権力分立の歴史
三権分立
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○政府委員(吉國一郎君) ただいま御指摘のように、わが憲法におきましては、国の基本法としてわが国の統治制度の基本を定めておるのでございまするから、わが憲法の定める原則に従って申しまするならば、立法、行政、司法の三権以外の国家権力というものはあり得ないということでございます。
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○政府委員(吉國一郎君) お答えいたします。
憲法は、統治権の諸権能のうち、立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所にそれぞれ属するものと定めて、御指摘のように三権分立の原則を採用いたしておると思います。
ところで、国会は国の唯一の立法機関であると憲法上規定されております。また、すべて司法権は裁判所に属するとされておるのに対しまして、憲法の第六十五条には単に「行政権は、内閣に属する。」というような規定をいたしておることからいたしまして、内閣は唯一の行政機関ではないと、したがって、行政権の一部を内閣とは別個の機関に行わせることも憲法上許されるのではないかというような見解も一部の学者にはあるようでございまするが、政府といたしましては、憲法第六十五条、また第七十二条の規定の趣旨からかんがみまして、会計検査院等憲法上明文の根拠がある場合は別といたしまして、それ以外に内閣から完全に独立した行政機関はこれを設けることは憲法違反の疑いがあるというふうに考えております。
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第75回国会 参議院 予算委員会 第3号 昭和50年3月6日
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○味村政府委員 日本国憲法は三権分立の制度をとっておりまして、立法、司法、行政はそれぞれ独立してその職務を遂行するということに相なっておるわけでございます。もちろん、その間に相互の関連が生じないというわけではございません。たとえば立法につきまして、法律が成立いたしました後でそれが憲法に違反するかどうかということの違憲立法審査権は、これは裁判所が持っておるというように、その相互に関連はございます。
しかし、立法は国会の専権事項でございまして、どのような法律を制定するかということは国会の専権事項になっておりまして、それに関しましては司法は介入することができない、このように存じます。
(略)
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第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 昭和52年5月13日
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○政府委員(茂串俊君) ……(略)……
ただいまお話のございました憲法四十一条の、いわゆる唯一の立法機関止しての国会の地位と、それから六十五条で規定されておりますところの行政権は内閣に属するという規定の関係との兼ね合いで御質問があったかと思うのでございますが、御承知のとおり、我が国の憲法は三権分立制をとっておりまして、いわゆる立法府と行政府と司法府というものを一応独立した形で権限の行使を認めながら、相互に抑制するような措置を講じておるというような形で国政が整々と実施されておるところでございますが、……(略)……
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第102回国会 参議院 補助金等に関する特別委員会 第9号 昭和60年5月15日
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○政府委員(味村治君) 三権分立は我が国の憲法の基本的な統治組織でございます。したがいまして、国会、内閣、裁判所というそれぞれの三権を担当する機関がそれぞれ独立に職権を行うこととなっております。ただ、その相互の間の牽制作用というのはもちろんございまして、内閣は議院内閣制でございますし、国会が御制定になりました法律、これについてはそれの解釈を裁判所がするわけでございますから、裁判所が判断をするについては、国会の御制定になりました法律に拘束されるということに相なっているわけでございます。
(略)
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第108回国会 参議院 予算委員会 第16号 昭和62年5月20日
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○味村政府委員 三権分立と申しますと、委員がただいま述べられましたように、国家作用を立法、司法、行政の三つに分かちまして、そのおのおのを担当いたします機関を相互に分離、独立させ、それらの機関を相互に牽制させるという統治組織の原理であると心得ております。この原理は、委員御指摘のような理念に基づきまして、近代民主主義国家におきまして広く採用されているところでございまして、日本国憲法の定めております統治組織もこの原理を基本原理としておる次第でございます。
(略)
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第109回国会 衆議院 予算委員会 第3号 昭和62年7月14日
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○大出政府委員 三権分立といいますのは、通常は国家作用を立法、司法、行政の三権に分けまして、おのおのを担当する機関を相互に分離、独立させ、それらの機関を相互に牽制させるという統治組織の原理のことを指すものと承知をいたしております。日本国憲法の定めております統治組織もこの原理を基本的原理といたしておる次第であります。日本国憲法のもとにおける立法、司法及び行政の三権の間の関係は、戦後約四十年の間に調和と均衡を維持して発展をしてきているものと承知いたしております。
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○大出政府委員 先ほど申し上げましたように、三権分立という考え方はそれぞれの機関を相互に分離、独立させるということと同時にあわせまして相互にそれらの機関を牽制する、いわゆるチェック・アンド・バランスというような関係をその内容として持っておるわけであります。ただいま先生御指摘の件についてもそういうような意味合いでの相互牽制の一つの場合であると理解をいたしております。
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○大出政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましてはそれぞれ憲法の規定で定められているところでございます。先ほど申し上げましたように、三権分立という形でそれぞれを分離、独立させると同時に、また相互にチェックをするという一つの意味を持つものとしてそういう仕組みがとられておると考えておるところであります。いずれにいたしましても、これは憲法でそういう規定を設けて制度として確立をしていることでございますので、その受けとめ方をどう受けとめるかということかと思いますが、私どもはそれも一つの場合であるというふうに理解いたしておるところであります。
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第112回国会 衆議院 決算委員会 第2号 昭和63年4月20日
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○政府委員(味村治君) 我が国では、御承知のように、三権分立をとっておりまして、その中で国会は全国民を代表される議員から構成されますわけでございますので、主権者たる国民と非常に直接の関係を有しておられますので国権の最高機関だというふうに憲法で規定されているわけでございます。
しかし、三権分立ということはやはりあるわけでございまして、国会は主として立法、内閣は行政、司法は裁判ということをそれぞれが独立して行うということになっておるわけでございまして、行政権は内閣に属するということは内閣はその責任において行政を行うということに、これは現行憲法がそういうふうに規定をしているわけでございます。もとより、内閣は行政権の行使につきまして国会に対し連帯して責任を負うということでございまして、国会に対して責任を負っているわけでございます。しかも、その責任を問う方法といたしまして、いわゆる国政調査権も憲法に規定されております。そういうような意味で、国会が内閣に対して行政権の行使についていろいろ御監督になるということ、コントロールされるということは、これはもう当然のことでございます。
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第113回国会 参議院 内閣委員会 第7号 昭和63年10月20日
第113回国会 参議院 内閣委員会 第7号 昭和63年10月20日(発言番号170)
第126回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第9号 平成5年4月21日(発言番号76)
第126回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第9号 平成5年4月21日(発言番号80)
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○大森政府委員 三権分立についてお尋ねでございますが、三権分立と申しますのは、国家の作用を立法、司法、行政の三権に分かちまして、おのおのを担当する機関を相互に分離独立させるとともに、その行使の適正を期するため相互に牽制させるという統治組織原理をいうものであると一般に言われております。
そこで、日本国憲法において見ますと、立法権は国会に、行政権は内閣に、そして司法権は裁判所にそれぞれ属することとされている。これは御存じのとおりでございますが、それとともに、この三者の間では、議院内閣制のもとにおける国会の内閣不信任議決権、あるいは内閣の自主的判断による解散権あるいは内閣の裁判官任命権、あるいは最高裁判所の違憲立法審査権等の、相互に他を抑制し均衡を保つ仕組みとなっているところでございます。
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第141回国会 衆議院 予算委員会 第3号 平成9年10月13日
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○政府特別補佐人(津野修君) 一般的に国家といいますのは、統治的な作用を持っているわけでございます。国家におけるいろいろなそういった統治作用と申しますのは、立法、司法、行政というふうに三つの機関が分担して行うというふうに、いわゆる三権分立の規定が憲法上定められているわけであります。
そこで、内閣と国との関係といいますと、六十五条で「行政権は、内閣に属する。」というふうに書かれておりまして、国の行政権を担当するのは、行政権が属するのは内閣であるというふうに理解しております。
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第147回国会 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第11号 平成12年5月22日
第186回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 平成26年4月11日
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○政府参考人(近藤正春君) お尋ねの点につきましては、大変恐縮でございますけれども、当局としてちょっとお答えすることは差し控えたいというふうに思いますが、一般論として三権分立についてお答えをいたしますれば、三権分立とは、国家の作用を立法、司法、行政の三権に分かち、各々を担当する機関を相互に分離、独立させるとともに、その行使の適正を期するため、相互に牽制させるという統治組織原理を指すものと承知しております。
この原理は近代民主主義国家において広く採用されており、日本国憲法の定める統治組織もこの原理を基本原理としているというふうに承知しております。
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第186回国会 参議院 外交防衛委員会 第14号 平成26年5月13日
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○政府参考人(木村陽一君) 三権分立でございますけれども、通常、国家作用を立法、司法、行政の三権に分けまして、各々を担当するものを相互に分離、独立させ、相互に牽制をさせる統治組織原理のことを指すものとして使われております。
釈迦に説法になってしまいますけれども、日本国憲法におきましては、立法権は国会、行政権は内閣、司法権は裁判所にそれぞれ属することとされております。また、それらの間には、特に内閣と裁判所ということかと思いますけれども、内閣の裁判官の任命権、それから最高裁判所には法律、命令、規則、処分に対します違憲審査権という、相互に他を抑制し、均衡を保つ仕組みが定められているところでございます。
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第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日
<理解の補強>
【動画】三権分立 NHK for School
国会と内閣の仕事の覚え方 各機関の役割をおさえれば丸暗記は不要 2018年4月25日
日本国憲法における三権分立(権力分立)とは 2013年6月25日
【動画】司法試験入門講座 プレ講義 「体系マスター」憲法6 「経済的自由権等、統治機構」 2020/03/12
【動画】【司法試験】2021年開講!塾長クラス体験講義~伊藤塾長の最新講義をリアルタイムで体験しよう~<体系マスター憲法4-6> 2021/02/09
三権の定義
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〇 立法 … 国民を拘束する成文の一般的・抽象的法規範を定立する作用
〇 司法及び行政 … 立法によって定立された法規範を、個別的・具体的な事件に適用し、執行する作用
・ 司法 … 具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによって、これを裁定する作用
・ 行政 … 立法でも司法でもない一切の国家作用。国家作用から立法と司法を除いた部分の総称。など
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憲法Ⅰ 清宮四郎 法律学全集3 有斐閣 (P246) (筆者まとめ)
【司法権】
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⑴ 司法権とは,具体的な争訟について法を適用し宣言することによってこれを解決する国家作用であり,全て司法権は,最高裁判所及び下級裁判所に属する(憲法76条1項)。裁判所は,憲法に特別の定めがある場合を除き,一切の「法律上の争訟」を裁判する権限を有し(裁判所法3条1項),一切の法律等に関する違憲審査権を有する(憲法81条)。したがって,具体的な権利義務ないし法律関係に関する争訟については,裁判所による司法審査が及ぶのが原則である(憲法76条1項,裁判所法3条1項)。
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憲法53条違憲国家賠償請求事件 岡山地方裁判所 第1民事部 令和3年4月13日 (PDF)
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○味村政府委員 これは「司法」という章に規定があるわけでございます。
立法、行政、司法、こういうふうに三つ並んでおります三権分立のうちの一つの権であります司法権、これは、具体的な争訟事件につきまして、法律的な見地からそれを裁くというものを、言うのであろう。したがいまして、憲法の司法というのは、当然にそのことを予定しているのであろう、このように考えている次第でございます。
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第90回国会 衆議院 法務委員会 第2号 昭和54年12月11日
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○政府委員(前田正道君) 地方自治法の二条十項第一号が「司法」の文言を使っておりますのは、我が国の統治構造が立法、行政、司法の三権分立をとっていることを前提としてこの文言を使っているものと考えます。そういたしました場合に、ここに用いております「司法」という用語は、立法、行政に対しまして、法規を適用いたしまして、ある事項につきましての適法違法、あるいはこれを規制します権利義務の関係を確定するということによりまして、具体的な争訟を解決する国家作用を指して用いたものと考えております。
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第102回国会 参議院 法務委員会 第5号 昭和60年4月2日
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まず、司法権の観念について、通説は「具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによって、これを裁定する国家の作用」と定義してきた(清宮・憲法Ⅰ335頁)。より厳密にいえば、「当事者間に、具体的事件に関する紛争がある場合において、当事者からの争訟の提起を前提として、独立の裁判所が統治権に基づき一定の争訟手続きによって、紛争解決のために、何が法であるかの判断をなし、正しい法の適用を保障する作用」であり、この司法の観念の構成要素は、(a)「具体的な紛争」ないし具体的な事件の存在、(b)適正手続きの要請等に則った特別の手続き(口頭弁論・公開主義など公正な裁判を実現するための諸原則)に従うこと、(c)独立して裁判がなされること、(d)正しい法の適用を保障する作用であること、であるとされる(芦部・憲法438頁)。
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憲法 第7版 辻村みよ子 amazon (下線は筆者)
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第4回〜内閣③・裁判所① 2023/06/23
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第5回〜裁判所② 2023/07/01
この動画では、「司法権」を説明する中で登場する「具体的な争訟」の文言の意味について「法律上の争訟」のことであると説明されることに疑問を持っているようである。
これは「宗教上の争い」、「学問上の争い」、「国家間の武力による争い」など、他の様々な争いと区別する意味で「法律上の」と強調する形で説明されているものと考えられる。法学を学んでいる最中にこの文言に出会うと、一体何を言っているのか分からないと思うかもしれないが、世の中の争いの中には法律問題ではない事柄もあることを前提としてこれを読み直したならば、その当然の前提を確認する意味で「法律上の」と述べられていることが分かると思う。例えば、「ティラノサウルスとスピノサウルスのどちらが強いか」という争いや、『ピカソとゴッホではどちらが優れた画家であるか』という争い、「神は存在するか」という論争については、「法律上」の争いとはいえないから、「法律上の争訟」ではないといえる。
そして、この「法律上の争訟」の意味をさらに詳しく述べるとすれば、「①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であること、②法令の適用により終局的に解決することができるものであること」という内容が導かれることになる。この説明についても、結局は、法的な問題であり、法的に解決できるということについて、「権利義務」や「法律関係」、「法令の適用」や「終局的に解決」などと難しい言葉を使っているだけであり、大した意味が含まれているわけではない。どちらかというと、「行政権」の中にもこれと同じような作用が含まれており、「司法権」に限られるものでないのではないかという疑問の方が大きい。
もう一つ、「具体的な争訟」の「具体的な」の文言は、「法律上の争訟」の説明である「①当事者間の具体的な」の部分に対応しているが、「法律上の争訟」という文言そのものとは直接的に対応しているようには見えない。そのため、「『司法権』が扱う『争訟』とは『法律上の』もので、『①と②』を満たすような『具体的な』ものでなければならない」という形で意味を理解することはできるが、直接的に「具体的な争訟」=「法律上の争訟」のように読み替えることはできないように思われる。
司法権の概念 南野森 PDF
下記の判決では、司法権の行使について具体的な事件であることが求められる点について述べられている。
日本国憲法に違反する行政処分取消請求 最高裁判所大法廷 昭和27年10月8日
【行政権】
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○政府委員(味村治君) 国の統治権と申しますものは、御承知のように司法、行政、立法、この三権に分かれるわけでございまして、行政というのは国の統治権のうちで立法と司法を除いたものというのが定義されているわけでございます。
(略)
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第113回国会 参議院 内閣委員会 第7号 昭和63年10月20日
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國會が作った法律を、實地に動かしていく仕事のうちで、司法權以外のものをひろく行政權という。行政權は内閣の役目である(第六五條)。
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あたらしい憲法のはなし 宮沢俊義 (P126~127)
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第2回〜内閣① 2023/05/27
【司法と行政】
「司法権は、法の誠実な執行という点では行政作用と異なることはなく、ただ紛争の解決作用であるという点で区別されることになる。」
司法権をめぐる論点 長谷部恭男 2004年9月 PDF
下記は「大日本帝国憲法」についての書籍であるが、参考にする。
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司法權は、法律の定むる所に遵ひ、正理公道を以て、臣民の權利の侵害せられたのを回復したり、刑罰を判断するのを、その職司とする。古へ、政治が簡朴であつた時には、各國の政廳の設備には、未だ司法と行政の別がなかつた。そのことは歴史の證明するところである。其の後、文化が彌々進み、人事が益々繁くなつたとき、始めて司法と行政との間に職司が分かれ、其の構制を殊にして、其の畛域を相侵さないやうに愼むやうになり、その結果、立憲の政體が最大の進歩をなしたのである。
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帝国憲法義解 : 新訳 伊藤博文 昭13 (下線は筆者)
行政権の処分
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……しかし、行政事件訴訟特例法が行政処分の取消変更を求める訴を規定しているのは、公権力の主体たる国又は公共団体がその行為によつて、国民の権利義務を形成し、或はその範囲を確定することが法律上認められている場合に、具体的の行為によつて権利を侵された者のために、その違法を主張せしめ、その効力を失わしめるためである。
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農地境界査定処分無効確認請求 昭和30年2月24日 (PDF)
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しかし、行政事件訴訟特例法一条にいう行政庁の処分とは、所論のごとく行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものであることは、当裁判所の判例とするところである(昭和二八年(オ)第一三六二号、同三〇年二月二四日第一小法廷判決、民集九巻二号二一七頁)。……
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ごみ焼場設置条例無効確認等請求 昭和39年10月29日 (PDF)
【動画】【行政書士 #5】行政事件訴訟法の処分性はイージーです。判例・条文をサクッと解説しました(行政法 講義 ゆーき大学) 2021/01/27
司法権の範囲(法律上の争訟)
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裁判所法三条によれば「裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する」ものであり、ここに「法律上の争訟」とは法令を適用することによつて解決し得べき権利義務に関する当事者間の紛争をいうのである。……
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しかし、司法権の固有の内容として裁判所が審判しうる対象は、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に限られ、いわゆる法律上の争訟とは、「法令を適用することによつて解決し得べき権利義務に関する当事者間の紛争をいう」ものと解される(昭和二九年二月一一日第一小法廷判決、民集八巻二号四一九頁参照)。……
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国家試験合格変更又は損害賠償請求事件 昭和41年2月8日 (PDF)
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裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であつて、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和三九年(行ツ)第六一号同四一年二月八日第三小法廷判決・民集二〇巻二号一九六頁参照)。したがつて、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であつても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。
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第19回国会 衆議院 外務委員会 第1号 昭和28年12月11日
日本国憲法に違反する行政処分取消請求 最高裁判所大法廷 昭和27年10月8日 (PDF)
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第5回〜裁判所② 2023/07/01
法の支配と法治主義
【動画】【司法試験】2021年開講!塾長クラス体験講義~伊藤塾長の最新講義をリアルタイムで体験しよう~<体系マスター憲法1-3> 2021/02/06
【動画】【司法試験】<無料体験>2023年合格プレミアムコース開講!伊藤塾長の講義を体験しよう~基礎マスター憲法1-3~ 2023/04/11
「法の支配」の意味の中に「近代立憲主義」の意味を含める必要はないという考え方もある。
【動画】法と教育学会 第12回学術大会 基調講演「法とは何か」 2021/09/22
【動画】おしえて長谷部先生!「法の支配」ってなぁに? 2024/02/03
(憲法カフェ第3弾 おしえて長谷部先生!「法の支配」ってなぁに? 2024.2.13)
(憲法と法の支配 パルシステム東京 2024年2月3日 PDF)
民主的基盤の強弱
国会や内閣に比べて裁判所の民主的基盤は弱い。しかし、「司法権の独立」という観点からは望ましいと考えられる。また、最高裁判所裁判官には「国民審査」が存在し、裁判所の民主的基盤も一応は確保されている。
司法(司法権の民主的統制) Wikipedia
NHKの番組 「義男さんと憲法誕生」で、鈴木義男について特集されていた。裁判所の独立性について興味深い内容がある。
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有澤廣巳の裁判 弁護要旨より
(鈴木義男)
裁判がその時の政治的勢力に左右された形跡ありと見られる事例は
歴史の法廷に於いては常に醜いものとして再批判されます
学問が政権から超然としておらねばならぬやうに
裁判も常に政権政治的な動きからは超然でなければならぬと信じます
裁判は政治ではない
一切の政治的勢力乃至影響から超然として
法によってのみ為さるる所に司法の尊厳があり
国家を盤石の安きに置く保障があるのであります
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ETV特集 「義男さんと憲法誕生」 NHK (50分20秒頃より)
番組内容では、他に下記の内容があった。
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義男さんは新憲法で司法の独立を徹底しようとしました。
最高裁判所長官の任命のあり方についても修正を求めます。
<1946年(昭和21年)7月31日>
(日本社会党 鈴木義男)
三権分立の建前から言ひましても又実際上から見ましても
最高裁判所の長官の地位と云うものは
此の憲法に於いては将来非常に重大な意味を持つ
又持たすべきであると私共は見て居る
従来の憲法上でも大審院長やそれ以下の裁判官と云うものが
不当に低い地位に置かれた
それが一つは裁判と云うものに権威を持たせなかった理由で
この憲法の建前から見ても
是非とも此の最高裁判所長官は内閣総大臣と対等の地位に置く
内閣総理大臣が天皇に依って任命されるものなら
最高裁判所長官も天皇に依って任命されると云うことが
正にあるべき姿ではないか
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上に同じ (51分55秒頃より)
日本国憲法制定時の会議録では下記である。
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○鈴木(義)委員 三権分立の建前から言ひましても、又実際上から見ましても、最高裁判所の長官の地位と云ふものは、此の憲法に於ては将来非常に重大な意味を持つ、又持たすべきであると私共は見て居る、従来の憲法上でも、大審院長やそれ以下の裁判官と云ふものが不当に低い地位に置かれた、それが一つは裁判と云ふものに権威を持たせなかつた理由で、此の憲法の建前から見ても、是非とも此の最高裁判所長官は内閣総理大臣と対等の地位に置く、さうして法律、政令が憲法に違反するや否やと云ふことまで審査する権限を持つものですから、実際上対等の地位にあることは疑ひないと思ふ、それ位ならば最高裁判所長官は内閣総理大臣と同じ任命形式を執る、是が天皇と云ふもののない国ならば別だけれども、日本は天皇があるのだから、内閣総理大臣が天皇に依つて任命されるものなら、最高裁判所長官も天皇に依つて任命されると云ふことが正にあるべき姿ではないか、それに依つて此の裁判官の地位と云ふものが非常に権威付けられる、又権威付けることが必要であると考へるから、斯う云ふ提案をする訳です
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第90回帝国議会 衆議院 小委員会 昭和21年7月31日(第6回) (カタカナをひらがなにしている。)
これにより、日本国憲法6条2項で天皇が最高裁判所長官を任命することが定められた。
最高裁判所長官は内閣によって指名され、天皇によって任命される。天皇によって任命されるという点において、内閣総理大臣と最高裁判所長官は対等である。これによって、三権分立における司法の独立が保障されると考えられる。もし最高裁判所長官が内閣によって「任命」されるのであれば、裁判所は内閣の下にある行政機関の一部門のようになってしまう恐れがある。
その他、裁判官の独立について参考になる部分のある資料を置いておく。
【参考】3 本件における裁判所の職責 (P15~)
下記の資料は、裁判所は「その時々の政治的多数派の意思」という意味での民主的基盤は弱いとしても、違憲審査権を行使して憲法判断を行い、憲法価値を守ることについても憲法を通した民主的基盤の実現である旨について触れられている。
【参考】違憲判断の回避について 弁護士 伊藤真 PDF (P7~)
「国権の最高機関」とは何か
41条には、「国会は、国権の最高機関であつて、」と記載されている。下記で意味を明らかにする。
〇 国権
政府は「国権」の意味を下記のように解している。
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一般に、「主権」及び「国権」という言葉は、必ずしも一定の意味で用いられているわけではなく、「主権」という言葉は、第一に国家の意思の源泉、言い換えれば国家の政治の在り方を最終的に決定する力、第二に国家の意思が最高、独立であること、第三に国家の意思、第四に統治権というような意味で用いられ、「国権」という言葉は、第一に国家の意思、第二に統治権というような意味で用いられているところと承知している。
お尋ねの憲法上用いられている「主権」という言葉のうち、前文第一段落及び第一条の「主権」は、右で述べた主権の意味のうち国家の意思の源泉というような意味で、前文第三段落の「主権」は、右で述べた主権の意味のうち国家の意思が最高、独立であることというような意味で用いられていると考える。
また、お尋ねの憲法第九条及び第四十一条の「国権」は、右で述べた国権の意味のうち国家の意思というような意味で用いられていると考える。
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日本国憲法における国権と自衛権との関係に関する質問に対する答弁書 平成14年3月8日
〇 最高機関
41条の「最高機関」の意味は、法的に特別の意味はなく、「政治的美称説」と考えることが通説である。
ただ、上の二つの図を見ると、この意味を理解しやすいと思われる。
① 「法治主義」の原理は、「国会」が法律を立法し、その法律を「内閣」以下の行政機関と「裁判所」が適用することによって成り立つ。
この仕組みから考えると、「国会は、国権の最高機関であつて、」との表現は分かりやすいと思われる。
② 「国会」が「内閣総理大臣」を指名し、その「内閣総理大臣」の組閣する「内閣」によって「最高裁判所長官」が指名される。
この流れから見て、「国会は、国権の最高機関であつて、」との表現は分かりやすいと思われる。
◇ 「国会」 ⇒ (指名) ⇒ 「内閣総理大臣」+国務大臣=「内閣」 ⇒ (指名) ⇒ 「最高裁判所長官」
【参考】第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 昭和46年2月19日
【参考】憲法41条について論ぜよ
司法権の限界
司法(司法権の限界) Wikipedia
憲法訴訟に関連する用語等の解説 衆議院憲法調査会事務局 平成12年5月 PDF
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第5回〜裁判所② 2023/07/01
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第6回〜裁判所③ 2023/07/06
【動画】2023年度前期・九大法学部「憲法1(統治機構論・後半)」第7回〜裁判所④ 2023/07/13
【判決】出席停止処分取消等請求事件 最高裁判所大法廷 令和2年11月25日
用語の確認
憲法を学ぶ上で、ほとんど同じ意味を指しているにもかかわらず、様々な言葉が使われることがある。また、同じ言葉でも、意味が全く違ったりもする。そこで、初学者が特に注意しておきたい用語をまとめておきたいと思う。
③ 主権(最高決定権:国民主権)
日本国民
国民
われら
何人
現在及び将来の国民
憲法制定権力
憲法改正権力
( ↑ ここでは「権力」と言うが、これは政府の権能を示したものではない。法を創造する人々の実力のことである。)
① 主権(統治権)
② 主権(統治権に付随する最高独立性)
日本国
国
国権
国家権力
統治権
統治権力
公権力
立法権・行政権・司法権
三権
権力
権限
権能
政府(広義:立法権・行政権・司法権のこと)
政府(狭義:内閣以下の行政機関のこと)
政府の行為
統治機構
「権利」と「権力」の違いについて、法務省の法教育のサイトに分かりやすい解説がある。
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Q71 「権力」や「権利」ということばを生徒に説明する工夫
Q 「権力」とか「権利」ということばを生徒に分かりやすく説明する工夫としては、どのようなものがありますか。
⇒ 『報告書』97ページ(第3、(1)第一時「国の政治の在り方は誰が決めるべきか」)
A 権力と権利は、似たような言葉であるにもかかわらず、まったく異なる意味を持っており、その正確な理解は必ずしも容易ではありません。他方で、憲法の意義を考える上で、これらの言葉の正確な理解は必要不可欠です。
ひとつの説明の工夫としては、英語に置き換えることが考えられます。権力はPowerであり、「人を(その意思に反してでも)強制させる力」という意味が語感から感じられますし、権利の原語であるRightには、「正しい要求・主張」という意味を含むことが分かるのではないでしょうか。
なお、憲法の領域では、国家がその支配のために行使する力を総体として「国家権力」あるいは「統治権」、法が各国家機関に対して行使することを認めている力を「権限」あるいは「権能」といい、国民等が国家に対して要求・主張を行うための法的な根拠を「権利」ということが多いようです。
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憲法の意義 法教育 法務省
立法府と行政府をまとめて「政治部門」と表現する場合がある。
憲法原理の最小構成要素
近代立憲主義の憲法の最小限の構成要素を明らかにすることで、憲法の本質部分を見抜くための目を養うことができると考えられる。そのことは、憲法の体系を理解する上で参考になると思われる。
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(一)伝統的意味 近代憲法は、権利宣言と統治機構の二つの部分からなるが、統治機構の基本原理は国民主権と権力分立である。
(略)
もっとも、民主主義ないし民主政(国民主権)は人権の保障を終局の目的とする原理ないし制度と解すべきであるから(第三章一2参照)、権力分立と民主制とは矛盾せず、融合して統治機構の基本を構成するものであること(だから、西欧型の民主政は「立憲民主主義」と呼ばれる)に注意しなければならない。
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憲法 第三版 芦部信喜・高橋和之補訂 〔項目 : 第三部 統治機構 / 第十四章 国会 / 権力分立の原理 / 1 総説〕 (第三版の場合はP261) (下線・太字は筆者)
第一章「天皇」、第二章「戦争の放棄」の章は、日本国憲法独特のものである。この二つの章が存在しなくても、近代立憲主義の憲法として意味を為し、成り立つことができる。
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ただ、近代立憲主義の理念に立脚する国々も、各国固有の理念や制度を憲法によって保障していることがあります。日本の場合でいえば、天皇制や徹底した平和主義がこれに当たるでありましょう。こうしたそれぞれの国の固有の理念や制度も、その時々の政治的多数派、少数派の移り変わりによっては動かすべきではないからこそ、憲法に書き込まれているということになります。
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参考人 長谷部恭男(早稲田大学法学学術院教授) 第189回国会 憲法審査会 第3号 平成27年6月4日
衆議院 憲法審査会 第189回国会 第3号(平成27年6月4日(木曜日))会議録
大日本帝国憲法を参考とすると、第八章「地方自治」もカットできると考えられる。
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(新設)
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(新設)
(章に格上げ)
(新設)
日本国憲法(現行)
第1章 天皇
第2章 戦争の放棄
第3章 国民の権利及び義務
第4章 国会
第5章 内閣
第6章 司法
第7章 財政
第8章 地方自治
第9章 改正
第10章 最高法規
第11章 補則
憲法の最小構成要素
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第3章 国民の権利及び義務
第4章 国会
第5章 内閣
第6章 司法
第7章 財政
・
第9章 改正
第10章 最高法規
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つまり、下記の要素が近代立憲主義の憲法を成り立たせる最小限の構成要素となる。
【総則規定】⇒「最高法規」の性質やその性質から導かれる硬性憲法としての「改正」の規定
【人権規定】⇒「国民の権利」や「国民主権」の性質について定めた規定
【統治規定】⇒「権力分立」を定め、権力の独占を防止した規定
下記は、第一章「天皇」、前文「平和主義」、第二章「戦争の放棄」、第八章「地方自治」を除いた場合の憲法原理の最小構成要素である。ただ、この例は改正の限界を超え、日本国ではなくなると思われる。
さらに言えば、
〇 国会も「二院制」から「一院制」にすることが可能である。
〇 裁判所も、「三審制」から「一審制」にすることが可能である。
◇ 権力分立の在り方についても、「議院内閣制」と「大統領制」のどちらを選ぶかは選択可能である。
書籍「憲法」(芦部信喜)を参考に、憲法の定める国家形態を考える。この書籍の冒頭は抽象的な内容が多く、当初は理解できずに読み流してしまいがちであるが、憲法の構成に関する根本的なテーマが詰まっている。
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また、憲法の定める国家形態ないし統治形態に関する分類として、①君主が存在するかどうかによる君主制か共和政かという区分、②議会と政府の関係に関して、大統領制か議院内閣制かという区分、③国家内に支邦(州)が存在するかどうかによる連邦国家か単一国家かという区分、なども伝統的に説かれているが、これらも憲法の分類自体としてはそれほど大きな意味を持つものではない。たとえば、君主制でも、イギリスのように民主政治が確立している国もあり、共和制でも、政治が非民主的な国は少なくない(従って、民主制か独裁制かという観点からの分類の方が意味がある)。大統領制や議院内閣制にも、いろいろの形態がある(たとえば、両者の混合形態もあるし、同じ大統領制でも、アメリカのような民主的なもの、南米ないし中近東の諸国のような独裁的なもの、の別がある)。
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憲法 第三版 芦部信喜・高橋和之補訂 〔項目 : 第一部 総論 / 第一章 憲法と立憲主義 / 三 憲法の分類 / 1 伝統的な分類 / (二) 国家形態による分類〕 (第三版の場合はP8) (下線・太字は筆者)
日本国の統治機構
第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第42条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第43条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第65条 行政権は、内閣に属する。
第66条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
立法権の主体である国会は二院制を採用し、異なる時期、異なる制度、異なる権限を持つことで、異なる多様な民意を反映することを目的としている。
行政権の主体は、国会議員から選出された内閣総理大臣によって組織される内閣であり、議院内閣制を採用している。
司法権を持つ裁判所は、三審制を採用している。行政事件訴訟についても、民事訴訟の制度で運営されている。
従来は一体となっていた「権威」と「権力」を分離し、その「権威」に日本国の象徴、日本国民統合の象徴として、天皇制を採用している。
財政に関する権限について詳しく定め、内閣から独立した行政機関として、会計検査院を置いている。
住民へのきめ細かい行政運営を可能とするため、地方自治制度が採用されいる。
第一章 天皇
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二~十
第四章 国会
第61条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第五章 内閣
第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一・二
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四~七
第六章 司法
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
第十章 最高法規
第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
<理解の補強>
Template:日本の条約 Wikipedia
<理解の補強>
当サイトとは別の考え方も記載します。
「『三権分立』という言い方はやめるのがよいですね。三角形の図で説明するやり方も。」 Twitter
子どもの誤解を招く?教科書における議院内閣制と三権分立 --- 蒔田 純 2018年08月11日
「立法権」と「行政権」の関係について、『議院内閣制』は『大統領制』に比べて政治的な接近性が高いことは確かである。また、三権分立の原理を採用していない国家が存在しうることも確かである。
ただ、日本国憲法は、41条で立法権、65条で行政権、76条1項で司法権を規定しており、三権の権限を中心に相互間の力配分を構成し、権力の独占を防ぎ、恣意的な権力行使を防ぐための調整の仕組みを整えようとしていると考える。政治的な接近性が高いことや、構成員が重なるからと言って、法学上の『権限』それ自体が重なり合っているというわけではない。特に、行政権の定義は、「公権力-(立法権+司法権)=行政権」とされる控除説が通説であり、三権分立形式を採用していると考えられる。また、国会の地位に関しても、41条の「国権の最高機関」の意味について『政治的美称説』が通説であり、『総括機関説』や『総合調整機能説』、『最高責任地位説』は少数説である。この関係は、国政調査権(62条)の性質について、『補助的権能説』が通説であり、上記『総括機関説』と連動する『独立権能説』が採用されないことも、これを裏付けている。
さらに、国会の指名によって内閣総理大臣が選出されることは確かであるが、それを根拠に議員内閣制が分権されていないと見るのであれば、内閣による最高裁判所長官の指名は、内閣と裁判所が分権されていないと見ることにも繋がる。政治的な重なり合いと、法学上の権限の重なり合いを同一視することは誤った認識に繋がると考える。
これは、そもそも何を三権分立と見るか、という、程度の問題であり、日本国憲法においても三権分立を採用していると見ることは可能であると考える。
加えて、権力分立には三権分立以外の「二院制」や「地方自治制」も存在していることを押さえておくべきである。さらに、会計検査院は、行政機関でありながらも、内閣からは独立していることも知っておく必要がある。
砂川事件最高裁判決(PDF)の裁判官「補足意見」、「意見」の中にも、「三権分立」の文言が何度も登場する。下記でを確認する。
「裁判官藤田八郎、同入江俊郎の補足意見」を確認する。
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一、日本国憲法は、立法、行政、司法の三権の分立を確立し、司法権はすべて裁判所の行うところとした(七六条一項)。
また、裁判所法は、裁判所は一切の法律上の争訟を裁判するものと規定し(三条一項)、民事、刑事のみならず行政事件についても、事項を限定せず概括的に司法裁判所の管轄に属するものとせられ、さらに、憲法は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを審査決定する権限を裁判所に与えた(八一条)。これらの結果、国の立法、行政の行為は、それが法律上の争訟となるかぎり、違憲審査を含めて、すべて裁判所の裁判権に服することとなつたのである。これがいわゆる司法権の優位として、司法権に、立法、行政に優越する権力をみとめるものとせられ、日本国憲法の一特徴とされるところである。
しかしながら、司法権の優位にも限度がある。憲法の三権分立の構想において、その根幹を為すものは三権の確たる分立と共に、三権相互のチエツク(check)とバランス(balance)であつて、司法権優位といつても、憲法は決して司法権の万能をみとめたものでないことに深く留意しなければならない。たとえば、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、たとえ、法律上の争訟となる場合においても、従つてこれに対する有効無効の法律判断が法律上可能である場合であつても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられているものといわなければならない。この司法権に対する制約は、結局三権分立の原理に由来し、当該国家行為の高度の政治性、裁判所の司法機関としての性格、裁判に必然的に随伴する手続上の制約等にかんがみ、特定の明文による規定はないけれども、司法権の憲法上の本質に内在する制約と理解すべきである。
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「裁判官垂水克己の補足意見」を確認する。
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二、裁判所の違憲審査権 裁判所は、国内法としての一般条約を含む一般の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する(憲法八一条)。これが原則である。しかしわが憲法の三権分立の理念、司法権の性質、行使の仕方、その効果に照らし、例外として、ある種の国会各院の行為または政府の行為で、裁判所によつてそれが違憲であると決定されるに適しないため裁判所の審査権の対象から除外されるべきものがある。
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「裁判官石坂修一の補足意見」を確認する。
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而して、前記の如き侵害は、時と場合とによつて、その様相千差万別であり、予め容易にこれを想定し難かるべく、従つて、これに即応する有効適切なる防衛手段の形態をも亦、予め容易に想定し難いであらう。思ふに、右の如き侵害に対する有効適切なる防衛手段を、国家が現実に持つべきか持たざるべきか、持つとすればその形態、規模を如何にすべきか等は、国家内外の情勢及びその推移を勘案して始めてその判断がよくせらるべき所である。(固より、その形態、規模は、侵さず、侵されざるの限界を保つべく、その防衛行為は、侵害より生ずる紛争が、国際連合憲章に従つて解決を見るに至る迄の間における当面の措置たるべきものと解すべきである。)かゝる事項は、元来政治に干与すべからざる裁判所の判断になじまないものである。これは専ら、政府及び国会の政治上の責任において決定せらるべきものであつて、裁判所の審査すべき法的領域ではない。このことは、わが憲法が、三権分立を基本として居ることよりする極めて当然なる帰結である。
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