法学教育の仕組みづくり



小学生向けの法教育の仕組みを考えてみた。

 

「三権分立」の座席を用意して、座ってみて、資料を読んだりしながら相互に権力の抑制・均衡を体験できる授業ができるスペースをつくる。

クラスの中で、国家機関の役や企業の経営者や労働者の役を選ぶ。すべて国民として構成する。

「国会議員 役」は、選挙で選出されてる。その後、模擬 国会の座席に座る。その後内閣総理大臣を選出する。
「裁判官 役」は、法学のいくつかの試験に応えられた人が座るのがいいかも。
「公務員 役」は、簡単な社会科の試験に受かった人が座るのがいいかも。

国会は国民の声を聴いてルールをつくる。
裁判所は事件を処理するが、国会のつくったルールが憲法に合致しているか審査することもある。
公務員は、内閣の指令に基づいて、国民に向かって仕事をする。

憲法も、教育用の30条ぐらいしかない簡単な憲法にする。
法律も、犯罪が10条ほど、債務不履行が8パターンほど、不法行為が5パターンぐらいの簡単な法典で実施する。刑法の罪刑法定主義ぐらいは教える。
公務員の仕事は、教室環境省、清掃省とか、学校の中で仕事を組むのも良い。

国民は税金を取られることも覚える。模擬通貨でやればいい。貨幣経済もできれば設定する。

このように、理想の共同生活空間(国にあたるもの)をつくっていく。

社会の縮図を完全に小学校内部につくり上げ、それを小学生が体感的に理解できるようにする。社会はそれの拡大版だと理解すれば、ニュース報道で政治のニュースを見ても、企業のニュースを見ても、事件のニュースを見ても、何を見ても自分たちの学んだことと同じだと分かるだろう。その感覚を早い段階で持ってもらうことができたならば、より良い社会をつくって運営していく力になると思われる。未来の社会をつくり上げる市民の誕生である。非常に心強い。



● 模擬法典


上記の意図の下、模擬法典をつくってみた。

模擬の憲法、民法、刑法、行政法、裁判所の法などを利用する。内容は現行の日本法令を基にした小学生向けの簡単な内容となっている。
( )かっこ内の条文の説明について書かれた文字は、小学生向けの教材としては記載しないつもりである。指導者が教育意図を達成するために憲法の原本と照らし合わせるためのものである。



憲法
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【最高法規】

・この憲法にある基本的人権は、先祖の努力によって得られたものです。(基本的人権の本質)

・この憲法は国の一番の法です。これに反するルールは無効です。(最高法規)
・教員、大臣、国会議員、裁判官、公務員は、この憲法を大切にする義務があります。(憲法尊重擁護義務)



【人権について】

・基本的人権は一人一人の奪われない永久の権利です。(人権の享有)

・国民は基本的人権を守るために努力し続けなくてはなりません。(自由及び権利の保持義務)
・幸せになるのは自由です。(幸福追求権)
・人権と人権がぶつかったら調整することがあります。(公共の福祉)
・人は法によって平等です。(平等権)
・議員は選挙で決めます。(選挙権)
・公務員が悪いことをして損害があったら、賠償を求めることができます。(国の賠償責任)
・考えるのは自由です。(思想良心の自由)
・何を信じるかも自由です。(信教の自由)
・表現するのは自由です。(表現の自由)
・どの仕事を選ぶのかは自由です。(職業選択の自由)
・学ぶのは自由です。(学問の自由)
・結婚は男女平等です。(婚姻の本質的平等)
・最低限の生活ができます。(生存権)
・教育を受ける権利があります。(教育を受ける権利)
・働く権利と義務があります。(勤労の義務)
・人の物を壊してはいけません。(財産権)
・税金を払う義務があります。(納税の義務)
・ルールがなければ、刑罰を受けることはありません。(罪刑法定主義)
・裁判を受ける権利があります。(裁判を受ける権利)
・現行犯でなければ令状がなければ逮捕されません。(逮捕の要件)
・ひどい刑罰はダメです。(残虐な刑罰の禁止)
・裁判の時に、言いたくないことは言わなくてもいいです。(黙秘権)



【国の仕組みについて】


〔教員〕 (天皇)
・教員はこの国の象徴です。(天皇の地位)
・教員は、国会の選んだ人を内閣総理大臣に任命します。(天皇の任命権)
・教員は、内閣の選んだ人を裁判官の長に任命します。(天皇の任命権)
・教員の仕事は次の通りです。(天皇の国事行為)
 >新しくできたルールを国民に伝えること。
 >国会を開くこと。
 >国会を解散すること。
 >選挙を開くこと。
 >国務大臣と公務員を任命すること。
 >外国の国の人の受け入れについて。


〔国会〕
・国会がルールを決めます。(国会の地位)
・議員の仕事は〇日間とします。(議員の任期)
・ルールは過半数の賛成で決めます。(表決)

・クラスに起きていることについて調べるため、証人を呼ぶことができます。(国勢調査権)

・内閣総理大臣と国務大臣は、国会に出席して説明しなければなりません。(出席義務)

・国会は、裁判官を裁判します。(弾劾裁判)


〔内閣〕
・公務員への指示は内閣がします。(行政権)
・内閣は、内閣総理大臣と国務大臣です。(内閣の組織)
・内閣総理大臣は国会議員から選びます。これは最初に決めます。(内閣総理大臣の指名)
・内閣総理大臣は、国務大臣を選びます。過半数は国会議員から選びます。(国務大臣の任免)
・内閣は、国会で不信任になったら解散か総辞職のどちらかを選びます。(内閣不信任決議の効果)
・内閣は、選挙の後には総辞職します。(内閣の総辞職)
・内閣の仕事は下記です。(内閣の職務)
 >ルールに従って公務員に仕事を指示すること。
 >外交のこと。
 >予算を国会に出すこと。


〔裁判所〕
・事件について、ルールに合っているかは裁判所が判断します。(司法権)
・裁判官は、国民審査でやめさせられることがあります。(国民審査)
・裁判官の給料は減らすことができません。(裁判官の報酬)
・裁判所の長は、他の裁判官を選びます。(下級裁判所裁判官の任命)
・ルールが憲法に合っているかを判断することができます。(違憲審査権)
・裁判は公開しなくてはいけません。(裁判の公開)


〔財政〕
・税金は国会のつくるルールで決めます。(租税法律主義)
・内閣のつくる予算を国会で判断します。(課税)
・内閣は財政状況を国会と国民に報告しなくてはいけません。(財政状況の報告)
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現行日本国憲法の「戦争放棄」「地方自治」「改正」の章はカットした。

国会は一院制、裁判所も一審制にした。

 

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民法
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〔全体について〕
・約束したことは誠実にしなくてはいけません。(総則)
・社会にとって悪いことは無効です。(総則)
・持ち主は、その物を自由に使うことができます。(物権法)


〔約束について〕 (債権法)
・約束を守ってもらえないときは、損害賠償を求めることができます。(債務不履行)
・約束には次のものがあります。
 >プレゼントする(贈与)
 >売り買い(売買)
 >物の交換(交換)
 >お金の貸し借り(消費貸借)
 >物の貸し借り(使用貸借)
 >会社で働いてもらう・働く(雇用)
 >仕事をお願いする・する(請負)
 >物を預かる(寄託)
・わざと悪いことをしたり、大失敗して迷惑をかけたら、損害賠償しなくてはいけません。(不法行為)


〔家族について〕 (家族法)
・結婚することができます。公務員に届け出ることが必要です。(親族)
・結婚したら財産を一緒にします。(親族)
・離婚することができます。(親族)
・国を抜ける時は、次に入る人に自分の財産をあげることができます。(相続)
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「代理」「時効」「担保物権」「多数当事者の債権及び債務」「事務管理」など、複雑な規定はカットした。



刑法
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〔罰について〕 (総則)
・刑罰は「教室の外に出る」か「罰金」です。(罪刑法定主義)
・教室の外に出る期間や罰金の金額はルールで決められています。(罪刑法定主義)
 >とても重い罪  【期間 ○~〇 罰金○円~〇円】
 >重い罪  【期間 ○~〇 罰金○円~〇円】
・正当な理由があったら、罰してはいけません。(正当行為・正当防衛・緊急避難)
・共犯の場合は、どちらも罰します。(共犯)


〔罪について〕 (各論)
・国を壊すような行為はとても重い罪です。(内乱罪)
・公務員の仕事の邪魔をしたら重い罪です。(公務執行妨害罪)
・偽物のお金を作ったら重い罪です。(通貨偽造罪)
・公務員の偽物の文章をつくったら重い罪です。(文書偽造罪)
・公務員が人に義務のないことをやらせたら重い罪です。(強要罪)
・人を傷つけたらとても重い罪です。(傷害罪)
・人を叩いたり殴ったりしたら重い罪です。(暴行罪)
・人を脅したら重い罪です。(脅迫罪)
・とてもひどいことを言ったら重い罪です。(侮辱罪)
・人の悪いうわさをわざと流したら重い罪です。(名誉棄損罪)
・人の物を取ったら重い罪です。(窃盗罪)
・仕事で使っているお金を自分のものにしたら重い罪です。(横領罪)
・人の物を壊したら重い罪です。(器物損壊罪)
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各論では、教室内で想定されるものを残し、他の規定はカットした。刑罰は、模擬通貨の罰金と、教室から出て廊下に立つ隔離を形とすると良いだろう。



行政法
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・公務員の仕事は公正でなくてはなりません。(行政手続法)
・公務員は、内閣総理大臣と国務大臣の指示を聞いて仕事をします。
・公務員は国民に協力をお願いすることができます。(行政手続法・行政指導)
・公務員は国民の声も聞かなくてはなりません。(行政手続法・聴聞)
・公務員は国民に仕事の資料を見せるように言われたら見せなくてはいけません。(情報公開法)
・国民は、公務員が嫌なことをしていたら、それをやめるように裁判所に訴えることができます。(行政事件訴訟法)
・国は、公務員が仕事でわざと悪いことをしたり、大失敗して迷惑をかけたら賠償しなくてはならない。(国家賠償法)
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様々な行政法をまとめて一つの「行政法」として編纂した。もっとも重要な部分を残してあとはカットし、極めてシンプルにまとめた。



裁判所の法
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・裁判所は憲法とルールに従って判断します。(憲法・裁判所法)
・裁判官は〇人です。(裁判所法)

・検察官の請求によって、令状(逮捕状)を出すこと。(刑事訴訟法)
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裁判作用の本質のみを残してあとはほぼカットした。



公職選挙の法
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・教員は国会議員の選挙を開きます。今回、国会議員の枠が何名になるかを国民に伝えます。
・国民は国会議員に立候補者できます。
・立候補者は一人ずつ自己紹介します。また、国会議員になったら国を良くするためにどんなルールをつくるつもりなのか、国民に向かってアピールするといいでしょう。
・国民に投票用紙を配り、名前を書いたら投票箱に入れます。
・投票が終わったら、投票箱を開き、投票数の多い順に当選します。
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● 配役


国会議員 4~10人
総理大臣 1人
国務大臣 1~4人
公務員 4~10人
検察官 1人(警察官 1人)
裁判官の長 1人
裁判官 1~3人
弁護士 1~3人
国民 残りの人


国会は、公務員の法、掲示物の貼り方とか、掃除の仕方とかをルールとして制定する。



● 法教育の流れ


〇 教員により、歴史的にこの国が民主制であることを説明する。
〇 国民の皆さんが成人し、選挙する権利、選挙に出る権利、仕事を選ぶ権利を取得したことを説明する。
〇 教員は国会議員の選挙を開きます。今回、国会議員の枠が何名になるかを国民に伝えます。
〇 国民から立候補者を募り、立候補者には一人ずつ自己アピールしてもらいます。国を良くするためにどんなルールをつくるつもりか国民に向かってアピールしてもらうといいでしょう。
〇 国民に投票用紙を配り、名前を書いたら投票箱に入れてもらいます。
〇 投票が終わったら、投票箱を開き、投票数の多い人から当選します。
〇 当選した国会議員を集め、国会を開きます。
〇 国会では、まず最初に国会議員の投票によって国会議員の中から内閣総理大臣を選んでもらいます。教員が任命します。
〇 内閣総理大臣は国務大臣を選びます。このとき、国務大臣の過半数は国会議員でなくてはいけません。
〇 国務大臣は、自分の担当する省の公務員を国民から募ります。公務員になりたい人が多数であれば、じゃんけん(試験)で決めてもらいます。
〇 内閣総理大臣か国務大臣で、検察官(警察官を含む)と弁護士を募ります。多数であればじゃんけんで決めます。
〇 内閣総理大臣は裁判所の長を選びます。教員が任命します。
〇 裁判所の長は、他の裁判官を国民から募ります。多数であればじゃんけんで決めます。
〇 すべての役が決まったら、国会で内閣や国会議員の提案するルールを話し合いってもらいます。
〇 検察官(警察官を含む)は、国の人や国民がルールに違反した行為をしていないかチェックする仕事を始めてもらいます。現行犯で逮捕するか、逮捕令状を裁判所に請求して逮捕します。
〇 弁護士は国民からルールについての相談を聞き。必要であれば一緒に裁判所へ訴えて判断をしてもらうことにします。
〇 裁判官は訴えを待ち、訴えがあればルールに基づいて判断してもらいます。
〇 裁判官は、国会がつくるルールが憲法に適合しているかを判断することができます。

〇 国民は何らかの作業をして物を作ったり、交換したり、外国に売ったりして、お金をやり取りし、経済活動を行います。模擬貨幣も流通させます。
〇 国会が税金に関するルールをつくった場合、国民は税金を徴収されます。(公務員などの給料になる。)
〇 国会はルールをつくるだけでなく、改正したり、廃止したりすることもできる。

〇 国民はどの事件を起こすのかは、紙に書かれた項目から選べるようにすればいい。それで裁判所に行く。
〇 犯罪を犯した人の刑罰の「外に出る(廊下など教室が外に出る)」の長さや、罰金の金額については国会で決めてもらう。
〇 犯罪を起こした人は、裁判官にどの条文を適用するのか決めてもらい、検察官と弁護士の話を聞いてその条文に該当する刑罰の量を裁量で決めてもらう。
〇 民法の不法行為自体も発生させ、裁判所で決着する。人生ゲームみたいな感じで、ルーレットを回すと、交通事故が起きたり、家が壊れたり、車を友人に奪われたり、従業員が火事を起こして使用者責任に問われたり、離婚訴訟になって賠償させられたりすると面白いかもしれない。

〇 国会の任期に応じて何回か選挙をし、参加者が新しい役職を経験できるようにする。国会の解散もありうる。

〇 一定の期間が終了したら模擬社会を終わらせる。その後、教員がどういうプログラムだったのかいくつか解説をし、実際の法律の条文を見せたりするなどする。
〇 実際の社会でも新しい歴史をつくり上げていくのは私たち自身であることを伝え、法教育を終える。



● 用意するもの

・役を得た人に付けてもらう役職の名前が書かれた名札
・国会、内閣、裁判所の三権の場所を示す大きな看板
・選挙用の投票箱
・選挙用の投票用紙
・通貨になるもの
・国民の労働となる事務仕事がいくつかあるといい
・全員に配る憲法とルールの書かれた冊子
・大臣や国会議員のつくる新しく法案を提示するための画用紙とマジック



● 内閣や国会議員の考える法案の例


清掃ルール
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・掃除は、箒ではいた後に雑巾でからぶきをする。
・窓は水ぶきをする。
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騒がないルール
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・給食の時は教室で走り回らない。
・教室で紙飛行機は飛ばさない。
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健康ルール
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・姿勢をよくすることを心がけよう。
・風邪を引いたらマスクをしよう。
・給食の前は手を洗いましょう。
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刑法の特別ルール
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・授業中に消しゴムのかすを投げた人は重い罪です。
・授業中に隣の人に喧嘩を売った人は重い罪です。
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刑法の特別ルールは罰則のない理念法でもいい。罰則を付けてもいいが。いくつか法案例として資料で提示しておくとよい。



● 公務員の仕事案


・検察(警察官を含む)
・消防
・保健



● 国民の仕事案


・料理
・給食づくり
・掃除
・配達
・メディア
・折り紙づくり
・画家(似顔絵書いてくれるとか)
・お菓子の販売
・文房具の販売
・遊び場の提供
・演劇
・スポーツ指導

 などがあるか。



● 経済主体と税金の学習

法体系としてはこの感じでいいと思うが、国民の経済活動の視点をどのように組み込むことができるか。


経済主体の国民役であるが、商品を売って通貨を獲得したら、自分の家庭が豊かになっていくような形にすればいいのではないか。その様子は、タブレット端末を使ってやればいい。しかし、商品が得られないと、タブレット端末の画面上は貧困になる。だが、自分だけもうけ過ぎても社会全体の利益が上がらなかったりするなど、結局みんなで社会を共有してより良いものをつくり出していかないといけないことを体感できるような形になればいいと思う。

企業は、漁業、農業、輸送、電気、通信、建設、自動車、家具、サービス…など、基礎的な第一次産業、第二次産業、第三次産業を組み合わせた形で成り立つようにつくる。国全体が豊かになっていくようにつくる。転職も可能。給料は、その産業の需要に合わせて変動する。

バーチャル国家ゲームみたいになると思う。その国家制度の仕組みの中で、どのように生きていくかを考えることができたならば、かなり質の良い教育になるのではないだろうか。

歴史の資料集や政経の教科書に載っていそうな企業を主軸として企業役をつくればいいだろう。

景気が悪くなって国が疲弊したりするのも、この国家システム教育で理解できるようになるはずだ。そんな中、自分たちは何をすればいいのか分かってくるようになれば、この教育意図は達成されたといっていいだろう。


全員に配られたタブレット端末(スマホでも良い)がネット上で連携していて、そのクラスの教員(天皇役)の名前を取って年号とか総理大臣の名前とかをリアルタイムで表示する。


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< 現在のあなたの状況 >


職業:第一次産業 「農家」
所持金:35万6000円
家族:なし
○○くんに2000円貸している。

 

 

< 5年2組国 >

 

現在の状況 年号:田中3年  第一次 鈴木内閣
人口:34人 GDP:800万円

 

【国の機関】

〔教員〕(天皇)
国の象徴:田中先生

 

〔国会〕
国会議員:吉田さん、田口くん、近藤さん、今田くん、木下さん、岡本くん

 

〔行政〕

 ~内閣~

内閣総理大臣(兼国会議員):鈴木さん
保険大臣:佐藤くん(兼国会議員)
給食大臣:山本くん(兼国会議員)
掃除大臣:小川さん(兼国会議員)

 ~行政機関~

公務員:森さん、山下くん、
検察官(警察官):佐々木くん

 

〔裁判所〕
裁判所長官:岡さん
裁判官:今井さん、川口くん、

 

【国民】
弁護士:中山さん

第一次産業:上田くん、下田さん、平井くん
第二次産業:飯島さん、島田くん、江口さん、富川くん、石田さん
第三次産業:新藤さん、川田くん、岡島さん、平田くん、永田くん

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このシステムで、税金の勉強もできればいいのだが。

 

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教育意図

 

〇 新藤さん「平井くんが全然お金を返してくれないんだけど、裁判所で争ってみよう。」

〇 飯島さん「平井くん、お金がなさそうだから、平井くんの農家から食材を買ってあげよう。」
〇 富川くん「鈴木内閣は、友達だけ儲けさせて、クラス全体のことを考えてない。」
〇 下田さん「検察官の佐々木くんが私を刑法で訴えてきた。私は森さんに酷いことなんて言ってないよ。冤罪だ。でも、弁護士の中山さん、弱いからなぁ。絶対負けるわ。」
〇 下田さん「裁判所は生きていた!無罪判決、私が森さんに酷いことを言っていないと裁判所は認定した。弁護士の中山さんも、ありがとう。」
〇 上田くん「給食大臣の山本くんだけど、自分の給食だけ、多めに取っていないか。公平じゃないから、行政裁判で訴えてみよう。これ、裁判所で通るかなぁ。」

〇 岡島さん「時々田中先生、政治介入してくるよね。おかしくない?一回、超法規的措置として、緊急事態宣言したからね。やっぱりおかしくない?」

〇 田口くん(国会議員)「このクラスの財政は、破綻寸前だ。5年3組から経済援助を受けているが、5年3組の国民がお金を返せっていったら、もうこの国は終わりだ。クラスのみんなに今の状況を分かってもらうため、今度演説しよう。」

〇 山下くん(公務員)「掃除大臣の小川さん、人使いが荒いんだけど、このクラスの国民は、何で小川さんを選挙で選んだかなぁ。公務員は、奴隷ではありません。でも、公務員の政治的発言は制限されているしなぁ。つらい…。」

〇 川田くん「私は仕事に失敗して、生活保護をもらっています。だから、みんなには大きな顔できない。このクラスのみんなの税金で生かしてもらっています。みんなありがとう。きっと、次はいい仕事するから、みんな、待ってて。私の夢は、高額納税者です。」

〇 今井さん(裁判官)「消しゴムのカスを中山さんに向かって投げたら、国会の弾劾裁判で刑法の特別法で有罪になってしまった。まだ教室に入れてもらえない。この国の刑法、重すぎないか。もう裁判官はできないので、クラスに戻ったら、民間に就職しないとな。」

〇 鈴木さん(総理大臣)「もう、公務員は全然仕事しないし、国民はみんな頭悪い。税金をちゃんと納めないし、みんな私の言うことを聞かない。道徳教育を強化しないと。クラスの心得を閣議決定します!」

〇 永田くん「鈴木内閣反対!即刻辞任せよ!憲法守れ!」

〇 中山さん(弁護士)「なんで、他のクラスの喧嘩に、私たちが参加しないといけないんですか。国会で議論されている喧嘩法案に反対です。」

〇 岡本くん(国会議員)「中山さんは全然分かってない。喧嘩法案なんかではない。他クラスの友達を守る権利だ。法案の意味が全然分かっていない。」

 

 こんなことを思いながら進めていくことが大切である。結局はクラス全体が繋がっていて、皆で生きていけるように運用していくことで、より良いクラス運営が可能であることが何となく分かってくるようにするといいと思われる。「もともと、国なんて、そんなもんだ。人がつくった制度に過ぎず、結局は人が運営しているものであり、最終的には、そこで自分が何をしていくかにかかっているのだ。」というような、国家制度の全体像みたいなものが掴めるようになることが大切である。


 この拡大版が、この現実の日本国の形であると、大体のイメージを掴むきっかけとなると思われる。それが、より良い日本社会をつくり出していく力になるはずである。

法制局


 学習の精度を高めるためには、国の機関に「法制局」を設置し、現実世界の「リアル弁護士」や「リアル法学者」から助言を受けながら国家運営ができるようにするといいのではないだろうか。


 各機関に「法制局」を設置することができないならば、上記図の「教員」のポジションで、「政治的な発言はしない。」という中立性を保つ約束事をして、国の各機関に立法作業や、法解釈の判断基準を助言するといいのではないか。


 まあ、なかなか真の意味での政治的中立性は実現できないが、教育段階では運営の際に「法制局」役が、どうしても必要となるだろう。

 

バーチャル世界


 「人生ゲーム」やテレビゲーム上の「すごろくゲーム」で、バブルが崩壊したり、台風が来たり、震災が起きたり、戦争になったり、いろいろな試錬がやってくる。このような事態を、国全体に適用し、経済が乱れたり、企業がつぶれたり、国の財政がマヒしたり、公務員の仕事が増えたりするような仕組みを用意すればいいのではないだろうか。



 国民の仕事を、タブレット端末上でゲーム感覚で農業をしたりすることはできないだろうか。それを他者に販売したり、税金を納めたりすることも、すべてタブレット端末上でクラスの全国民とネットワークを共有しながら進めていけるようにできないだろうか。


 国民同士で競争して大儲けを目指すような仕事もあれば、他者のいない人気のない仕事(ゲーム)を地道にクリアすることで、お金を得たりする仕事も用意する。


 これは、何もゲームとしなくても、クラス内で模擬通貨で何かを創造したり、やり取りすることはできるだろうか。会社法の分野で、会社をつくったり廃止する仕組みを用意してもいいかもしれない。


 国会議員選出についても、タブレット端末上で投票できるようにする。刑法で罰せられている国民は、投票できない。

 間接民主制の国会の投票権も、タブレット端末上で国会議員に割り振れられる。法案(ルール)が可決された場合、全国民に通知される。


 国会の定めたルールも、タブレット端末上でリストアップされてすべて表示できるようにする。

 

運営の失敗


 もし、この「模擬憲法」の制度を、そのクラスの国民が運営できなかった場合、それは、「民主主義の成熟には、一定の教育レベルが必要である。」ことが明らかになったということである。それはそれで、一つの学びである。


 実際、民主主義が失敗したり、独裁政権や国家以外の暴力的な勢力が跋扈(ばっこ)している国家も存在している。そもそも、国家とはそういうものであり、失敗することもあるのである。

 

 それを学ぶことも、一つの法教育となるだろう。高い許容性で、法教育を行っていくだけのバックグラウンドを持っていると、かなり本質的な法教育になるのではないだろうか。


【動画】第8回憲法調査会「社会的権力から個人を保護するためのアイディア~基本権保護義務という思考」 2020/11/21 (33:10)


<理解の補強>


増量-日本国憲法を口語訳してみたら-幻冬舎文庫 amazon

憲法の概要を掴むために分かりやすい書籍です。この書籍のおおよその内容は下記の記事でも確認できます。ただ、書籍版の方がより表現がバージョンアップされているようです。
『日本国憲法を口語訳してみたら』 日本国憲法”超”口語訳 前文〜国民の権利

『日本国憲法を口語訳してみたら』 日本国憲法”超”口語訳 内閣〜最高法規性

『日本国憲法を口語訳してみたら』―塚田薫―に見る若年層の「話しことば」文体 小林美恵子 2017.11.14 PDF

『日本国憲法を口語訳してみたら』―塚田薫―に見る若年層の「話しことば」文体 小林美恵子)



「法教育を広げるために」(視点・論点)
憲法の意義 PDF 法務省

憲法を分かりやすく解説 小田原、弁護士が講演

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Q&A集 法教育 法務省


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