【このページの目次】
地方自治体のパートナーシップ制度は合法か
婚姻に類似した制度を設けることは合法か
婚姻制度の「趣旨・目的・内容・効果」との関係
「婚姻に準じるもの」を制度とすることができるか
立法目的の問題性
立法目的と平等原則
内心による区別取扱いの違憲性
「ジェンダー・マイノリティ」を対象とする制度の違憲性
憲法24条の「婚姻」との関係
憲法14条の「平等原則」との関係
ファミリーシップ制度は合法か
養子縁組の例外との関係
優遇措置の内容との関係
地方自治体のパートナーシップ制度は合法か
地方自治体がパートナーシップ制度を設けている場合がある。
明石市がLGBT家族にファミリーシップ制導入へ 全国初、1月から 兵庫 2020年12月10日
同性カップルの「親子認定」 兵庫・明石市、来月から制度導入 2020年12月11日
「全国初」同性カップルの子供も“家族”と認める制度 兵庫・明石市が導入 2020年12月25日
家族関係認める制度利用呼びかけ 2020年12月25日
これについて、検討する。
婚姻に類似した制度を設けることは合法か
憲法94条に記載されている通り、「条例」は「法律の範囲内」でしか制定することができない。
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〔地方公共団体の権能〕
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
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条例(条例の限界) Wikipedia
上乗せ条例 Wikipedia
横出し条例 Wikipedia
「国と地方の在り方(地方自治等)」に関する資料 衆議院憲法審査会事務局 平成29年4月 PDF (P15からは『条例制定権の限界』について)
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すなわち、地方自治法一四条一項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法二条二項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。�
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集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反 最高裁判所大法廷 昭和50年9月10日 (PDF) (徳島市公安条例事件)
下記の場合には、パートナーシップ制度を整備することはできない。
◇ 「国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるとき」
◇ 条例の「適用によつて」、国の法令「の規定の意図する目的と効果を」「阻害する」場合
このため、パートナーシップ制度に関する条例を制定する場合は、法律に抵触しないかを検討する必要がある。
法律上で婚姻することができない人的結合関係(近親者との組み合わせ・三人以上の組み合わせ・婚姻適齢に満たない者との組み合わせ・同性同士の組み合わせ)に対して婚姻に類似した制度によって何らかの法的効果を与えることが許されるかどうかは、婚姻制度を設けることによって達成しようとした立法目的との整合性を検討することによって判断することが必要である。
法律上で婚姻制度が整備されている「趣旨、目的、内容及び効果」を検討した結果として、「近親者との組み合わせ」や「三人以上の組み合わせ」、「婚姻適齢に満たない者との組み合わせ」、「同性同士の組み合わせ」に対して、婚姻に類似した制度によって保護することや、何らかの法的効果を与えることについて、認めておらず、許容しない趣旨である場合や、それらを規制する趣旨である場合には、条例等によってそれらの組み合わせに対して婚姻に類似した制度を設けること(パートナーシップ制度を整備すること)は法律違反となる。(民法に違反することになる。)
(民法の強行規定について)
【動画】司法試験入門講座 プレ講義 「体系マスター」民法2 「民法の役割、考え方」 2020/03/16
民法
731条(婚姻適齢)
732条(重婚の禁止)
733条(再婚禁止期間)
734条(近親者間の婚姻の禁止)
735条(直系姻族間の婚姻の禁止)
736条(養親子等の間の婚姻の禁止)
737条(未成年者の婚姻についての父母の同意)
738条(成年被後見人の婚姻)
婚姻制度の「趣旨・目的・内容・効果」との関係
「婚姻」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられた枠組みである。
これは、下記のような経緯によるものである。
その国の中で「生殖と子の養育」に関する事柄について何らの制度も存在しない場合には、社会的な不都合が発生することがある。
例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。
これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。
・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
・母体を保護すること
そして、これらの目的を達成するためには、目的との関係で整合的な下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。
そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることによって、制度を利用する者を増やし、これらの立法目的の実現を目指す仕組みとなっている。
婚姻制度は、「男性」と「女性」の間に「貞操義務」を設けることによって、その「女性」から生まれてくる子供の遺伝的な父親を特定することを重視するものとなってる。
これは、産まれてくる子供に対して、母親だけでなく、父親にも責任を担わせることによって、「子の福祉」の充実を期待するものとなっているからである。
子は何らの因果関係もなく突然「女性」の腹から生まれてくるわけではないため、その子が生じるという因果関係の一旦を担う父親に対してその子に対する責任を担わせる仕組みとすることは、逃れることのできない責任を有する者として合理的ということができるからである。
また、遺伝上の父親を特定できることは、遺伝上の近親者を把握することが可能となるため、その近親者との間で「婚姻」することができない仕組みを導入することで、「近親交配」に至ることを防止することが可能となる。
これによって、産まれてくる子供に潜性遺伝子が発現することを抑えることが可能となり、産まれてくる子に遺伝上の障害が生じるリスクを減らすこともできるからである。
他にも、婚姻制度の枠組みが「男女二人一組」となっていることは、その社会の中に男女がほぼ同数生まれているという前提の下では、未婚の男女の数に不均衡が生じることはないため、より多くの者に「子を持つ機会」を確保することを可能とするものとなっている。
その他、婚姻制度のもつ子供の遺伝上の父親を特定することができる形での「生殖」を推進する仕組みからは、婚姻制度を利用する形で子供を妊娠し、出産することを期待する(インセンティブを与える)ものとなっているが、その妊娠、出産に関して母体の保護の観点からリスクのある状態を推奨することはできないし、親となる者が低年齢のままに子を持つという責任を担う立場に置かれることを推進することも望ましくないことから、婚姻制度の利用に対して「婚姻適齢」という形で一定の年齢制限を設けるものとなっている。
これらの意図を満たす形で「男女二人一組」という枠組みを設定し、その婚姻制度の枠組みに従う者に対して、一定の優遇措置を講じることによって、婚姻制度の利用者を増やし、その立法目的を達成することを目指すものとなっている。
そのため、婚姻制度の「趣旨、目的、内容及び効果」を検討すると、婚姻制度の立法目的とその立法目的を達成するための手段は下記のように整理することができる。
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① 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
(→ 嫡出子として父親を特定することができる状態で生まれることを重視)
② 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
(→ 貞操義務と嫡出推定〔、再婚禁止期間〕によって遺伝的な父親を極力特定し、それを基に遺伝的な近親者を把握し、近親婚を認めないことによって『近親交配』に至ることを防止)
③ 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
(→ 未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定。一夫一婦制。重婚や重婚状態、複婚や複婚状態の防止。)
④ 母体を保護すること
(→ 婚姻適齢を設定)
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(婚姻制度の立法目的については、当サイト「同性婚について」で解説している。)
「パートナーシップ制度」の内容が、婚姻制度のこれらの目的を達成することを阻害する影響を与えるものとなっている場合には、民法の婚姻制度に抵触して違法となる。
■ 矛盾・抵触
▼ 婚姻制度の政策効果を阻害すること
▽ 子の福祉
婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。
つまり、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定し、母親だけでなくその者にも子に対する養育の責任を担わせることにより、「子の福祉」の実現を目指す仕組みとなっている。
しかし、産まれた子供の遺伝上の父親を特定することができない人的結合関係に対して何らかの優遇措置を設けた場合、婚姻制度の産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進する仕組みと矛盾することになり、この目的の達成を阻害する影響を与えることになる。
そのため、生まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができない人的結合関係に対して「パートナーシップ制度」を設けることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
∵ 貞操義務
たとえ「パートナーシップ制度」の内容が「男女二人一組」の形であり、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる組み合わせとなっているとしても、そこに「貞操義務」が設けられていないのであれば、その制度を利用する女性は制度の内容に従って適法な行動をしたとしても、その制度を共に利用している相手方の男性とは異なる男性との間で「生殖」を行っている可能性を排除できていない状態ということになる。
これは結局、その女性から生まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができない状態であることに変わりはないことから、このような人的結合関係に対して何らかの優遇措置を設けることは、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害する影響を与えるものとして、婚姻制度に抵触して違法となる。
▽ 近親交配の回避
婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。
その中に、遺伝上の父親を特定することによって近親者の範囲を把握し、その近親者との間では「婚姻」することができないことにすることで、「近親交配」に至ることを防ぎ、潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ぐ仕組みがある。
しかし、「女性同士の組み合わせ」に対して何らかの優遇措置を設けた場合、遺伝的な父親を特定することができない関係の中で子供を産むことを促進する作用が生じ、遺伝的な近親者の範囲を把握することができない状態を推進することとなる。
そうなれば、子供の世代において意図せずに「近親交配」に至る確率が高くなり、婚姻制度が潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ごうとする意図を達成することができなくなるのであり、婚姻制度の立法目的の達成を阻害することになる。
そのため、「パートナーシップ制度」を設けて、「女性同士の組み合わせ」(『女性三人以上の組み合わせ』であっても同様)が婚姻制度と同様、あるいは類似する優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
【動画】【禁忌】近親相姦という聖域に踏み入った者たちの末路… 2022/03/11
▽ 生殖機会の公平
婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。
その中に、制度の内容を「男女二人一組」の形に限定することにより、「子を持ちたくても相手が見つからずに子を持つ機会に恵まれない者」が生じる子を抑制しようとする仕組みがある。
しかし、「パートナーシップ制度」を利用することで婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られることを理由として、同性間で「パートナーシップ制度」を利用する者が増えた場合には、制度を利用していない男女の数に不均衡が生じることとなり、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が増えることに繋がる。
これは、婚姻制度が「男女二人一組」の形に限定することによって、「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らそうとする立法目的の達成を阻害する影響を与えることから、婚姻制度に抵触して違法となる。
▽ インセンティブの減少
婚姻制度は、産まれてきた子供の遺伝上の父親を特定することができる状態となることを推進し、血縁関係を明確にする機能によって立法目的の達成を目指すものである。
このことから、婚姻制度を利用しない人的結合関係に対しては意図的に優遇措置を設けないことにより、「生殖」によって子供をつくろうとする者が婚姻制度を利用することによって遺伝的な父親を特定することができる人的結合関係を形成するようにインセンティブを与えるものとなっている。
しかし、国民が「パートナーシップ制度」を利用することにより、婚姻制度を利用した場合と同様、あるいは類似した優遇措置を得られることを理由に、婚姻制度を利用するのではなく「パートナーシップ制度」を利用することに安住してしまうことになれば、婚姻制度が遺伝的な父親を特定することができる状態を推進することによって達成しようとした立法目的の達成を阻害する影響を与えることになる。
そのため、婚姻制度の他に「パートナーシップ制度」を設け、婚姻制度と同様、あるいは類似した優遇措置を得られるようにすることは、婚姻制度の政策的な効果を弱める影響を与えるものとなることから、婚姻制度に抵触して違法となる。
▽ 母体の保護
上記のような問題により、婚姻制度が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するための制度として十分に機能しないものとなると、その社会の中で人々が抱いている婚姻制度に対する信頼性が損なわれることになる。
すると、その社会の中で子を産むことを希望する者が次第に婚姻制度を利用しなくなっていき、婚姻制度が存在している意義そのものが希薄化していくことになる。
そうなると、婚姻制度を利用して子を持つという形を求める者が減少し、反対に、婚姻制度を利用しない形で「生殖」をしたり、子を持つ者が増加していくことになる。
すると、それまでは婚姻制度を利用する形で子供を妊娠し、出産することに対してインセンティブを与えていたことから、婚姻制度を利用して子を持つという形を求める者が多く、婚姻適齢に満たない者が「生殖」の営みに誘引される機会がそれなりに少ない社会状況を維持することができていたが、婚姻制度の価値や信頼性が損なわれている結果、婚姻制度を利用することについて十分なインセンティブが働かない状態となっていることから、婚姻制度を利用しない中で「生殖」を営み、子を持つ者が増加していくこととなり、その影響で婚姻適齢に満たない者が「生殖」の営みに誘引される機会も増加していくことに繋がる。
その結果、婚姻適齢に満たない若年の女性が「生殖」(性的な接触や性行為)に続いて、妊娠、出産のリスクを背負うことが増加し、「母体の保護」の観点から見れば望ましくない状態で妊娠、出産に至ることが抑制されなくなる。
また、低年齢のままに親として子を持つという責任を担う立場に置かれることも増加し、婚姻制度の政策的な効果が十分に機能していないことから父親が特定されていなかったり、知識レベルや経済力が十分でないままに子を育てるという過酷な状況に陥ることが抑制されなくなる。
このことは、「母体の保護」の観点や、倫理的な観点、望ましい社会の在り方を考える上で問題となる。
このように、「パートナーシップ制度」を設けることは、婚姻制度の政策効果を阻害することに繋がり、その結果、それまで人々が婚姻制度を利用することに対して魅力を感じていたことにより抑制されていた問題が表出することになる。
「女性同士の組み合わせ」をパートナーシップ制度の対象とすることは、上記ような問題が生じることを防ごうとする婚姻制度の目的を達成することを阻害することから、婚姻制度に抵触して違法となる。
◇ パートナーシップ制度を利用して子供を持つ者が現れた場合に、父親を特定することができないことによって②の「近親交配の回避」の目的を達成することが困難となる。
【参考】【禁断の恋!】兄妹(姉弟)間の結婚はどこまで許される?? 2018.5.10
また、父親を特定できる場合であるとしても、③の「生殖機会の公平」の目的を達成することが困難となる。
実際、下記のように、パートナーシップ制度の下で子供を持つことを促進する作用が生じている。
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互いを「かけがえのない人」「すごく大切な人」という二人。竹内さんは「この人となら家族を築けるという自信もある」とし「子どもも考えている」ときっぱり。
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パートナー制度きょう導入 越前市、5組宣誓予定 2022年10月1日
「女性同士の組み合わせ」について、母子手帳を交付する際の相手方による代理申請まで検討されている。
このような性質を持つ制度は、婚姻制度の政策目的の実現を阻害していることから、民法の婚姻制度に抵触して違法となる。
「親子兄弟子供と大人など結婚できないその他の組み合わせを無視してこれだけ特別扱いというのは筋が通らない」 Twitter
「近親パートナーシップ制度が認められないのに、」 Twitter
「近親カップルが保護されないのに、同性カップルだけ保護するのは法の下の平等に反する差別思想」 Twitter
「『同性婚だけ支持』が『差別主義者』である」 Twitter
「パートナーシップ制度を拡充して、イスラム教を習って4人までオッケーに」 Twitter
「児童婚、妻妾同衾(重婚)、近親相姦を含めることが出来る制度にすることが可能なんだよね。 それ、わかっててパートナーシップ制度に賛成してるの?」 Twitter
「パートナーシップ制度が悪用され児童婚が含まれる恐れがある」 Twitter
「いま海外のトランス活動家らは小児性愛や近親相関の権利まで言い出してますから・・。」 Twitter
「パ制度は」……「何かあったときに保護されないのは子ども。」 Twitter
◇ 「女性同士の組み合わせ」に対してパートナーシップ制度を設けることは、父親を特定することができない状態で子を産むことにインセンティブを与えることになる。
すると、婚姻制度が父親を特定することができる状態にインセンティブを与える目的の達成を阻害することになる。
また、「女性同士の組み合わせ」に対してパートナーシップ制度を設けることは、そのパートナーシップ制度を利用して子を持つ者が現れた場合に、制度を利用しておらず婚姻もしていない男女の数の不均衡が生じることから「子を持ちたくても持ち機会に恵まれない者」が増えてしまう方向に影響を与えることになる。
すると、婚姻制度の「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすという目的の達成を阻害することになる。
これらの関係で、父親を特定することができない子供が生まれることにより、その子は「近親交配」に至るリスクを背負うこととなったり、予期せぬ「近親交配」によってその子は潜性遺伝子が発現して障害を抱えやすくなったりすることとなる。
また、制度を利用しておらず婚姻もしていない男女の数に不均衡が生じることによって、子を持つ機会を公平には得ることができない社会環境の中で生活することになる。
これらのことは、婚姻制度が有する「子の福祉」が実現される社会基盤を構築するという目的の達成も阻害することとなる。
◇ 養子縁組による養親子の関係については並行してパートナーシップ制度を利用することができるとするものがあり、さらに、そのパートナーシップ制度を利用する者の子供を位置付けようとする制度(ファミリーシップ制度)が存在する。
これは、その養子縁組による養親子の関係の者たち以外の子供との関係を位置付けようとする制度となっていることから、その養親子間での「生殖」を推進する作用を含むものということができる。
すると、この側面からもパートナーシップ制度は婚姻制度の立法政策の実現を阻害するものとして婚姻制度に抵触して違法となる。
◇ 民法には強行規定が存在する。
そのため、地方自治体が「離婚後の共同親権」を実現するためにペアレント制度なるものを設けた場合には、民法の婚姻制度における「離婚後の単独親権」に抵触して違法となる。
地方自治体におけるパートナーシップ制度についても民法の強行規定である婚姻制度に抵触して違法となることは同様である。
◇ パートナーシップ制度を利用する者が増えると、婚姻制度の政策効果が損なわれ、婚姻制度が崩壊する。
そのことから、パートナーシップ制度が存在する時点で、それは婚姻制度に抵触して違法となる。
下記の記事も、婚姻制度を利用するようにインセンティブを与える効果を阻害することに繋がり、違法となる。
明石市がパートナー制度の届け出書類を公表 2020/12/26
◇ 下記の記事も、婚姻制度の政策目的との関係で違憲・違法となる。
事実婚の子、法的制約を解消へ 愛知知事、PACS提唱 2023年8月18日
(事実婚の子、法的制約を解消へ 愛知知事、PACS提唱 2023/8/18)
豊島区がファミリーシップ制度を導入へ 「パートナーの親や子らと家族」と証明 2024.09.19
「婚姻に準じるもの」を制度とすることができるか
〇 婚姻制度の立法目的による拘束
婚姻制度の立法目的とその立法目的を達成するための手段は、下記のように整理することができる。
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① 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
(→ 嫡出子として父親を特定することができる状態で生まれることを重視)
② 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
(→ 貞操義務と嫡出推定〔、再婚禁止期間〕によって遺伝的な父親を極力特定し、それを基に遺伝的な近親者を把握し、近親婚を認めないことによって『近親交配』に至ることを防止)
③ 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
(→ 未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定。一夫一婦制。重婚や重婚状態、複婚や複婚状態の防止)
④ 母体を保護すること
(→ 婚姻適齢を設定)
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↓ ↓ (規格化) ↓ ↓
【東京二次・第3回】被告第2準備書面 令和3年11月30日 PDF (P40~)
何らかの人的結合関係を「婚姻に準じるもの」として法的に保護する場合(内縁〔事実婚〕)を考えるとしても、それは「婚姻に準じるもの」である以上、これらの婚姻制度の立法目的を達成することを阻害するものとなってはならないという限界が内在的に含まれている。
そのため、「婚姻に準じるもの」として法的に保護することができる対象の範囲は、これらの立法目的を達成することを阻害することのない組み合わせに限られる。
これにより、婚姻制度が対象としていない組み合わせ(近親者との組み合わせ、三人以上の組み合わせ、婚姻適齢に満たない者との組み合わせ、同性同士の組み合わせ)を「婚姻に準じるもの」として保護することはできない。
〇 「婚姻に準じるもの」を制度化することができるか
婚姻制度は、婚姻制度を利用する者が増えることによって、それらの立法目的を達成することが予定されている。
そのため、あたかも「婚姻に準じるもの」(男女二人一組)を利用する者が、それを利用することに安住してしまう形とすると、国民に対して婚姻制度を利用させようするインセンティブを損なうこととなる。
そうなると、結局それは、本来的に婚姻制度が婚姻制度を利用する者を増やすことによって、それらの立法目的を達成しようとしている意図を阻害することとなる。
このことから、「婚姻に準じるもの」(内縁)という形で、法的な保護を与えることのできる対象を例外的に見出すことまでは可能であるとしても、それを一般的な形で制度化することは性質上馴染まないと考えられる。
これにより、「婚姻に準じるもの」(内縁)を制度化しようとすることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
〇 「婚姻に準じるもの」としてパートナーシップ制度は可能か
婚姻することができる「男女二人一組」の組み合わせに限定して、「婚姻に準じるもの」としてのパートナーシップ制度を設けることが可能かを考える。
これについても、そのパートナーシップ制度を利用する者が、その制度を利用することに安住してしまう形とすると、国民に対して婚姻制度を利用させようするインセンティブを損なうこととなる。
すると、婚姻制度が婚姻制度を利用する者を増やすことによって立法目的を達成しようとする意図を阻害することに繋がり、婚姻制度が達成しようとしている立法目的を達成することができない事態に陥る。
そのため、「婚姻に準じるもの」という形で、パートナーシップ制度を設けること自体が、婚姻制度に抵触して違法となる。
〇 婚姻制度を超える人的結合関係を制度にすることは可能か
「婚姻に準じるもの」として制度を設けることは婚姻制度の仕組みとの関係で妥当でないが、それでもそれが「婚姻に準じるもの」としている以上は、婚姻制度の立法目的を引き継ぐことを意味する。
すると、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害する組み合わせに対して制度を設けることはできない。
具体的に、下記の事例を考える。
・近親者間パートナーシップ制度
・三人以上のパートナーシップ制度
・未成年者パートナーシップ制度(婚姻適齢に満たない者を含むこと)
これらの組み合わせは、婚姻制度の立法目的である下記の内容を満たすものではない。
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① 「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
(→ 嫡出子として父親を特定することができる状態で生まれることを重視)
② 潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
(→ 貞操義務と嫡出推定〔、再婚禁止期間〕によって遺伝的な父親を極力特定し、それを基に遺伝的な近親者を把握し、近親婚を認めないことによって『近親交配』に至ることを防止)
③ 「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
(→ 未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定。一夫一婦制。重婚や重婚状態、複婚や複婚状態の防止)
④ 母体を保護すること
(→ 婚姻適齢を設定)
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これらの組み合わせに対して制度を設けることは、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害することに繋がる。
そのため、これらの組み合わせを「婚姻に準じるもの」とすることはできない。
また、これらの組み合わせに対して制度を設けて保護しようとすることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
同様に、下記の事例を考える。
・同性間パートナーシップ制度
この組み合わせも、先ほど挙げた婚姻制度の立法目的である上記の内容を満たすものではない。
そのため、この組み合わせに対して制度を設けることは、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害することに繋がる。
よって、この組み合わせを「婚姻に準じるもの」とすることはできない。
また、この組み合わせに対して制度を設けて保護しようとすることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
このように、「婚姻に準じるもの」である以上は、婚姻制度の立法目的を達成することを阻害する組み合わせに対して制度を設けることはできないという内在的な限界がある。
そのため、婚姻制度の対象とする組み合わせを超える組み合わせを対象とした制度を設けようとしても、それを「婚姻に準じるもの」とすることはできない。
よって、婚姻制度が対象としていない組み合わせ(近親者、三人以上の複数名、婚姻適齢に満たない者、同性同士)を「婚姻に準じるもの」として保護しようとすることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
当然、婚姻制度が対象としていない組み合わせを「婚姻に準じるもの」としてパートナーシップ制度を設けて保護しようとすることも、婚姻制度に抵触して違法となる。
〇 内容の整合性
パートナーシップ制度の内容の整合性について考える。
◇ 近親者との関係
地方自治体のパートナーシップ制度では、対象者について「近親者でないこと」という要件を定めていることが多い。
この「近親者でないこと」の要件を用いている時点で、これはそのパートナーシップ制度が「近親交配」によって潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを防ごうとする婚姻制度の立法目的を引き継ごうとしていることを前提としていることを意味する。
すると、そのパートナーシップ制度には、婚姻制度の立法目的の実現を阻害するものとなってはならないという限界が内在的に含まれていることになる。
そうなると、婚姻制度が極力子供の父親を特定することによって近親者の範囲を把握しようとしている意図を阻害することとなる組み合わせに対して、パートナーシップ制度を設けること自体が、婚姻制度との間で矛盾するものとなり、違法となる。
そのことから、「同性同士の組み合わせ」に対してパートナーシップ制度を設けることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
「近親婚を禁じていることは婚姻という制度が子を設けることを前提とする制度であることの証明でもある。」 Twitter
「近親婚が禁止の理由から分かるように婚姻制度は子供の養育を念頭において設計してます」 Twitter
【参考】異母兄弟とは結婚出来るの? 2021.3.21
◇ 複数名との関係
パートナーシップ制度が「二人一組」のみを対象とし、「三人以上の組み合わせ」を対象としていないことについて、下記のように説明されることがある。
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質問
「(1)日常生活において、互いに協力し、及び扶助し合うことを約した 2 人であることとあるが、なぜ『2 人』でなければいけないのか。」
↓ ↓ ↓ ↓
回答
「3名以上での婚姻が認められていない日本において、パートナーシップ制度で 3 名以上の関係を認めることは適当ではないと考えています。」
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武蔵野市パートナーシップ制度素案に対するパブリックコメントと市の考え方について PDF (「武蔵野市パートナーシップ制度素案」に関する意見募集について 令和3年9月3日)
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質問
「制度利用対象を「2者(2人)である事」と限定されていることに以前から疑問を感じていました。」
「パートナーシップ制度の利用対象が「2人」でなければならない理由は何なのでしょうか?」
↓ ↓ ↓ ↓
回答
「パートナーシップに様々な形があることは理解しますが、まずは今の婚姻をベースにしつつ、それとは別の社会的承認手段として検討しています。」
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「男女共同参画推進条例の一部改正及びパートナーシップ制度について(素案)」に対する意見と市の考え方 PDF (P3) (岡崎市男女共同参画推進条例の一部改正及びパートナーシップ制度について)
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質問
「「届出要件」について、“配偶者やパートナーシップ関係にある者がいる者”や“近親者”は不可とされておりますが、3人以上で全員合意の上で性愛関係を結ぶポリアモリー(複数愛)等の性的指向を排除するこのような規定は……(略)……すべて削除してください。」
↓ ↓ ↓ ↓
回答
「パートナーシップに様々な形があることは推測しますが、まずは今の婚姻をベースにしつつ、それとは別の社会的承認手段として検討しています。」
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(上に同じ) (P3)
これらの回答は婚姻制度を基本としていることから、パートナーシップ制度を「婚姻に準じるもの」と位置付けていると考えられる。
しかし、「婚姻に準じるもの」と位置付けているのであれば、それは婚姻制度の立法目的の実現を阻害するものとなってはならないという限界が内在的に存在することになる。
そうなると、婚姻制度が極力子供の遺伝上の父親を特定し、近親者を把握しようとしている意図を阻害することとなる組み合わせに対して、パートナーシップ制度を設けること自体が、婚姻制度に抵触して違法となる。
そのことから、「同性同士の組み合わせ」に対してパートナーシップ制度を設けることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
◇ 夫婦との関係
パートナーシップ制度を利用する者を「夫婦」と同じように扱おうとするものがある。
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制度では、同性カップルの関係を公的に認め、行政や企業に対し、夫婦と同じ対応をするように求める。
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県内ゼロの同性パートナー制度 16日には学ぶ会 2021年1月14日
これは、バーナーシップ制度を「婚姻に準じるもの」と位置付けていることになる。
しかし、「婚姻に準じるもの」と位置付けているのであれば、それは婚姻制度の立法目的の実現を阻害するものとなってはならないという限界が内在的に存在することになる。
そうなると、婚姻制度が遺伝上の父親を特定することのできる組み合わせを推進しようとする趣旨に沿わない組み合わせに対してパートナーシップ制度を設けること自体が婚姻制度に抵触して違法となる。
そのことから、「同性同士の組み合わせ」に対してパートナーシップ制度を設けることは、婚姻制度に抵触して違法となる。
立法目的の問題性
◇ 「イスラム教」と「一夫多妻型パートナーシップ制度」
「イスラム教」という特定の価値観に対して理解を促進したり、「イスラム教」という特定の価値観を抱く者に対する差別を解消することを目的として、公的機関が「一夫多妻型パートナーシップ制度」を構築することは可能であるか。
⇒ 「イスラム教」という特定の価値観を保護するために制度を構築しようとするものであるから、19条の「思想良心の自由」、20条1項前段の「信教の自由」、20条1項後段・3項、89条の「政教分離原則」、14条1項の「平等原則」に抵触して違憲となる。
⇒ 「一夫多妻型パートナーシップ制度」は、一夫一婦制(男女二人一組)を定める婚姻制度の立法目的を達成することを阻害することから、婚姻制度に抵触して違法となる。
◇ 「多様な性」と「同性パートナーシップ制度」
同様に、「多様な性」という特定の価値観に対して理解を促進したり、「多様な性」という特定の価値観を抱く者に対する差別を解消することを目的として、公的機関が「同性パートナーシップ制度」を構築することは可能であるか。
⇒ 「多様な性」という特定の価値観を保護するために制度を構築しようとするものであるから、19条の「思想良心の自由」、20条1項前段の「信教の自由」、20条1項後段・3項、89条の「政教分離原則」、14条1項の「平等原則」に抵触して違憲となる。
⇒ 「同性パートナーシップ制度」は、一夫一婦制(男女二人一組)を定める婚姻制度の立法目的を達成することを阻害することから、婚姻制度に抵触して違法となる。
◇ 「多様な性」と「複婚型パートナーシップ制度」
「多様な性」という特定の価値観を抱く者が、特定の一人だけでなく、複数名との人的結合関係を求める場合も考えられる。
この「多様な性」という特定の価値観に対して理解を促進したり、「多様な性」という特定の価値観を抱く者に対する差別を解消することを目的として、公的機関が「複婚型パートナーシップ制度」を構築することは可能であるか。
⇒ 「多様な性」という特定の価値観を保護するために制度を構築しようとするものであるから、19条の「思想良心の自由」、20条1項前段の「信教の自由」、20条1項後段・3項、89条の「政教分離原則」、14条1項の「平等原則」に抵触して違憲となる。
⇒ 「複婚型パートナーシップ制度」は、一夫一婦制(男女二人一組)を定める婚姻制度の立法目的を達成することを阻害することから、婚姻制度に抵触して違法となる。
「裁判官田中耕太郎の補足意見」
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……(略)……憲法の規定する思想、良心、信教および学問の自由は大体において重複し合つている。
要するに国家としては宗教や上述のこれと同じように取り扱うべきものについて、禁止、処罰、不利益取扱等による強制、特権、庇護を与えることによる偏頗な所遇というようなことは、各人が良心に従つて自由に、ある信仰、思想等をもつことに支障を招来するから、憲法一九条に違反するし、ある場合には憲法一四条一項の平等の原則にも違反することとなる。憲法一九条がかような趣旨に出たものであることは、これに該当する諸外国憲法の条文を見れば明瞭である。
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謝罪広告請求 最高裁判所大法廷 昭和31年7月4日 (PDF)
【参考】私たちは「重婚」を認められるか…?「同性婚」問題の先に浮かび上がる「多様性をめぐる根本的な難点」 2023.06.27
立法目的と平等原則
下記は、論文全体については法学的にいくつか整合的でない点がある。しかし、下記に取り上げた部分については、妥当である。
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異性間単婚制度を批判し同性婚合法化を訴えるときに呼び出された「平等」の原理は、法が人々の多様な性の在り方を善きものとそうでないものとに分類して両者を異なるように取扱うことを許容しているのでしょうか? 寧ろ、そうした取扱いを禁じるものではなかったのでしょうか?
法は全ての人々をそれぞれ固有の性/生の在り方を生きる「尊厳ある人間」として平等に尊重しなければならないと考え、また、特定の在り方のみを善きものとする法制度がその在り方以外を相対的に低いものとして取扱うがゆえに前者の在り方と後者の在り方とを平等に取扱うことに失敗していると考えるのなら、法は人々の性/生の在り方の善悪に関する判断から独立に導かれる理由によって正当化されて初めて、平等の原理に照らして許容されるものと言えます。このように考えるのなら、特定の性/生の在り方のみを善きものとする考えに依拠している婚姻制度は――異性間単婚制度であれ単婚制度であれ――廃止されなければなりません(複婚制度も多様な人間関係の内で性愛関係のみが善きものであるという考えに依拠するなら、そうした法制度を設けることは平等の原理に反するのです)。ということは、婚姻制度は廃止されるべきではないでしょうか?
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婚姻制度は正しい制度か? PDF (下線は筆者)
上記では、婚姻制度の立法目的が「特定の性/生の在り方のみを善きものとする考えに依拠している」場合には、平等原則に違反する旨を述べている。
つまり、婚姻制度を構築する際に、「特定の性/生の在り方」を「善きもの」と「そうでないもの」とに分類し、両者に対して異なる扱いをする場合には、平等原則に違反するということである。
このことから、「特定の性/生の在り方」を「善きもの」と扱う形で婚姻制度を構築した場合には、14条の「平等原則」に違反する。
しかし、婚姻制度は「性愛」を保護することを目的とした制度ではないし、個々人の「性愛」の有無や「性愛」を有する場合にそれがどのような対象に向かうかを審査して区別取扱いをするものではないし、「性愛」に基づいて制度を利用することを求めるものでも勧めるものでもない。
そのため、この点で婚姻制度が14条の「平等原則」に違反することはない。
これに対して、パートナーシップ制度については、制度を設ける目的を「多様な性」や「性愛」を保護することにあるとしている場合がある。
そして、パートナーシップ制度は、同性間を対象とし、近親者間、三人以上、婚姻適齢に満たない者との間では認めていない場合が多く、制度を利用できる関係の範囲は限定されている。
これにより、パートナーシップ制度は、「多様な性」や「性愛」を保護することを制度を設ける目的として掲げ、そのうちの特定の組み合わせの間に生じる「性愛」のみを保護の対象とし、それに当てはまらない組み合わせの間に生じる「性愛」を保護しないものということになる。
つまり、パートナーシップ制度は、個々人の「性愛」の有無や「性愛」を有する場合にそれがどのような対象に向かうかという「性的指向」と称するものに基づいて異なる取扱いをする制度となっている。
これは、特定の「性愛」を保護し、個々人の「性愛」の有無や「性愛」を有する場合にそれがどのような対象に向かうかによって区別取扱いをする制度であり、「性愛」に基づいて制度を利用することを求めたり勧めたりするものということができる。
よって、パートナーシップ制度は14条の「平等原則」に違反する。
また、この制度は、個々人の内心に基づいて区別取扱いをするものであるから、19条の「思想良心の自由」に反して違憲となる。
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人々によって国家が設立され、運営されるのは、特定の個人や特定の集団の利益を図るためではなく、社会のメンバー全員にとって、中長期的な利益を実現するためです(そうではないように見える国家も現実には存在しますが)。そうである以上は、国家の政策決定にあたっては、特定の個人や集団の利益を図るためという理由づけではなく、社会全体の中長期的な利益(公益)を図るためという理由づけが必要です。とりわけ、特定の信念や世界観を奉ずる人々の利益を図り、そうでない人々を二級市民扱いするような政策を決定・実施すれば、その社会は宗教戦争同様の激烈な内部対立に陥りかねません。
公と私の区別は、公の領域で活動する政府が行動する際の理由づけを限定します。社会全体の中長期的利益を図るため、それを根拠としてのみ政府は行動する。特定の信念や世界観を抱いていること、特定の人種や民族や性別に属していること、特定の団体に属していること等を理由に一部の国民を優遇したり、不平等な扱いをすべきではありません。
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法律学の始発駅 長谷部恭男 amazon (P145~146) (下線は筆者)
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公営住宅の入居など婚姻と同等の行政サービスを受けられるというのなら話が違ってくる。
公費が使われるわけだから何故同性であっても親友などは駄目なのに恋愛感情があれば優遇されるのか、区別すべき合理的な理由が見当たらない。
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下記は、「個人の人格の平等性が侵害されている」場合について述べられている。
【動画】九大法学部・憲法2(人権論)第14回〜「公共の福祉」・2021年度後期 2021/12/05
「同性愛者」でない者が同性間で使用している例もある。
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二人は同性愛者ではなく、趣味を通じて出会い、12年間共に生活をする中で、お互いが欠くことのできない存在であることを確信し、家族になりたいという気持ちからパートナーシップを宣言したという。
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湘南セント・ラファエロチャペルで初の同性婚挙式 「さまざまなかぞくの形、応援」 2020.10.26
内心による区別取扱いの違憲性
特定の思想、信条、信仰、感情を優遇することは、違憲になる。
また、人の内心に着目して区別取扱いを行う制度を構築することも、違憲になる。
(上図では三権分立の国の機関で説明しているが、地方自治体の制度であっても同様である。)
上図に示したように、何らかの制度を構築する際に、特定の思想、信条、信仰、感情を保護することを目的とした場合には、違憲になる。
また、何らかの制度を構築する際に、内心に着目して、人を区別することを可能とする制度は違憲となる。
そのため、特定の「性愛(性的指向)」を保護することを目的として制度を構築した場合には、違憲となる。
また、「性愛(性的指向)」という人の内心に着目し、区別することを可能とする制度は、それ自体で違憲である。
法制度は思想や感情に対して中立性を保たなければならない。
内心と法制度との関係について、詳しくは当サイト「同性婚訴訟 東京地裁判決」のポイントのところでも解説している。
【参考】「同性愛じゃない人たちが、間接的にお金を支払わなければならない理由を教えて欲しい。」 Twitter
「ジェンダー・マイノリティ」を対象とする制度の違憲性
国や地方自治体が「ジェンダー・マイノリティ」(いわゆる『性的少数者』などと称しているもの)を対象とした制度を設けることは、下記の問題を引き起こす。
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(1) 信仰の自由とは、宗教を信仰し、または信仰しないこと、信仰する宗教を選択し、または変更することについて、個人が任意に決定する自由である。これは、個人の内心における自由であって、絶対に侵すことは許されない。この結果、①内面的な信仰の自由の外部への表現である信仰告白の自由が当然に認められる。国は、個人に対し信仰の告白を強制したり(たとえば、江戸幕府がキリシタン禁圧のため行った宗門改め)、あるいは信仰に反する行為を強制したりすること(たとえば踏絵)は、許されないし、宗教と無関係な行政上・司法上の要請によっても、いずれの宗教団体に属するかなど、個人に信仰の証明を要求してはならない(もっとも、ここに言う「強制」とは、直接的ないし物理的なものに限られず、間接的・付随的な負担を個人の宗教の自由に課すものも含む)。②信仰または不信仰のいかんによって特別の利益または不利益を受けない自由(これは憲法一四条の「信条」による差別の禁止と重なり合う)、③両親が子供に自己の好む宗教を教育し自己の好む宗教学校に進学させる自由、および宗教的教育を受けまたは受けない自由(この宗教的教育の自由を宗教的行為の自由の一形態とみる説もある)も、信仰の自由から派生する。
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憲法 第三版 芦部信喜・高橋和之補訂 (P144) (下線・太字は筆者)
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沈黙の自由
国が内心の思想を強制的に告白させたり何らかの手段によって推知することは憲法19条によって禁じられる[10]。
……(略)……
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思想・良心の自由 Wikipedia (下線は筆者)
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思想・良心の自由が不可侵であることの第二の意味は、国民がいかなる思想を抱いているかについて、国家権力が露顕(disclosure)を強制することは許されないこと、すなわち、思想についての沈黙の自由が保障されることである。国家権力は、個人が内心において抱いている思想について、直接または間接に、尋ねることも許されないのである。たとえば、江戸時代のキリスト教徒の弾圧の際に行われた「踏絵」、あるいは、天皇制の支持・不支持について強制的に行われるアンケート調査など、個人の内心を推知しようとすることは、認められない。
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憲法 第三版 芦部信喜・高橋和之補訂 (P140~141) (下線は筆者)
「思想良心の告白強制の禁止」について
【動画】第19回〜「思想・良心の自由」 2022/01/24
「思想良心を理由とする不利益処分の禁止」について
【動画】第19回〜「思想・良心の自由」 2022/01/24
この問題を理解する際に分かりやすい例を出せば、公的機関が「キリスト教徒」や「イスラム教徒」を対象とする制度を構築した場合、それが違法となることである。
同様に、「ジェンダー・マイノリティー」を対象とする制度を構築した場合、個々人の内心に基づいて区別取扱いをするものであるから、違法となる。
また、「ジェンダー・マイノリティー」を名乗ることによって制度の利用の可否が決まることについても、違法となる。
「証明するには何が必要なんだろうね」 Twitter
「内心の自由を考えると、法的には外見的に判断すべき」 Twitter
「戸籍上の性別ではなく、内面上の話しをされたら」 Twitter
憲法24条の「婚姻」との関係
憲法24条の「婚姻」の文言は、「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約する趣旨を有している。
そのことから、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法することはできない。
もし「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法した場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
このため、パートナーシップ制度(ファミリーシップ制度でも同様)が、「生殖と子の養育」に関わる内容を有している場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
これについて、下記で詳しく解説する。
〇 「婚姻」が「生殖と子の養育」の趣旨を含むこと
「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられた枠組みである。
これは、下記のような経緯によるものである。
その国の中で「生殖と子の養育」に関する事柄について何らの制度も存在しない場合には、社会的な不都合が発生することがある。
例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。
これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。
・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
・母体を保護すること
そして、これらの目的を達成するためには、目的との関係で整合的な下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。
そして、この「婚姻」に対して法的効果や一定の優遇措置を設けることによって、制度を利用する者を増やし、これらの立法目的の実現を目指す仕組みとなっている。
このような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合(国民が「生殖」によって子供を産むことに関係して起き得る問題)を解決しようとする立法目的を離れて「婚姻」を観念することはできない。
そのため、「婚姻」という概念である以上は、国民が「生殖」によって子を産むことに関わる制度であることを前提としている。
よって、「婚姻」の文言の中には「生殖と子の養育」の趣旨が含まれている。
◇ 「生殖と子の養育」の趣旨の内容
「婚姻」は「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために、「生殖と子の養育」の観点に着目して他の人的結合関係とは区別する意味で設けられた制度である。
この「婚姻」に含まれる「生殖と子の養育」の趣旨を満たすためには、単に何らかの生殖があり、子を養育することができる地位があればよいというものではない。
「婚姻」という枠組みが形成されている目的との関係で整合的であり、「婚姻」という概念が他の様々な人的結合関係とは区別する形で成り立つための境界線となる下記の要素を満たすことが求められる。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
これは、「婚姻」が「生殖」によって子が生じるという因果関係を基にして形成される血縁関係を明確にする機能によって立法目的を達成することを目指す仕組みであることによるものである。
「婚姻」である以上は、「婚姻」という概念そのものに、他の様々な人的結合関係との間で区別することを可能とするための要素が含まれている。
これは、「婚姻」という概念が他の様々な人的結合関係との間で区別する形で枠づけられていることからくる境界線となるものである。
このように、「婚姻」という概念を成り立たせるための「婚姻」という概念そのものが内在的に有している限界が存在する理由は、もし「婚姻」という概念を成り立たせる境界線となる一線を損なった場合には、「婚姻」という枠組みそのものを他の人的結合関係との間で区別することができなくなり、結果として「婚姻」という概念自体が成り立たなることから、「婚姻」という概念そのものが雲散霧消してしまうからである。
〇 24条の「婚姻」が「生殖と子の養育」の趣旨を含むこと
憲法24条の「婚姻」は、この意味の「婚姻」を引き継ぐ形で定められている。
憲法24条が定めているものが「婚姻」である以上は、その「婚姻」の文言の中には「生殖と子の養育」の趣旨が含まれている。
その他、憲法24条は「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて、一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。
これは、「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な下記の要素を満たすからである。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
このことは、24条に定められた「婚姻」という概念が、「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する意味で設けられた制度であることを裏付けるものでもある。
〇 24条の「婚姻」が「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約していること
24条は「婚姻」の内容について、「両性の合意のみ」や「個人の尊厳」「両性の本質的平等」を満たすように求めている。
これは、「婚姻」という制度については特に注意を払い、24条の統制に服させ、その内容に対して立法裁量の限界を画することが目的である。
この24条の規定が有する意図を実現するためには、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」の文言の中に一元的に集約する形で解釈することが必要であり、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて立法することはできない。
これは、下記が理由である。
仮に、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法することが可能であるとする。
すると、「生殖と子の養育」に関わる制度でありながら、24条によって統制(管理)することができない状態が存在することを許すことになる。
例えば、24条の「婚姻」とは別に、「生殖関連制度」や「三人以上の生殖結社制度」などが立法されることが考えられる。
そうなると、その「生殖と子の養育」に関わる制度は「婚姻」とは別の制度であることから、24条の統制は及ばない。
すると、その制度は「婚姻」ではないため、「両性の合意」以外の条件を設けるものでも、「個人の尊厳」や「両性の本質的平等」に立脚しないものでも構わないことになる。
戦前の明治民法のような「戸主」の同意を必要とする「戸主付き生殖関連制度」や「家制度的生殖関連制度」を立法することも可能ということである。
また、その「婚姻」とは異なる「生殖と子の養育」に関わる制度に対して「婚姻」よりも充実した優遇措置を整備した場合には、人々の大半はその制度を利用することを選択し、次第に「婚姻」を利用しなくなっていくことが考えられる。
すると、「婚姻」という制度が衰退していき、「婚姻」が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するための制度として機能しなくなる。
これでは、24条が「婚姻」に対して立法裁量の限界を画することによって、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために設けられた制度の内容が「両性の合意のみ」や「個人の尊厳」「両性の本質的平等」を満たすものとなるよう求める憲法上の立法政策としての目的を達成できない事態に陥る。
このように考えることは、24条の趣旨が損なわれ、何のために24条が設けられているのか分からなくなるため妥当でない。
そのため、24条の規定の効果が保たれるためには、「生殖と子の養育」に関わる制度は24条の「婚姻」の文言が一元的に集約するものとして解釈することが求められる。
このため、「生殖と子の養育」に関わる制度を、24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法することはできない。
もし「生殖と子の養育」に関わる制度を、24条の「婚姻」から離れて別の制度として立法しようとした場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
このことから、パートナーシップ制度の内容が「生殖と子の養育」に関わる制度となっている場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
パートナーシップ制度の内容が、パートナーシップ制度を利用する個々人に対して何らかの「生殖」によって子を持つことにインセンティブを与えることに繋がる(影響を与える)場合や、子を含む形で規定され「子の養育」に関わる内容を有している(影響を与える)場合など、「生殖と子の養育」に結び付くものとなっている場合には、「生殖と子の養育」に関わる制度となっていることを意味する。
これは、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法しようとするものということができ、24条が「生殖と子の養育」に関わる制度の内容を24条の「婚姻」の文言の中に一元的に集約して規律しようとする趣旨を満たすものではなく、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
〇 24条の「婚姻」から「生殖と子の養育」の趣旨が失われると24条の規定が有している目的を達成できないこと
仮に24条の「婚姻」という概念から「生殖と子の養育」の趣旨を切り離して考えることができるとする前提に立つとする。
すると、24条の「婚姻」の文言には「生殖と子の養育」の趣旨が含まれていないことになるから、24条の「婚姻」の文言には「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約しようとする趣旨も含まれていないことになる。
そうなると、「生殖と子の養育」に関わる制度について、24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法することが可能となる。
「生殖と子の養育」に関わる制度が「婚姻」とは別の形で存在することを許すことになるから、「婚姻」が「生殖と子の養育」に関する様々な問題の発生を抑制しようとする機能を果たさなくなり、「婚姻」の政策効果が損なわれることになる。
また、その「生殖と子の養育」に関わる制度は、24条の「婚姻」とは別の制度であることから、24条の「両性の合意のみ」や「個人の尊厳」「両性の本質的平等」による統制が及ばないことになる。
つまり、その「生殖と子の養育」に関わる制度が、24条の「両性の合意のみ」や「個人の尊厳」「両性の本質的平等」を満たさないものとなっていても、それがもともと24条の「婚姻」ではないことを理由に、その制度の内容を是正することができなくなる。
これでは、本来「婚姻」を24条の統制の下に置くことによって、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するための制度の内容に対して「両性の合意のみ」や「個人の尊厳」「両性の本質的平等」を満たすように求めるという憲法上の立法政策を実現することができない事態に陥る。
これでは、24条の規定そのものが有する意図・目的を達成することができず、24条の規定が骨抜きとなる。
このような考えは解釈として妥当でない。
そのことから、「生殖と子の養育」に関わる制度については、24条の「婚姻」に結び付けて考える必要があり、24条の「婚姻」は「生殖と子の養育」に関わる制度を一元的に集約する趣旨を有している。
このことから、「生殖と子の養育」に関わる制度を、24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法することはできない。
もし「生殖と子の養育」に関わる制度を、24条の「婚姻」から離れて別の制度として立法しようとした場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
このことから、パートナーシップ制度の内容が「生殖と子の養育」に関わる制度となっている場合には、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
パートナーシップ制度の内容が、パートナーシップ制度を利用する個々人に対して何らかの「生殖」によって子を持つことにインセンティブを与えることに繋がる(影響を与える)場合や、子を含む形で規定され「子の養育」に関わる内容を有している(影響を与える)場合など、「生殖と子の養育」に結び付くものとなっている場合には、「生殖と子の養育」に関わる制度となっていることを意味する。
これは、「生殖と子の養育」に関わる制度を24条の「婚姻」を離れて別の制度として立法しようとするものということができ、24条が「生殖と子の養育」に関わる制度の内容を24条の「婚姻」の文言の中に一元的に集約して規律しようとする趣旨を満たすものではなく、24条の「婚姻」に抵触して違憲となる。
憲法14条の「平等原則」との関係
パートナーシップ制度が対象としている人的結合関係は「二人一組」である。
しかし、これはなぜ「二人一組」であるのか、その根拠は示されておらず、「カップル信仰論」に陥っているものである。
婚姻制度が「男女二人一組」の形となっていることについては、「生殖と子の養育」の観点から、「男性」と「女性」の間に「貞操義務」を設けることによって、その間で自然生殖が行われた場合に、遺伝的な父親を特定することができるという部分から、「男性」と「女性」を組み合わせた「二人一組」であることに必然性を見出すことができる。
そして、父親を特定することによって、「近親交配」を回避することが可能となるし、「男女二人一組」の形に限定している場合においては、未婚の男女の数の不均衡を防止することが可能となるため、「生殖機会の公平」にも寄与することになる。「婚姻適齢」を満たした者の間での「生殖と子の養育」であれば、「母体の保護」の観点や、「子育ての能力」の観点からも、一般には支障がないものと考えられる。
このような関係性を形成した者に対して一定の優遇措置を講じることは、その社会の中で「生殖」に関わって生じる不都合を解消するという目的に資することから、その「婚姻制度を利用している者(既婚者)」は、「婚姻制度を利用していない者(独身者)」との間で優遇措置が与えられることが正当化されることになる。
しかし、「同性間の人的結合関係」については、その間で「生殖」を想定することができず、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するために「生殖と子の養育」の観点から他の様々な人的結合関係とは区別する形で制度を設けるという目的からは導かれないものである。
そのため、「同性間の人的結合関係」に対して、何らかの優遇措置を講じることは、何らの人的結合関係も形成していない者との間で、合理的な理由を説明することのできない利益の差異を生じさせるものとなる。
よって、「同性間の人的結合関係」に対して、パートナーシップ制度を設けて、何らかの優遇措置を講じることは、その制度を利用しておらず、何らの人的結合関係も形成していない者との間で、得られる利益の内容に合理的な理由のない差異を生じさせるものであることから、憲法14条の「平等原則」に抵触して違憲となる。
また、「同性間」については、そもそもその間で「生殖」を想定することができないのであり、婚姻制度のような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を有する制度ではないことから、その内容を「二人一組」とする必然性もないのであり、理由なく「二人一組」としていることについても、「カップル信仰論」に基づくものとなっている。
人的結合関係には、「三人一組」や「四人一組」、「それ以上の人的結合関係」も存在するのであり、「二人一組」だけを特別視して制度を設けていること自体についても、合理的な理由を説明することができないものとなっており、妥当でない。
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3 なぜカップルに限定するのでしょうか。
↑超重要。独身は声を挙げるべき時。
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2という数値だけでなんでそんなに神聖なのかが自明ではない。
1や3でも優遇されていいはずだ。
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「パートナーがいない人のほうが本質的につらいはず。」 Twitter
「独身の人にだけ課税するのは差別じゃないの?」 Twitter
「2人婚の聖性を堅持あるいは捏造するための性的指向。」 Twitter
「恋愛関係にあるというだけの二人に国が経済的利益を与えなきゃいけないなら、それはいったいどういう理由なんだよ。」 Twitter
「愛し合う関係を公証するという目的だけで法的利益を享受させる、ということになれば、そういう関係を得られない人とそうでない人を区別する合理的理由って何?」 Twitter
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性的関係が有ることに何の優遇措置が必要か分からない。
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「パートナーシップ条例で助成金出してる自治体があるんだって…?それはねーわ。」……「金が出るなら調べるしかねえ。」 Twitter
【参考】私たちは「重婚」を認められるか…?「同性婚」問題の先に浮かび上がる「多様性をめぐる根本的な難点」 2023.06.27
ファミリーシップ制度は合法か
地方自治体が「ファミリーシップ制度」を設けることが合法であるかを検討する。
憲法24条2項には「婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、…(略)…制定されなければならない。」と記載されている。
憲法24条2項
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配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
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日本国憲法 The Constitution of Japan
この24条2項の「婚姻及び家族」の枠組みと、その中の「家族」の枠組みについて、下記で詳しく検討する。
■ 「婚姻」と「家族」はそれ以外の概念ではないこと
「婚姻」や「家族」である以上は、「サークル」「部活」「組合」「雇用」「会社」「町内会」「宗教団体」「政党」など他の様々な人的結合関係とは異なる概念である。
当然、これは「意思表示」「代理」「物権」「即時取得」「売買」など、それとは別の概念を示すものでもない。
このように、「婚姻」や「家族」という概念が用いられている以上は、その概念そのものが有する意味を離れることはできないのであり、その概念が有する意味に拘束されることになる。
よって、「婚姻」や「家族」として扱うことができる範囲には、「婚姻」や「家族」という概念であることそのものによる内在的な限界が存在する。
言い換えれば、「婚姻」や「家族」という言葉それ自体を別の意味に変えてしまうことはできないのであり、これらの言葉に対して、その概念に含まれている内在的な限界を超える意味を与えることが解釈として可能となるわけではない。
もしその概念が有する内在的な限界(意味の範囲)を超える形で新たな枠組みを設けることを望む場合には、解釈によって導き出すことのできる範囲を超えることになるから、その規定を改正して文言を変更するか、その規定そのものを廃止することが必要となる。
■ 「婚姻」と「家族」は異なる概念であること
24条2項には「婚姻及び家族」と記載されている。
ここから分かることは、「婚姻」と「家族」はそれぞれ異なる概念であるということである。
このことから、下記の内容が導かれる。
〇 第一に、「婚姻」と「家族」を同一の概念として扱うことはできない。
〇 第二に、「婚姻」の概念を「家族」の概念に置き換えることや、「家族」の概念を「婚姻」の概念に置き換えることはできない。
〇 第三に、「婚姻」や「家族」という言葉の意味によって形成されている概念の境界線を取り払うことはできない。
〇 第四に、「婚姻」や「家族」という言葉の意味の範囲をどこまでも拡張することができるというものではない。
このように、「婚姻」と「家族」という文言が使われていることそのものによって、これを解釈する際に導き出すことのできる意味の範囲には内在的な限界がある。
それぞれの言葉には一定の意味があり、その意味そのものを同じものとして扱ったり、挿げ替えたり、混同したり、無制限に拡張したりすることはできないからである。
そのため、もし下記のような法律を立法した場合には、24条2項の「婚姻及び家族」の文言に抵触して違憲となる。
① 「婚姻」と「家族」の意味を同一の概念として扱うような法律を立法した場合
② 「婚姻」の意味と「家族」の意味を置き換えるような法律を立法した場合
③ 「婚姻」や「家族」の概念の境界線を取り払うような法律を立法した場合
④ 「婚姻」や「家族」という言葉の意味の範囲をどこまでも拡張することができることを前提とした法律を立法した場合
■ 「婚姻」と「家族」は整合的に理解する必要があること
24条2項の「家族」とは、法学的な意味の「家族」を指すものである。
そのため、社会学的な意味で使われる「家族」のように、どのような意味としてでも自由に用いることができるというわけではない。
24条2項には「婚姻及び家族」と記載されており、これら「婚姻」と「家族」の文言は、一つの条文の中に記されている。
24条2項では「A、B、C、D、E 並びに F」の形で順を追って説明するものとなっており、その中で「婚姻及び家族に関するその他の事項」が一つのまとまりとなっている。
この点で、「婚姻」と「家族」という二つの概念はまとめる形で定められている。
そして、「家族」の文言は、「婚姻及び家族」のように「婚姻」の文言のすぐ後に続く形で、「婚姻」と共に記されている。
そのことから、「家族」の概念は、「婚姻」の概念と結び付くものとして定められており、これらは切り離すことのできるものではない。
よって、「婚姻」と「家族」の意味を解釈する際には、それぞれの概念をまったく別個の目的を有した相互に関わり合いのない枠組みであるかのように考えることはできず、それらを整合的に読み解くことが求められる。
24条2項の「婚姻及び家族」の文言は、1項で「婚姻」について既に定められていることを前提として、それに続く形で「家族」についても触れるものとなっている。
そのため、「家族」の概念は「婚姻」を中心として定められる枠組みであることは明らかである。
これについて、国(行政府)は下記のように説明している。
◇ 「同項における立法上の要請及び指針は、形式的にも内容的にも、同条1項を前提とすることが明らかである。」
◇ 「このように、憲法24条2項が、同条1項の規定内容を踏まえ、これを前提として定められていることは、同条2項の内容面からしても明らかである。」
【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF
国(行政府)は最高裁判決の記述も示している。
【東京二次・第9回】被告第7準備書面 令和5年9月28日 PDF (P14)
【九州・第1回】被控訴人(被告)答弁書 令和6年1月31日 (P15)
■ 「婚姻及び家族」の内在的な限界
「家族」の枠組みを検討するために、初めに、「婚姻」の目的と、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みから検討する。
▼ 「婚姻」の概念に含まれる内在的な限界
「婚姻」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的とした形成された枠組みである。
これは、下記のような経緯によるものである。
その社会の中で何らの制度も設けられていない場合には、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合が発生する。
例えば、「父親不明」の子供が増える、父親を特定できない子供が増える、父親が蒸発して行方不明になった子供が増える、それらにより「子の福祉」が減少する、父親を特定できないことにより近親者の範囲を把握できずに「近親交配」に至り潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じるようになる、一部の強者が多数人との生殖関係を独占することによって社会の中で「子を持ちたいと希望して相手を見つけようとする男女」の数の不均衡が生じて「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」が生まれる、低年齢での妊娠・出産により母体に危険が及ぶ、などの問題が生じることがある。
これらの不都合を解消するために、下記のような立法目的を有する枠組みを設けることが必要となる。
・「子の福祉」が実現される社会基盤を構築すること
・潜性遺伝子の発現した個体が高い確率で生じることを抑制すること
・「子を持ちたくても持つ機会に恵まれない者」を減らすこと
・母体を保護すること
そして、これらの目的を達成するためには、下記の要素を満たす枠組みを設けることが必要となる。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
これらの要素を満たすものとして「一人の男性」と「一人の女性」が選び出され、その間に「貞操義務」を設け、その関係を法的に結び付ける形を「婚姻」と呼んでいる。
そして、この制度を利用した場合には一定の法的効果や優遇措置があるという差異を設けることによって、この制度を利用する者を増やし、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を達成することを目指すものとなっている。
このような「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解決しようとする目的を離れて「婚姻」を観念することはできない。
そのため、「婚姻」である以上は、これらの目的を達成することを阻害する組み合わせを「婚姻」とすることはできないという内在的な限界がある。
また、24条の「婚姻」は、「両性」「夫婦」「相互」「配偶者」の文言を用いて一夫一婦制(男女二人一組)を定めている。
これについても、上記の要素を満たす枠組みとして定められているものである。
よって、「婚姻」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的を達成するための手段として整合的な上記の要素を満たす範囲に限られる。
▼ 「家族」の概念に含まれる内在的な限界
次に、「家族」の枠組みを検討する。
▽ 「婚姻」と「家族」の整合的な理解
上で述べたように、「家族」の枠組みは、「婚姻」という枠組みが存在することを前提としており、「婚姻」の枠組みから切り離して独立した形で存在することはできない。
そのため、もし「婚姻」の枠組みが有している目的の実現を「家族」の枠組みが阻害するものとなっている場合、「婚姻」と「家族」は同一の条文の中に記された文言であるにもかかわらず、その間に矛盾・抵触が生じていることとなり、その意味を整合的に読み解くことができていないことになるから、解釈の方法として妥当でない。
そのことから、「家族」の枠組みは、「婚姻」の枠組みが有している目的を達成することを阻害するような形で定めることはできず、「婚姻」の枠組みが有している目的との整合性を切り離して考えることはできない。
これにより、「婚姻」と「家族」は、同一の目的を共有し、その同一の目的に従って相互に矛盾することなく整合性を保った形で統一的に形成される枠組みということになる。
よって、「家族」の枠組みは、「婚姻」の立法政策に付随して同一の目的を共有し、「婚姻」の枠組みと結び付く形で位置付けられることになる。
▽ 「家族」の枠組み
「家族」の枠組みは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として設けられた「婚姻」の枠組みと結び付いて定められている。
そのため、「家族」の枠組みは、「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みが存在することを前提として、その「婚姻」と同一の目的を共有する形で、かつ、その「婚姻」の枠組みとの間で矛盾しない形で、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす形で定められることになる。
「婚姻」とするためには、下記の要素を満たすことが必要である。
・子の遺伝的な父親を特定できる組み合わせとすること
・特定された子の父親にも子に対する責任を担わせること
・特定された子の父親を基に遺伝的な近親者を把握すること
・未婚の男女の数の不均衡を防止できる組み合わせに限定すること
そして、「家族」の枠組みは、「婚姻」と同一の目的を共有し、この「婚姻」の枠組みと矛盾しない形で、その目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす形で定められることになる。
そのことから、「家族」とするためには、下記の要素を満たすことが必要である。
・「婚姻」と「家族」は異なる概念であること
・「婚姻」と同一の機能を「家族」の概念に担わせることはできないこと
・「生殖」を推進する関係は「婚姻」している夫婦の間に限られること
・「貞操義務」は夫婦の間に限られること
・夫婦以外の関係の間で「生殖」を推進する作用を生じさせないこと
・「生殖」によって子が生じるという生命活動の連鎖による血筋を明らかにすることが骨格となること
・「生殖」によって生じた子とその親による「親子」の関係を規律すること
・遺伝的な近親者とは「婚姻」することができないこと
これらの要素により、「家族」の中に含めることのできる人的結合関係と、含めることのできない人的結合関係が区別されることになる。
このように、「婚姻」が「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的としている以上は、その「婚姻」の目的を達成するための手段として整合的な要素を満たす枠組みとの関係で、「家族」の枠組みも自ずと明らかとなる。
このことより、「家族」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「家族」という概念であることそれ自体による内在的な限界がある。
そのため、もし上記の要素を満たさない人的結合関係を「家族」の中に含めようとする法律を立法した場合には、24条2項の「家族」の文言に抵触して違憲となる。
∵ 「家族」の範囲
上記のように、「家族」は、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消することを目的として「婚姻」という枠組みが設けられていることを前提として、その立法政策に付随する形で同一の目的を共有し、その目的を達成するための手段として設けられる枠組みである。
そのため、「家族」の枠組みは、「生殖」によって「子」が生まれるという生物学的な因果関係を離れて観念することはできない。
よって、「家族」の中に含まれる人的結合関係の範囲は、下記の順に決まることになる。
① 婚姻している「男性」と「女性」の関係 (夫婦)
② 婚姻している「母親」から産まれた「子」とその「夫婦」との関係 (親子)
③ 婚姻していない「母親」から産まれた「子」とその「母親」との関係 (親子)
④ 婚姻している「母親」から産まれた「子」であるが、その「母親」の「夫」に嫡出否認された場合の「子」とその「母親」との関係 (親子)
⑤ 「子」の「父親」であると認知した者との関係〔あるいは『子』の親権を得た『父親』との関係〕 (親子)
このように、婚姻している「夫婦」と、自然生殖の過程を経て生まれてくる「子」とその「親」との関係を規律する「親子」による枠組みを骨格として範囲が決まることになる。
これは、「自然血族」である。
これらの関係が「家族」となるのは、「生殖」に関わって生じる社会的な不都合を解消するという目的によって「婚姻」という枠組みが設けられており、その「婚姻」と同一の目的を共有する形で、生物学上の血のつながりを持つ親子関係を明確にすることを意図した統一的な枠組みといえるからである。
⑥ 「自然血族」の「親子」の関係に擬制して位置付けられる「養子縁組」による「親子」の関係
自然生殖によって生じる「親子」の関係を規律する「自然血族」の枠組みを基本として、その骨格を維持したまま、その骨格に当てはめる形で法的に「親子」の関係として扱う制度が定められることがある。
これは、「法定血族」である。
∵ 結論
このように、24条2項の「家族」の中に含めることのできる人的結合関係の範囲は、「家族」の枠組みが「婚姻」と同一の目的を共有してその目的を達成するための手段として「婚姻」の枠組みとの間で整合性を保つ形で統一的に定められることによる内在的な限界がある。
そして、その限界は、「婚姻」している「夫婦」と、「生殖」によって子が生まれるという生物学的な因果関係を想定した「親子」の関係による「自然血族」と、その「自然血族」の枠組みを基本として、その骨格を維持したまま、その骨格に当てはめる形で位置付けられる「法定血族」までをいう。
まとめると、「家族」とは、「婚姻」している「夫婦」と、「親子」の関係によって結び付けられる「血縁関係者」のことを指す。
国(行政府)は下記のように述べている。
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(イ)しかし、現行民法典には「家族」という言葉は存在せず、少なくとも民法の観点からは「家族」を厳密に定義することは困難であるが(大村敦志「家族法(第3版)」23ページ・乙第35号証)、一般的な用語としての「家族」は、「夫婦の配偶関係や親子・兄弟などの血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団」を意味するものとされている(新村出編「広辞苑(第7版)」560ページ)。……(略)……
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【東京一次・第1回】控訴答弁書 令和5年6月23日 PDF
【参考】家族関係の基本知識 2022.12.19
【参考】血族について学ぼう!範囲や親族・姻族との違いを詳しく解説 2021.8.9
このことから、この「婚姻」の立法目的との関係を離れて、どのような人的結合関係でも「家族」の中に含めることができるという性質のものではない。
例えば、「友人」「同居人」「サークル」「部活」「宗教団体」「組合」「会社」「学校」「政党」などの人的結合関係を、この24条2項の「家族」の中に含めることができるわけではない。
また、個々人が何らかの人的結合関係を形成したからといって、それだけで24条2項の「家族」として取り扱ってもらうことができるというものでもない。
そして、「家族」は英語で「family」とされている。
このことから、「family」は、「婚姻」している「夫婦」と、「親子」の関係によって結び付けられる「血縁関係者」のことを指している。
また、「婚姻及び家族」は「法律」で制定されることを予定している。
そのため、「family」に関する制度は、「法律」で定められることになっている。
そのことから、地方自治体が「ファミリーシップ制度」というような形で、「family」に関する事柄を定めようとすることは、憲法24条2項の「家族」(family)や法律によって定められている「家族」(family)に抵触し、違憲・違法となる。
◇ 養子縁組と並行してパートナーシップ制度を利用できるとしているものがある。
そして、それに加えてファミリーシップとして子供との関係を定めようとするものがある。
しかし、これは、養子縁組の「親子」によるパートナーシップと、ファミリーシップによる「親子」が競合する関係となり、民法秩序に混乱を与えるものとなることから、民法に抵触して違法となる。
親 → 子(養子+パートナーシップ)
↓ ↓
→ → 子(ファミリーシップ)
この点も、「婚姻及び家族」に関する事柄は、憲法24条に基づく形で法律が一元的に規律するものとなっているにもかかわらず、それを無視してパートナーシップ制度やファミリーシップ制度を定めようとしていることによって生じる整合性の乱れである。
このような制度は違法である。
◇ 養子縁組の「親子」に対してパートナーシップ制度の利用を可能とすることは、近親婚を認めていない民法の政策目的を阻害することになるから、この点でも違法となる。
養子縁組の例外との関係
パートナーシップ制度は、ほとんどの場合、民法上の規定に基づく「近親者」を除外しており、それにより原則として「親子」ではパートナーシップ制度を利用することができない。
しかし、その例外として「養子縁組」の「親子」についてはパートナーシップ制度を利用することができるとしている場合がある。
これは、「養子縁組」の「親子」に対してだけパートナーシップ制度を利用することを認め、「養子縁組」でない「親子」に対してはパートナーシップ制度を利用することを認めないというものである。
しかし、これは「親子」という同一の関係であるにもかかわらず、その間に差異を設けるものであることから、憲法14条の「平等原則」(社会的身分による差別)に抵触して違憲となる。
また、民法で定められている「親子」の制度は、「養子縁組」でない「親子」と「養子縁組」の「親子」を同様のものとして扱うことを予定しているが、その趣旨にも反しており違法である。
「養子縁組」の「親子」の関係だけを特別扱いするようなことは、憲法や民法は認めていないということである。
よって、このような規定を持つパートナーシップ制度は、違憲・違法である。
優遇措置の内容との関係
自治体によっては、パートナーシップ制度を利用している者に対して「扶養手当の支給」を行っている場合がある。
しかし、「扶養手当の支給」を行う際に、その対象となる者の範囲を確定するための根拠として用いているパートナーシップ制度の方には「法的な効力がない」と記載されている場合が多い。
そうなると、ここでいう「扶養手当の支給」は、単に「法的な効力がない」形で囲われているだけの者に対して支給を行っていることになる。
支給対象を確定するためには、前提としてその対象者の範囲を定める規定に法的な効力が存在しなければならないのであり、「法的な効力がない」ものを根拠として支給対象を確定するということは、法的な根拠を欠く形での支給となるため、違法となる。
また、このような法的な根拠を欠く形で支給対象の範囲を決めていることは、支給対象ではない者との間で「法適用の平等」に違反するものとなるため、憲法14条の「平等原則」に抵触して違憲となる。
下記の動画では、「法適用の平等」は「絶対的平等」であることが説明されている。
【動画】シンポジウム 国葬を考える【The Burning Issues vol.27】 2022/09/25
このように、パートナーシップ制度に「法的な効力がない」のであれば、それを基準として支給対象の範囲を決めてはならないのであり、それを基準とすることは「法適用の平等」に違反し、憲法14条の「平等原則」に抵触して違憲となる。
下記の内容も、手当を受ける対象とならない者との関係で14条の「平等原則」に抵触して違憲となると考えられる。
佐賀県職員の扶養手当支給 「同性パートナーに支給できる」 県が見解 2023/09/23
これらの点で整合性がとれないため、パートナーシップ制度は違憲・違法となる。
また、このパートナーシップ制度を利用することによって得られる何らかの優遇措置の内容やそれを定める規定についても、同様に違憲・違法となる。
<理解の補強>
日本の家族観に基づく法判断を 麗澤大学教授・八木秀次 2015/3/2
渋谷区「同性パートナーシップ条例」の問題点 2015年4月17日
「旭川市パートナーシップ制度の考え方(案)」に寄せられた御意見と旭川市の考え方 PDF (P4~6の視点は参考になる)
(「旭川市パートナーシップ制度の考え方(案)」に寄せられた御意見と旭川市の考え方 PDF)
宮古市パートナーシップ・ファミリーシップ制度導入に係るパブリックコメント実施結果について PDF (P2は参考になる)
パートナーシップ制度は整合性がない内容であり問題があることについて参考となる記述がある。
【お知らせ】パートナー制度を導入するなら“セクマイ限定”じゃないものを!仙台市に緊急要望書を提出しました! 2024年06月02日
(仮称)仙台市パートナーシップ宣誓制度骨子案に対する意見の概要と本市の考え方 PDF
パートナーシップ制度について教科書に記載されている場合があるようであるが、上記の通り、これら点で整合性がないため違法である。
同性婚やパートナーシップ制度に関する高校教科書の記述 2021年3月24日
<その他>
長崎県大村市が男の同性パートナーの住民票に「夫(未届)」の続柄記載:法的効果は無いが事実婚の外観作出で詐欺のおそれ 2024-06-08
同性事実婚の外観の続柄を生んだ自治体の背後にある最高裁の暴走:令和6年3月26日 令和4年(行ツ)318号、同年(行ヒ)360号 2024-06-18
同性パートナー宣誓者の住民票の続柄に事実婚の外観記載「夫(未届)」に関する長崎県大村市議会の質疑答弁:令和6年6月18日 2024-06-18
【住民票の続柄・同性事実婚問題】行橋市議会の質疑答弁が引き出す国の対応:大村市長の虚偽公文書作成罪の成否 2024-06-18
仙台市が答弁「同性パートナーの住民票続柄「未届」表記は行っていない」 2024-07-05
総務省「実務上の問題がある・法の目的に沿ったものではない」全国に通知:長崎県大村市同性カップルの住民票の続柄に見解 2024-07-19
長崎県大村市に総務省「できる限り統一的に記載すべきとする最高裁判決と異なる認識」:同性事実婚の住民票続柄問題 2024-10-19
世田谷区中野区が同性カップルの住民票続柄欄に「夫・妻(未届)」:総務省が大村市に遠慮中に既成事実が… 2024-11-11