである

 なお,本文を含めた以上の説明は,嫡出子とそのもととなる婚姻との関係についての現行法における理解を示したものであり,異なる制度をとることを立法論として否定するものではなく,これを維持するか修正するかなどは基本的にすべて憲法の枠内で国会において決められるべきことであることはいうまでもない。

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(見やすくするために改行を加え、①と番号を付けている。)

 


夫婦別姓判決

<夫婦別姓違憲訴訟>


【判決】損害賠償請求事件 最高裁判所大法廷 平成27年12月16日PDF)当サイト(夫婦別姓判決を読む

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① 裁判官寺田逸郎の補足意見は,次のとおりである。


(略)


(1) およそ人同士がどうつながりを持って暮らし,生きていくかは,その人たちが自由に決められて然るべき事柄である。憲法上も,このことを13条によって裏付けることができよう。これに対して,法律制度としてみると,婚姻夫婦のように形の上では2人の間の関係であっても,家族制度の一部として構成され,身近な第三者ばかりでなく広く社会に効果を及ぼすことがあるものとして位置付けられることがむしろ一般的である。現行民法でも,親子関係の成立,相続における地位,日常の生活において生ずる取引上の義務などについて,夫婦となっているかいないかによって違いが生ずるような形で夫婦関係が規定されている。このような法律制度としての性格や,現実に夫婦,親子などからなる家族が広く社会の基本的構成要素となっているという事情などから,法律上の仕組みとしての婚姻夫婦も,その他の家族関係と同様,社会の構成員一般からみてもそう複雑でないものとして捉えることができるよう規格化された形で作られていて,個々の当事者の多様な意思に沿って変容させることに対しては抑制的である。民事上の法律制度として当事者の意思により法律関係を変容させることを許容することに慎重な姿勢がとられているものとしては,他に法人制度(会社制度)や信託制度などがあるが,家族制度は,これらと比べても社会一般に関わる度合いが大きいことが考慮されているのであろう,この姿勢が一層強いように思われる


(2) 現行民法における婚姻は,上記のとおり,相続関係(890条900条等),日常の生活において生ずる取引関係(761条)など,当事者相互の関係にとどまらない意義・効力を有するのであるが,男女間に認められる制度としての婚姻を特徴づけるのは,嫡出子の仕組み(772条以下)をおいてほかになく,この仕組みが婚姻制度の効力として有する意味は大きい(注)。現行民法下では夫婦及びその嫡出子が家族関係の基本を成しているとする見方が広く行き渡っているのも,このような構造の捉え方に沿ったものであるといえるであろうし,このように婚姻と結び付いた嫡出子の地位を認めることは,必然的といえないとしても,歴史的にみても社会学的にみても不合理とは断じ難く,憲法24条との整合性に欠けることもないそして,夫婦の氏に関する規定は,まさに夫婦それぞれと等しく同じ氏を称するほどのつながりを持った存在として嫡出子が意義づけられていること(790条1項)を反映していると考えられのであって,このことは多数意見でも触れられているとおりである(ただし,このことだけが氏に関する規定の合理性を根拠づけるわけではないことも,多数意見で示されているとおりである。)。複雑さを避け,規格化するという要請の中で仕組みを構成しようとする場合に,法律上の効果となる柱を想定し,これとの整合性を追求しつつ他の部分を作り上げていくことに何ら不合理はないことを考慮すると,このように作り上げられている夫婦の氏の仕組みを社会の多数が受け入れるときに,その原則としての位置付けの合理性を疑う余地がそれほどあるとは思えない


 (注) 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者の妻の懐胎子と嫡出推定規定の適用に関する最高裁平成25年(許)第5号同年12月10日第三小法廷決定・民集67巻9号1847頁における寺田補足意見(1852頁以下)参照。嫡出推定・嫡出否認の仕組みは,妻による懐胎出生子は,夫自らが否定しない限り夫を父とするという考え方によるものであり,妻が子をもうけた場合に,夫の意思に反して他の男性からその子が自らを父とする子である旨を認知をもって言い立てられることはないという意義を婚姻が有していることを示している。このように,法律上の婚姻としての効力の核心部分とすらいえる効果が,まさに社会的広がりを持つものであり,それ故に,法律婚は型にはまったものとならざるを得ないのである。


(3) 家族の法律関係においても,人々が求めるつながりが多様化するにつれて規格化された仕組みを窮屈に受け止める傾向が出てくることはみやすいところであり,そのような傾向を考慮し意向に沿った選択肢を設けることが合理的であるとする意見・反対意見の立場は,その限りでは理解できなくはない。しかし,司法審査という立場から現行の仕組みが不合理といえるかどうかを論ずるにおいては,上記の傾向をそのまま肯定的な結論に導くにはいくつかの難所がある。

 上記のとおり,この分野においては,当事者の合意を契機とすることにより制度を複雑にすることについて抑制的な力学が働いているという壁がまずある我が国でも,夫婦・親子の現実の家族としてのありようは,もともと地域などによって一様でないとの指摘がある中で,法的には夫婦関係,親子関係が規格化されて定められてきていることに留意することが求められよう諸外国の立法でも柔軟化を図っていく傾向にあるとの指摘があるが,どこまで柔軟化することが相当かは,その社会の受け止め方の評価に関わるところが大きい。次に,選択肢を設けないことが不合理かどうかについては,制度全体との整合性や現実的妥当性を考慮した上で選択肢が定まることなしには的確な判断をすることは望めないところ,現行制度の嫡出子との結び付きを前提としつつ,氏を異にする夫婦関係をどのように構成するのかには議論の幅を残すことを避けられそうもない。例えば,嫡出子の氏をどのようにするかなどの点で嫡出子の仕組みとの折り合いをどのようにつけるかをめぐっては意見が分かれるところであり(現に,平成8年の婚姻制度に関する法制審議会の答申において,子の氏の在り方をめぐって議論のとりまとめに困難があったようにうかがわれる。),どのような仕組みを選択肢の対象として検討の俎上に乗せるかについて浮動的な要素を消すことができない。もちろん,現行法の定める嫡出子の仕組みとの結び付きが婚姻制度の在り方として必然的なものとまではいえないことは上記のとおりであり,嫡出子の仕組みと切り離された新たな制度を構想することも考えられるのであるが,このようなことまで考慮に入れた上での判断となると,司法の場における審査の限界をはるかに超える。加えて,氏の合理的な在り方については,その基盤が上記のとおり民法に置かれるとしても,多数意見に示された本質的な性格を踏まえつつ,その社会生活上の意義を勘案して広く検討を行っていくことで相当性を増していくこととなろうが,そのような方向での検討は,同法の枠を超えた社会生活に係る諸事情の見方を問う政策的な性格を強めたものとならざるを得ないであろう。

 以上のような多岐にわたる条件の下での総合的な検討を念頭に置くとなると,諸条件につきよほど客観的に明らかといえる状況にある場合にはともかく,そうはいえない状況下においては,選択肢が設けられていないことの不合理を裁判の枠内で見いだすことは困難であり,むしろ,これを国民的議論,すなわち民主主義的なプロセスに委ねることによって合理的な仕組みの在り方を幅広く検討して決めるようにすることこそ,事の性格にふさわしい解決であるように思える選択肢のありようが特定の少数者の習俗に係るというような,民主主義的プロセスによる公正な検討への期待を妨げるというべき事情も,ここでは見いだすに至らない。離婚における婚氏続称の仕組み(民法767条2項)を例に挙げて身分関係の変動に伴って氏を変えない選択肢が現行法に設けられているとの指摘もみられるが,離婚後の氏の合理的な在り方について国会で議論が行われ,その結果,新たに選択肢を加えるこの仕組みが法改正によって設けられたという,その実現までの経緯を見落してはなるまい。そのことこそが,問題の性格についての上記多数意見の理解の正しさを裏書きしているといえるのではないであろうか。

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(見やすくするために改行を加え、①と番号を付ている。)



 上記の裁判官「寺田逸郎」の「補足意見」では、下記のように述べている。

 

 【婚姻の趣旨・目的にあたる部分】


◇ 「男女間に認められる制度としての婚姻を特徴づけるのは,嫡出子の仕組み(772条以下)をおいてほかになく,この仕組みが婚姻制度の効力として有する意味は大きい」

◇ 「婚姻と結び付いた嫡出子の地位を認めることは,」「不合理とは断じ難く,憲法24条との整合性に欠けることもない。」

◇ 「嫡出推定・嫡出否認の仕組みは,妻による懐胎出生子は,夫自らが否定しない限り夫を父とするという考え方によるものであり,妻が子をもうけた場合に,夫の意思に反して他の男性からその子が自らを父とする子である旨を認知をもって言い立てられることはないという意義を婚姻が有している」

◇ 「法律上の婚姻としての効力の核心部分とすらいえる効果」



 【婚姻制度の個別の仕組みを構成することに関する部分】


◇ 「複雑さを避け,規格化するという要請の中で仕組みを構成しようとする場合に,法律上の効果となる柱を想定し,これとの整合性を追求しつつ他の部分を作り上げていくことに何ら不合理はない」

◇ 「法律婚は型にはまったものとならざるを得ない」

◇ 「この分野においては,当事者の合意を契機とすることにより制度を複雑にすることについて抑制的な力学が働いている」

◇ 「法的には夫婦関係,親子関係が規格化されて定められてきている」

◇ 「選択肢を設けないことが不合理かどうかについては,制度全体との整合性や現実的妥当性を考慮した上で選択肢が定まることなしには的確な判断をすることは望めない」



 この部分について、国(行政府)は下記のようにまとめている。

 

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イ 婚姻制度との関係

 婚姻夫婦は、形の上では二人の間の関係であっても、法律制度としてみれば、家族制度の一部として構成され、身近な第三者ばかりでなく広く社会に効果を及ぼすことがあるものとして位置づけられる。このような法律制度としての性格や、現実に夫婦、親子などからなる家族が広く社会の基本的構成要素となっているという事情などからすると、法律上の仕組みとしての婚姻夫婦も、その他の家族関係と同様、社会の構成員一般からみてもそう複雑でないものとして捉えることができるよう規格化された形で作られていて、個々の当事者の多様な意思に沿って変容させることに対しては抑制的であるべきである。

 このように、複雑さを避け、規格化するという要請の中で仕組みを構成しようとする場合に、法律上の効果となる柱を想定し、これとの整合性を追求しつつ他の部分を作り上げていくことに何ら不合理な点はない。

 この点、現行民法における婚姻は、相続関係(民法890条及び900条等)、日常の生活において生ずる取引関係(同法761条)など、当事者相互の関係にとどまらない意義・効力を有するが、制度としての婚姻を特徴づけるのは嫡出子の仕組み(同法772条以下)であるといえ、これこそが婚姻制度において想定される「法律上の効果となる柱」であるといえる。夫婦の氏に関する規定は、夫婦それぞれと等しく同じ氏を称する程のつながりを持った存在として嫡出子が意義づけられていること(同法790条1項)を反映していると考えられるところ、婚姻制度について、複雑さを避け、規格化するという要請の中で、本件各規定が、法律上の効果となる柱である嫡出子の仕組みとの整合性を追求しつつ、婚姻をする夫婦の氏をそのいずれかの氏とする仕組みを設けていることは、これを社会の多数が受け入れるときには、その原則としての位置づけの合理性を疑う余地は乏しいというべきである(以上につき、平成27年大法廷判決における寺田逸郎裁判官の補足意見参照)

 この点については、平成27年大法廷判決においても、「婚姻の重要な効果として夫婦間の子が夫婦の共同親権に服する嫡出子となるということがあるところ、嫡出子であることを示すために子が両親双方と同氏である仕組みを確保することにも一定の意義があると考えられる。」と判示されているところである。

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【東京】20240906_被告準備書面(1) 令和6年9月6日 PDF

【札幌】240930_答弁書 令和6年9月30日 PDF)

 







憲法上の具体的な権利と関わるか

 

〇 婚姻制度の性質との関係

 

 憲法24条は「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて、一夫一婦制(男女二人一組)の婚姻制度を定めることを「要請」している。

 そして、その「要請」に従って法律上において具体的な婚姻制度が定められることになる。

 このため、婚姻制度は、法律上の具体的な制度として定められることによって捉えられるものである。

 そのことから、これは個々の自然人が「国家からの自由」という「自由権」として、あるいは、生来的な自然権として有しているものではない。

 よって、婚姻制度の対象となる範囲について、「国家からの自由」という「自由権」の性質として主張することはできない。



〇 平等原則との関係(対象について)

 憲法24条で定められている事柄については、同じ憲法上の条文である14条に違反するということにはならない。

 そのため、憲法24条が「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めていることについて、憲法14条に違反するということはない。



 その他、「婚姻適齢に達している者」と「婚姻適齢に達していない者」との間で婚姻制度を利用することができるか否かについて差異が生じるが、これは


◇ 「立法目的」を達成するための「手段」として、

 ・ 合理的関連性が認められる

 ・ 著しく不合理であるとはいえない


◇ 「立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に与えられた裁量の範囲を逸脱し又は濫用するものであることが明らかである場合」であるとはいえない


のであれば、憲法14条1項の「平等原則」に違反するということはない。


〇 平等原則との関係(内外について)


 一般的・抽象的にその間で自然生殖を想定することができる「一人の男性」と「一人の女性」の組み合わせに対して「貞操義務」など一定の形式で法的に結び付けることは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的の実現に資することから、必然性を見出すことができる。

 つまり、「男女二人一組」については、その間で自然生殖が行われた場合に、遺伝的な父親を特定することができる関係となることから、その特定された父親に対しても子に対する責任を担わせることができる。

 また、父親を特定することによって「近親交配」に至ることを回避することも可能となる。

 他にも、「男女二人一組」の制度であれば、未婚の男女の数の不均衡を防止することが可能となるため、その社会全体の中で「生殖機会の公平」を実現することに寄与するものとなる。

 「婚姻適齢」を満たした者の間での「生殖と子の養育」に関する制度であれば、「母体の保護」の観点や、「子育ての能力」の観点からも一般には支障がないものと考えられる。

 これらは、結果として「子の福祉」を目指す仕組みとして合理的であるということができる。

 そのため、国が「男女二人一組」の関係性に対して制度を設けてその制度を利用する者に対して一定の優遇措置を与えるとしても、それはその制度を利用していない者との間で生じる差異を正当化することができる。

 よって、「男女二人一組」の制度を利用する者が一定の優遇措置を得ることができ、その制度を利用していない者との間で差異が生じるとしても、その内容が立法目的を達成するための手段として不必要に過大なものとなっていない限りは、憲法14条1項の「平等原則」に違反することはなく、合憲であるといえる。


 (もし優遇措置の内容が立法目的を達成するための手段として不必要に過大なものとなっていた場合には、その過大な優遇措置に関する規定が個別に失効することによって差異が是正されることになる。)



〇 結論

 以上より、「男女」「近親者等でない」「二人一組」「婚姻適齢」を満たすことを求め、対象となる人的結合関係を一定の範囲に限定するものとして婚姻制度を設けていることが憲法に違反するということはない。(合憲である)



□ 「同性間の人的結合関係」について


 「同性間の人的結合関係」については、「婚姻」という概念の中に含めることのできる人的結合関係の範囲には内在的な限界があることや、憲法24条が「婚姻」「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めて立法裁量の限界を画していることから、この「公共の福祉」の審査を行う対象にはならない。

 






枠組みの変更は可能か


 法制度は制度全体を趣旨・目的に従って統一的に理解することができるものとなっていることが必要である。

 制度の変更を検討するとしても、その変更によって制度全体を統一的に理解することが困難となったり、趣旨・目的を整合的に理解することが不可能となるなどして、制度そのものが破壊されることがないようにすることが必要である。

 この点の整合性について検討する。



他の組み合わせとの整合性

近親婚との整合性


 「同性同士の組み合わせ」は、その間で「生殖」を想定することができないことから、その間で子供が生まれる可能性はない。

 この「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合(いわゆる同性婚)、「婚姻」が次世代再生産の可能性のある組み合わせを優遇する制度であると考えることができなくなる。

 すると、「婚姻」という概念の中から「生殖と子の養育」の趣旨が失われることになる。


〇 近親同性婚

 

 これにより、「同性の近親者との組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる近親同性婚)を排除する理由がなくなる。

 

【参考】「同性婚が認められれば、その瞬間に同性の近親婚を禁じる根拠はなくなる。」 Twitter

【参考】「結婚そのものに妊娠や出産の含意がないのであれば、近親婚についてもまた、」 Twitter

【参考】「近親婚が禁忌とされるのは、異性を前提にしているからで、同性間では問題は起きえない」 Twitter 

【参考】「近親婚が禁忌とされるのは、異性を前提にしているからで、同性であればこれらの問題は起きえない」 Twitter

【参考】「同性の近親婚を禁じる合理的な理由はないよね」 Twitter

【参考】「同性傍系近親者との婚姻を禁止する理由も無くなる。」 Twitter

【参考】「親子が仮に同性なら近親交配にまつわるリスクも存在しません」 Twitter

【参考】「論理的には近親の同性婚もセーフなのではないか?」 Twitter 

【参考】「同性なら兄弟姉妹でも結婚できちゃう?」 Twitter

【参考】「同性婚が認められたら、姉妹でも結婚できるのか?」 Twitter

【参考】「近親婚 姉妹婚だといいですかね?」 Twitter 

【参考】「同性婚が認められた社会において、父親と息子、母親と娘、男兄弟同士、姉妹同士が結婚することを禁じる理由は、ない」 Twitter 

【参考】「同性『結婚』を成文化すれば、父倅、兄弟、母娘、姉妹の両者が、互いに婚姻を望めば」 Twitter

【参考】「父と息子、母と娘、男兄弟、姉妹間の結婚は認めるべきと思う」 Twitter

【参考】「同性間の成人であれば、近親にも道を開いておくべき」 Twitter


〇 近親異性婚

 また、「婚姻」の概念から「生殖と子の養育」の趣旨が失われるということは、「異性の近親者との組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる近親異性婚)についても排除する理由がなくなる。 

 

【参考】「子供を前提とした制度でないとすれば、近親婚は制限する理由がなくなり」 Twitter 

【参考】「子づくりしなければ近親婚いいのか」 Twitter

【参考】「子供産まないけど結婚したい近親者がいれば同性婚と同じく禁止できんくなっちゃう」 Twitter

【参考】「同性婚が認められると、法律の前提が 『愛する人だったら誰とでも結婚できる』という新たな定義になるので、その定義に基づいたら近親婚も認められてもおかしくない」 Twitter

【参考】「同性婚が許されているのなら〜の話だけどこれ兄妹姉妹婚についても同じことが言える」 Twitter 

【参考】「横の近親婚を拒絶する理屈というのは同性婚を是とする上では存在しないのでは」 Twitter 

【参考】「同性婚が認められるなら、兄妹婚も問題無い」 Twitter

【参考】「同性婚も兄弟姉妹婚も」 Twitter

【参考】「親子兄弟親族でも結婚していいはず。」 Twitter 

【参考】「俺は妹のことが好きだから社会が近親婚に寛容になってほしいし、できることなら祝福されたい。」 Twitter 

【参考】「同じ条件の親子や兄弟、孫と結婚とか2親等の婚姻を望む方ももっと声高に主張してもいい」 Twitter 

【参考】「兄弟姉妹間や祖父母と孫との婚姻もアリに」 Twitter

【参考】「早くばぁちゃんと結婚できる制度作れよ」 Twitter

【参考】「3人婚、近親婚など歯止めがなくなってるところもあります。」 Twitter

【参考】「近親婚とか直系同士とかは認める方向になるんだろうか」 Twitter

【参考】「同性婚よりは近親婚の方が法律上は可能性高い」 Twitter 

【参考】「同性婚を認めるロジックは近親婚を認めるのにも」 Twitter

【参考】「#同性婚 をOKにするなら、#近親婚 もOKにしないと、それこそ #不平等 になるよ。」 Twitter

【参考】「同性婚を認める際には、あわせて近親間のそれも認めるべき」 Twitter

【参考】「同性婚認める筋なら近親婚も重婚も当然認めるべき」 Twitter 

【参考】「同性婚認めたって、近親婚とか複数婚は認めないわけ」 Twitter

【参考】「近親婚や多重婚も同様に法律で認めた方がいい」 Twitter

【参考】「同性婚の次は近親婚が話題に」 Twitter

【参考】「近親婚はどの程度まで認める予定で」 Twitter

【参考】「近親同性婚や近親異性婚は」 Twitter

【参考】「近親婚願望」 Twitter

【参考】「同性婚も近親婚も近親相姦も両者の同意があればええやんけ」 Twitter

【参考】「本気で愛し合ってる父親と娘が出てきたらどうするんやろ」 Twitter

【参考】「相続税対策として、息子と結婚する富豪が出てきたりする」 Twitter

【参考】「親子で結婚してはダメという今のシステムがおかしい」 Twitter

【参考】「ニューヨークでは自分の子供との結婚を求めて裁判が始まる。」 Twitter

【参考】「実子と結婚できる様に訴えている」 Twitter

【参考】「成人の親子が結婚できるようにせよ、と要求」 Twitter

【参考】娘との結婚を望むニューヨークの男性が「近親相姦を禁じる法律」を覆そうと提訴 2021.4.28

 


 すると、民法734条の規定は失効させる必要がある。


民法
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(近親者間の婚姻の禁止)
第七百三十四条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

(直系姻族間の婚姻の禁止)
第七百三十五条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

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 しかし、そうなると、「近親異性婚」の当事者がもともと子供を設けるつもりがなかったが、後に子供を設けることとなった場合に、その子供が遺伝的な障害が発生するという問題が考えられる。

 民法が「近親者との組み合わせ」を「婚姻」(いわゆる近親婚)として扱っていないことの立法目的を丁寧に考える必要がある。


近親交配 Wikipedia
近親交配(近親婚)が危険な理由は劣性遺伝子の発現

 

◇ 「同性同士の組み合わせ」は、その間では子供が生まれる可能性がない

     ↓

◇ 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合、「婚姻」が「生殖と子の養育」の趣旨に従って統一的に形成された枠組みではないことになる

     ↓

◇ 「近親同性婚」を認めることになる

     ↓

◇ 「近親異性婚」も認めることになる

     ↓

◇ 婚姻制度を構築することで「近親交配」を防ごうとする意図が損なわれる



 このように、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱った場合、その時点で「婚姻」の概念から「生殖と子の養育」の趣旨が失われることになる。

 すると、「同性の近親者との組み合わせ」や「異性の近親者との組み合わせ」を「婚姻」とすることを求める者が、「婚姻」が既に「生殖と子の養育」の趣旨を満たさない人的結合関係を含むものとなっていることを理由として、「近親者との組み合わせ」を「婚姻」とすることを排除する合理的な理由を見出すことができないとして訴訟を起こすことが考えられる。

 しかし、「異性の近親者との組み合わせ」を「婚姻」として扱った場合、その「近親異性婚」をしている者が婚姻後に子供を設けようとした際に、もともと婚姻制度が「近親婚(ここでは近親異性婚の意味)」を認めていなかったことの立法目的を達成できない問題に陥ることになる。




複婚との整合性


 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合、「婚姻」の中から「生殖と子の養育」の趣旨が失われることになる。


〇 同性複婚


 しかし、それは同時に、同じように「生殖と子の養育」の趣旨を満たさない「同性の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる同性複婚)を否定する根拠も存在しなくなることを意味する。

 すると、「同性間の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」として認めていないことについて訴訟が起こされた場合に、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを認めた場合と同じ理由によって、それを認めなければならなくなる。

 

【参考】「同性婚は二人の必要はない」 Twitter

【参考】「同性婚なら別に二人の必要はなく三人でも四人でもよくなる」 Twitter 

【参考】「同性婚は子供を作れないので、多夫多妻も認める必要が出てくる。」 Twitter

【参考】「重婚禁止した民法は憲法違反だと訴えたらそれを否定する根拠は?」 Twitter

【参考】「イスラム教の人から重婚は何故ダメなのか、自国では許さるていると言われると貴方はどう答えます?」 Twitter 

【参考】「今後同性複婚を望む人が出てくるかもしれません。」 Twitter 


 このように、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることを認めた場合には、「婚姻」を「二人一組」の形に限定する合理的な理由(根拠)を見出すことができなくなり、「同性の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」とすることを否定することができなくなるのである。


【参考】「『性別を問わず一対一』にする理由は何か、を考える必要がある。」 Twitter 

【参考】「『対』にこだわる意味が分からない。」 Twitter

【参考】「同性婚がありの時点で、一対でなければならない、も崩れるだろう」 Twitter

【参考】「二人組であれば、異性であれ同性であれ、他の家族形態より優遇されるのって変だよね?」 Twitter

【参考】「成人2人の根拠は?私達保守が結婚は両性即ち男と女がするものと言うのと同じですね。」 Twitter


〇 異性複婚

 これに続いて、「同性の複婚」と「異性の複婚」の両方を求める者が、「同性の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」として認めていながら、「異性の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」として認めていないことについて訴訟を起こすことが考えられる。

 すると、「同性の三人以上の組み合わせ」を「婚姻」として認めた場合と同じ理由によって、それを認めなければならなくなる。


【参考】「ポリアモリーの人が複数名との結婚の可能性について何らかの訴訟を起こす場合」 Twitter 
【参考】「同性婚が認められたら今度は近親婚と重婚がくる」 Twitter

【参考】「同性婚はよくて、近親婚や重婚は議論すらしない。」 Twitter

【参考】「同性婚や別姓がよくて重婚がいけない理由を教えて欲しい」 Twitter

【参考】「一夫多妻制も認めれば」 Twitter

【参考】「一夫多妻制も導入しちゃって」 Twitter

【参考】「一夫多妻制と同性婚の合法化が進んで欲しい」 Twitter

【参考】「一妻多夫でも同性婚でも応援するよ〜」 Twitter

【参考】「一夫多妻制や一婦多夫制、 多夫多妻制の婚姻を政府が認めるべき」 Twitter

【参考】「一夫多妻、多夫一妻、多夫多妻、重婚もマイノリティの権利として」 Twitter

【参考】「同性婚を認めるなら多夫多夫婚や多妻多妻婚、一夫多妻婚、多夫一妻婚や多夫多妻婚など」 Twitter

【参考】「早く日本は一夫多妻と一妻多夫と同性婚認めろ」 Twitter

【参考】「これからの時代は一夫多妻制も同性婚も合法化」 Twitter

【参考】「一夫多妻または一妻多妻または多対多までできる改革が必要だ」 Twitter

【参考】「同性婚を主張する人は、一夫多妻や多夫一妻、あるいは複数婚、近親婚なんかを」 Twitter

【参考】「多夫多妻制も認めて貰う様に働かないと」 Twitter

【参考】「同性婚推進したい人達は多夫多妻制も認めないと」 Twitter

【参考】「ダイバーシティ掲げてんなら、多夫多妻も認めてほしい」 Twitter

【参考】「多夫多妻制推してくれねえかな」 Twitter

【参考】「3人以上の婚姻関係についての議論も」 Twitter

【参考】「3人以上の結婚も認めましょう」 Twitter

【参考】「男女男の3人で結婚したいとか」 Twitter

【参考】「3人以上の同性婚、多夫多妻、などといった形でも容認されて然るべき」 Twitter

【参考】「多重婚も昔の日本には大奥ってありましたし」 Twitter

【参考】「経済力があり優秀なDNAを持った男性は多くの女性を幸せにし、多くの子孫を残した方が良い」 Twitter

【参考】「同性婚が認められたあとは、郡婚」 Twitter 

【参考】「同性婚を認めた国々では、重婚まで認める流れに」 Twitter

【参考】「法的に家族になるということであれば、もう性別とか人数とかどうでもいいんじゃないか」 Twitter

【参考】「重婚を解禁し男女両方をパートナーに出来るようにすべき」 Twitter

【参考】「『一夫多妻制は同性婚と同じ。本人の選択として欲しい』と主張している人が居て」 Twitter

【参考】「複婚を求める声は全米で沸き起こっている。」 Twitter

【参考】「男性3人婚や近親婚なども諸国では起こっていますが」 Twitter

 



 

【参考】同性婚の議論が深まると同時に、複婚や近親婚がその議論の延長上にあるという認識も浸透してきた。憲法記念日に感慨 2017-05-03 

【参考】タイ、男3人で同性婚ならぬ『3人婚』挙式が話題に 2015/02/19

【参考】ゲイ男性が「3人」で同性婚!南米コロンビアにて 2017/06/14

【参考】コロンビアで男性3人が「結婚」、初めて法的に認められる 2017年6月16日

【参考】南アフリカで「一妻多夫制」の合法化が提案され、波紋を呼んでいる 2021.6.29

【参考】南アフリカ、一妻多夫制の合法化を検討 保守層は猛反発 2021.06.29

【参考】米国 同性婚の次は複数婚?3人以上の関係も認める動き 2022年10月17日

【参考】「婚外子差別には一定の合理性がある』という判決を私は絶対許さない」 Twitter


 しかし、「三人以上の組み合わせ」を「婚姻」として認めた場合、未婚の男女の数の不均衡が発生し、「子供を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が増えてしまう可能性が考えられる。

 

◇ 「同性同士の組み合わせ」は、その間では子供が生まれる可能性がない

     ↓

◇ 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合、「婚姻」が「生殖と子の養育」の趣旨に従って統一的に形成された枠組みではないことになる

     ↓

◇ 「同性複婚」を認めることになる

     ↓

◇ 「異性複婚」も認めることになる

     ↓

◇ 未婚の男女の数の不均衡によって「子供を持ちたくても持てない者」が生まれる



 すると、もともと婚姻制度が「男女二人一組」の形に限定することによって、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らそうとしていた立法目的を達成することができなくなる。




婚姻適齢との整合性

 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合、婚姻制度を立法する趣旨から「生殖と子の養育」がなくなる。

 すると、母体の保護などを意図している「婚姻適齢」の規定は違憲となり得ると考えられる。


【参考】「本当に自由なんだったら年齢制限だっておかしい」 Twitter

【参考】「両思いなら子供同士でも別居したまま結婚して良いはず」 Twitter

【参考】「なんで結婚制度が成人(生殖可能年齢という意味)の男女に限定してきたのか」 Twitter

【参考】「未成年の結婚や近親婚etcも認めろと言った議論が出てきて」 Twitter

【参考】「その理屈なら児童婚・重婚・近親婚・冥婚も認めるべき」 Twitter 

【参考】「同性婚認める人は重婚も兄弟婚も若年婚も認めるのか」 Twitter

【参考】「同性婚認めたら、次は一夫多妻制か?幼女婚か?」 Twitter

【参考】「未成年の実子と結婚させろって言う奴が出てくるよ」 Twitter

【参考】「外国(not西欧諸国)では児童婚・重婚は認められてる」 Twitter

【参考】「児童婚は問題だとは思わない。年齢が違えど男と女の関係だし同性婚よりよっぽどまともだ」 Twitter

【参考】「同性婚を「認めない理由がない」という理由で認められた場合、現在の結婚できる年齢が18歳からという理由も強い理由はないし18歳にする必要はない気はする」 Twitter


【参考】インドネシア、なくならない「児童婚」の実態 2020/10/26

【参考】「10歳で結婚」幼すぎる花嫁を減らしたい。“寄付は偽善”と言われても、私が支援する理由 2021年06月02日

 


 「婚姻適齢」が廃止された場合、そもそも婚姻制度とは一体何のために存在するのか分からなくなる。


【参考】「人口再生産性に関わらない結婚を承認した時点で結婚制度の意義や公共性公益性は消滅する。」 Twitter

 

◇ 「同性同士の組み合わせ」は、その間では子供が生まれる可能性がない

     ↓

◇ 「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合、「婚姻」が「生殖と子の養育」の趣旨に従って統一的に形成された枠組みではないことになる

     ↓

◇ 「婚姻適齢」を廃止しなければ違憲となり得る

     ↓

◇ 「母体の保護」などの意図が損なわれる



 こうなると、婚姻制度がもともと「婚姻適齢」を設けることによって、社会生活の中で「生殖」に誘引される機会を「婚姻適齢」を超えた状態に置き、かつ、婚姻制度を利用した状態で「生殖」に至るようにインセンティブを与えることで、「母体の保護」を行うことや、「子を養育する能力」の面で不利な状態とならないように配慮する立法目的を達成することができなくなる。



 このように、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとした場合には、婚姻制度から「生殖と子の養育」の趣旨が失われることになり、その「生殖と子の養育」の趣旨との整合性の観点から導かれていた「近親者との組み合わせ」、「三人以上の組み合わせ」、「婚姻適齢に満たない者との組み合わせ」を「婚姻」として認めないとしていた規定の合理性を説明することができなくなる。

 これにより、それら「近親者との組み合わせ」、「三人以上の組み合わせ」、「婚姻適齢に満たない者との組み合わせ」を「婚姻」として認めなければならなくなる。


【参考】「同性婚まで認めてしまうと、婚姻と生殖を切り離すことになるので、近親婚や未成年婚を認めない現行民法が憲法24条に反すると言う見解を抑えきれなくなる」 Twitter

【参考】「法の下の平等とか個人の幸福追求権を理屈にしてしまうと、同性婚と同じように重婚や近親婚も認めねばならなくなる。」 Twitter

 

 こうなると、「近親者との組み合わせ」、「三人以上の組み合わせ」、「婚姻適齢に満たない者との組み合わせ」を「婚姻」として認めないことによって実現していた立法目的を達成することができなくなる。

 これは、婚姻制度そのものの価値を失わせ、制度そのものを成り立たないものとしてしまうことになる。


【参考】「近親婚と重婚を同性婚と」…「採用した時に起こりうる悪い方の結果が人権に反してしまう」 Twitter


 これらの問題を考えると、法制度は全国民を対象として一般的・抽象的な形で定めなければならない性質上一定の限界線を設けて画一化された形で組み立てるほかなく、婚姻制度の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、婚姻制度の趣旨・目的に従って統一的に定められる必要があることから、その枠に当てはまらない人的結合関係については「婚姻」とすることはできないことになる。




皇族の婚姻

 皇族も民法上の規定によって「婚姻」すると思われるが、この論点も考えておく。

皇室典範
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    第二章 皇族

第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。
第七条 王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は、特にこれを親王及び内親王とする。
第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。
第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
第十三条 皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びその妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。
第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
○2 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○3 第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
○4 第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、これを準用する。
第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。
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【参考】「同性婚OKなら天皇だって男と結婚していいのかな」 Twitter

【参考】「天皇システムまで考えている裁判官がいるかどうか」 Twitter

【参考】憲法記念日に考える、もしLGBT天皇が誕生したら 松浦大悟 2021.05.03

【参考】LGBT天皇が誕生する日 2021/05/12


 また、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」として扱おうとしたことに伴って「近親者との組み合わせ」を「婚姻」として認めない規定が廃止された場合、皇族の近親婚(正確には近親交配)がなされた際に、その子孫が虚弱体質にならないかを考える必要がある。


近親交配(人間の近親交配) Wikipedia 




国が政策的に支援しようとしている対象は何か


「どのような関係でも結婚できるとなればそもそもなぜ婚姻制度が必要なのかという話になる」 Twitter

「其れを変えると何の為の制度か分からなくなります」 Twitter

「そもそも『結婚を国が支援/保護する必要があるの?』というお話になってくる。」 Twitter

同性婚訴訟 札幌地裁判決について 2021/03/20



〇 「生殖と子の養育」の趣旨による基準

【参考】「法律婚によって子供の両親が分かり子供の責任を取れる人がセックスをして子供を作るのであれば政府は援助しますというもの」 Twitter 

【参考】「子供を作る可能性のあるカップルに国が何かしらの制度を利用させてあげますよと言っているだけ」 Twitter 

【参考】「婚姻制度は、社会を維持するために次世代を育てる家庭に何らかの特権を与えるために設けられたもの」 Twitter 

【参考】「結婚というものが、子を持ち育てる人々のためにできた制度だと」 Twitter 

【参考】「他に種の保存を保護している制度はありません。」……「子供の責任者も重要だし、子供に対する保護もあります。」 Twitter

【参考】「夫婦のためというより子供のためということ」……「単に異性婚を優遇しているわけではない」 Twitter

【参考】「異性婚保護主義を取っているという解釈は別に不自然じゃない」 Twitter 

【参考】「子育てをする事を期待された家庭への支援策となります」 Twitter

【参考】「子供を産み、育てるのは大変なことだ。だから、異性婚をされた夫婦が財政上で困らないようにしているだけのこと」 Twitter 

【参考】「男女という組み合わせが子孫が作れる確率が高い、子孫含めて社会的に守られる制度が必要」 Twitter

【参考】「社会的秩序を保とうとする上でのサポートなんですよ。」 Twitter

【参考】「子育ては社会の問題であるからだ。」 Twitter 

【参考】「結婚を家族関係の構築と定義し、その家族関係とは自然生殖可能性を前提にしたコミュニティであるって部分の改変次第では従来の婚姻制度が御釈迦になる」 Twitter

【参考】「結婚から子供を作るという目的を取り除いてしまうと、結婚状態そのものに利益を持たせる政策的理由が無くなってしまう。」 Twitter

 

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ア 婚姻は「伝統的に生殖と子の養育を目的とする男女の結合であった。したがって、同性の性的結合関係や共同生活関係は婚姻たりえないとされてきた」ところ、「国ないし社会が婚姻に法的介入をするのは、婚姻が社会の次世代の構成員を生産し、育成する制度として社会的に重要なものであったからである(青山道夫=有地亨編「新版注釈民法(21)親族(1)」178 ページ・乙第1号証)と指摘されている。このように、伝統的に、婚姻は、生殖と密接に結び付いて理解されてきており、それが異性間のものであることが前提とされてきた。 

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【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 



〇 「婚姻していない者(独身者)」との間で生じる差異の合理性

【参考】「結婚するのが当たり前だなんて」 Twitter

【参考】「独身の人にだけ課税するのは差別じゃないの?」 Twitter

【参考】「配偶者控除や児童手当は明らかに非婚者から既婚者への再配分」……「同性婚により、非婚者の一人当たりの負担が増える」 Twitter 

【参考】「配偶者控除とかの税制優遇は絶対認められない。」 Twitter

【参考】「税金云々やお金云々考えると国も簡単に大丈夫なんていえない」 Twitter 

【参考】「結婚制度は、それ自体が差別」 Twitter

【参考】「全ての人を平等に扱うために結婚を優遇するのはやめます」 Twitter

 

「独身税の何が悪いのかわからない」に反論相次ぐ 「独身から搾り取れば結婚も減る」「児童手当や所得控除が実質独身税」 2021.2.11

 

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厚生労働省の調査によりますと、一人暮らしの世帯数は去年6月時点で1849万5000世帯と全体の34%を占めていて、統計を始めた1986年以来、過去最多となりました。

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「子どもいる世帯」約983万世帯で過去最少 「一人暮らし」は過去最多 厚生労働省 2024年7月5日



〇 婚姻制度による優遇などの税金との関係について下記のような指摘がある。

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また,①犯給法に基づく支給は公費で賄われる以上,限りのある財源である税金を誰にどの程度分配すべきかについては慎重な考慮を要するし,②犯給法5条1項は,支給を受けられる者の範囲を,民法において一定の権利義務(扶養義務等)が認められており,社会生活の中で密接な関係がある者に限定しており,その中でも同項1号の「配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)」は,子や父母等にも優先する仕組みとなっているから,同号に該当する者の範囲をむやみに拡大することは,関係者の予測可能性を害することとなり,妥当ではない。

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犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件 名古屋地方裁判所 民事第9部 令和2年6月4日



〇 婚姻制度が関知しないもの

 法制度としての婚姻制度の枠組みの中には、もともと「恋愛感情」や「性愛」などはまったく考慮されていない。

 婚姻制度を立法する趣旨・目的の中には、もともと「恋愛感情」や「性愛」を保護しようとする視点がないのであり、「恋愛感情」や「性愛」が満たされるか否かは婚姻制度とは別問題である。

 「恋愛感情」や「性愛」などに基づいて「婚姻」に至ることに価値があると考えるか否かは、まったく個々人の価値観や文化の問題であり、法律の関知しない部分である。

 (以前の時代であれば、『見合い』などが設定され、『恋愛感情』を抱く間もなく『婚姻』に至ることも普通であったと考えられる。また、キリスト教徒同士で婚姻することに価値があるとか、イスラム教徒同士で婚姻することに価値があるとか、それも個々人の価値観の問題であり、法律は一切関知していない。)

 婚姻制度によって「恋愛感情」や「性愛」あるいは「『恋愛感情』や『性愛』に基づく関係性」を国家に保護してもらおうとすることは、法律上の婚姻制度と「恋愛感情」や「性愛」を結び付けて考えてしまっている点で妥当ではない。

 そのため、「同性愛」や「異性愛」という特定の思想や感情を抱く形を基準として当事者を分類し、法制度が「同性愛」や「異性愛」という思想や感情を抱く者であるか否かを審査したり、それらの者に対して異なる取り扱いをしているかのような前提で論じようとする主張も成り立たない。

 

【参考】「そもそも、一夫一妻が本当の愛の形だとは思いません」 Twitter

【参考】「結婚って必ずしも愛情ないんですよね。家を継ぐとか、子供を作るとか、目的が違うものが多い」 Twitter

【参考】「憲法(24条)上も家族は愛情の公証の制度ではないのではないか」……「愛情は公証になじまない可能性も」 Twitter


【参考】「性的指向や性自認から、LGBT ・同性婚の事を結びつけるのは違和感」 Twitter

【参考】「性的なものをそこまで特別視する理屈って何?」 Twitter

【参考】「『結婚は自由恋愛の元に結ばれる幸福なものであるはず/べきだ』っていう価値観幻想」 Twitter

【参考】「結婚に関して恋愛の終着点♥幸せのかたち♥みたいな夢を見すぎてる」 Twitter

【参考】「“同性婚”も『恋愛しているふたりに祝福を』であって結局は【恋愛至上主義】」 Twitter

【参考】「恋愛性愛的な感覚を(たぶん)持ってるけど、社会構造的な刷り込みだと思う。」 Twitter

【参考】「愛する二人が結ばれるのが結婚みたいな錯覚」 Twitter

【参考】「そもそも結婚する二人が愛し合っているかなんてどうでもいい」 Twitter 

【参考】「愛し合ってるというだけで、法律婚の枠に入れたら、」 Twitter 

【参考】「恋愛できる相手と結婚できる相手は違う」 Twitter

【参考】「同性婚したい人々は『結婚は愛のためのシステム』だと誤認してるから色々おかしくなる。愛のためのシステムならそもそも男女婚にすら税金投入を認めないよ。」 Twitter

【参考】「恋愛をすることと、婚姻制度によって婚姻するのは全く別の話で、国家が後者を認めるかの議論に前者を持ち出すべきではない。」 Twitter

【参考】「恋愛は自由にすればいいけど結婚は別」 Twitter

【参考】「恋愛は自由だけど、税金とかの優遇を受けるのは」 Twitter

【参考】「同性愛は個人的にはいいと思いますけど、同性婚を国が認める必要はないかと」 Twitter 

【参考】「愛する人と一生一緒にいる、周りもそれを祝福する。これって制度とは何も関係無いこと。」 Twitter 

【参考】「同性愛という愛のありかたは個人の自由」……「しかしそれを国家が法的婚姻制度で保護することは全く別の問題だ。」 Twitter



【参考】「国が婚姻制度という形で個人の性的関係に介入するのは、子どものため」 Twitter

【参考】「結婚の根本は子を作り子孫を残す生き物根幹に関わる行為に生じる責任を明かにするため」 Twitter

【参考】「異性婚への国の介入には子の育成や女性保護などの大義名分があり、」 Twitter

【参考】「目的が先にあって対象が決まっている制度を、お尻から見て不平等を訴え」 Twitter

【参考】「その制度をお尻から見て不平等だと訴えている」 Twitter

【参考】「制度のメリットだけを見て不平等だと訴える前に、現在その制度が存在してる理由=制度の目的を理解すべき」 Twitter

【参考】「もし対象外が不平等ならば、例えば事業主に与えられるコロナ関係の給付金等も不平等になります。」 Twitter

【参考】「法の定めた条件を満たした者に与えられる制度であって、好きな人同士が国から認めてもらい補助を貰える制度などではありません」 Twitter

【参考】「いわゆる『論点先取り』で基準が既に婚姻にある」 Twitter

【参考】「異性間結婚が例外と考えるべき」 Twitter

【参考】「近親者や既婚者、婚姻年齢に達していない者との結婚の自由はこの国では認められていませんが人権侵害と言えるほどの不自由や不平等でしょうか。」 Twitter

【参考】「出来ない相手と結婚しようとするから出来ないだけ 権利は平等ですよ」 Twitter

【参考】「差別されてる前提で婚姻制度を変えたいだけ。」 Twitter

 

 

 


「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることは可能か


 「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることが可能か否かを検討する。

 


「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者の出産

〇 「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者が出産した場合、父親は認知できるのか

 「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者が子供を産んだ場合、法律上の親子関係がどうなるかのが問題となる。また、その関係を解消した場合のことも検討する必要がある。

 



 

【参考】「『同性カップルの子供の法律上の親は誰になるのか』っていう、超重要事項」 Twitter

【参考】「女性同士の同性婚の結果、人工授精で子供をもうけた場合、その子は出産していない側の女性の嫡出子になるの?」 Twitter

【参考】「同性婚で子供が出来たら血縁関係のない方が嫡出推定で嫡出子として認めることを議論された事があるの?」 Twitter

【参考】「通常血縁のない方が子供を嫡出子とすることになったら、血縁関係がないことを理由に自身の子供として認めることを拒否することもできるが、」 Twitter



〇 「事実複婚(重婚)」を選択する場合はどうか


 「男女二人一組」で「婚姻」している場合、男性との間での法律上の婚姻関係の有無によって「嫡出子」と「非嫡出子」に分かれる。

 これを避けるために女性が「女性同士の組み合わせ」の制度を利用することにより、どちらも「嫡出子」と同じような地位を得られるように動くことが考えられる。

 こうなると、事実上の「複婚(重婚)」関係を構築することに対してインセンティブが働くことになる。

 



 

 「嫡出子」とは、「男女二人一組」の婚姻制度の下で父親を特定することのできる状態で産まれる場合とそうでない場合を区別する意味で使われている言葉であり、この「男女二人一組」の枠組みを離れて同じように「嫡出子」という言葉を用いることができるものではないと考えられる。


 下記も、事実上の複婚(重婚)状態に近いものを形成しようとしていると考えられる。

【動画】「未来を変えるFuture Talk」セクシュアル・マイノリティと新しい家族のカタチ 2021/08/28



〇 「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者の子供が複数の父親で構成されている場合はどうか





〇 事実上の「一夫多妻制」を認めることにならないか

 「女性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることができるか否かであるが、もしそれを認めた場合には「一人の男性」に対して複数の「女性同士の組み合わせ」が集う形で事実上の「複婚関係(重婚関係)」が形成されることを想定することができる。




<事例1> 男性アイドルの周囲を、女性ファンが「女性同士の組み合わせ」を形成して集い、事実上の「一夫多妻」が形成されることが考えられる。

<事例2> 宗教団体の「教祖(男性)」を中心として、女性信者が「女性同士の組み合わせ」を形成して集い、事実上の「一夫多妻」が形成されることが考えられる。


【参考】「アイドルとか一人に何万人とか女性は寄るかと」 Twitter

【参考】「全国から若く健康な女性たちを公募し、」 Twitter

【参考】「同性愛カップルが代理父を利用して、二人とも妊娠した。」 Twitter

【参考】「女性同士が結婚した場合、体外受精でどちらも妊娠出産」 Twitter

【参考】「自分達の子どもほしいとか言われると分かんない」 Twitter

【参考】「同性カップルで子供を持つ人はたくさんいる」 Twitter

【参考】「ポリアモリーの人とかは一対一で結婚した上で複数家庭で同棲したらいいんじゃないか」 Twitter


 パートナーを見つけたら、子供を持つことに繋がることが自然の流れだとしている。


【動画】「未来を変えるFuture Talk」セクシュアル・マイノリティと新しい家族のカタチ 2021/08/28


 事実上の「一夫多妻」の関係に繋がるものを政策として推進することが「公共の福祉」の観点から認められるかも問われる。

 

“一夫多妻”元占い師・74歳男逮捕 17年前も有罪判決…“ハーレム男”女性9人と生活 2023/02/08

《東大和ハーレム男(74)逮捕》「金髪にハイヒール、超ミニスカートだった女性たちも今ではおばさんばかり」妻9人・子供3人の異様な生活とは?「妻半分は働きバチ、残りは家事専門」 2023/02/08

あの“一夫多妻男” 17年後に また逮捕「宇宙人に食べられる」と女性を洗脳か 現在“元妻”9人と同居中 警視庁 2023年2月8日

 

【動画】【一夫多妻】妻4人&子ども3人で共同生活?家事育児を分担?婚外子や拡大家族は?稼がないヒモの魅力は?|アベプラ 2023/12/22

妻4人&子ども3人と同居の“一夫多妻” 当事者が明かす日常 「親に話していない」夫人も 2023.12.23

“一夫多妻”を実践する渡部竜太さん(35)の野望「徳川家斉の“子ども53人”を超えたい」 現在は第4夫人までいる生活 ⇒ネットの反応「同性婚がアリならこれもアリか」 2024-01-07

 

【言及】東出昌大、山奥で女性3人と共同生活「言う人は勝手に言えって感じ」 Twitter 

東出昌大、山奥で女性3人と共同生活「言う人は勝手に言えって感じ」 ネットに「荒れろ!荒れろ!」 2024年1月9日


 これらの「女性同士の組み合わせ」で制度を利用する者の子供がその制度によって手厚く保護されることになれば、そのような関係を形成することに対してインセンティブが働くこととなることから、現在の婚姻制度の下よりは、そのような関係を形成しやすい法秩序に変わることが考えられる。

 

 このようにして「女性同士の組み合わせ」で制度を利用することに対してインセンティブが働くことになると、「女性」が子供を持つ際に「男性」と婚姻関係を結ぶことを促進しようとするインセンティブが働かなくなる。

 

「女同士で楽しく」 Twitter
「女の子同士でいる方が楽しいし」 Twitter
「異性婚まじで利点が見出だせない」 Twitter
「友情婚って言うのがあってもいいな」 Twitter
「私も結婚したい友人いたな〜。」 Twitter

「友情婚が許されるなら女と結婚する」 Twitter

「同性婚ができるようになったら親友と籍入れたい。」 Twitter

「同性同士で結婚するからって、同性愛ってのとは全然違うし、」 Twitter

「お互いに結婚するならって思ってる友だちがいるのよね」 Twitter

「同性婚できたら最高なのにねって言える友人に巡り合ってる」 Twitter

「友人と結婚するのはアリ」 Twitter

「同性婚が叶ったら『友達婚』が本格的に進む」 Twitter

「次のフロンティアは『友情』の法的保護だ」 Twitter

「友情結婚が理想なんだ」 Twitter

「シングルマザー同士でだと恩恵が大きい」 Twitter

「同性婚が認められて同じシングルマザーで滅茶苦茶気が合う女性が現れたら結婚するのはアリ」 Twitter

「子持ち女性からすると、不倫する男性とかよりよほど信頼出来そう」 Twitter

「女性と籍を入れた方が将来的にも明るい」 Twitter

「同性愛者でなくても女性同士の結婚は増えるような気がする」 Twitter 

「別にレズビアンとかじゃない同性婚が増えると思う」 Twitter

「同性婚が当たり前になった時に、女性が結婚相手に選ぶ率は同棲の女性比率かなり上がると思う」 Twitter

「同性婚も結婚できない同性同士が活用する場合もある」 Twitter

「仲良い友達と結婚できるならそれでいいかなって層もいる」 Twitter

「同性婚できるんだったら同性でもいい」 Twitter

「異性と結婚するより同性婚の方が楽だもの、同等の権利あるなら同性婚ばっかりになるよ」 Twitter

恋愛感情なしでも一緒にいたい!親友同士の女性2人が結婚した理由 2021/04/21


 すると、女性が次々に「女性同士の組み合わせ」を形成し、次第に未婚の男女の数の不均衡(制度を利用しない者の数の不均衡)が発生し、「婚姻できない男性」、「子を持ちたくても持てない男性」、「子を持つ機会に恵まれない男性」が増えることが考えられる。

 経済力や社会的地位を有しない男性は、「婚姻の機会」や「子を持つ機会」に恵まれなくなると考えられる。


 日本社会全体、あるいは世界の人口を見れば男女の不均衡が問題となる程の影響がないと考える者もいるかもしれない。しかし、小さな町や村、離島などでは男女の数の不均衡の影響が色濃く出てくる可能性が考えられる。また、多くの人は経済的な負担などを理由として、限られた生活圏の中で生活している。その範囲で得られる「婚姻の機会」に対して、男女の数の不均衡が影響することは、「婚姻の機会の確保」や「子を持つ可能性の確保」の側面からは障害となり得る。


 この事例の延長線上には、下記の事例が考えられる。


 「ある会社に就職した新入社員の男性Aは、社内にいくらかいる女性との結婚を想定していたが、しばらくすると、それらの女性はすべて女性同士の組み合わせを形成し、そのほとんどが男性上司Yとの間に子供を設けていた。新入社員の男性Aは、男性上司Yによって社内人事や経済力を握られているため、どうすることもできなかった。転職しても、他社でも同様な社内秩序が形成されており、男性Aはそのまま婚期を奪われ、子を持つ機会を得ることができなかった。」


【参考】「ハイスペ男子以外は引きこもり、のたれ死・孤独死に一直線」 Twitter


 社会の中で「女性同士の組み合わせ」を形成することや「複婚」が多数為されることがあれば、経済力や社会的地位、身体的魅力などの高い者と、それらを有しない者との間に著しい格差が生まれることが考えられる。

 社会的に弱い立場に立たされた者や、障害を抱えた者などは、「婚姻の機会」に恵まれなくなったり、「子を持つ機会」を得られない可能性が高まることが考えられる。


【参考】男女格差を失くすと豊かな一夫多妻的な社会になる 2016.10.05 

【動画】【衝撃の実話】孤島に男32人と女1人が6年間過ごした結果…世界も震えた驚愕の真実【セカイノフルエ】 2017/07/11

【参考】現代社会は「事実上の一夫多妻」という男にとって残酷な現実 2019.10.22

【参考】結婚したくても、340万人もの未婚男性には相手がいない「男余り現象」の残酷 2021/8/14
【動画】結婚とは何か。社会学・人類学から考える「結婚」。結婚は人格の危機なのか。それを乗り越える考え方とは 2021/04/26 (一夫一婦制の効果)


自然主義の人権論 人間の本性に基づく規範 内藤淳 2007/4/3 amazon

 この書籍の(P184~188)の「(i)一夫一妻制」の項目に、社会性を有する生物が集団の内部の秩序の安定させるためにその集団内部において資源を「配分」しようとする仕組みを分析し、その仕組みに一定の規範を見出すことによって一夫一妻制に行き着く考え方が非常に説得的に論じられている。

 


 このように、「女性同士の組み合わせ」に対して制度を設けた場合には、「女性同士の組み合わせ」によって事実上の「複婚」関係(重婚関係)を形成することが容易となることから、「複婚」を防いで抑制しようとした(重婚を禁圧しようとした)趣旨を損なわせることに繋がる。

 これらの関係に対して国が法的効果や税法上の優遇を与えるなどして支援することの妥当性が問題となる。



〇 「精子提供」の論点はどうなるか

 「女性同士の組み合わせ」に対して制度が設けられ、税法上の優遇措置などを受けられる場合に、精子提供を受ける者が増えることが考えられる。


「同性愛者でも精子提供等で子供がいる」 Twitter

「個人間やり取りの精子提供」 Twitter

「SNSでの個人間の精子提供」 Twitter

SNSでの「精子提供」法律的なリスクは? Twitter

「精子提供のやつ、結局子供は児童養護施設に追いやった」 Twitter

精子提供、ネットで広がり 「子が欲しい」に法律は今 2020年9月4日

【動画】【同性カップル】「精子提供には感染症などのリスクも」子どもを望むレズビアン&ゲイカップルの苦悩とは?“日本には精子バンクがない“子育ての夢をどう実現?【LGBT】|#アベプラ《アベマで放送中》 2020/10/13

志らく、SNSで精子提供呼びかけに反論「生まれてくる子どもたちがどう思うか」 称賛の声 2020年10月14日

【動画】女性同士カップルのリアルな妊娠・出産動画ドキュメンタリー【SDGs】ベビーカレンダー 2021/11/22

一組の同性カップルが夢を叶えた、妊娠・出産ドキュメンタリーを公開 2021年11月22日)

「同時に生殖補助医療の問題点も共有してゆくべき」 Twitter


 関連して、男性を遺伝子のみによって選別する価値観が普及していくことについても考える必要がある。

 

「アイドルの精子提供ありえる」 Twitter

「アイドルは精子提供したらいいよね」 Twitter

「アイドルに精子提供をすすめる」 Twitter

「アイドルとかは慈善事業で精子提供とか」 Twitter

「アイドルのコンサート物販でメンバーの精子うってたら」 Twitter

「男性アイドル歌手や俳優、有名学者、スポーツ選手や東大生や将棋の棋士とかが無償で精子提供して」 Twitter

「どうせ"IQが高いのが欲しい"とか選別するんじゃない?」 Twitter

「高学歴イケメンの精子が欲しいなら」 Twitter

「私より美形の遺伝子が欲しい」 Twitter

「見た目より中身がもちろん大事だけど最低ラインはある」 Twitter

「高知能な男性・高身体能力な男性・容姿の優れた男性・血筋が優れている男性が種の保存をするべき人物で遺伝的疾患や劣っている遺伝子等は沙汰されるべき」 Twitter

「精子は買いやすい」 Twitter

 

「皇室男子の精子を冷凍保存」 Twitter

「皇室に伝わるY染色体がそんなに大事なら、」 Twitter

「優良な遺伝子を残すため、種馬や種牛の精子は大事に保管されてます」 Twitter

「科学の力を借りて精子保存」 Twitter

 

「結婚すらしてなかった」 Twitter

「これで病気をうつされたり、障害のある子が産まれたら…」 Twitter

スッキリ「精子提供」の特集 2020/10/20

 

 「女性同士の組み合わせ」に対して制度が設けられて手厚い優遇措置が得られる場合には、女性は男性と結婚せずに「女性同士の組み合わせ」を形成することが主流となり、女性の中で「男性の遺伝子の選別」という価値観が普及していく可能性がある。インターネット上で優等な男性の精子がランキングされて「精子売買」が行われたり、自然生殖による精子提供を専門とする人材派遣会社などが活動する社会も想定することができる。

 すると、その影響で「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない男性」が増えたり、女性の求める精子の需要が一部の男性に集中することによって社会の中の遺伝子の多様性が失われることが考えられる。(生物学的には、遺伝子の多様性が失われると、環境の変化に対応できずに種が消滅することに繋がりやすい。)

 また、その「女性同士の組み合わせ」の下にある兄弟姉妹は、一人の男性の精子から生まれたわけではなく、それぞれ別の男性の精子との間で生まれていることも考えられる。一人目、二人目、三人目の兄弟姉妹は、それぞれ別の男性の精子による子供ということである。そのような兄弟姉妹関係が主流となった場合に、社会の前提にどのような影響を与えるかも考える必要があるように思われる。

 そのような社会に変わることが「公共の福祉」に適合するかも検討する必要がある。


「その子を否定する気はないですが、その環境を作ろうとする大人の価値観は理解できません。」 Twitter

「そのような子を支援するのは良いですが、その環境を作る後押しをするべきではない」 Twitter

「同姓婚を行った夫婦が子供を持つ権利はどうするの?」 Twitter

「先行して制定するなんて現実を見ていない」 Twitter

「精子バンクや代理出産の利用も広がる」 Twitter

【動画】「【精子提供でウソ…損害賠償訴え】」 Twitter

精子取引 サイトで仲介…「二重まぶた」「東大卒」登録 2021/06/01

精子取引トラブルで訴訟「京大卒独身日本人と信じたのに…経歴全部ウソ」精子提供者を女性が提訴 全国初か 2021年12月27日

学歴や国籍を偽り精子提供か 30代女性がSNSで知り合った男性を提訴 2022年1月11日

精子提供トラブルで3億円提訴のナゼ 「スッキリ」で日本の現状を解説 2022年01月12日

「一流大学、超一流企業、ルックス偏差値60」SNSで横行する“精子取引” 50人以上の子どもを持つ“父親”も【報道特集】 2022年7月30日

「一流大学、超一流企業、ルックス偏差値60」SNSで横行する“精子取引” 50人以上の子どもを持つ“父親”も【報道特集】 2022/7/30)

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 「精子提供」が許容された場合、知らず知らずのうちに近親交配が行われてしまう可能性も検討する必要がある。

 離島や山奥の村、都会の中の一部の階層(都会の中でも村社会と言われているところもある)など、人口規模が少ない場所では近親交配の確率も高くなると考えられる。

 

「女性の健康の保護、産まれてくる子どもの福祉が基本理念」与野党が提出した生殖補助医療法案の目的とは 2020.11.18

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「代理母が排除されたり、」 Twitter

「女性同士のカップルが人工授精で子供を授かったら、出産しない側」 Twitter

【参考】私と彼女は同性婚。二人とも子供が欲しいため体外受精をして彼女が先に出産した。彼女の子供なのに「私ばっかり辛い!二人の子なのよ!貴女も母親の自覚を持って!」と泣きわめかれる 2021/04/12


 「女性同士の組み合わせ」が「精子提供」で子供を持とうとしている事例について。


【動画】【山口】県内初のパートナーシップ制度~当事者が語る意義と課題 2021/09/02


 「同じ男性の精子で妊活中で、授かれば『異母きょうだい』となる。」

「ネットで精子を」同性カップル増…病院で提供受けられず「個人間」頼みに 2021/09/20


◇ 台湾の「女性同性婚」と「精子提供」について


【動画】「同性婚訴訟から考える憲法」志田陽子さん(武蔵野美術大学 教授) 2020/5/3



〇 「近親交配」を防ぐ意図はどうなるのか

 「女性同士の組み合わせ」に対して制度が設けられた場合には、婚姻制度を構築することによって「近親交配」を防ごうとする意図が損なわれる。

 「男女二人一組」を前提とした婚姻制度を構築することによって間接的に極力「近親交配」に至ることを防ごうとする立法目的が損なわれ、潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じる可能性も検討する必要がある。

 



 

【参考】「子ども同士がやがて知らずに男女でくっついたら、近親交配になる」 Twitter

【参考】「近親婚を避ける手立てを国が何も行わないと、」 Twitter

【参考】豪で「近親相姦農場」見つかる、先天異常の子ら12人保護 2013年12月13日

【参考】【禁断の恋!】兄妹(姉弟)間の結婚はどこまで許される?? 2018.5.10



 このように、「女性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることは、遺伝的な父親の特定を困難とするため、婚姻制度を構築することによって「近親交配」に至ることを防ごうとする立法目的を達成することができなくなる。


・「女性同士の組み合わせ」は遺伝的な父親を特定することができないため、「近親交配」を防ぐことができない。

・「女性同士の組み合わせ」による事実上の「複婚」が形成されるなどし、未婚の男女の数の不均衡が発生することにより「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が増える。


 「女性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることは、上記のような問題がある。

 

 よって、「女性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることは、「公共の福祉」に反すると考えられる。



 「同性間の人的結合関係」に対して制度を設けた場合には、「女性同士の組み合わせ」を形成して子供を産む状態を推進する作用が生じ、遺伝上の父親を特定することができない状態で子供を産むことを促進することに繋がる。

 これは、子供にとって遺伝上の父親を特定することができない状態となることから、「子の福祉」の充実に沿わないことが考えられる。

 また、遺伝上の父親を特定することができないことによって、近親者の範囲を把握することができなくなるため、近親者の範囲を把握することを前提とした上で、その近親者との間では「婚姻」することができない仕組みとすることにより、「近親交配」に至ることを未然に防ぐ仕組みとすることができなくなったり、その仕組みを設けているつもりでも十分に機能しなくなることを意味する。

 すると、婚姻制度を利用した場合には「近親交配」となることを回避することができるはずであるとの前提が成り立たなくなり、婚姻制度を利用したとしても「近親交配」に至ることを十分に防止することができなくなるため、婚姻制度に対する人々の信頼性を失わせることに繋がる。(婚姻制度そのものの価値を損なわせることに繋がる。)

 また、実際に「近親交配」に至ってしまった場合には、子供は潜性遺伝子が発現するリスクが高くなり、遺伝上の障害を抱えやすくなる。

 さらに、「同性間の人的結合関係」に対して制度を設けた場合には、「同性間の人的結合関係」を形成する者が増えることが考えられる。

 すると、その社会の中で未婚の男女の数(制度を利用しない男女の数)に不均衡が生じることに繋がることから、その社会環境が未婚の男女(制度を利用しない男女)にとって「子を持つ機会」の公平性が保たれなくなることを意味する。

 そのような社会の中で生活することを強いることになることは、「公共の福祉」の観点からも問題となる。



 そもそも「婚姻」は上記のような問題が生じることを防ぐために設けられた枠組みである。

 そのことから、上記のような問題が生じる組み合わせを「婚姻」として扱うことはできない。


 また、憲法24条の「婚姻」の文言それ自体や「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言の趣旨は、上記のような問題が生じる組み合わせを「婚姻」として扱うことを認めておらず、それらを「婚姻」とすることはできない。







婚姻制度と矛盾する制度は立法できないこと

 婚姻制度を設けている以上は、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害するような影響を与えるような制度を別に創設することはできない。

 もしそれをした場合には、婚姻制度の立法目的を達成することができなくなり、婚姻制度を設けている意味がなくなるからである。


 婚姻制度とは別に「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けることができるかどうかを検討する。



■ 婚姻制度の概要


 「婚姻」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられた枠組みである。

 これは、下記のような経緯によるものである。


 その国の中で「生殖と子の養育」に関する事柄について何らの制度も存在しない場合には、社会的な不都合が発生することがある。

 例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。

 これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。


 ・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

 ・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

 ・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

 ・母体を保護すること


 そして、これらの目的を達成するためには、目的との関係で整合的な下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。


 ・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること

 ・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること

 ・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること

 ・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること


 これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。

 そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることによって、制度を利用する者を増やし、これらの立法目的の実現を目指す仕組みとなっている。


 憲法24条でも「婚姻」について「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて、一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。

 憲法24条が一夫一婦制(男女二人一組)を定めている理由は、「婚姻」が有している目的を達成するための手段として整合的な上記の要素を満たすからである。


 そして、憲法24条の「婚姻」の枠組みの「要請」に従って、法律上で具体的な婚姻制度が定められることになる。



■ 婚姻制度の「趣旨・目的・内容・効果」


 婚姻制度は、「男性」と「女性」の間に「貞操義務」を設けることによって、その「女性」から生まれてくる子供の遺伝的な父親を特定することを重視するものとなってる。

 これは、産まれてくる子供に対して、母親だけでなく、父親にも責任を担わせることによって、「子の福祉」の充実を期待するものとなっているからである。

 子は何らの因果関係もなく突然「女性」の腹から生まれてくるわけではないため、その子が生じるという因果関係の一旦を担う父親に対してその子に対する責任を担わせる仕組みとすることは、逃れることのできない責任を有する者として合理的ということができるからである。

 また、遺伝上の父親を特定できることは、遺伝上の近親者を把握することが可能となるため、その近親者との間で「婚姻」することができない仕組みを導入することで、「近親交配」に至ることを防止することが可能となる。

 これによって、産まれてくる子供に潜性遺伝子が発現することを抑えることが可能となり、産まれてくる子に遺伝上の障害が生じるリスクを減らすこともできるからである。

 他にも、婚姻制度の枠組みが「男女二人一組」となっていることは、その社会の中に男女がほぼ同数生まれているという前提の下では、未婚の男女の数に不均衡が生じることはないため、より多くの者に「子を持つ機会」を確保することを可能とするものとなっている。

 その他、婚姻制度のもつ子供の遺伝上の父親を特定することができる形での「生殖」を推進する仕組みからは、婚姻制度を利用する形で子供を妊娠し、出産することを期待する(インセンティブを与える)ものとなっているが、その妊娠、出産に関して母体の保護の観点からリスクのある状態を推奨することはできないし、親となる者が低年齢のままに子を持つという責任を担う立場に置かれることを推進することも望ましくないことから、婚姻制度の利用に対して「婚姻適齢」という形で一定の年齢制限を設けるものとなっている。


 これらの意図を満たす形で「男女二人一組」という枠組みを設定し、その婚姻制度の枠組みに従う者に対して、一定の優遇措置を講じることによって、婚姻制度の利用者を増やし、その立法目的を達成することを目指すものとなっている。

 このことから、婚姻制度の立法目的とその立法目的を達成するための手段は下記のように整理することができる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

① 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること

(→ 嫡出子として父親を特定することができる状態で生まれることを重視)

② 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること

(→ 貞操義務と嫡出推定〔、再婚禁止期間〕によって遺伝的な父親を極力特定し、それを基に遺伝的な近親者を把握し、近親婚を認めないことによって『近親交配』に至ることを防止)

③ 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと

(→ 未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定。一夫一婦制。重婚や重婚状態、複婚や複婚状態の防止。)

④ 母体を保護すること

(→ 婚姻適齢を設定)

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 このような婚姻制度の「趣旨・目的・内容・効果」を前提として、婚姻制度とは別に「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けることができるかどうかを検討する。



■ 婚姻制度との間で生じる齟齬


▼ 婚姻制度の政策効果を阻害すること


▽ 子の福祉


 婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。

 つまり、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定し、母親だけでなくその者にも子に対する養育の責任を担わせることにより、「子の福祉」の実現を目指す仕組みとなっている。

 また、子供にとって遺伝上の父親を特定することができることによる利益を得られるように配慮するものとなっている。

 そのため、「生殖」によって子供をつくろうとする者が婚姻制度を利用することによって遺伝上の父親を特定することができる人的結合関係を形成するようにインセンティブ(動機付け)を与えるものとなっている。

 しかし、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けた場合は、その制度によって婚姻制度を利用した場合と同様、あるいは類似した優遇措置を得られることが原因となって、婚姻制度を利用することに対してインセンティブが働かなくなる。

 また、「女性同士の組み合わせ」を形成して子供を産むことに対してインセンティブが働くことになり、遺伝上の父親を特定することができない状態で子供を産むことを推進する作用が生じることとなる。

 これは、子供にとって遺伝上の父親を特定することができない状態となることから、「子の福祉」の充実に沿わないことが考えられる。

 

 そのため、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設け、婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度の政策的な効果を弱める影響を与えることとなり、婚姻制度の立法目的の実現が阻害され、婚姻制度との間で矛盾するものとなる。



▽ 近親交配の回避

 婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。

 その中に、遺伝上の父親を特定することによって近親者の範囲を把握し、その近親者との間では「婚姻」することができないことにすることで、「近親交配」に至ることを防ぎ、潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ぐ仕組みがある。


 しかし、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設け、法的効果や一定の優遇措置を与えた場合には、「女性同士の組み合わせ」を形成することに対してインセンティブが働くことになり、遺伝上の父親を特定することができない関係の中で子供を産むことを促進する作用が生じ、近親者の範囲を把握することができない状態を推進することになる。

 そうなると、婚姻制度を設けることによって「近親交配」に至ることを回避することができる社会環境を整備しているにもかかわらず、その仕組みに沿わない制度が別に存在することによって、婚姻制度を設けることによって「近親交配」に至ることを防ぐという一貫性のある政策を行うという前提が成り立たなくなる。

 つまり、婚姻制度が近親者の範囲を把握することを前提とした上でその近親者との間では「婚姻」することができないことにすることで「近親交配」に至ることを未然に防ぐ仕組みとしているにもかかわらず、その仕組みが十分に機能しなくなり、その社会の中で「近親交配」に至ることを十分に防止することができなくなるということである。

 すると、婚姻制度が潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ごうとする意図を達成することができなくなり、子供の世代において意図せずに「近親交配」に至る確率が高くなる。

 そして、実際に「近親交配」に至ってしまった場合には、子供は潜性遺伝子が発現するリスクが高くなり、遺伝上の障害を抱えやすくなる。
 これは、婚姻制度を設けていること自体の価値を損なわせ、人々が婚姻制度に対して抱いている信頼感を失わせることに繋がる。


 そのため、「同性間の人的結合関係」(特に女性同士の組み合わせ〔女性三人以上の組み合わせであっても同様〕)を対象とした制度を設け、婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度の政策的な効果を弱める影響を与えることとなり、婚姻制度の立法目的の達成が阻害され、婚姻制度との間で矛盾するものとなる。



▽ 生殖機会の公平

 婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。

 その中に、一夫一婦制(男女二人一組)とすることにより、未婚の男女の数の不均衡が生じることを防止し、未婚の男女にとっての「生殖機会の公平」が保たれるように配慮し、その社会の中で「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生じることを抑制しようとする仕組みがある。


 しかし、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けた場合には、その制度を利用することによって婚姻制度と同様、あるいは類似の法的効果や優遇措置を得られることを理由として、「同性間の人的結合関係」を形成する者が増えることが考えられる。

 すると、その社会の中で未婚の男女の数(制度を利用しない男女の数)に不均衡が生じることに繋がることから、その社会環境が未婚の男女(制度を利用しない男女)にとって「子を持つ機会」の公平性が保たれなくなり、「子を持ちたくても相手が見つからずに子を持つ機会に恵まれない者」が増えることに繋がる。

 そのような社会の中で生活することを強いることになることは、「公共の福祉」の観点からも障害となると考えられる。


 そのため、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設け、婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度が「男女二人一組」の形に限定することによって「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らそうとする立法目的の達成を阻害するものとなるから、婚姻制度との間で矛盾するものとなる。



▽ インセンティブの減少


 婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。

 このことから、婚姻制度を利用しない人的結合関係に対しては意図的に優遇措置を設けないことにより、「生殖」によって子供をつくろうとする者が婚姻制度を利用することによって遺伝的な父親を特定することができる人的結合関係を形成するようにインセンティブを与えるものとなっている。 

 つまり、婚姻制度を利用する者に対して法的効果や一定の優遇措置を与え、婚姻制度を利用していない者にはそれを与えないという差異を設けることによって、婚姻制度を利用することに対してインセンティブを働かせ、婚姻制度を利用する者を増やし、その立法目的を達成することを目指すものである。
 そのことから、婚姻制度を利用しない人的結合関係に対しては意図的に法的効果や優遇措置を与えないということを予定しているものである。


 しかし、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けた場合には、国民がその制度を利用することにより、婚姻制度を利用した場合と同様、あるいは類似した優遇措置を得られることを理由に、婚姻制度を利用するのではなくその制度を利用することを選択する者が増加していくこととなる。

 すると、婚姻制度が遺伝的な父親を特定することができる状態を推進することによって達成しようとした立法目的の達成を阻害する影響を与えることになる。


 そのため、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設け、婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度の政策的な効果を弱める影響を与えるものとなることから、婚姻制度との間で矛盾するものとなる。



▽ 母体の保護


 上記のような問題により、婚姻制度が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するための制度として十分に機能しないものとなると、その社会の中で人々が抱いている婚姻制度に対する信頼性が損なわれることになる。

 すると、その社会の中で子を産むことを希望する者が次第に婚姻制度を利用しなくなっていき、婚姻制度が存在している意義そのものが希薄化していくことになる。

 そうなると、婚姻制度を利用して子を持つという形を求める者が減少し、反対に、婚姻制度を利用しない形で「生殖」をしたり、子を持つ者が増加していくことになる。

 すると、それまでは婚姻制度を利用する形で子供を妊娠し、出産することに対してインセンティブを与えていたことから、婚姻制度を利用して子を持つという形を求める者が多く、婚姻適齢に満たない者が「生殖」の営みに誘引される機会がそれなりに少ない社会状況を維持することができていたが、婚姻制度の価値や信頼性が損なわれている結果、婚姻制度を利用することについて十分なインセンティブが働かない状態となっていることから、婚姻制度を利用しない中で「生殖」を営み、子を持つ者が増加していくこととなり、その影響で婚姻適齢に満たない者が「生殖」の営みに誘引される機会も増加していくことに繋がる。

 その結果、婚姻適齢に満たない若年の女性が「生殖」(性的な接触や性行為)に続いて、妊娠、出産のリスクを背負うことが増加し、「母体の保護」の観点から見れば望ましくない状態で妊娠、出産に至ることが抑制されなくなる。

 また、低年齢のままに親として子を持つという責任を担う立場に置かれることも増加し、婚姻制度の政策的な効果が十分に機能していないことから父親が特定されていなかったり、知識レベルや経済力が十分でないままに子を育てるという過酷な状況に陥ることが抑制されなくなる。

 このことは、「母体の保護」の観点や、倫理的な観点、望ましい社会の在り方を考える上で問題となる。



 このように、「同性間の人的結合関係」に対して制度を設けることは、婚姻制度の政策効果を阻害することに繋がり、その結果、それまで人々が婚姻制度を利用することに対して魅力を感じていたことにより抑制されていた問題が表出することになる。



▼ 24条の「婚姻」を離れて「生殖と子の養育」に関わる制度を立法することはできないこと


 憲法24条の「婚姻」の文言は、「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約して規律する趣旨を有していることから、もし「生殖と子の養育」に関わる制度を憲法24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法した場合には、憲法24条の「婚姻」の文言に抵触して違憲となる。

 なぜならば、憲法24条が「婚姻」の内容に対して立法裁量の限界を画することによって、法律上の「婚姻」の制度を規律しているにもかかわらず、その憲法24条の制約を回避する形で制度を立法することができることになれば、憲法24条の規定そのものが有する効力が損なわれた状態となり、憲法24条の規定が骨抜きとなるからである。

 よって、「婚姻」が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として、「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する意味で設けられた枠組みである以上は、その「生殖と子の養育」に関わる制度については、憲法24条の「婚姻」の文言が一元的に集約して規律する趣旨を有しており、これを離れて「生殖と子の養育」に関わる制度を立法することはできない。

 そのため、ここでいう「同性間の人的結合関係」について制度を設けた場合に、その内容が「生殖と子の養育」に関わる制度となっている場合や、「生殖と子の養育」に影響を与えることが考えられる制度となっている場合には、そのこと自体で憲法24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。



▼ 制度を利用していない者との間の差異を正当化できないこと


 一般的・抽象的にその間で自然生殖を想定することができる「一人の男性」と「一人の女性」の組み合わせに対して「貞操義務」など一定の形式で法的に結び付けることは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的の実現に資することから、必然性を見出すことができる。

 つまり、「男女二人一組」については、その間で自然生殖が行われた場合に、遺伝的な父親を特定することができる関係となることから、その特定された父親に対しても子に対する責任を担わせることができる。

 また、父親を特定することによって「近親交配」に至ることを回避することも可能となる。

 他にも、「男女二人一組」の制度であれば、未婚の男女の数の不均衡を防止することが可能となるため、その社会全体の中で「生殖機会の公平」を実現することに寄与するものとなる。

 「婚姻適齢」を満たした者の間での「生殖と子の養育」に関する制度であれば、「母体の保護」の観点や、「子育ての能力」の観点からも一般には支障がないものと考えられる。

 これらは、結果として「子の福祉」を目指す仕組みとして合理的であるということができる。

 そのため、「男女二人一組」の関係性に対して制度を設けてその制度を利用する者に対して一定の優遇措置を与えるとしても、それはその制度を利用していない者との間で生じる差異を正当化することが可能である。


 しかし、「同性間の人的結合関係」については、その間で「生殖」を想定することができないことから、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する形で制度を設けるという目的からは導かれないものである。

 そのため、「同性間の人的結合関係」に対して制度を設けることは、その制度を利用していない者との間で合理的な理由を説明することのできない差異を生じさせるものとなり、「平等原則」に反することになる。



▼ 他の人的結合関係との間の差異を正当化できないこと


 「同性間の人的結合関係」を対象とする制度は「二人一組」を対象とすることが想定されている。

 しかし、「同性間の人的結合関係」については、婚姻制度のように「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的との関係により一般的・抽象的にその間で「生殖」を想定することができる「男性」と「女性」の揃う「二人一組」を対象として枠組みを定めるという意図からは導き出されないものである。

 そのため、その内容を「二人一組」とする必然性もないのであり、理由なく「二人一組」としていることは、「カップル信仰論」に基づくものとなっている。

 人的結合関係には、「三人一組」や「四人一組」、「それ以上の人的結合関係」も存在するのであり、「二人一組」だけを特別視して制度を設けること自体についても、合理的な理由を説明することができないものとなっており、妥当でない。



■ 結論


 このように、もし「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を設けた場合には、婚姻制度の立法目的の実現を阻害し、婚姻制度の政策効果を弱めることに繋がる。

 また、「同性間の人的結合関係」を対象とした制度を立法した場合には、憲法24条の「婚姻」の文言が「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約して規律している趣旨や、憲法14条1項の「平等原則」の関係で違憲となることが考えられ、そのような制度を立法することはできない。


 よって、上記のような問題が生じる組み合わせに対して何らかの制度を設けることは、憲法24条の「婚姻」の文言それ自体や「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言が一夫一婦制(男女二人一組)の枠組みを設けることによって立法目的を達成しようとする趣旨に反することから、これらの文言に抵触して違憲となる。



 「近親者との組み合わせ」や「三人以上の組み合わせ」、「婚姻適齢に満たない者との組み合わせ」、「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることができるかについて、当サイトの「パートナーシップ制度」でも解説している。 




〇 憲法24条が存在しない場合であっても婚姻制度と矛盾する制度を立法することはできないこと


 婚姻制度を設けている以上は、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害するような影響を与えるような制度を別に創設することはできない。

 もしそれをした場合には、婚姻制度の立法目的を達成することができなくなり、婚姻制度を設けている意味がなくなるからである。
 そのため、婚姻制度を設けている以上は、たとえ憲法24条の規定が存在しない場合であっても(大日本帝国憲法のように憲法上の規定として婚姻が定められていない場合であっても)、その婚姻制度と矛盾する制度を別に立法することが可能となるわけではない。




〇 日本法において「婚姻」という名前の制度が存在しない場合でも行き着くところは同じであること


 たとえ日本法において「婚姻」という名前の制度が存在しない場合であっても、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす人的結合関係を選び出し、その不都合の解消を目指す制度を組み立てるのであれば、結局は「男女」「近親者等でない」「二人一組」「婚姻適齢」を満たすことを求める制度に行き着くこととなる。

 そのため、このような目的を達成するための手段として組み立てられている制度の中に、これらを満たさない人的結合関係を含めることができるということにはならないことは変わるものではない。



◇ 他の人的結合関係との整合性


 たとえ憲法上に24条が存在しておらず、日本法の下に「婚姻」という名の制度が存在しない場合であったとしても、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために制度を設けており、そこで「近親者との人的結合関係」や「三人以上の人的結合関係」、「婚姻適齢に満たない者との人的結合関係」に対して何らかの制度を設けることの妥当性が検討され、それらに対して制度を設けないことに合理的な理由が存在すると判断されているのであれば、その判断の過程では、その判断の根拠として立法目的が存在することを意味し、その立法目的を達成するための手段となる枠組みとの間で整合性が検討されているということになる。

 同様に、「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることが妥当であるか否かについても、先ほど「近親者との人的結合関係」や「三人以上の人的結合関係」、「婚姻適齢に満たない者との人的結合関係」に対して制度を設けないことに合理的な理由が存在するか否かを検討するときに使われた立法目的を用い、その立法目的を達成するための手段となる枠組みとの間の整合性を検討することで結論を導き出すことになるものである。(それは結局、上記で挙げた立法目的とその立法目的を達成するための手段となる枠組みと同様のものである。)

 その立法目的に照らし合わせた場合に、他の人的結合関係の組み合わせとの整合性から考えて「同性同士の組み合わせ」に対して制度を設けることが導かれないのであれば、制度を設けていないことが「公共の福祉」に反するということにはならない。


 国(行政府)の下記の主張についても、たとえ「婚姻」や「夫婦」という用語を使わない形に整理したとしても、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという「目的」があり、その「目的を達成するための手段」となる制度を設けるのであれば、その枠組みは変わらないものである。


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ア 以上の本件諸規定の立法経緯及びその規定内容からすると、本件諸規定に基づく婚姻は、人が社会生活を送る中で生成され得る種々の、かつ多様な人的結合関係のうち、一人の男性と一人の女性との人的結合関係とその間に産まれる子との人的結合関係を制度化し、夫婦に身分関係の発生に伴うものを含め、種々の権利を付与するとともに、これに応じた義務も負担させることによって、夫婦関係の長期にわたる円滑な運営及び維持を図ろうとするものである。すなわち、本件諸規定の目的は、一人の男性と一人の女性が子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して特に法的保護を与えることにあると解するのが相当である。

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【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 PDF


 つまり、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的とし、その目的を達成するための手段として「一人の男性と一人の女性との人的結合関係とその間に産まれる子との人的結合関係を制度化」して「特に法的保護を与え」、その目的を達成することを目指すのであれば、その制度を「婚姻」と呼ぶか否か関わらず、その対象となる人的結合関係の範囲は、婚姻制度(男女二人一組)と変わらないものとなるのである。 



◇ 平等原則との関係

 

 一般的・抽象的にその間で自然生殖を想定することができる「一人の男性」と「一人の女性」の組み合わせに対して「貞操義務」など一定の形式で法的に結び付けることは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的の実現に資することから、必然性を見出すことができる。

 つまり、「男女二人一組」については、その間で自然生殖が行われた場合に、遺伝的な父親を特定することができる関係となることから、その特定された父親に対しても子に対する責任を担わせることができる。

 また、父親を特定することによって「近親交配」に至ることを回避することも可能となる。

 他にも、「男女二人一組」の制度であれば、未婚の男女の数の不均衡を防止することが可能となるため、その社会全体の中で「生殖機会の公平」を実現することに寄与するものとなる。

 「婚姻適齢」を満たした者の間での「生殖と子の養育」に関する制度であれば、「母体の保護」の観点や、「子育ての能力」の観点からも一般には支障がないものと考えられる。

 これらは、結果として「子の福祉」を目指す仕組みとして合理的であるということができる。

 そのため、「男女二人一組」の関係性に対して制度を設けてその制度を利用する者に対して一定の優遇措置を与えるとしても、それはその制度を利用していない者との間で生じる差異を正当化することが可能である。

 

 しかし、「同性間の人的結合関係」については、その間で「生殖」を想定することができないことから、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する形で制度を設けるという目的からは導かれないものである。

 そのため、「同性間の人的結合関係」に対して制度を設けることは、その制度を利用していない者との間で合理的な理由を説明することのできない差異を生じさせるものとなり、「平等原則」に反することになる。







憲法改正の論点

「両性」を「両者」に変えるとどうなるか


 憲法24条の「両性」の文言が「男性」と「女性」の両方を求めるものであるとの考え方に基づき、この24条の下で「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる同性婚)はできないが、この「両性」の文言を「両者」に改正することで、「同性同士の組み合わせ」を「婚姻」とすることが可能となるとの主張がある。(この議論においては、『婚姻』そのものに含まれた内在的な限界や『夫婦』の文言によって限定される論点は無視されている。)


【参考】同性婚も改憲議論の対象 下村氏、野党に参加促す 2019/9/21


憲法 (下記の『両性』を『両者』に変更する考え方)
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第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 しかし、この変更には気付きにくい論点が存在する。

 それは、「両性」の文言を「両方の性別」や「二つの性別(二つの異なる性別・男女)」という意味と捉え、「男性」と「女性」が揃えば要件を満たすものと考えているのであれば、この「両性」の文言の中には「二人一組」に限定する意味は必ずしも含まれていない可能性があることである。

 つまり、この「両性」の文言は、「男性」と「女性」を指す意味での「両」であることから、この「両性」の文言だけを見れば、「異性を含む三人以上の組み合わせ」を「婚姻」とすること(いわゆる異性複婚)は排除されていない可能性が考えられるのである。(『相互』の文言によって『二人一組』に限定される論点は別にある。)

 しかし、憲法改正によって「両性」の文言を「両者」に変えようとする議論では、「男性」と「女性」に限定する意味は含まれないことになるが、それとは別に「両性」の文言それ自体の中には今まで含まれていなかった可能性のある「二人一組」の意味が加わることになる。


◇ 「両性」 ⇒ 「男性」と「女性」が必要である。「二人一組」に限定する意味が含まれていない可能性がある。
◇ 「両者」 ⇒ 「二人一組」を意味する。「二人一組」に限定する意味を持つことになる。


 これは、「両」の文字が残ってはいるものの、「両性」という「男性」と「女性」を指している「両」の意味であったものを、「両者」のように「二人一組」における「二つ」を指している「両」の意味に変更しようとするものであり、まったく別の意味に変えようとするものなのである。


 ただ、もともと憲法中では、なぜ「両性」のように敢えて自然人の「性」の部分に着目し、「性」を強調した表現を用いているのかを考える必要がある。

 生殖を想定する制度でないのであれば、自然人を指し示したり、自然人の人的結合関係の対象者を示す際に、性別を強調する必要などないからである。

 この点の立法趣旨を読み取ることが必要である。

 



 

【参考】「『当事者』というと一夫多妻制へ」 Twitter



◇ 24条の改正について


 「同性婚」と24条の「相互の協力により」の論点

【動画】第5回憲法調査会「知事が語る!玉木が語る!地方自治と憲法改正」 2020/11/6 (1:25:36)

 「複婚」について
【動画】第5回憲法調査会「知事が語る!玉木が語る!地方自治と憲法改正」 2020/11/6 (1:44:12)







<理解の補強>

 Twitterの内容は、やや内容が過激なものも含まれるが、整合的な法秩序を形成できるかを考えるための参考として取り上げる。


◇ 平等の捉え方


・ 「異性と婚姻すること」は、誰にでも等しく認められている。ここに差別は存在しない。

・ 「近親者と婚姻すること」は、誰にでも等しく認められていない。ここに差別は存在しない。

・ 「三人以上で婚姻すること」は、誰にでも等しく認められていない。ここに差別は存在しない。

・ 「婚姻適齢に満たない者と婚姻すること」は、誰にでも等しく認められていない。ここに差別は存在しない。
・ 「同性と婚姻すること」は、誰にでも等しく認められていない。ここに差別は存在しない。

 

【参考】「全ての人に『異性』と結婚できる権利が与えられている」 Twitter 


◇ 婚姻適齢

 民法改正によって婚姻適齢は男女ともに「十八歳」となった。しかし、女性が「十六歳」、「十七歳」で子供を産む際に、子供が不必要に非嫡出子となることを防ぐため「十六歳」で「婚姻」できるとしておいてもよかったのではないかと思われる。どういう立法意図があるのだろうか。国の制度としては、「十六歳」は義務教育は終えている年齢でもある。

 

【参考】「男性の婚姻可能年齢を引き下げる方向で統一すれば良かった」 Twitter

【動画】15歳で母親にシングルマザーの苦悩と葛藤は?10代の未婚&出産なぜ多い 2024年8月8日

【動画】15歳の母その後を追跡!成長&変化と「女性の自己責任論」と「男性の逃げ得」を考える 2024年8月8日


◇ 「同性婚は憲法24条に違反する」との訴訟が起こされる場合


「 同性婚のカップルの片方が死んだとき、他の相続権者が、少しでも取分を増やすため『同性婚は、憲法24条違反。』とし訴えたら」 Twitter

「同性婚反対の人から同性婚可能な民法は憲法24条に反するという訴訟が起きるのでは」 Twitter 

「同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは/極めて慎重な検討を要する」 Twitter


◇ その他

 

「結婚という伝統」……「国家が制度として結婚」……「分けて考えなければ」 Twitter

「同性間の友人関係を『不貞行為!』と主張して訴えるということ」 Twitter

「『自分自身と結婚』して、」 Twitter

「一人物婚も認めてくれ」 Twitter

【動画】びきまえ434 同性婚とノンケと禅問答? ~S洞宗の僧侶S寛さんがゲスト!~葬儀屋の四方山話「びきまえ」 2017/06/21

家父長制度は男尊女卑なのか 2023-02-03


◇ 婚姻制度を廃止する考え方


「法律婚をやめた方がよりシンプルかな」 Twitter

「結婚が精神的結束のためだけにあるなら宗教行事に落とし込んで個々で自由にやれば良い」 Twitter

「結婚の完全自由化・民営化」 Twitter

「結婚制度ってめっちゃ信用のある企業だったら民間でも運用できる」 Twitter

「婚姻は、宗教勢力と国家のどちらが人を支配するか、という政治闘争にも関わる。」 Twitter

「最初から結婚っていう制度つくらなければ」 Twitter

「婚姻制度撲滅でいいというポジション」 Twitter

「法律婚がなくなれば、別姓婚、同性婚、非婚、非嫡、一人親などの問題がなくなります。」 Twitter



 下記は、当サイトとは視点が異なるものもあるが、憲法上の論点を明らかにし、整合性を突き詰めるための参考とする。

日本における同性婚の法解釈 <上>  2007 PDF

同性婚は子供のためになるか 民法論議に欠けていること 2015年12月

「LGBT差別解消法案」の問題点 ―婚姻・家族制度の崩壊促し、思想・信条の自由侵害の危険性― 2016年3月25日
トークイベント「徹底討論!同性婚法制化の問題点を推進派の弁護士さんに聞いてみた」開催しました! 2017年02月18日

国民の意志を無視して訴訟で同性婚を押し通そうという策略 2018.12.27

国民の意志を無視して訴訟で同性婚を押し通そうという策略 2018-12-27)

憲法24条で同性婚が禁止されているとする説はあるか? 2019年2月23日
憲法学と同性婚(辻村先生中心) 2019年2月23日

憲法学が同性婚をどう扱ってきたか(辻村「憲法と家族」を手がかりとして) 2019/02/25

LGBTカミングアウトの松浦大悟元参院議員が同性婚訴訟や立憲民主党の提言に懸念を示す理由 2019.05.07

同性婚をめぐる国際私法上の課題~外国で締結された同性婚は日本でも有効なのか 2020年1月7日

憲法・民法から見た同性婚合法化の是非 ―婚姻制度の立法趣旨と子供の福祉の視点から― 2021年6月22日

生殖可能性のない同性婚を法律で認める理由はない…憲法学の専門家が「同性婚の法制化」にクギを刺す理由 2023/02/18

私たちは「重婚」を認められるか…?「同性婚」問題の先に浮かび上がる「多様性をめぐる根本的な難点」 2023.06.27

同性婚や個人主義、新しい思想について 2024年9月26日

「同性婚カップルが子をもつことを認める? 認めない?」…日本人が知っておくべき「同性婚に関する重大な法的知識」 2024.11.18





 憲法24条の法的性質を考える上で、割と詳しい検討がなされている。

自己決定権と憲法二四条──「家族・リプロダクションに関する事柄」を中心として── 国士舘大学リポジトリ 2004-03



<衆議院憲法審査会事務局>


衆憲資第94号 「新しい人権等」に関する資料 衆議院憲法審査会事務局 平成29年5月 PDF(P76~83)



<政府答弁>


【動画】第200回[衆] 法務委員会 2019/10/23

【動画】同性婚について 尾辻かな子 衆議院予算委員会 2021年2月25日

 

◇ 政府は24条の解釈について特定の立場に立っているわけではないようである。


同性婚「憲法で禁止か許容か、特定の立場にない」松野博一官房長官 2023年2月8日

「憲法は同性婚想定せず」 松野官房長官が見解 2023年2月8日

 

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 

(略)

 憲法二十四条は、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立すると定めており、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません。同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものと考えております。

(略)

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第189回国会 参議院 本会議 第7号 平成27年2月18日



<訴訟>

【名古屋・第2回】被告第1準備書面 令和元年6月20日 PDF

【九州・第3回】被告第2準備書面 令和2年5月13日 PDF


結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟) 訴訟資料


<皇室>

眞子さまの「ご結婚問題」がここまで長引いている「意外すぎるワケ」 2019.8.14



<外国の事例> 

 

Obergefell判決における同性婚と婚姻の権利 上田宏和 2016-07-20

米国における同性婚 ―その経緯と展望― 2015年12月7日

 

 アメリカにおける婚姻は、日本国における婚姻制度とは性質が異なっている。

 ただ、米国のObergefell判決を、日本国の法制度に照らし合わせて考えると、下記の論点で誤っていると考えられる。

 

⑤ 「カップル信仰論」になっていること

⑥ 「カップル間不平等論」になっていること

⑨ 婚姻制度は「性愛」を保護することを立法目的にはしていないこと

⑫ 「近親者」「三人以上の複数名」「婚姻適齢に満たない者」との間でも同様に語ることができること


 (論点番号については、当サイト『同性婚訴訟 大阪地裁判決の分析』より)



<生物学>

【動画】長谷川寿一「ヒトの心はどのように生れ、進化してきたか?」ー公開講座「心」2015 2016/11/02

人間社会に「一夫一妻制」が生まれた理由は性感染症を抑えるため? 2016年04月13日

人間の一夫一婦制、理由は「真実の愛」でなく細菌 研究 2016年4月13日



<その他>

 「生殖」に関わる問題を軽んじない方がいいことについて参考。


代理出産の問題点・まとめ 2024年4月27日

石丸氏の「遺伝子的に子どもをうみだす」は「SFの話」ではない  政治家の無知を思う 2024/07/21

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「基本給は5万5000ドル、帝王切開は2500ドル」という知られざる代理母の値段票まで…増加が懸念される危険な「代理出産」 2024年09月10日

「同性婚カップルが子をもつことを認める? 認めない?」…日本人が知っておくべき「同性婚に関する重大な法的知識」 2024.11.18