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(章に格上げ)
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日本国憲法(現行)
第1章 天皇
第2章 戦争の放棄
第3章 国民の権利及び義務
第4章 国会
第5章 内閣
第6章 司法
第7章 財政
第8章 地方自治
第9章 改正
第10章 最高法規
第11章 補則
明治憲法(大日本国憲法)と現行憲法の根源的な違いとは何か 2019.05.28
どこがいけなかったの?大日本帝国憲法 2019年9月6日
【動画】伊藤塾塾長 伊藤真 特別講義「行政書士と憲法」 2021/02/23
【動画】講師:作家 竹田恒泰 氏/テーマ:「日本を楽しく学ぼう」(公家の政権700年)【第2期まなびと夜間塾開講講座】 2021.2.19
【動画】【司法試験】2022年開講!塾長クラス体験講義 体系マスター憲法4-6~伊藤塾長の最新講義をリアルタイムで体験しよう~ 2022/2/8
下記動画は、大日本帝国憲法「告文」について解説しているが、本質部分は日本国憲法の「前文」の意志と重なる部分を読み取ることができるように思う。
【動画】みんなで学ぼう!譲位の話 第3話「帝国憲法の御告文を読んでみよう」倉山満 秋吉聡子【チャンネルくらら・7月30日配信】 2017/07/30
〇 大日本帝国憲法 「朕か現在及将来に臣民に率先し此の憲章を履行して愆らさらむことを誓ふ」
〇 日本国憲法 「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
『大日本帝国憲法』と『日本国憲法』における「主権」概念の違い 2021/02/02
【動画】【司法試験】5月生本開講!塾長クラス体験講義 基礎マスター憲法1-3~伊藤塾長の最新講義をリアルタイムで体験しよう~ 2021/05/14
【動画】【司法試験】<無料体験>2023年合格プレミアムコース開講!伊藤塾長の講義を体験しよう~基礎マスター憲法1-3~ 2023/04/11 ①
【動画】【司法試験】<無料体験>2023年合格プレミアムコース開講!伊藤塾長の講義を体験しよう~基礎マスター憲法1-3~ 2023/04/11 ②
<理解の補強>
【動画】新番組!みんなで学ぼう譲位の話 第2話「これが典憲体制だ」倉山満 秋吉聡子【チャンネルくらら・7月23日配信】 2017/07/23
【動画】石川健治他 戦争とめよう!安倍9条改憲NO!新春のつどい 2018/01/07
【動画】【竹田学校】歴史・明治時代編⑦~アジア初の憲法『大日本帝国憲法』~|竹田恒泰チャンネル2 2020/05/28
【動画】【ゆっくり解説】大日本帝国憲法 2022/05/08
【動画】【高校生のための政治・経済】大日本帝国憲法#8 2020/04/20
【動画】【明治時代】219 大日本帝国憲法と内閣制度【日本史】 2023/03/17
【動画】【司法試験】2021年開講!塾長クラス体験講義~伊藤塾長の最新講義をリアルタイムで体験しよう~<体系マスター憲法1-3> 2021/02/06
【動画】九大法学部・憲法2(人権論)第1回〜「人権」の観念・2021年度後期 2021/10/04
【動画】樋口陽一 東京大学名誉教授 「戦後70年 語る・問う」(27) 2015.7.27
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第4回〜内閣③・裁判所① 2023/06/23
【動画】TBSラジオ「荻上チキ・Session」2024年8月13日「戦争と憲法〜日本国憲法はいかにして生まれたのか」 2024/08/13
下記は、大日本帝国憲法である。下線部は、日本国憲法では削除されている軍事に関する規定である。
大日本帝国憲法は、カタカナで非常に読みづらいため、「ひらがな・カタカナ変換ツール」で変換した。
告文
皇朕れ謹み畏み
皇祖
皇宗の神霊に誥け白さく皇朕れ天壌無窮の宏謨に循ひ惟神の宝祚を承継し旧図を保持して敢て失墜すること無し顧みるに世局の進運に膺り人文の発達に随ひ宜く
皇祖
皇宗の遺訓を明徴にし典憲を成立し条章を昭示し内は以て子孫の率由する所と為し外は以て臣民翼賛の道を広め永遠に遵行せしめ益々国家の丕基を鞏固にし八洲民生の慶福を増進すへし茲に皇室典範及憲法を制定す惟ふに此れ皆
皇祖
皇宗の後裔に貽したまへる統治の洪範を紹述するに外ならす而して朕か躬に逮て時と倶に挙行することを得るは洵に
皇祖
皇宗及我か
皇考の威霊に倚藉するに由らさるは無し皇朕れ仰て
皇祖
皇宗及
皇考の神祐を祷り併せて朕か現在及将来に臣民に率先し此の憲章を履行して愆らさらむことを誓ふ庶幾くは
神霊此れを鑒みたまへ
憲法発布勅語
朕国家の隆昌と臣民の慶福とを以て中心の欣栄とし朕か祖宗に承くるの大権に依り現在及将来の臣民に対し此の不磨の大典を宣布す
惟ふに我か祖我か宗は我か臣民祖先の協力輔翼に倚り我か帝国を肇造し以て無窮に垂れたり此れ我か神聖なる祖宗の威徳と並に臣民の忠実勇武にして国を愛し公に殉ひ以て此の光輝ある国史の成跡を貽したるなり朕我か臣民は即ち祖宗の忠良なる臣民の子孫なるを回想し其の朕か意を奉体し朕か事を奨順し相与に和衷協同し益々我か帝国の光栄を中外に宣揚し祖宗の遺業を永久に鞏固ならしむるの希望を同くし此の負担を分つに堪ふることを疑はさるなり
大日本帝国憲法
朕祖宗の遺烈を承け万世一系の帝位を践み朕か親愛する所の臣民は即ち朕か祖宗の恵撫慈養したまひし所の臣民なるを念ひ其の康福を増進し其の懿徳良能を発達せしめむことを願ひ又其の翼賛に依り与に倶に国家の進運を扶持せむことを望み乃ち明治十四年十月十二日の詔命を履践し茲に大憲を制定し朕か率由する所を示し朕か後嗣及臣民及臣民の子孫たる者をして永遠に循行する所を知らしむ
国家統治の大権は朕か之を祖宗に承けて之を子孫に伝ふる所なり朕及朕か子孫は将来此の憲法の条章に循ひ之を行ふことを愆らさるへし
朕は我か臣民の権利及財産の安全を貴重し及之を保護し此の憲法及法律の範囲内に於て其の享有を完全ならしむへきことを宣言す
帝国議会は明治二十三年を以て之を召集し議会開会の時を以て此の憲法をして有効ならしむるの期とすへし
将来若此の憲法の或る条章を改定するの必要なる時宜を見るに至らは朕及朕か継統の子孫は発議の権を執り之を議会に付し議会は此の憲法に定めたる要件に依り之を議決するの外朕か子孫及臣民は敢て之か紛更を試みることを得さるへし
朕か在廷の大臣は朕か為に此の憲法を施行するの責に任すへく朕か現在及将来の臣民は此の憲法に対し永遠に従順の義務を負ふへし
御名御璽
明治二十二年二月十一日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
枢密院議長 伯爵 伊藤博文
外務大臣 伯爵 大隈重信
海軍大臣 伯爵 西郷従道
農商務大臣 伯爵 井上 馨
司法大臣 伯爵 山田顕義
大蔵大臣兼内務大臣 伯爵 松方正義
陸軍大臣 伯爵 大山 巌
文部大臣 子爵 森 有礼
逓信大臣 子爵 榎本武揚
大日本帝国憲法
第1章 天皇
第1条 大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す (⇒現 1条)
第2条 皇位は皇室典範の定むる所に依り皇男子孫之を継承す (⇒現 2条、皇室典範1条)
第3条 天皇は神聖にして侵すへからす (⇒現 削除)
第4条 天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ (⇒現 4条)
第5条 天皇は帝国議会の協賛を以て立法権を行ふ (⇒現 削除、41条に近い)
第6条 天皇は法律を裁可し其の公布及執行を命す (⇒現 7条1号)
第7条 天皇は帝国議会を召集し其の開会閉会停会及衆議院の解散を命す (⇒現 7条2号、3号)
第8条 天皇は公共の安全を保持し又は其の災厄を避くる為緊急の必要に由り帝国議会閉会の場合に於て法律に代るへき勅令を発す (⇒現 削除)
2 此の勅令は次の会期に於て帝国議会に提出すへし若議会に於て承諾せさるときは政府は将来に向て其の効力を失ふことを公布すへし (⇒現 削除)
第9条 天皇は法律を執行する為に又は公共の安寧秩序を保持し及臣民の幸福を増進する為に必要なる命令を発し又は発せしむ但し命令を以て法律を変更することを得す (⇒現 削除、76条6項が近い)
第10条 天皇は行政各部の官制及文武官の俸給を定め及文武官を任免す但し此の憲法又は他の法律に特例を掲けたるものは各々其の条項に依る (⇒現 7条5号)
第11条 天皇は陸海軍を統帥す (⇒現 削除)
第12条 天皇は陸海軍の編制及常備兵額を定む (⇒現 削除)
第13条 天皇は戦を宣し和を講し及諸般の条約を締結す (⇒現 削除、7条1号、8号、61条、73条3号)
第14条 天皇は戒厳を宣告す (⇒現 削除)
2 戒厳の要件及効力は法律を以て之を定む (⇒現 削除)
第15条 天皇は爵位勲章及其の他の栄典を授与す (⇒現 7条7号)
第16条 天皇は大赦特赦減刑及復権を命す (⇒現 7条6号)
第17条 摂政を置くは皇室典範の定むる所に依る (⇒現 5条)
2 摂政は天皇の名に於て大権を行ふ (⇒現 削除)
第2章 臣民権利義務
第18条 日本臣民たる要件は法律の定むる所に依る (⇒現 10条)
第19条 日本臣民は法律命令の定むる所の資格に応し均く文武官に任せられ及其の他の公務に就くことを得(⇒現 15条)
第20条 日本臣民は法律の定むる所に従ひ兵役の義務を有す (⇒現 削除)
第21条 日本臣民は法律の定むる所に従ひ納税の義務を有す (⇒現 30条)
第22条 日本臣民は法律の範囲内に於て居住及移転の自由を有す (⇒現 22条1項)
第23条 日本臣民は法律に依るに非すして逮捕監禁審問処罰を受くることなし (⇒現 33条、36条)
第24条 日本臣民は法律に定めたる裁判官の裁判を受くるの権を奪はるヽことなし (⇒現 32条)
第25条 日本臣民は法律に定めたる場合を除く外其の許諾なくして住所に侵入せられ及捜索せらるヽことなし (⇒現 35条)
第26条 日本臣民は法律に定めたる場合を除く外信書の秘密を侵さるヽことなし (⇒現 21条2項後段)
第27条 日本臣民は其の所有権を侵さるヽことなし (⇒現 29条1項)
2 公益の為必要なる処分は法律の定むる所に依る (⇒現 29条3項)
第28条 日本臣民は安寧秩序を妨けす及臣民たるの義務に背かさる限に於て信教の自由を有す (⇒現 20条)
第29条 日本臣民は法律の範囲内に於て言論著作印行集会及結社の自由を有す (⇒現 21条1項)
第30条 日本臣民は相当の敬礼を守り別に定むる所の規程に従ひ請願を為すことを得 (⇒現 16条)
第31条 本章に掲けたる条規は戦時又は国家事変の場合に於て天皇大権の施行を妨くることなし (⇒現 削除)
第32条 本章に掲けたる条規は陸海軍の法令又は紀律に牴触せさるものに限り軍人に準行す (⇒現 削除)
第3章 帝国議会
第33条 帝国議会は貴族院衆議院の両院を以て成立す (⇒現 42条)
第34条 貴族院は貴族院令の定むる所に依り皇族華族及勅任せられたる議員を以て組織す (⇒現 46条、14条2項)
第35条 衆議院は選挙法の定むる所に依り公選せられたる議員を以て組織す (⇒現 43条1項)
第36条 何人も同時に両議院の議員たることを得す (⇒現 48条)
第37条 凡て法律は帝国議会の協賛を経るを要す (⇒現 41条)
第38条 両議院は政府の提出する法律案を議決し及各々法律案を提出することを得
第39条 両議院の一に於て否決したる法律案は同会期中に於て再ひ提出することを得す
第40条 両議院は法律又は其の他の事件に付き各々其の意見を政府に建議することを得但し其の採納を得さるものは同会期中に於て再ひ建議することを得す
第41条 帝国議会は毎年之を召集す (⇒現 52条)
第42条 帝国議会は三箇月を以て会期とす必要ある場合に於ては勅命を以て之を延長することあるへし
第43条 臨時緊急の必要ある場合に於て常会の外臨時会を召集すへし (⇒現 53条、54条2項)
2 臨時会の会期を定むるは勅命に依る
第44条 帝国議会の開会閉会会期の延長及停会は両院同時に之を行ふへし
2 衆議院解散を命せられたるときは貴族院は同時に停会せらるへし (⇒現 54条2項)
第45条 衆議院解散を命せられたるときは勅令を以て新に議員を選挙せしめ解散の日より五箇月以内に之を召集すへし (⇒現 54条1項)
第46条 両議院は各々其の総議員三分の一以上出席するに非されは議事を開き議決を為す事を得す (⇒現 56条1項)
第47条 両議院の議事は過半数を以て決す可否同数なるときは議長の決する所に依る (⇒現 56条2項)
第48条 両議院の会議は公開す但し政府の要求又は其の院の決議に依り秘密会と為すことを得 (⇒現 57条1項)
第49条 両議院は各々天皇に上奏することを得
第50条 両議院は臣民より呈出する請願書を受くることを得 (⇒現 16条)
第51条 両議院は此の憲法及議院法に掲くるものヽ外内部の整理に必要なる諸規則を定むることを得
第52条 両議院の議員は議院に於て発言したる意見及表決に付院外に於て責を負ふことなし但し議員自ら其の言論を演説刊行筆記又は其の他の方法を以て公布したるときは一般の法律に依り処分せらるへし (⇒現 51条)
第53条 両議院の議員は現行犯罪又は内乱外患に関る罪を除く外会期中其の院の許諾なくして逮捕せらるヽことなし (⇒現 50条)
第54条 国務大臣及政府委員は何時たりとも各議院に出席し及発言することを得 (⇒現 63条)
第4章 国務大臣及枢密顧問
第55条 国務各大臣は天皇を輔弼し其の責に任す (⇒現 65条)
2 凡て法律勅令其の他国務に関る詔勅は国務大臣の副署を要す (⇒現 74条)
第56条 枢密顧問は枢密院官制の定むる所に依り天皇の諮詢に応へ重要の国務を審議す
第5章 司法
第57条 司法権は天皇の名に於て法律に依り裁判所之を行ふ (⇒現 76条1項)
2 裁判所の構成は法律を以て之を定む
第58条 裁判官は法律に定めたる資格を具ふる者を以て之に任す
2 裁判官は刑法の宣告又は懲戒の処分に由るの外其の職を免せらるヽことなし (⇒現 78条)
3 懲戒の条規は法律を以て之を定む
第59条 裁判の対審判決は之を公開す但し安寧秩序又は風俗を害するの虞あるときは法律に依り又は裁判所の決議を以て対審の公開を停むることを得 (⇒現 82条)
第60条 特別裁判所の管轄に属すへきものは別に法律を以て之を定む (⇒現 削除、76条2項に近い)
第61条 行政官庁の違法処分に由り権利を傷害せられたりとするの訴訟にして別に法律を以て定めたる行政裁判所の裁判に属すへきものは司法裁判所に於て受理するの限に在らす (⇒現 削除、76条2項に近い)
第6章 会計
第62条 新に租税を課し及税率を変更するは法律を以て之を定むへし (⇒現 84条)
2 但し報償に属する行政上の手数料及其の他の収納金は前項の限に在らす
3 国債を起し及予算に定めたるものを除く外国庫の負担となるへき契約を為すは帝国議会の協賛を経へし(⇒現 85条)
第63条 現行の租税は更に法律を以て之を改めさる限は旧に依り之を徴収す
第64条 国家の歳出歳入は毎年予算を以て帝国議会の協賛を経へし (⇒現 86条)
2 予算の款項に超過し又は予算の外に生したる支出あるときは後日帝国議会の承諾を求むるを要す (⇒現 87条2項)
第65条 予算は前に衆議院に提出すへし (⇒現 60条1項)
第66条 皇室経費は現在の定額に依り毎年国庫より之を支出し将来増額を要する場合を除く外帝国議会の協賛を要せす (⇒現 8条、88条)
第67条 憲法上の大権に基つける既定の歳出及法律の結果に由り又は法律上政府の義務に属する歳出は政府の同意なくして帝国議会之を廃除し又は削減することを得す
第68条 特別の須要に因り政府は予め年限を定め継続費として帝国議会の協賛を求むることを得
第69条 避くへからさる予算の不足を補ふ為に又は予算の外に生したる必要の費用に充つる為に予備費を設くへし (⇒現 87条1項)
第70条 公共の安全を保持する為緊急の需用ある場合に於て内外の情形に因り政府は帝国議会を召集すること能はさるときは勅令に依り財政上必要の処分を為すことを得 (⇒現 削除、87条1項に近い)
2 前項の場合に於ては次の会期に於て帝国議会に提出し其の承諾を求むるを要す (⇒現 削除、87条2項に近い)
第71条 帝国議会に於いて予算を議定せす又は予算成立に至らさるときは政府は前年度の予算を施行すへし
第72条 国家の歳出歳入の決算は会計検査院之を検査確定し政府は其の検査報告と倶に之を帝国議会に提出すへし (⇒現 90条1項)
2 会計検査院の組織及職権は法律を以て之を定む (⇒現 90条2項)
第7章 補則
第73条 将来此の憲法の条項を改正するの必要あるときは勅命を以て議案を帝国議会の議に付すへし (⇒現 削除、96条に近い)
2 此の場合に於て両議院は各々其の総員三分の二以上出席するに非されは議事を開くことを得す出席議員三分の二以上の多数を得るに非されは改正の議決を為すことを得す (⇒現 削除、96条に近い)
第74条 皇室典範の改正は帝国議会の議を経るを要せす (⇒現 削除、2条に近い)
2 皇室典範を以て此の憲法の条規を変更することを得す (⇒現 削除、98条、96条に近い)
第75条 憲法及皇室典範は摂政を置くの間之を変更することを得す (⇒現 削除)
第76条 法律規則命令又は何等の名称を用ゐたるに拘らす此の憲法に矛盾せさる現行の法令は総て遵由の効力を有す (⇒現 98条)
2 歳出上政府の義務に係る現在の契約又は命令は総て第六十七条の例に依る
<理解の補強>
帝国憲法義解 : 新訳 伊藤博文 国立国会図書館デジタルコレクション
憲法講話 美濃部達吉 国立国会図書館デジタルコレクション
美濃部達吉-憲法講話
憲法講話 作成者: 美濃部達吉 1924
憲法撮要 美濃部達吉 大正12 国立国会図書館デジタルコレクション
憲法撮要 美濃部達吉 大正15 国立国会図書館デジタルコレクション
憲法撮要 美濃部達吉 昭和7 国立国会図書館デジタルコレクション
憲法撮要 美濃部達吉 昭和21 国立国会図書館デジタルコレクション
憲法撮要 美濃部達吉 1946 国立国会図書館デジタルコレクション
逐条憲法精義 美濃部達吉 国立国会図書館デジタルコレクション
美濃部達吉論文集. 第1巻 (日本憲法の基本主義) 国立国会図書館デジタルコレクション
訴訟対象を限定、上級審なく「一発勝負」の行政裁判所 2019.8.4
戦前の「行政裁判所」の記録、最高裁が保管 公立公文書館が目録公開へ 2019.8.4
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第4回〜内閣③・裁判所① 2023/06/23
大日本帝国憲法は『天皇主権』であった。
しかし、大日本帝国憲法を改正する過程で『天皇主権』は失われ、日本国憲法においては日本国民が主権(最高決定権)を持つとする『国民主権』となった。
このことは、日本国憲法では下記のように記されている。
◇ 前文「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」
◇ 1条「主権の存する日本国民」
天皇は日本国憲法4条で「国政に関する権能を有しない。」とされ、国家の作用は三権に分けられ、国会の「立法権(41条)」、内閣の「行政権(65条)※」、裁判所の「司法権(76条1項)」のみとなった。
※ 行政権の定義:国家作用から立法権と司法権を除いた残りの部分(控除説)。地方自治は行政に属するのかについては議論がある。
また、日本国憲法は、大日本帝国憲法の11条、12条、13条の規定を削除し、天皇が有していた天皇大権に含まれる軍事に関する権限(軍事権)を消去している。
そして、新たに主権者となった「日本国民」は、日本国憲法に9条の規定を設け、自らの『国民主権』を行使する際に国家の統治機関に対して軍事に関する『権力・権限・権能』を信託しない旨を宣言した。
9条1項の「日本国民」は、軍事権を消去した上に、放棄し、不保持とし、否認することによって、重ねて禁止しているのである。
大日本帝国憲法(原文のカタカナはひらがなにしている「ひらがな・カタカナ変換ツール」)
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第1章 天皇
第11条 天皇は陸海軍を統帥す
第12条 天皇は陸海軍の編制及常備兵額を定む
第13条 天皇は戦を宣し和を講し及諸般の条約を締結す
第2章 臣民権利義務
第20条 日本臣民は法律の定むる所に従ひ兵役の義務を有す
第31条 本章に掲けたる条規は戦時又は国家事変の場合に於て天皇大権の施行を妨くることなし
第32条 本章に掲けたる条規は陸海軍の法令又は紀律に牴触せさるものに限り軍人に準行す
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日本国憲法
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第2章 戦争の放棄
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第3章 国民の権利及び義務
第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
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<おおよその対応関係>
明憲11条 「陸海軍を統帥す」
⇒ 【軍事権限の削除】 現憲9条1項「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇又は武力の行使」を放棄
明憲12条 「陸海軍の編成及び常備兵額」
⇒ 【軍事組織の削除】 現憲9条2項前段「陸海空軍その他の戦力」を不保持
明憲13条 「戦を宣し和を講し」
⇒ 【対外戦争行為の削除】 現憲9条2項後段「国の交戦権」を否認
大日本帝国憲法 | ⇒ 変更 ⇒ | 日本国憲法(現行) |
【天皇主権】により 天皇の有していた権限 |
主権の変更 |
【国民主権】により日本国民が 国家に信託せず、禁じた権限 |
11条「陸海軍を統帥す」 | 軍事権限の削除 | 9条1項「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇又は武力の行使」を放棄 |
12条「陸海軍の編成及び常備兵額」 | 軍事組織の削除 | 9条2項前段「陸海空軍その他の戦力」を不保持 |
13条「戦を宣し和を講し」 | 対外戦争行為の削除 | 9条2項後段「国の交戦権」を否認 |
20条 日本臣民は法律の定むる所に従ひ兵役の義務を有す | 兵役の削除 | 18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 |
31条 本章(注:第2章 臣民権利義務)に掲けたる条規は戦時又は国家事変の場合に於て天皇大権の施行を妨くることなし |
侵害可能な 人権観を削除 |
11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 |
32条 本章(注:第2章 臣民権利義務)に掲けたる条規は陸海軍の法令又は紀律に牴触せさるものに限り軍人に準行す | 軍人の削除 | (66条2項 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。) |
9条の「日本国民」が「国際紛争を解決する手段として」の「戦争」「武力の行使」「武力による威嚇」、「陸海空軍その他の戦力」、「交戦権」を禁じたことにより、日本国の統治権はもともとそれらの『権限』を有していないことになる。
これによって、国民の有する主権(最高決定権)によって創設される国家の統治権(統治機関)のすべては、9条の制約を受けることとなる。
この9条の規定は、今まで主権(最高決定権)を有し統治権を総攬していた「天皇(1条)」の権限はもちろんであるが、日本国憲法でその権限が分配された「行政権(65条)」、「立法権(41条)」、「司法権(76条)」、「国の財政を処理する権限(83条)」、「地方自治」に対しても効力が及ぶこととなる。
「侵略戦争」を行った場合、9条1項に抵触して違憲となる。
「集団的自衛権の行使」として「武力の行使」を行うことについても、『他国防衛』のための「武力の行使」を実施するための実力組織を保持することになることから、それを「陸海空軍その他の戦力」と異なるものと説明することはできず、9条2項前段の禁じる「陸海空軍その他の戦力」に抵触して違憲となる。
日本国憲法ではこれらの「戦争」や「武力の行使」、実力組織の保持、『権限』の行使は認められていない。
ただ、13条は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」については、「立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定められている。
このことから、国政を担う「立法権」、「行政権」、「司法権」は、それら「国民の権利」を保障することを義務付けられている。
このことから、9条2項前段の禁じる「陸海空軍その他の戦力」という軍事権に抵触しない国内での行政活動(国内行政)の範囲内で、行政組織としての実力行使を行うことは可能と考えられる。
その範囲を確定するために、三要件(旧)を定め、その三要件(旧)の範囲の実力行使、それを実施するための実力組織の保持、そのための『権限』は行使することができると考えられる。
この三要件(旧)の範囲は、「自衛のための必要最小限度」と呼ばれている。
この解釈により、国会は「立法権」を行使して三要件(旧)の範囲の実力行使、実力組織、そのための『権限』に関する法律(海上保安庁などの設置法や、自衛隊法)を立法することができる。
また、内閣や内閣以下の行政機関も「行政権」を行使して、それらの法律を執行することが可能である。
日本国憲法の「三権分立」と、明治憲法の「統帥権」に関する国会答弁を確認する。
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○佐藤政府委員 統帥権という言葉自身、私あまり好みませんので、統率権という言葉でお答えをさせていただきますが、元の統帥権に当るような指揮権というものを、現在の憲法のもとで、かりに保安隊を自衛隊に直した場合にどこが持つことになるかというお尋ねだと思います。これについては、今のお話にもありましたように、そういう統率権というものの性格が何であるか、すなわち立法、司法、行政の、三権の外にあるもう一つの違う第四権のようなものだ、本来そういうものだという議論になりますと、話は現在の憲法にはもう乗つて来ないことだと思います。しかし私どもの考えておりますところでは、そういう指揮権、統率権というものは、やはり今の三つの権力の分立の中で分類すれば、広い意味の行政権に入ると見ざるを得ない、また見ることが正しいことだろうと思つております。それが正しいといたしますと、今の憲法の建前から、これはもう並木さんには釈迦に説法になりますけれども、行政権が内閣にあり、そして内閣は行政権の行使について国会に全責任を持つという仕組みの中にはまつて参りますから、やはり一応内閣の責任のもと、統率のもとということに立つのじやないか、そしてそれに関して国会に責任を負うという仕組みになるだろうと思つております。
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第19回国会 衆議院 外務委員会 第1号 昭和28年12月11日
第19回国会 衆議院 外務委員会 第18号 昭和29年3月16日
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○政府委員(佐藤達夫君)
(略)
要するに今の国の作用というものを三つに分けるという、いわゆる三権分立の一般の分類を今の憲法においてとつておりますからして、こういう、即ち外敵を防ぐとかいうようなことが国の作用として許されておるという前提をとりますならば、その作用は立法にあらず、司法にあらず、それは行政の作用であろうということが言い得ると思います。それが一体許されておるかどうかという問題に触れなければなりませんが、これは非常に現実具体的な形では今まで出ませんでしたが、例えばこの憲法ができます際の帝国議会の審議の際において、この憲法は一体無抵抗主義であるのかという御質問が貴族院でありました場合に、決して無抵抗主義ではございませんということを言つておるわけであります。外敵に対して一応許された範囲においての抵抗というものはあり得ることを前提としておりますと答えておるわけでございますからして、できたときの趣旨から言つても、そういうことはあり得るという前提で参つておりますからして、そういうことは今の三つの権力に分けて分類すれば、行政権であろうということが言えると思うのです。ただ、憲法が違つた形でできておつて、仮にいわゆる四権の一つとしての統帥権というものを憲法が作れば、これは憲法を作るその政策の問題としては考え得られますけれども、とにかく三権ということで行つております以上は、その実体は行政権であり、行政作用であろうということであります。従いましてその点は木村大臣の答えた通りであると考えております。
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○政府委員(佐藤達夫君)
(略)
今の行政権についてのお言葉でございますが、この問題はもう少し掘下げて考えてみますというと、一応は私は国を守る作用ということは、結局今の内乱が起つた場合に、その内乱を抑える、それを防ぐというような作用というものとは、根本性質は同じものであろうと思いますからして、これをよそから眺めた場合には、要するに立法権でないことは明瞭、司法権でないことは明瞭ということで、一応行政権でございますと答えておるわけでございます。この限りにおいては、その本質をつかまえて言えば、行政作用であることはどうも誤まりないように思います。ただ、今の掘下げてと申しますのは、その行政作用と一応考えましたところで、その行政作用を受持つ機関或いはその関係の補助をする機関というものを考えます場合に、恐らくそれを先生はお考えになつておるものと思いますが、いわゆる統帥権の独立という考え方がそこに来るわけであります。統帥権の独立ということを強く持つて参りますというと、昔の憲法のように天皇が直接それを握られて、そうしてその補佐機関というものは内閣とは又全然違つたものが、独立のものが補佐に当つている。そうして内閣もその関係では責任は負いません、或いは議会もその関係に口ばしを入れることは許されないという形のものができ得るわけであります。そういう形のものは今の憲法ではこれは当然許されないことでありますが、仮に憲法を改めるということになれば、それは純理論として申しますれば、もとの明治憲法の例もございますからして、そういう形も観念上の問題としてはとり得ることにこれは勿論なるわけであります。ところが結局は今度は今の憲法の精神というものから、或いはそれを延長して行つたこの先々の我々の考え方として、そういうことがいいことか悪いことかということが一般の世論によつて批判されなければならないことになろうと思うわけでありまして、その意味ではこの民主主義という原則を打立てて今後も行くということでありますれば、国会も口ばしを入れられないというような形の統帥権の独立というものは、恐らく大多数の国民は望まないであろうと思います。むしろそういう統帥権のできることを恐れるほうの側の気持が強く働くであろう。従つて一つの憲法改正の際の論点としては、御承知のように昔の明治憲法では天皇は陸海軍を統帥するとあつて、実はそれが統帥権の独立を意味するものかどうか、文章の上では決してはつきりしておりません。少くとも普通の天皇の大権として内閣の輔弼事項であるがごとき形になつておつたのでありますが、それにもかかわらず明治憲法制定の当初からすでに統帥権の独立ということが既定の事実のようになつておつて、内閣すらも口ばしをいれられんものとしてずつと育られて来て、ああいう間違いのもとになつたという、むしろそちらのほうの過去を反省した考え方から、新憲法を、今度の憲法を仮に改正するという場合におきましても、むしろそういう意味の誤解のないような形に規定をはつきりしておきたいという気持が、むしろ国民の側としては強く働くのではないか。即ちそういうような統帥権の独立というものはむしろないのだということをはつきりさせる方向へ条文を明らかに持つて行こうというような気持が恐らく出て来るのではないか。これは単純な推理の、予想の問題でございますけれども、そういうように考えられるのでざいます。
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第19回国会 参議院 法務委員会 第35号 昭和29年5月13日
第52回国会 衆議院 予算委員会 第3号 昭和41年10月20日
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○政府委員(角田禮次郎君) 憲法第四十一条の趣旨については去る十日の本委員会においても御説明申し上げましたけれども、要するに国会は主権者たる国民によって直接選挙された議員から成る国民の代表機関である、したがって、国家機関の中でも主権者たる国民に最も近い、したがってまた、最も高い地位にあると考えるにふさわしいものである、そういう趣旨を表明したものであるというふうにお答えをいたしたと思います。
一方、自衛隊法第七条で内閣総理大臣は、「自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」というふうに規定しております趣旨は、自衛隊の管理運営というのは言うまでもなく行政権に属するものであります。で、行政権が内閣に属することも憲法第六十五条に規定してあるところであります。そこで、内閣の最高責任者は内閣総理大臣であるというところから、自衛隊の最高指揮権は内閣総理大臣が有する、こういうような規定がされたのだと思います。一言で言えば、内閣総理大臣は自衛隊の最高司令官であるということでありまして、決していわゆる制服の人が最高司令官ではないという文民統制の趣旨を一面においてこの規定はうたっているものだと思います。いま申し上げましたように、この両者の「最高」の意味というのはそれぞれ別のものであります。その意味では私は矛盾がないと思いますが、同時に、憲法六十六条第三項には、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」というふうに規定されておりますから、内閣総理大臣の自衛隊に対する指揮監督権についてもその規定が適用されるわけであります。したがいまして、内閣総理大臣が自衛隊を指揮監督する、そういう行政事務についても、国会の当然コントロールを排除するものではない、こういうふうに考える次第でございます。
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○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、第四十一条の規定というものは、いま源田委員が御指摘になっている問題とは直接関係はないと思います。むしろ、後で申し上げました憲法第六十六条第三項の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」、この規定と自衛隊法の関係であろうかと思います。この憲法六十六条の三項はその書いてありますとおり、行政権の行使については最終的に国会のコントロールのもとに内閣が従う、こういうことであろうと思います。ただ、個々の行政の細部にまで国会が一々指図をするかどうかというのは、これはおのずから立法府と行政府との関係においてそれぞれの法律の定めもございますし、また、それぞれ憲法の趣旨に従って両者の間の区分がされるべきものだと思います。ただいま指揮用兵の末々に至るまでという御趣旨であるとすれば、そのことについてまで国会が一つ一つ指図をするということを六十六条三項が許しているとは思いませんが、しかし、最終的な責任というものはやはり国会のコントロールのもとに行政が行われる、これが日本国憲法の姿でありまして、かつての旧憲法にありましたような、いわゆる統帥権の独立というようなことは現在の憲法の原理とは相入れないものであると思います。
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○政府委員(角田禮次郎君) 御趣旨はよくわかりますが、単に自衛隊の行動に関する問題だけでなくて、行政全般について同じような問題があると思います。あくまで内閣は国会に対して責任を負う、国会のコントロールのもとに服して行政を行うわけでございますが、ふだんの行政の場合でも、どこまで国会が立法府としての節度を守っていただいて、行政府のいろいろな細かい問題にまでというようなことは常に問題になるわけでございます。しかし、あくまで最終的には国会のコントロールのもとに服するということを第一段に申し上げたいと思います。
それから次に、自衛隊の問題についてもそうでありますが、たとえば防衛出動というようなことは、これは国会の承認を受けなければできないというふうに現に自衛隊法に定めております。そういうことは、明らかに国会が自衛隊の行動について現実の具体的な法規においてもそれをコントロールしているわけであります。しかし、その部隊の一つ一つの細かい行動にまで国会なりあるいは総理大臣であっても、それぞれ言うべき場合と言うべからざる場合があるかと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、かつての統帥権の独立の名のもとにおいて、その軍の行動というものが政治的なシビリアンコントロールに服していなかったような、そういうことに対する強い反省というものが、憲法なりあるいは自衛隊法の考え方の根底にあるということだけは申し上げておきたいと思います。
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第96回国会 参議院 予算委員会 第6号 昭和57年3月12日
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○政府委員(依田智治君) 自衛隊は自衛権の行使機関かということでございますが、憲法九条で我が国は主権国として持つ固有の自衛権を認められておるという建前になっているわけでございまして、この自衛権を行使する裏づけとしての自衛のための必要最小限の実力組織として設けられておるわけでございます。そういう実力を行使するということは、現行憲法体系下では当然行政権の一部をなしておるというように考えております。
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○政府委員(味村治君) 国の統治権と申しますものは、御承知のように司法、行政、立法、この三権に分かれるわけでございまして、行政というのは国の統治権のうちで立法と司法を除いたものというのが定義されているわけでございます。
そういう意味で、ただいま自衛権の行使というものは、これは行政に属するということは疑いのないところでございます。
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○政府委員(味村治君) 旧悪法におきましては第十一条に「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」、それから十二条に「天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム」という規定がございました。
この「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」というのは、旧憲法の慣行といたしましてこれを統帥大権と言っていたわけでございますが、統帥大権について天皇を輔弼するのは国務大臣の職務には属しないで軍令部なり参謀本部なりの輔弼に属しておったということでございます。これは明文の規定はなかったわけでございますが、憲法制定前より実際の慣習と官制の定めとにより確定した制度だと、こういうふうに解釈されていたわけでございます。それに対して、十二条のただいま申し上げました「陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム」ということは、これは内閣の輔弼に属する、こういうふうになっていたわけでございます。
しかし、このように天皇に統帥権が直属するという、普通の行政と区別いたしまして天皇に統帥権が属するという規定は、現行憲法にはございません。
その意味で、現在、ほかの行政と同じように、自衛権の行使ということも行政の一部に属しているということでございます。したがって、内閣はその最終的な責任に任ずるというわけであります。
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○政府委員(味村治君) 現在の防衛庁設置法第七条を制定いたしました際の政府委員の説明によりますと、第七条の規定は、憲法第七十二条の内閣総理大臣が内閣の首班といたしまして内閣を代表して行政を指揮監督するという規定を自衛隊法第七条のような表現にしたものでありまして、これによりまして統帥的な権能を与えたという趣旨ではないのでありますと。つまり、現在の憲法の七十二条の内閣総理大臣の権限を確認的に規定した、こういうことでございます。
先ほど申し上げましたように、自衛権の行使というのは行政に属します。そうすると、「行政権は、内閣に属する。」ということが憲法第六十五条に規定がしてあるわけでございます。そして、内閣のもとに各省各庁が置かれておりまして、防衛庁は総理府の外周ということに相なっているわけでございます。したがいまして、内閣といたしまして自衛権の行使について責任を負うというのが現在の憲法の建前であるというふうに考えるわけでございます。
したがって、先ほどの行政権に属する限りにおきましては、特に国会の方で立法なりされればこれはまた別のことでございますが、内閣の責任において自衛権の行使をするということに相なりますので、それに必要な防衛計画の大綱とかそういったものを内閣の責任において行うというのが憲法上の建前であろうかと存じます。
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○政府委員(日吉章君) 先生おっしゃられますように、国権の最高機関は国会でございますが、法制局長官からもお話がございましたように、我が国は議院内閣制をとっているわけでございまして、国会の議員の中から選ばれた者が内閣総理大臣になり一般行政を行っているというわけでございます。それで、先ほど長官からもお答えがございましたように、自衛権と防衛庁の業務というものも一種の行政行為、行政機関としての行為だというふうなお話を申し上げたわけでございますから、防衛庁の所掌事務の中の基本的な事柄を防衛庁長官並びに最高指揮官としての内閣総理大臣にゆだねられているということは、それはそれなりに立法論としても成り立ち得るのではないかと思います。
ただ、先生も御指摘のように、防衛庁・自衛隊というものが他の行政機関と異なる点があるといたしますれば、これは必ずしも法律的に正しい用語かどうかは私ちょっと自信がございませんが、俗に言う一種の実力集団、実力組織であるという点であろうかと思います。したがいまして、その実力の行使にかかわります典型的なものが防衛出動でございますが、これは自衛隊法上国会の承認にかからしめられている、先生御案内のとおりでございますが、こういう点に防衛庁・自衛隊の他の行政機関と若干異なりました特色が出ているのではないかと思います。
そういうふうな意味で、国会が国権の最高機関であり、なおかつ議院内閣制をとり、防衛庁・自衛隊の特殊性等がすべて勘案された上での整合性のとれた法体系になっているのではないかと思います。
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○政府委員(味村治君) 我が国では、御承知のように、三権分立をとっておりまして、その中で国会は全国民を代表される議員から構成されますわけでございますので、主権者たる国民と非常に直接の関係を有しておられますので国権の最高機関だというふうに憲法で規定されているわけでございます。
しかし、三権分立ということはやはりあるわけでございまして、国会は主として立法、内閣は行政、司法は裁判ということをそれぞれが独立して行うということになっておるわけでございまして、行政権は内閣に属するということは内閣はその責任において行政を行うということに、これは現行憲法がそういうふうに規定をしているわけでございます。もとより、内閣は行政権の行使につきまして国会に対し連帯して責任を負うということでございまして、国会に対して責任を負っているわけでございます。しかも、その責任を問う方法といたしまして、いわゆる国政調査権も憲法に規定されております。そういうような意味で、国会が内閣に対して行政権の行使についていろいろ御監督になるということ、コントロールされるということは、これはもう当然のことでございます。
したがいまして、先ほどの防衛計画の大綱であるとか国防の基本方針ということについて国会の方でいろいろ内閣、政府側に対しまして御質疑なりいろいろされるということは、これは国会の監督権の行使として当然のことでありますが、その基本方針をつくるとかそういうことはやはり憲法の建前といたしましては内閣の責任において行うということになっているということを申し上げたいと存じます。
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○政府委員(味村治君) 過去の、旧憲法当時の統帥大権は、先ほど御説明申し上げましたように、内閣と別個の補佐機関を持っていたわけでございます。参謀本部とか軍令部というような内閣と別個の補佐機関を持っておりました。また、内閣の方は、御承知のように、これは天皇が任命されるという建前になっていたわけでございますが、しかし、内閣に対してはもとより当時の帝国議会においていろいろなコントロールが加えられていたわけでございます。しかし、この統帥大権は参謀本部なり軍令部の補佐に属するということで、これにつきましては全く内閣の管轄が及ばなかったがために参謀本部なり軍令部が独走したんではないかという非難を旧憲法に対してする方も多いわけでございます。
現在の憲法におきましては、すべてこの自衛権の行使は内閣の責任において行う、その具体的な行使はもとより自衛隊において行うわけでございますが、これはすべて先ほど申し上げましたように国会に対して責任を負うというこの体制のもとにおきまして、主権者たる国民の代表者である国会議員から成ります国会に対して責任を負うという建前、そういうもとにおきまして自衛権の行使をするということになっているわけでございまして、自衛権の行使のために必要なもろもろの準備も当然国会の監督のコントロールを受けるわけでございますから、これは全く旧憲法とは違うということを申し上げたいと思います。
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第113回国会 参議院 内閣委員会 第7号 昭和63年10月20日
その他、明治憲法下の『権限』について確認する。
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○政府委員(真田秀夫君) 突然の御質問でございますので詳細なことはいまここで申し上げかねますが、明治憲法下におきましては戦争を宣告するといいますか、宣戦の布告をするのは天皇の大権でございます。……(略)……
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第87回国会 参議院 内閣委員会 第9号 昭和54年5月24日
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○政府委員(味村治君) さきの大戦につきましての天皇の法的な責任のみについて申し上げます。
先ほど委員が御指摘になられましたように、旧憲法下におきましては天皇は統治権の総攬者でございまして、戦いいわゆる宣戦の機能をお持ちになっておられましたが、国務大臣がそれにつきましては天皇を輔弼しまして一切の責任を負う、こういうことになっておりまして、天皇は神聖不可侵であるという規定が旧憲法の三条にあったわけでございます。この神聖不可侵ということの意味の一つといたしまして、天皇は先ほどおっしゃいましたように無答責である、責任を負わないんだということに、この解釈は恐らく争いがなかったことであると思います。したがいまして、天皇は旧憲法下におきまして国内法上一切の法的責任を負うことはないと、このようにされておりました。当時の憲法において一切の法的責任を負うことがないとされております以上は、その旧憲法当時の行為につきまして後になって法的責任があると言うわけにはまいりませんので、国内法上は昭和天皇には戦争についての法的責任がないと考えてございます。
さらに、国際法の問題について御議論がございましたが、これは、先生の御指摘のとおり、昭和天皇の戦争責任の問題につきましては極東国際軍事裁判において検討がなされましたが、連合国が昭和天皇に対して訴追を行わなかったということは御指摘のとおりでございまして、昭和天皇の国際法上の戦争責任の問題は既に決着した問題であるというふうに考えております。
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第114回国会 参議院 内閣委員会 第3号 平成元年2月14日
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○味村政府委員 大日本帝国憲法の第十三条には「天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」、こうなっておりまして、その職務につきましては旧憲法第五十五条の規定によりまして「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」、こういうことになっておりました。この宣戦の中には、国民に対して国民に宣戦をしたぞということを布告されることと、事実上戦争行為を開始するということと、二つが含まれているというふうに考えられますので、国務大臣の輔弼によって行われたもの、このように……(不破委員「どの国務大臣が真珠湾攻撃を輔弼したのですか」と呼ぶ)全国務大臣の輔弼によって行われたと考えております。
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○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、天皇は戦いを宣し、宣戦の行為が――宣戦の人権をお持ちになっていたわけでございますが、その宣戦というのは二つございまして、一つは敵国に対し戦争を開始する行為であり、一つは国民に対し開戦を布告する行為である、こういうふうに解されておりました。したがいまして、実際問題は、私は存じませんが、この憲法の条項によりまして、戦争の開始につきましては国務大臣の輔弼によって行われたものである、このように考えております。
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第114回国会 衆議院 予算委員会 第4号 平成元年2月18日
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○政府特別補佐人(津野修君) 先ほどはどうも大変失礼いたしました。
お尋ねの点でございますけれども、旧憲法、大日本帝国憲法でございますが、この第十一条におきましては、天皇は陸海軍を統帥すという規定がございます。そして、軍の統帥権というものは、天皇が単独でこれを行使するということにされておりまして、国務大臣の輔弼の外に置かれている、政府及び帝国議会はこれに関与できないということにされていたわけであります。
このいわゆる統帥権の独立の対象となりますのは軍の指揮権などでありますが、「国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経へシ」とする旧憲法第六十四条第一項の規定は、これは軍関連の予算にも適用されていたわけでありますけれども、かつて内閣に設置されました憲法調査会が昭和三十九年に出しました報告書を見ますと、本来の統帥作用、すなわち作戦用兵に関する事項はもとよりも、それ以外の軍に関する事項について内閣の統制の及び得ない範囲を広く認める運用が行われていたというふうに理解しております。
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<理解の補強>
(あすを探る 憲法・社会)9条の持論、披露する前に~木村草太 2018-02-22
憲法は軍事権を認めていない インタビュー/首都大学東京准教授 木村草太さん 2015年4月21日
【憲法学で読み解く民主主義と立憲主義(2)】――憲法73条から集団的自衛権を考える 2014年10月27日
軍事権を日本国政府に付与するか否かは、国民が憲法を通じて決める 木村草太『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』から 2015.08.26